困ったもんだ
何度も「がんばる」と謳っておきながら、またもや更新が滞って早くも1年が経とうとしている……(_ _;)
プライベートで色々な出来事があったせいもあるけど、あともうちょっとでフィナーレ!!という緊張感から筆が進まないのかも。
こうなったら最初からじっくり読んで最後の展開を考え直すか。。。
とにかく前へ進まなきゃね。
残念な本
さて今日は、残念な話で申し訳ない……。
ですが記録として書いておきたい。読んだけど好みじゃなかったタニス・リーの作品について。
まずは『黄金の魔獣』
耽美的ではあるけれど、同時にグロテスクな、あまりにもダークなストーリー。
破滅型の主人公には思い入れできず、従って、共感なしに読み進めなければならないのが苦痛。
この作品を読んだ後、どうも作風が変わってしまったなぁと感じて、長い間この作者から遠ざかってしまった。
そして『パラディスの秘録』
長編『幻獣の書』と、三つの中編集『堕ちたる者の書』の二冊から成る。
どの話も『黄金の魔獣』と同じテイスト。耽美と退廃、エロティシズムに彩られた幻想怪奇譚。
主人公に思い入れしつつ物語を楽しむ私には、合わないと感じた。
やっぱりファンタジーはハッピーエンドじゃないとね。。。
『アイルの書』
- 第1巻『白い鹿』
- 第2巻『銀の陽』
- 第3巻『闇の月』
- 第4巻『黒い獣』
- 第5巻『金の鳥』
タニス・リーの初期作品群、パトリシア・A・マキリップの『イルスの竪琴』とともに、私の創作の原点となっているのが、このナンシー・スプリンガーの『アイルの書』全5巻です。
ケルト神話を基調にした、神秘と魔法の気配に満ちた美しい世界観。
と同時に、魅力あるキャラクターたちに夢中になりました。
ファンタジー小説の中には、世界観やストーリーで読ませる素晴らしい作品が数々ありますが、そういう作品って、ちょっと独特過ぎてキャラの感情や行動に共感できないことも、時々あります。
その点、この『アイルの書』では、主人公たちの苦悩や愛や友情が細やかに生き生きと描かれ、とても魅力的。彼らが苦労や冒険の果てに幸せになれるのか、そのハラハラドキドキ感も、物語に引き込まれる要因となっています。
5巻はそれぞれ独立した話となっていて、世代が違ったり、場所が違ったり。1冊だけ読んでも充分に楽しめます。
私のお気に入りは、やはり第2巻『銀の陽』。
主人公の2人、ハルとアランの友情がいい!
5巻の中で1番長い物語となっていますが、ストーリーの完成度としてもピカイチだと思います。
第1巻『白い鹿』のクインも捨てがたい。彼の忍耐深い愛には胸を打たれます。
ちなみにクインはアランの先祖だったはず……記憶があやふや(^^;)
クインもアランも、立場的には主人公の次、ナンバー2という扱い。
特殊な力とカリスマ性を持ち、『王』となるべく運命づけられた主人公に、永遠の友情と忠誠を捧げ、彼を助けて活躍します。
そして一種特別な思いがあるのが、第4巻『黒い獣』。
好きかと聞かれると「?」となってしまうけど、気になって仕方ないキャラクターがいます。
それが主人公フレインの兄、ティレルです。
呪われた血によって自身の内に闇と狂気を秘め、しかし誰よりも美しく大胆で、弟には優しいティレル。
愛する者を奪われた悲しみと憤怒のため、冷たく無慈悲な復讐鬼と化した兄を、けなげにも敬愛し続けるフレイン。
この巻は全体的にダークムードで、終わり方も完全にハッピーエンドではありません。
にもかかわらず惹き付けられるのは、やはり私にとってティレルというキャラが魅力的だから、と思えます。
そうです、白状しましょう(^^;)
私が『薄明宮の奪還』を書くきっかけとなったのは、実はこの「ティレル」を自分なりに好きなように描いてみたい、そして幸せにしてあげたい、という思いが原動力なのです。
というわけで『薄明宮の奪還』の主人公ギメリックの、外見と性格の一部、そしてティレルという名前そのものを別のキャラの名前として、『黒い獣』のティレルから拝借させていただいております(^^;)
言わば『薄明宮の奪還』のギメリックとティレルは、『黒い獣』のティレルの分身と言えるのです。
あと、この作品からは他にもキャラの名前を拝借しております……(名前考えるの、苦手なんです(_ _;))
そんなこんなで私にとっては非常に思い入れ深い作品なのですが、残念ながら現在は絶版になっているようです。
表紙絵は中山星香さん。漫画っぽさが受け入れ難い人もいると思いますが、私は好きです。
この方の描く人物は美しいけどワンパターンで、漫画家さんとしてはあまり上手でない(^^;)なので挿絵はなくて正解だと思います。。。
でも何と言ってもファンタジーという言葉さえ一般的でなかった時代に、めくるめく魔法と神秘、耽美の世界を味わわせて下さったこの方の功績は大きい。表紙絵は世界観を表せるよう頑張って描いておられると思います。
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続きです
前回の『イルスの竪琴』について追記です。
先日更新した『薄明宮の奪還』の最新話(番外 3)に出て来る「シャウト」ですが……。
実は『イルスの竪琴』からその単語を拝借しています。
いや、パクリと言われると辛いんですけど……F(^^;)
特殊な能力、という点では同じですが一方は主に攻撃のために使われ、
一方は単なる意思の伝達手段として使われる、という設定の違いがあるので、
別物と思っていただけると有り難いです。
ただ、発想は『イルス…』からいただいたというのは
自分の中で間違いなく認識しております。
以上、告白(?)でした(^^;)
ブログも再開
ブログも随分ごぶさたでしたが、再開します!!
