lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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ニューヨーク発 大和銀行事件

大和銀行ニューヨーク支店の米国債トレーダー(現地採用の日本人)が11億ドルのもの損失を出した事件について、以前本人による「告白本」は読みましたが、第三者の立場からによる本は読んだことがなかったので、読んでみました。
自分が出した損失を相場で取り戻そうとして隠蔽に隠蔽を重ね損失が膨れ上がったことは、当然のことながら、トレーダー本人が悪いです(犯罪なのでアメリカの刑務所に入りました)。また、いち行員の独断専行を許してしまう結果になった大和銀行の(性善説に基づく?)内部管理の緩さも悪いです(後に株主代表訴訟により、銀行経営陣の責任が問われ、巨額な賠償金支払いの判決が出ました;結果的には和解になりましたが)。
しかし大和銀行と”グル”になって事件を隠蔽しようとしていた大蔵省(当時)の罪は(公式には)問われていない、と本書では痛烈に批判されています。
日本の銀行と大蔵省の癒着、大蔵省の不透明性についてアメリカ側がいかにあきれ果て、激怒していたかがよく記述されており、大変参考になりました。