情報のさばき方(外岡秀俊)

2006年から朝日新聞の編集局長を務める人物の著書。
まだ読書中ですが、参考になる話があったので、メモ。

情報分析レポートを出す際には、とりあえず結論を書け、ということ。
後で結果責任を問われないための保身、に走って結論をぼやかすことは、慎重であることとは別物です。
著者は軍事評論家で先輩でもある田岡俊次氏のアドバイスとして
「分析の精度を上げるには、とりあえず結論を出す」と書いています。
それは次に分析で、さらに精度を上げるため。
無理を承知でも、一定の結論を、その論拠・情報とともに残しておく。
そのことにより、結論が間違っていても、その原因がどこにあるのか、
つまり情報が不足していたのか、誤っていたのか、評価ミスなのか、見過ごしていたのか
がわかるということです。
 
これは自分のためにもなりますが、レポートを見た人のためにもなります。
読んだ人も結論を導いたり、あとになって情報が変わったときに、レポートを土台に次の結論を導くことができるからです。
 
実験室での実験(物理、化学、電気など)と違って、時代や市場を読むには、ある程度は主観が必要なようです。

情報のさばき方―新聞記者の実戦ヒント (朝日新書)

情報のさばき方―新聞記者の実戦ヒント (朝日新書)

ビジネス書書評ブログを眺める

どうして、フォトリーディングやビジネス書を多読して書評を書いている人たちは、エネルギッシュで、アッパーな状態なんだろう。
ブログランキングのサイトで、ビジネス書書評の上位者のブログを見て思う。
ちょっと押しつけがましいと感じたのは、今、私の状態がダウナーだからでしょう。
 
異動に伴って、経営職に向かってレポートを書く機会に突然遭遇するはめになったので、経営者が好きそうな本を選んでみた。
ドラッカーの本。
ちらっと眺めた限りでは、技術開発をしているトップメーカーの分析が多そうなので、予想以上に楽しめそうな予感。
少しでも身近な話題じゃないと、経営学の本なんて、最後まで続きそうにない。
ドラッカーの初級本を何冊か読んだら、次はトヨタ方式だな。

時間内に答えを出すこと

今、事業企画書をたてている。
周囲の人はいろんな案を出すけど、私からは出てこない。
異動して3か月、出した案が採用されないのはわかるけど、出てこないのは自分でも嫌になる。
 
回答のある事案しか取り扱ってこなかったからかもしれない。
技術開発のときも、何らかの答えは見えていたけど、企画の仕事というのは、これまで訓練してこなかった、私が最も不得意な分野だ。
 
いけばなも実はそう。
池坊なので「自由花」というスタイルがあり、先生は基本的にそれを活けるように勧める。
伝統的なスタイルは、材料を選ぶので、材料が和洋折衷のときは、自由化が一番良いのだ。
ところが、私はどうにもこれが苦手。
ある程度先生からのアドバイスがないと活けられない。
帰る時間がバスのせいで決まっている別の生徒さんは、それはもう見事に素早く大胆に活ける。
いけばなに間違いはないのだから思い切って、茎をちょん切ればいいんだけど。
 
でも、これは、いけばなを早く行うという訓練は、私の苦手を克服できるということなのかも。

幽霊生徒になっていたけど、今のプロジェクトが一段落したら、いけばなに通おう。

情報整理がうまくいく小さな27のヒント(新津隆夫)

東京とミラノを往復するジャーナリストの情報整理術である。
新聞記事のスクラップなどのヒントはざっくりと飛ばそうかと思ったが、使えるヒントもあった。
とりあえずスクラップし、しばらく寝かせてから見直す、というヒント。
あるものに興味がわくと、情報収集が無意識のうちに始まりだす。
まさにRSSリーダーのような状態で、どんどんキーワードが雑誌や新聞記事でも拾えるようになる。
そのうち情報が一定量たまりだすと、依然はわからなかった文章から引き出せる知識が変わってくる。
情報と情報をつなぐ神経経路がつながったような感覚を受ける。
スクラップするというのはキーワードを、物理的に拾うということだ。
とにかく、新聞(職場が変わり、毎日3紙に目を通し、上司宛にスクラップ(コピーだが)を取る業務がある)を眺めているだけでも、いいんだな、と安心した。
時間が足りなくて、ざっと見出しだけしか、眺められない言い訳になる。
(この前、見てたら、LISなる見出しがあったが、人に指摘されてよく見ると、記事の内容はLSIだった)

デスクトップの技術(中野不二男)

