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2012-06-13

[]ジョン・フォックス 00:31 ジョン・フォックスを含むブックマーク

前々回にジョン・フォックス時代のウルトラヴォックスをネタにしましたが、今回は脱退後ソロになってからの音を取り上げたいと思います。

ソロになってからの彼の出す音は、同時代のテクノポップとは一線を画すような無機質かつ硬質のサウンドで、当時かなり聴き込んだ記憶がありますね。


ソロになったフォックスは、バンドから離れて思う存分エレクトロニクスに傾倒した音を出すようになります。

またちょうどこの頃大ヒットを飛ばしていたゲイリー・ニューマンが、フォックス時代のウルトラヴォックスからの影響を公言していたため、彼に対する期待は否が上にも高まっていきました。

そんな中ついに80年、彼は初のソロアルバム『Metamatic』(邦題は『メタル・ビート』)をリリースしましたが、これはメタリックメタフィジカルでオートマティックな世界が展開されている内容となっており、絵画的な印象を受けるほどでしたね。

なおこのアルバムには、のちにデペッシュ・モードやアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンなどを手がけたガレス・ジョーンズが、エンジニアとして参加しています。


John Foxx - Underpass

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これは『Metamatic』からのシングル。全英では31位を記録しています。邦題は『錆びた地下道』。

ほとんどフォックス一人が自前のスタジオで多重録音して製作しているのですが、多分8チャンネル程度しか使っていないであろうシンプルさが潔いです。

クールでかつ使用している音も斬新で、後発のテクノ系ミュージシャンとは一味も二味も違うところを聴かせてくれます。


John Foxx - No-One Driving

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これも『Metamatic』からのシングル。全英32位。

これもシンプルで無機質な音ですが、『Underpass』よりはポップな印象はあります。


John Foxx - He's a Liquid

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これも『Metamatic』収録曲。シングルカットはされてませんが、何故かPVはあるんですね。

シンプル過ぎて不安になってくるような奇妙な曲です。


John Foxx - Burning Car

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80年にリリースされたシングルで、アルバムには収録されていなかった覚えがあります(再発アルバムには収録)。全英35位。

この曲も非常に無機質で、インダストリアルに通じる部分さえある先鋭的な音になっています。彼の音は活動時期によってかなりの変遷を遂げているのですが、個人的にはこの頃の音が好きですね。


John Foxx - Miles Away

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これも80年にリリースされたシングル。全英51位。

バンドサウンドを導入したせいか、これまでの硬質な音世界、モノクロームなイメージとは趣を異にする軽快な作品となっています。

チャートアクションは今ひとつでしたが、フォックスのファンの間では根強い人気があり、隠れた名曲扱いされています。


John Foxx - Europe After The Rain

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81年の2ndアルバム『The Garden』からのシングル。全英40位。

それまでの無機質さからがらりと趣が変わり、ヨーロッパ的センチメンタリズムとポップさをエレクトロニクスで融合させた音になっています。

穏やかで陰影があり、ふくよかな温かみさえ感じさせるこの曲は、日本でもホンダのスクーターのCMソングとして使われました。

余談ですがフォックスにはPVに関して常人とは違うこだわりがあるみたいで、シングルにもなっていない『He's A Liquid』のPVは作ったのに、代表作であるこの曲のPVはありません。まあそんなところも彼らしいですが。


フォックスは83年と85年にもアルバムをリリースし(どちらも個人的にはいまいちでしたけど)、また83年には待望の来日も果たしています。

このときは東京厚生年金会館まで観に行きましたが、「クワイエット・マン」の異名を持ち静かなイメージのあった彼が、ガンガンに踊りながらステージに登場したため、思わず腰が抜けそうになるくらい驚いたのを覚えています。

しかしその後彼は音楽から急速に興味を失っていき、85年以降はグラフィックアートの活動に軸足を移すようになりました。ジャネット・ウインターソンアンソニー・バージェスサルマン・ラシュディの本の装丁も手がけていたそうです。

