lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

にんげんドキュメント。

昨晩遅くに再放送していたものをビデオ録画で見ました。
人も長持ち モノも長持ち 〜93歳現役社長の経営術〜
町工場経営のご長寿社長,いいことおっしゃっています。

人ができんことを機械でやるのはいい
人ができることを機械でやるのはあかん
全部自動化したら人間いらん
機械化は人間の敵である

長く働き続けるためにしっかり休む
5時半になったら帰る;残業はしない

番組紹介文には「下請けを拒み」とありますが,かつて高度成長期には自動車メーカーの下請けをしていたそうです。しかし,次第に納期や価格の面で厳しい注文をつけられるようになります。それらに応えるため残業や休日出勤など社員に負担がかかり,病気になる社員もでてきたため,この社長さんは下請けを止め,独自路線*1を選択したのです。

(かつての下請け元について)
仕事をさせてやっているという姿勢
仕事をしてもらっているというのではない
金のほうが人間より上という考え
金よりも(人間を活かす)仕事が上

一連の発言の底に流れているのは,人間中心の姿勢です。「金よりも仕事が上」というのは,(社長のいうところの)仕事は人間の善きものを引き出し実現するからだと思います。
そうは言ってもこのご長寿社長のように仕事(お金)の奴隷にならず,本当の意味での仕事ができるためには,独自路線を歩めるだけの強みがないといけないわけで。orz
このご長寿社長は一見地味で淡々としていますが,実はものすごく強い人のようでした。と,いうのが数年前に家事と会社の経理を一手に引き受けていた奥様に先立たれ,以来社長は独り暮らしをされているのです。高齢の男性が妻と死別し,独り暮らしで家事を自分でするようにならざるを得ないというのは,非常に強いストレッサーです。普通の高齢男性ならみるみるうちに弱り,1年も経たないうちに病を得て亡くなってしまうケースが結構あると思います。*2もちろん,社長も奥様を亡くされた後はかなり落ち込んでおられたそうですが,近所の「社交ダンス教室」の看板を見て,「これだ!」と思い,以来毎金曜の晩には通っておられるそうです。
ダンス教室ですから女性(こちらも結構なお年です)と一緒に踊るわけで,いくつになっても「色気」を忘れないことが元気でご長寿の秘訣かとほほえましく思いました。

*1:人間の手でないとできない仕事,お客の細かい要望に応える,製品を独自開発など。

*2:一方,夫に先立たれた女性はその逆で長生きする。

顔がいのち。

「人形は顔がいのち」吉徳大光
・・・ではなくて。
先日社会情報学フェアに行った時,以前に比べ京大のキャンパスが随分きれいになっているのに気がつきました。
京大といえば(lionusにとっては)折田先生(笑)なので(折田先生を讃える会を参照),きれいだとか整っているだとかいうイメージが無かったので,意外でした。
フェアの会場となっていた時計台周辺しか見ていないので,もしかすると全体としては違うのかもしれませんが,ともかくも時計台そのものは美しかったです。時計台内にはフレンチレストラン,正門そばにはレンガ造りの建物に大きな窓ガラスの明るいオサレなカフェレストランもありました。
従来,国立大学はできた当初は「きれい」でも,その後のメンテナンスをしない・・・もちろん破損したら直すでしょうが,経年劣化により「汚く」なったらきれいにする,などという発想がないように思っていました。
lionusの母校(現在も所属)は私学ですが,それはそれは美しいキャンパスで,院生になってあちこちの大学に学会等で行くたびに「やっぱりうちの方がきれい!」と内心ガッツポーズ(?)しています。美しさの秘訣は,建学時の設計コンセプトが優れていることはもちろん*1,継続して「お色直し」を怠らないこともあると思います。毎年夏休みはキャンパス内のどこかで必ず壁塗りなおし等,「お色直し」工事がなされています。
なぜ多大なコストをかけて美しさを維持する必要があるのか。
つまり,lionus母校は「顔がいのち」なのだと理解しています。もちろん「売り」はそれだけではないと思いますが,田舎の高校生が見学に来て「たまげて」「幻惑」されるだけの美しさは大学の大きなアピールポイントであることは確かです。
日心でO村先生とお話していた時にも,「昔集中講義で呼ばれたことがあるけれども,きれいで感じのいいキャンパスでねぇ・・・」と,とても懐かしそうに語っておられ,そういった好意的なイメージで見てもらえるのは大変有難いと感じました。
2004年から各国立大学は独立行政法人のひとつである国立大学法人となり,予算は国からもらうのは従来どおりとはいえ,余ったお金をどう使うかについては各大学の裁量に任せられる部分が大きくなったようです。もちろん利益をあげることが第一目的ではないにしろ,各大学が競争して自分で何とかしなさい,という部分も大きくなりつつあるようで,その「競争」のための武器として「美しいキャンパス(顔がいのち)」というのもありなのかな〜と,しばし考えました。

*1:建築の分野では有名らしいです。