この人もビジネスツールにこだわる。
PCは古くてもいいから、台数にこだわる。
メモは、PDAやシステム手帳にこだわる。
メモの仕方にも当然こだわる、ペンにも。
 
業務が変わって、研究開発から、スタッフ業務になっている今、メモの取り方に多いになやんでいる。
議事録の作成が重荷だ。うまくメモが取れないから、議事録も書けない。
どうやら、これまでのような、普遍的事実だけをやりとりする、技術系メモでは無理なのだ。
会話の前後の文脈がわかるようなメモを取り方をしないと、議事録の情報が不足するようだ。
A5サイズのノートにボールペンでメモ、というスタイルだったが、今は、A4サイズノートにシャープペンシルでメモ、に切り替えている。
これがうまくいくか分からないが、あとで読みなおして、ボールペンでキーワードをチェックするには、色が薄いシャーペンのほうがいいということは分かり始めてきた。

知的ストレッチ入門(日垣隆)

黄金の五分間というくだりが、短いが印象に残った。
本を読み終えた後、付箋をはったり、ドッグイヤーをつけた部分を、いっきに読み通すと、その後の知識のなじみ方が違うということだった。
読書感想文を書くのも似たようなこと。
思い出すし、必要に応じて、抜き読みをすることになる。
 
あと、ビジネス書を書く人は、「仕事マニア」だと思う。
マニアだから、ビジネスツールにもこだわる。好きだから。
 
日垣氏の場合は、本棚、かばん、書斎にこだわりを見せていた。

あとは択一で悩む無駄、というのも、ちょっとうれしかった。
悩むという行為そのものが無駄、というのだ。
本来、ものすごく(いちじるしく)優柔不断だった私は、あるときを境に、即決するようになった。
私が悩んだところで、優柔不断な私は悩みの沼に入ってしまうからだ。
「どちらにしようかな・・・天の神様のいうとおり」方式で決めることにした。
ただし、直観である。
ぱっとみて、こっち、と思ったほう、先に目にはいったほうにする。
最初は食事のメニュー選びから始まり、だんだん、その範囲は広がりつつある。
優柔不断ということは、きめてしまえば、なんとなく、なし崩しに納得してしまう性格のことでもある。
それでいいのか、という思いに対して、保証してもらえた気分だ。

ドキュメントハックス 書かない技術(石黒由紀)

3年間の研究開発成果を1つのレポートにまとめる際に、本当に苦労した。
1つのテーマといっても、最初から最後まで関わったのは私のみ。
とはいえ、いろんなプロセスを試行錯誤したから、それぞれしか知らないノウハウもある。
結局、冗長な大作レポートになってしまった。
内容よりも、それにかけた膨大な時間が惜しい。

そんなときに、この本を読んだ。
そうか、そうだったんだ、と思った。
あれだけ大量の時間と紙を使わなくてもよかったんだ。



この本を読んだ後の今なら、たぶん下記の手順でレポートを書いていたと思う。

【STEP1 関連する内容を全部を見て過去を振り返る】
まず、各自が重要と考える実験データ、写真、レポートをA4サイズに出力する。
出力したのが誰か、ファイル名と保存場所も、出力した紙自体にメモしておく。
一連の内容でなければ、片面出力にする。2up割り付けはしない。
1ページに2つの実験内容があれば、改ページして片面出力する。
 
   
【STEP2 関連する内容を並び替えて、思い出アルバムを作る】
全員で出力した資料を内容に応じてグループ分けし、さらに順番を時系列か、プロセスの手順で並べ直す。
右往左往した記録は時系列で。
最後に、まとめて1冊の束にする。
全体を俯瞰してわかった内容やメモについては、同じくA4サイズに出力して、挟む。
目次も付ける。
これで、開発にかかわったメンバーのためのレポート(思い出アルバム)は完成。
この時点で、スキャナ機能が強化されたコピー機でPDFで保存してもいいかもしれない。
 
   
【STEP3 報告書の内容をかためる】
次に、成果報告書としてまとめるため、前述の思い出アルバムの中から、必要な内容と図面を選び出す。
アルバムの中身に直接、蛍光ペンや付箋で抜き出す内容・図面や書き加えるべきメモを書き込んでいく。
それを見ながら、成果報告書に入れる内容の紙だけ、抜き出して、また別の束にする。
さらに、成果報告書の順番を考えながら、資料を並び替えて、足りない資料(あるいは複数のデータをまとめて比較するグラフなど)が必要になれば、A4の紙に手書きでメモを書き、はさんでおく。
その状態で、メンバー全員で内容を絞り込んでいく。
  
  
【STEP4 報告書を書き始める】
目次と図面、内容、フォーマットが固まったら、各自で、担当するグループの束に関して、レポートを書きだす。
 
   
【STEP5 報告書を推敲する】
細かい構成を統一し、各メンバーでレポートをチェック、修正する。
文章は絶対声に出して読む。知っている内容だから、先が読めて、先走ってしまい、細かい文章に目がいかなくなるから。
 
 
こうしてれば、悩まずに済んだのにな。

今は実験レポートも書かない業務なので(議事録ばかり)、反省は生かされないけど。