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lithosの日記

2018-11-17

アルジェリア、タッシリ・ナジェール岩絵撮影行・その10

キャンプを出て、舗装道路に戻る。1週間滞在したTadrartから離れることになった。

道路に戻ったが、初日にキャンプしたTin Aressouの15キロほど東で再びオフロードに入り、南へ向かう。Tadrartは奇岩地帯だったが、この付近には限りなく平坦な風景がある。


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先ず、Tin Akahamaというサイトに向かう。ここは当初の日程には含まれていなかったため、行くことは現地の代理店と少し議論になったようだ。役所に提出してある予定表から外れて行動することは禁じられているからだ。ただ、今回はこの後向かう場所とさほど離れていないため、問題無いだろうということになった。

Tin Akahamaはやはり古い記録からアンドラスがサイトを探している場所だ。非常にざっくりした報告しかなかったようだが、Google Earthで地形を見て、ここに違いないというあたりをつけて来ていた。それがドンピシャで当たったのだからすごいなと思ったが、絵のあるシェルターは雨風をしのぐに適した場所が多く、長い間、ここを通過する様々な人々が使ってきた。目印の意味もあるのか、シェルターの周囲に岩を円形などに配置した場所も多い。解像度が高いGoogle Earthで、この円形に配置した岩が見えたのだという。すごい時代だ。サイトは枯川をはさんで二つあった。最初に入った大きなシェルターは周囲に大きく円形に配した岩がある。絵は多くなく、比較的素朴なものだが、キリン、牛、弓をもった狩人たち、そして頭に触覚のようなものが付いている、不思議な人物像など。この触覚のようなアンテナのようなものがついた人物は他でも見かけたが、何だろう。「古代の宇宙人」好きが大きく反応しそうなモチーフだが。


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もうひとつのサイトはすぐ近くで、あまり状態の良いものがない様子だったが、アブドゥラが丸い穴の窪みの奥の方に人物像が描かれているのを発見した。彼は客たちがサイトで写真を撮ったりしている間に付近をあちこち探索しているのだ。この穴の中の絵はおそらく新発見だろうとアンドラスが。


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この後、Tin Hanakatenというサイトへ向かう。ここは1974年に発掘調査が行われた場所だ。それ以来、誰も訪れていない可能性が高いということだった。タッシリできちんとした発掘調査が行われたのは、この場所を含む二ヶ所しかないという。

ラクダが描かれているので、それほど古いものではないようだが、家を示す丸いマーク、戦車と見えるものなど、状態の良い絵が残っている。


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この発掘が行われたシェルターのすぐ近くにもう一つ、絵のあるシェルターがあった。ここにあった絵がちょっと驚きだった。アフロヘアの人物が複数、牛の周囲に描かれている。髪形もさることながら、人物のポーズのちょっと大げさな表現の仕方がなんともモダンというかポップというか、60年代末-70年代初頭のソウルレコードに使われるイラストのようで、とても数千年経過した絵には見えないのだ。髪形は明らかにチリチリであることが強調されている。これは本当に千年、二千年というような時間が経過した古い絵なのかとアンドラスに尋ねると、もちろんだと。

この絵の左にはシルエットで描かれた全く違うタイプの人物像がたくさん描かれている。長い行列をつくっているようにも見える。そして、その行列の先頭の方に、アフロヘアの人物が入り込んでいる。シルエットの人物像はよく見るタイプの描き方なので、アフロヘアの人物たちと違う時代に描かれたものかと思いきや、この行列に入り込んでいるアフロの人は明らかにシルエットの人物たちと同時に描かれている。重ねて描かれたものではない。これは面白い。この二種の人たちの異質さを絵のタッチの明確な違いが表現しているように見えるのだ。

ヨナスがアフロの人物像を「アンジェラ・デイビス」と呼んだが、いや、これはむしろジャクソン・ファミリーでしょ、と私。

ジャクソン・ファミリーはどこから来たどんな人たちだったのだろう。また、この人たちと黒いシルエットで描かれ、行列をなしているように見える人たちは何をしているところなんだろうか。


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人物の様子を細く見ると、前かがみで、両手を顔の近くにもってきている、泣いているかのように見える人たちがいる。このアフロの人物は胸の膨らみがあり、女性のようにも見えるが、腰みののようなものだけつけているようだ。黒い人物たちも腰に紐のようなものが描かれていて、腰回り以外ほぼ裸のようにも見える。やはり女性とみられる人物像も多い。これは葬列だろうか。それにしてはジャクソン・ファミリーがリラックスしているように見える。もしかして、ジャクソン・ファミリーにシルエットの人たちが何か恐ろしいことでもされたのだろうか。男たちが殺されたとか.....。興味がつきない。


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これで砂漠でのキャンプは終わり。予定ではこの日もジャクソン・ファミリーの絵の近くでキャンプする予定だったが、全体に予定よりも数時間ほど先に進んでいたため、ジャーネットに戻ることになったのだ。

宿に戻ってシャワーを浴び、さっぱりした。


ところで、ヨナスはキャンプ中いくつか動物のサンプルをとっていた。サソリ、小さなネズミなど。サソリを見せてもらったが、ブラックライトで蛍光するということを初めて知った。ヨナスは日没後ブラックライトで地面を照らしながらサソリを探していたがなかなか見つからず、ジャーネットに戻る少し前にたまたまロバートが夕食後に座っていた岩のすぐ近くにサソリがいて捕まえたという顛末だった。


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