97年に音楽活動に復帰後はアンビエント・ミュージックへの傾倒を見せ、カトリシズムを取り入れた作品をいくつか発表するほか、ハロルド・バッドらとのコラボレーションも行っています。

また08年には25年ぶりに来日し、元気な姿を見せてくれました。

PulinPulin 2012/06/14 08:23 ソロ時代のジョン・フォックスは当時ほとんど聴いていなかったのですがまとめて聴くとすごく良いですね。アルバムを揃えて聴きたくなりました。
Europe After The Rain だけは聞き憶えがあるので、おっしゃる通りCMで聞いたかFMで聞いたのかもしれません。

monkichi64monkichi64 2012/06/14 11:15 こんなクールなお方がガンガンに踊りながらステージ登場って・・全然イメージわかないです(笑)
ライブに行ってイメージと違って驚くことってありますよね。。
デペッシュ・モードの中野サンプラザのライブに行ったら、ボーカルのデイブのコール&レスポンス(要求?)が強烈でビックリしました。何ていうか、もっと淡々としているイメージだったんで(≧∇≦)

liquidmania2liquidmania2 2012/06/15 21:03 >Pulinさん
いつもコメントありがとうございます。

ジョン・フォックス、気に入って頂けたようで何よりです。
ちょっとサウンドに聴く人を突き放すような冷たさがあるのと、それほどポップじゃないというのもあるのか、あまり気に入ってくれた人がいないんですよね。ですから嬉しいです。
もしアルバムを聴くのなら、1stの『Metamatic』と2ndの『The Garden』を強くお薦めします。前者はひたすらクールで硬質、後者はテクノロジーと欧風ロマンチシズムが適度に融合された作品で、現在でも聴き応えがあると思います。
3rdの『The Golden Section』と4thの『In Mysterious Ways』も悪くはないと思いますが、優先順位を言えばやはり1stと2ndを最初に聴いてほしいと思います。
『Europe After The Rain』は、確かホンダのスクーターのCMに使われていたんですよね。ですから相当な頻度でテレビで流れていたはずなんで、聞き覚えがあっても不思議じゃないですよね。
フォックスの曲の中では、一番日本で知名度があるんじゃないかと思います。これでPVも作っていたら、洋楽番組でも流されてもっと知名度が上がったのになという気もしますが、本人はそういうのを気にしなさそうと言うか、余人とは重きを置く部分が全然違うようなので、まあしょうがないんでしょうね。


>monkichi64さん
いつもコメントありがとうございます。

ジョン・フォックスのライブはたまげましたね。確かに作品では生バンドを使うようになって、だんだんダイレクトに肉体的なビートに近づいていってたんですが、まさか本人もあんな踊りまくってるとは思わなかったので。
あれは「クワイエット・マン」という自らのパブリック・イメージに反撥しての行動だったんじゃないかと思います。若い時は自分に貼られたレッテルと反対のことをしたくなりますからね。
ただ彼に多大な影響を受けたゲイリー・ニューマンも、暗いシンセを多用して売れたと思った途端にファンクなリズムに接近していましたから、もしかするとテクノポップをやっていると、その反動でそっち方向に行きがちになってしまうのかもしれません。

デペッシュ・モードはインダストリアル風のリズムを取り入れるようになってからのライブ映像は観たことありますけど、確かにノリノリでビックリした記憶はありますね。
初期のフォトとか見ると、全員でシンセを弾いていて典型的なエレポップの人にしか見えなかったんで、そのイメージで見ると確かに驚くんじゃないかと思いました。
おそらく初期メンバーでソングライターでもあったヴィンス・クラークが脱退してから、どんどん変化していったんじゃないかと思います。クラークのその後のユニットであるヤズー、ジ・アッセンブリー、イレイジャーは、割と初期デペッシュ・モードに近いイメージを保っている気がしますし。
デイブ・ガーンは一時期自殺未遂をするなど、精神状態はメチャクチャだったようですが、今は元気みたいで何よりです。