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空想少年はテキストデータの夢を見るか?

2015年08月18日

夏が終わる

夏が終わるを含むブックマーク

夏の終わりの海風は汗をかいた肌にまとわりついて、さわるとぺたりと音がしそうなほどだ。

寄り添うと暑いから、ほんのすこしだけ間を空けてコンクリートの堤防に二人で座っている。

試合に負けて引退した坊主頭も少し伸びて初めて見る人みたいにみえる。

さっきから会話がないのは、たぶん互いを意識しているせいかもしれない。

君にここでキスをしたらどんな顔をするだろう。

だけどたぶん君はそういうのは嫌がるだろうから、ときどきふれる互いの指先の感触をそのかわりにするしかないのだ。

2015年06月25日

指を含むブックマーク

ゲームセンターの占いの機械に

二人の誕生日を入れて質問に答える

「あなたたちの関係は?」

友達と恋人の選択肢で手が止まる僕

迷わず恋人のボタンを押す君

今だけね、の声は聞こえないふりをした

 

いつも良くない結果しか出なくて

しかたないよねと笑う

君も僕も こうすることが

いつか終わることも知っているから

 

人のいないときだけ

「恋人つなぎ」で歩いて

僕のこと そう思っていてくれるの?

って聞いても いつも笑ってごまかすんだ

 

帰るところを確保して

ダッシュで会いに来るのは

本当は もう やめにしてほしい

絡めた指を離す間際 泣きそうになる

その瞬間なんか君は知らないだろう

追いつかないってわかってて

追いかけるのは嫌なんだ

2015年06月16日

泡を含むブックマーク

外だけがやたら明るくて、校舎の玄関は真っ暗に見える。それは決して気持ちだけの問題ではないと思った。

「キモ」

ひとことだった。本当にこれだけ。ずっと悩んで、ようやく決心がついて。最初で最後のチャンスだと思って言った「好き」という告白の返事が「キモ」。

聞こえた瞬間終わった、と思った。明日になれば学校中に広まるだろう。罵られるのは慣れてる。嫌われるのも。だけど、彼と話もできなくなるのだけは嫌だった。やっと普通に話ができるところまで来たのに。なんでこんなこと言おうと思ったんだろうか。してもしきれない後悔。

「帰るわ、じゃな」

彼は面倒くさそうな顔のままローファーに履き替え、玄関を出ていった。安っぽいドラマのようだと思った。持っていたかばんがやけに重い。

あれ以来、ただの一言も話すことなく別の道を進んだ。卒業式だって目も合わせなかったはずだ。

 

大学時代は馬鹿みたいに遊んで、人に言えないこともして、彼のことは忘れたつもりでいた。忘れたはずだった。

就職だって地元ではしなかった。帰ってくるたびに刺さる視線に耐えられなかった。きっとそう思っているのは自分だけで、誰もなにも思ってないのかもしれない。だけどあの時の失敗はどうしてもぬぐい去ることはできなかった。

 

「ちょうどいいからお前も来いよ。みんな来てんだし、せっかく同窓会やるっつってんだからさ」

申し込みもしてないのにたまたま帰省してたところをつかまえられて、引きずられるように飲み屋に来た。同窓会とは名ばかりで、単に暇人が飲みたいだけだったようだ。髪もぼさぼさだし、カッコだって適当だし、なによりその場にいたくなくて早く帰るつもりでいたら、そこに彼がいた。

「よう」

何もなかったみたいに手をふってくる。あの頃よりもあかぬけた格好になってる。たしか都会の学校に行ってそのまま就職したんだっけか。

「ども」

自分でもびっくりするくらいにぶっきらぼうな返事になった。全然気にしてない様子に、ああ、忘れたんだ。よかった。そう思った。

同窓会は進み、結局手持ちぶさたになった自分の隣に彼がくる。注がれるビール。とてもじゃないけど飲む気にはなれなかった。

「俺のことまだ好きか?」

突然の言葉にこぼしそうになる。

ば、馬鹿か!

