ソーシャル・エンジニアリング(「人たらしの術」大全。)
- 作者: クリストファー・ハドナジー,成田光彰
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/11/01
- メディア: 単行本
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同じカテゴリの本で、ケビン・ミトニックの『欺術』がありますが、本書は「人を操って行動を起こさせる行為」と定義されるソーシャル・エンジニアリングの否定的な面だけでなく、肯定的な面に光を当てているところが特色だと思いました。
p.11 たとえば、医師、臨床心理医、セラピストは、ソーシャル・エンジニアリング的な要素をうまく活用し、患者を操って患者が良い行動を取るように仕向ける。他方、詐欺師は、ソーシャル・エンジニアリングの要素を利用して狙った相手を操り、その人の損になる行動を取らせるように仕向ける。この2つの例の最終結果は大きく異なっているが、用いられる方法は非常によく似ている。
そうそうそうそう。認知療法とかまるで、”心をハックする”ことなんじゃないかと思ったことがあります(笑)。
ソーシャル・エンジニアリングの手法自体はニュートラルで、使う人間の意図により白にも黒にもなるということですね。
タイトルのように「人たらしの術」と書くとイケナイ感じですが、自分も相手もWin-Winになるなら大いに使っていいと思わせられます。読みながら、木下藤吉郎=豊臣秀吉は本書に書かれていることをばっちり身に付けていたのではないかなと、ふと思いました。
心理学的知見も豊富に使いながら、ソーシャル・エンジニアリングの手法についてくまなく解説している充実した本です。