好きな本のあれこれを書こうと思います。
好きな作家さんのこと二人まで書きましたが、次に……行く前に!!
最近びっくりしたこと。
何と!以前紹介した『イルスの竪琴』三部作が新しい表紙になって復刊されてる…?と思ったら、ハヤカワではなく創元推理文庫から出てるんですね。
正直、表紙の絵は山岸涼子さんの方が好み(と言うか、先にそれで慣れてしまったからでしょうね)なのですが、それは人それぞれ、新しい方が好みという人もいらっしゃるでしょう。
訳者は同じのようですし、内容は変わっていないのでは、と推測します。
機会があったら挿絵がどんなか、見てみたいな。
パトリシア・A・マキリップは、近頃また新しい本がたくさん出ていて、私もすでに何冊か読みました。
追々、感想を書いていきたいと思います。
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DVD鑑賞『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』
『イノセンス』、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』からきて、ついにこのテレビシリーズも最後まで観ました。いやもう、どんどんハマっていってます、深みに……(^^;) 笑い男事件の顛末がわかったところで、全26話、もう一度始めから見返したい!……という強い衝動が。(あ〜ダメよTSUTAYAの予約リスト、ついに9ページまでいっちゃってるんだから〜(^^;))
“STAND ALONE COMPLEX”、このキーワードが最初から全話に貫かれていたんですね。すごい緻密な構成と脚本に感じ入りました。一見、ストーリーの流れとは無関係に思えていたタチコマたちのエピソードにも、それぞれ意味があったんだ……とわかったのは最後から2話目。あぁぁタチコマちゃん!!なんてケナゲなの!!(涙目)
そして最終回の素子とアオイの会話が非常に興味深かった。
――――――>以下抜粋
<オープニング>
「肉体を喪失しても、思考はネットをめぐり、個を特定したまま、その存在を維持し続けられると?」
「さぁどうかしら。殻を捨てた意思が、ネットの海で個を維持できるとは考えにくい」
「じゃあ、生きてなお、個を喪失し続ける者にとって、この世界は絶望?」
「何をして絶望と捉えるかね。とりあえず死んでみるって手もあるんじゃない?」
<図書館にて>
「全ての情報は共有し並列化した時点で、単一性を喪失し、動機なき他者の無意識に、あるいは、動機ある他者の意識に内包される」
―中略―
「言葉では知っていても、実際に目の当たりにするまでは信じられなかった。オリジナルの不在が、オリジナルなきコピーを作り出してしまうなんてね。あなただったら、あの現象を何て名付けますか?」
「STAND ALONE COMPLEX」
「Yes。STAND ALONE COMPLEX。元来、今の社会システムには、そういった現象を引き起こす装置が始めから内包されてるんだ。ぼくにはそれが、絶望の始まりに感じられてならないけど……あなたはどう?」
「さぁ。何とも言えないわね。だけど私は、情報の並列化の果てに個を取り戻すための、一つの可能性を見つけたわ」
「ちなみに、その答えは?」
―上着のポケットから、タチコマのAIのメモリ媒体を取り出す素子。口元に微かな笑みが浮かんでいる―
「好奇心。……たぶんね」
――――――>抜粋終わり
“何をして「個」と特定するか?”
この命題は、以前に読んでチンプンカンプンだったジーン・ウルフ著『ケルベロス第五の首』を思い出させる。mixiの日記を繰ってみたところ、残念ながら読後の感想文自体は削除されてもう読めないけれど、2005年2月28日と記録されていた。アーシュラ・ル・グインが絶賛した、ってことで興味を持ったのがきっかけで3年以上も前に読んだこの本、内容そのものは私にはちっとも面白くなかった上にワケがわからずじまい……。なのになぜ覚えているかと言うと、解説が興味深かったから。もうウロ覚えなので定かではないけど(^^;)、確か双子(?それともクローンだったかな?)が出てくる話があって、それについての解説でこの“何をして自と他を区別するか?”という話が語られていたように思う。本当に自分自身が体験したのか(自分のものか他人のものか)わからない、不確かな記憶を抱え、外見が瓜二つの双子がいる場合……いったいどちらが自分なのだ?
そしてこの攻殻機動隊の世界=近未来の日本(設定では2030年)。
他者と自分との区別を、外殻としての「姿形」と、その中に収められた「記憶」に求めるとするなら……擬態によって、商品規格化されたボディを得、いくらでも上書きできてしまう偽物の記憶を植え付けられた人間は、果たして「彼本人」と言えるのだろうか?
『GHOST IN THE SHELL』では、ネットの海で発生・成長し進化する“生命”と“自我”を見せつけられ、「人間らしさとは?」と考えさせられた。この作品が1995年制作だなんて……まさに驚愕!!
で、『STAND ALONE COMPLEX』は2002年制作。次の作品を観るのが本当に楽しみです。
(ちなみに最初に観た『イノセンス』は2004年制作なので、次作を観るまでにもう一度、観ておきたい……)
余談ですがジーン・ウルフ=『ケルベロス…』ってことはすっかり忘れていたのに、最近どっかで見かけた名前だなぁと思ったら、『デス・ノート』の作画で超有名になった小畑健がイラスト担当ってことで話題になったハヤカワ文庫SFの作者でした。う〜ん。手は出すまい、と思っていたのに……微妙だなぁ。
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