「ずっと気にしててさ」

思わず彼をにらみつけた。なんだそれ。自分が悪いみたいな顔するんだ。

「好きですよ、好きだよ? 当たり前じゃん。そうやって蒸し返してまたキモいとか言うんだろ」

精一杯鋭いトゲをつけた言葉のつもりだった。彼は全く気にしていないみたいにビールを飲む。

手に持ったコップの縁にかろうじて残った泡と、小さく小さく上ってくる炭酸が見えた。もう冷たいとは言えない温度だ。

「俺のどこがいいのさ」

「全部」

「そっか」

なんで刺さらないかな。よっぽど嫌だったか、本気で忘れたかどっちなんだろう。

「一言も話さなくなったくせによく言うよ」

コップを煽る。食道から胃にかけて苦味が走るのがわかる。

彼はビール瓶を手元でもてあそびながら、たぶん誰にも聞こえなくくらいの大きさで「ごめん」と言った。

二人して黙る。どっと盛り上がる声が部屋の反対側から聞こえて、一瞬こっちを見たような気がする。そしてまたすぐに笑う声がした。んだよ。こっちのこと馬鹿にしてんのか。

「よくわからないんだ。経験ないし」

どうしたらこの状況でそんなありきたりな返事が出来るんだろう。こっちの気なんか知ろうともしないで。

彼の持っていた瓶が汗をかいていて、服が濡れているのがわかる。なんとなくそのへんに置いてあった台ふきを彼に渡した。

「もういいよ。なかったことにして」

「でもまだ」

俺のこと好きなんだろ、とでも言いたげな顔をしてこっちを見ていた。やめろ恥ずかしい。

「もう顔を見せたりしないから、いいかげん忘れてくれないかな」

それだけ言うのが精一杯だった。

あの時だって彼を困らせるつもりなんかなかった。どうしてもどうしても好きだと伝えないと、自分がつぶれてしまいそうなくらいに苦しかっただけなんだ。それをいまここで言ったところで、彼はわかることはないだろうけれど。

 

同窓会(という名の飲み会)はまだまだという雰囲気を持ったまま一次会を終える。誰よりも先に帰ろうと支度をしていたら、彼から名刺を渡された。

「裏にケータイとメールとLINE書いてあるから」

とくに興味はなかったけれど、いいとこで仕事してるんだな、とだけ思った。初めて名刺を見た未開の地に住む人のように表裏を何度も見る。

「いつでも連絡してよ。仕事中でもわりと反応できると思うし。外回り多いから」

「そのうちするよ」

冷めるというのとはまた違う感情だな、と思った。やっぱ来るんじゃなかったな。二次会の話を後ろのほうで聞き流す。たまたま連れて来られただけだから、その後に誘われるようなことはなかった。そりゃそうだろうとは思う。

なにも知らないふりをして、じゃあ、とみんなと別れた。おつかれーす。またな。たまには帰ってこいよ、いろんな声が飛び交う。一つ一つ返事をするのは嫌だったので、彼からもらった名刺をひらひらと頭上で振って挨拶代わりにした。それを気にいられたと受け取ったのか、彼は大きく手を振りまわして、見送ってくれた。ようだった。

 

彼らがその後どうしたかは知らない。

もう会うことなんかないしな。酔いざましの水を買うために入ったコンビニで、もらった名刺をゴミ箱に捨てた。

2014年01月27日

ノスタルジー

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放課後 誰もいない教室の開け放した窓から風が

味気ないベージュのカーテンを揺らして

僕はここにいるよ と 言っているようで

帰ろうと思うんだけど まだここにいてほしいような

そんな素振りを見せている

 

整理しきれていない机とか

あれだけ先生に言われているのに棚に乱暴につっこまれた教科書とか

いつまで僕はこの光景を見ていることができるのか

このまま大人にならずにいられたら

もしかしたら そんなことができればいいのだけれど

 

花壇の水やり当番とか

科学部のメダカの水槽とか

誰も知らない 僕が大切にしているもの

一つずつ集めてとっておけたらいいな

いつか歳をとって 制服の似合わない身体になっても

僕だけの教室 僕だけの世界があれば

いつまででも一人ででも生きていけるのに

 

遠くから聞こえる 金管楽器の音

ぐるぐると回る視界 許されはしないだろう

僕がここにい続けること 僕が子どものままでいること

僕の好きなものをすべて捨てて

嘘でも笑って話して汗かいて叱られて

なにかの一部になって 誰かのかわりになって

生きていく 年老いて いらなくなって いつか

すべてのものから捨てられる日まで

 

風にあおられたカーテンが顔に当たる

僕を覆い隠す

陸上部の掛け声 サッカー部のシュート

野球部のノック 軽音部のドラム

僕の耳に入るすべての音

僕の視界に入るすべての

 

すべての 僕がいなくても なりたつ この世界に

 

(泣いたりはできないよ

(許されたわけではないから

(必要とされてはいない

(むしろこのまま

 

カーテンの影 消えてなくなる僕の

誰も知らない形跡 最初からいなかったのか

本当はいたことに気づかないだけなのか

窓を閉めて おとなしくなる頃には

誰もいなくなって 姿もなくなって

おしまい さようなら またいつか

 

またあした 僕がいなくても なりたつ この世界に

さようなら いらないものを 

2013年10月16日

ひとりごと

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なんだかんだ言っても自分の国がどうなるのか騒いでんのは本当に

一部で大抵の人は今日と明日の生活と増える負担と自分のことだけ

気にしてて他の人がどうなっても別にどーだっていいんでしょって

言いたいくらいで「かわいそう」「かわいそう」「かわいそう」って

バカみたいに繰り返すだけで自分に降りかかっただけで自分が世界一

不幸みたいな顔をしてそんなのわかりあえるわけないじゃんって

言ってんのに誰も私のことをわかってくれない!私が世界一かわいそう

とかわめくんだよね。

 

バカみたいだ。

 

放っておいたのもそういう風になったのも

自分のことだって全部決めたのは自分なのに。