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滴了庵日録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007/07/18(Wed) 英語の「f」と日本語の「フ」

[]英語の「f」と日本語の「フ」


「日本人のほとんどは、英語の r, l, th, v を正しく発音していない。」 これは誰でも知ってることです。では、「 f も正しく発音していない。」ということはご存知でしょうか?


日本人の多くは英語の f をファ行音(ファ、フィ、フ、フェ、フォ)で発音しています。しかし、英語の f と日本語のファ行音は異なる子音です。発音記号では英語の f は[f]、日本語のファ行音は[Φ]です。どう違うかは口を見れば明らかです。[f]は前歯で下唇を軽くかんで発音しますが、[Φ]は唇を前にすぼめて発音します。

てのひらを口の前にかざしてみましょう。[f]では、あまりてのひらに息があたりませんが、[Φ]では強く息があたります。耳で聴くと[f]のほうがやや乾いた感じの音になります。


もっとも、英語には[Φ]の音がないので、相手(英語ネイティブ)が丁寧に発音してくれるかぎり、[f]と[Φ]を聴き分ける必要はないかもしれません。また f を[Φ]で発音しても相手に誤解されることはないでしょう。「なんか訛ってるけど、f のつもりなんだろうな。」と思ってくれるはずです。r と l 、b と v のような深刻な問題ではないかもしれません。

しかし、ナチュラルスピードのリスニングとなると話はかわってきます。速いスピードのリスニングでは、自分が正しく発音できない音は聴き取れません。 f を[Φ]で発音しているかぎり、f を聴き損じる恐れがあるということです。(などと偉そうなことを言ってますが、僕も英語のリスニングは大の苦手です。)


まあ、しかし、[f]と[Φ]はとても似た音なので、[f]と[Φ]を区別して使うような言語は寡聞にして知りません。(僕が知らないだけでどこかにあるかもしれませんが。) そして、世界的にはどうも[Φ]より[f]のほうがメジャーなようです。


[f]のある言語

英語、ドイツ語フランス語ロシア語スペイン語ポルトガル語、イタリア語、その他ヨーロッパの多くの言語、中国語アラビア語トルコ語 など

[Φ]のある言語

日本語アイヌ語トルクメン語、スペイン語ホンジュラス方言、マオリ語、エウェ語、イテルメン語、カインガング語、マオ語、クワマ語、ヴェーダ など


[Φ]のある言語って、日本語以外はマイナーなのばっかり。まあ、ヴェーダ語は、かの『リグ・ヴェーダ』などバラモン聖典に用いられている言語で、サンスクリット語よりも古い、とても重要な言語ですが。

いっぽう、[f]はメジャーな言語の多くにあります。ヨーロッパや南北アメリカで広く用いられる、ヨーロッパ系の諸言語。中東で広く用いられるアラビア語。世界最大の人口を誇る中国語。

国連の6つの公用語である、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語、アラビア語の全てにありますね。

なぜ、[f]はメジャーで[Φ]はマイナーなんでしょうね?

ちなみに韓国語には[f]も[Φ]もありません。彼らは英語の f を[p]で発音するので要注意。

すずすず 2007/07/19 04:06 [Φ]音のある言語、よくこれだけご存知ですね。私は日本語以外知りませんでした。ヴェーダ語にはあったんですか。
ご存知だと思いますが、ハ行は上代には[p]でしたよね。中古に[Φ]になって、その後色々な音に分化しました。[Φ]は帯気破裂音[ph]が摩擦音化する途中の音なんではないかな、と思います。[f]の方が発音しやすいのかもしれません。わかりませんが。
古代末期のギリシア語もひょっとしたら文字通りΦを[Φ]で発音していたかもしれませんね。

lichenglicheng 2007/07/19 09:06 [Φ]=無声両唇摩擦音=”voiceless bilabial fricative” でググったら、英語版Wikipediaに例が載っていました。そのうち、日本語名が確認できるものを載せました。まあ、Wikipediaはときどきウソが書いてあるので100%信用はできませんが、別に学術論文書いてるわけではないので、そのまま載せちゃいました。
日本語版Wikipediaの”ペルシア語”の項を見ると、無声両唇摩擦音をfと書いてあります。おかしいですね。[f]なのか[Φ]なのか不明。

lichenglicheng 2007/07/19 12:34 >ハ行は上代には[p]でしたよね。 → 中古漢語でP入声だった漢字の、日本での音読みが歴史的カナ遣いでは「〜フ」になるのはそのためですね。(例:「入」=[nip] →(日本に伝来)→ 「ニフ」=[nipu] → 「ニュウ」=[nju:] )

lichenglicheng 2007/07/19 14:12 あ、なんかややこしいですね。中古漢語から上代日本語へ漢字が伝来って。中国は中古(六朝〜隋唐)でも日本は上代(古墳〜飛鳥〜奈良)。

lichenglicheng 2007/07/19 14:19 僕が日本語話者だからそう思うだけかもしれませんが、両唇音である[Φ]のほうが、唇歯音である[f]より簡単な気がします。幼児が最初に発音できるようになる子音は両唇音の[m]と言われますよね。

すずすず 2007/07/20 00:46 [f][m][p]と[Φ]の大きな違いは、閉鎖を伴うかどうかだと思うんですよね。閉鎖無しで息を出し続けるのが、labialの場合ちょっと難しいのかもしれません。もちろん、こんなのは主観ですが。

lichenglicheng 2007/07/20 11:02 そもそもlabial(唇音)って退化する方向にあるんだそうですね。最初のコメントでお書きになられた日本語のハ行音の変化はその代表だそうで。

lichenglicheng 2007/07/20 11:06 >閉鎖を伴うかどうか → 言われてみれば、[Φ]のほうが[f]より発音労力が大きいよな気もしますね。(ほんとうに主観ですが。) ハ行で「フ」だけが残ったのは、やはり唇が「ウ」と近いため労力が少ないからでしょうか。

lichenglicheng 2007/07/20 11:17 日本人にはむしろ[hu]を発音するほうが難しいですね。 故サッダーム・フセイン氏のフも本当は[h]なので、ホゥセイン とでも表記すべきなのかもしれませんが、読めませんね。

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