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読書備忘録です。

青春漂流/立花隆

なお青春の只中にある11人の人物の青春(の挫折、苦闘、成功)をインタビューを中心にして構成したノンフィクション。20年程前1985年の上梓。
ここに取り上げられるのは、みんな「自分の人生を大胆に選択して生きようとしている男たち」であり、「落ちこぼれつつ、自分の情熱をかけるべき対象を追い求め、・・・それをいったん発見するや、精進を重ねて一つの道をまっしぐらに進む。そしてただ、自分と自分の意志と情熱のみを信じて、新しい人生を切り開く」人たちである。
立花は、昨今の若者*1は、一般論として、軽佻浮薄な大勢順応主義者があまりにも多い等と嘆き、こういう人間は、この本で取り上げられる人たちと対照的に、失敗の可能性を前に足がすくんでしまった精神が老いぼれた青年であるという。まあこんなドラマチックな青春を送る人はそんなにいない*2からこそ、この本が青春の書として多くの人々に読まれるわけでもあるとは思うけれど。
この本で取り上げられた11人は、以下のとおり。

  • 稲本裕/オーク・ヴィレッジ塗師
  • 古川四郎/手づくりナイフ職人
  • 村崎太郎/猿まわし調教師
  • 森安常義/精肉職人
  • 宮崎学/動物カメラマン
  • 長沢義明/フレーム・ビルダー
  • 松原英俊/鷹匠
  • 田崎真也/ソムリエ
  • 斎須政雄/コック
  • 冨田潤/染色家
  • 吉野金次/レコーディング・ミキサー

立花隆の本は結構読んでいるのだけれど、この本は比較的最近、nikkeiBPの「青春漂流」その後の20年というコラム〔→URL〕で知ったのだが、BSジャパンの「20年後の青春漂流」って地上波で再放送とかしないかな。

青春漂流 (講談社文庫)

青春漂流 (講談社文庫)


105円@ブックオフ

*1:20年前の若者。ということはちょうど私などの世代がまさに対象。シラケ世代などという言葉もあった。

*2:一方、人それぞれに大なり小なり青春は青春であったりもするのだが。