マンボウ遺言状

書き手:ゆうき図書館(O)

マンボウ遺言状 (ラッコブックス)

マンボウ遺言状 (ラッコブックス)

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 010278182 F キタモ
犬山市立図書館 210242731 /914.6/キ/

1.この本を選んだわけ

2011年も残りわずかとなりました。
空気もぐっと冷たさをまし、本格的な冬の到来。
こんな寒い季節には、暖かいところで楽しく読めるエッセイがおすすめ!
ということで今回は、今年10月24日に亡くなられた作家・北杜夫さんの人気エッセイ・どくとるマンボウシリーズの1冊を追悼の意味も込めてご紹介します。

このタイトル(書名)、今となっては少し複雑で感慨深いものとなりましたが、
著者が自身の遺言と称して、家族や親しくしている人たちとの思い出話などを綴っています。
この本の中でも、エピソードとして語られている歌人斎藤茂吉を父に持ち、自らも文学作品『夜と霧の隅で』や『楡家の人びと』で高い評価を受ける、まさに国民的作家の一人。
しかしながら、エッセイでは、家族のことや自身の躁うつ病のことについて、開けっ広げに、軽妙に、そして独特のユーモアを交えて書かれています。
決して明るい内容だけではないけれど、偉大な作家という肩書きを感じさせない(もちろん良い意味で)、気軽に読める作品です。

詩人の谷川俊太郎さんが雑誌に次のようなことを書かれていました。
「ユーモアっていうのはすごく知的なものだから、つまり頭がいいということだけれど、それだけじゃない。その人の意識下の深いところにある世界観ですよね。ユーモアのある人は、ゆったりしている。ちょっととぼけていて、飄々としていて。自分を他人の眼で眺めることのできるゆとり。他人を裁かずに受け容れるゆとり。人生に<遊び>のある人かなあ。」 『リンネル』第2巻第12号通巻13号(2011.11.20発行)

北さんの作品から漂うユーモアは、まさに北さんの人柄、世界観から出ているもの。
それに惹かれ、癒された読者はきっと多いはず。
長きにわたって愛される作家、そして読み継がれる作品の魅力を感じたいときには、ぜひ図書館に来てみてください。

2.こんなひとにおすすめ

年末年始はもちろん、寒い冬の休日には、どこにも出かけず、家でゆっくり読書を楽しみたいという方におすすめです。
また、北杜夫ファンのみなさんは、もちろん既に読まれている方が多いと思いますが、この機会にもう一度、作品の世界にハマってみるのも楽しいかもしれません。

3.こちらもどうぞ
週刊新潮』 56巻43号通巻2816号(2011.11.10発行)

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 030383343  雑誌 

北杜夫さんの長女でエッセイストでもある、斎藤由香さんの連載「窓際OLのすってんころりん日記」が掲載されています。
この号から「父の死」と題された父親・北杜夫さんとの思い出が語られています。

さらにこちらも↓
“笑う門には福来る”
新しい年が笑いであふれるよい年になりますように。

笑いのセンス―文章読本

笑いのセンス―文章読本

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 010259984  816 ナ
犬山市立図書館 111561296 /816//

人を笑わせ、笑顔にさせることは、実はとても知的でセンスを要すること。
笑いをめぐる理論(笑いの効用や笑い声の種類など)から笑いの文学史狂歌・川柳や江戸小咄など)まで、さまざまな角度から”笑い”を捉えた1冊です。
北杜夫さんの文体についても、少しですが例として挙げられていますよ。