第二次大戦中にドイツ軍によるチャーチル誘拐作戦が行われたというフィクション。
登場人物たちの背景が一筋縄でないことがストーリーを複雑に、面白くしている。主人公シュタイナ中佐は米国人の血が入っているし、部隊の中にはイギリス自由軍という裏切り者イギリス人もいる。重要な役割を果たす協力者には、ボーア人、アイルランド人がいる。こういう設定は、ヨーロッパを舞台とした小説ならではで、なかなか日本を舞台とした小説ではできない。
綿密に計画された作戦を破綻に向わせる事件は、冷徹な軍事的行動と対照的にヒューマンで、(伏線がバッチリ貼ってあるとおり)ヒムラーのアイデアが原因となっていることも皮肉。結末には、筆者はそこまでの仕打ちをするのかと思ってしまうむなしいどんでん返し付き。
手元のものは、古本で入手したもので、完全版ではない。どの程度旧版と異なるのか、再読の際は、完全版を読もう。
鷲は舞い降りた - Wikipedia
- 作者: ジャックヒギンズ,Jack Higgins,菊池光
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1997/04
- メディア: 文庫
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