中間化石は進化の証拠ですか−ホモ・ハビリス

 ライブドアでコメントくださった方が、中間化石は進化が起こっている証拠ではないかと言われていました。その方は、中間化石の例として、類人猿と人間の中間化石とされるホモ・ハビリスを挙げておられました。
 

 では、中間化石は進化を証明しているでしょうか。
                         
                        
 ホモ・ハビリス(Homo Habilis) はアフリカのタンザニアで、リチャード・リーキーによって発見された類人猿です。鮮新世後期か更新世初期に生存していたと考えられています。ホモ・ハビリスが人類の先祖だと考えられているのは、サルとしては比較的大きな脳(750cc以上)を持っているからです。


 以下は人とサルと人類の先祖とされる生物の脳の容積です。wikiにあります。



ヒト科の脳容積

種類                           脳容積(ml)
オランウータン                       411
ゴリラ                           約500
チンパンジー                        394
アウストラロピテクス・アフリカヌス            441
ホモ・ハビリス                       640
ホモ・ネアンデルターレンシス               1450
ホモ・サピエンス・サピエンス               1350




Homo habilis, Sterkfontein Caves exhibition by flowcomm (homohabilis1)
ホモ・ハビリスは人間の脳のおよそ半分です
ホモ・ハビリスは人間とサルの中間生物として描かれます
しかしホモ・ハビリスの脳の重さはサルの種類に含まれることを示しています



  wikiの表の中では、ホモ・ハビリスの脳の容積は、640mlです。この表では、ホモ・ハビリスの脳の容積は、確かに、チンパンジーやゴリラやオランウータンよりは少しは大きいです。


 ホモ・ハビリスは、身長は130cmと低く、不釣合いに長い腕を持っていました。一部の科学者は頭蓋後部の形態からホモ・サピエンスのような二足歩行よりも樹上に適応していたと考えているそうです。


 いずれにしても、もし、現代に、身長130センチで、不釣り合いに長い腕を持っており、脳が普通の人の半分ほどしかなく、樹上生活に適応している生物が存在していたら、それは何でしょうか。サルではないでしょうか。


 ホモ・ハビリスの脳が他のサルより少し大きいということは、人間とサルの中間形態であることを意味しません。なぜなら、人間の脳の容積も人によって違います。人の脳の容積は平均1100 〜 1500 cm3 とされます。これは平均値で、 脳の容積や重さには個人差も大きくあります。

 
 下記は、歴史上の人物の脳の大きさです。有能だと考えられる人の脳の大きさが、1017g から2000gまでの範囲に及んでいます。人の脳の重い人は軽い人の実におよそ二倍の重さがあります。同じ人間でも、その中にそれだけの広い変異があるのです。


歴史上の人物と脳の重さ
人物名                            脳の重さ
クロムウェル(イギリスの政治家)               2000 g
ツルゲネフ(ロシアの文学者)                 2000 g
ビスマルク(ドイツの政治家)                 1800 g
桂 太郎(日本の政治家)                    1600 g
湯川 秀樹(日本の物理学者)                  1390 g
ブンゼン(ドイツの化学者)                  1293g
アナトール(フランスの文学者)                1017 g





Image from page 29 of "The novels and stories of Iván Turgénieff" (1903)
by Internet Archive Book Images(turgenev)
ツルゲーネフはおよそ2000gの脳の重さがありました


Anatole France young yearsPublic Domain (anatole)
アナトール・フランスの脳はツルゲーネフのおよそ半分の重さしかありませんがどちらも同じ人間という種類です
ホモ・ハビリスも単に少しだけ脳が大きいサルの一種でしょう




 人間の脳の容積に人によって幅があるのですから、サルの仲間でも、脳の容積が普通より幾らか大きい個体が存在していてもおかしくないでしょう。ですから、600ml〜700mlのホモ・ハビリスはやはりサルの仲間でしょう。


 ホモ・ハビリスは、人間の先祖である人間とサルの中間形態ではなく、サルの種類の中で、たまたま脳の大きさが少し大きかった個体が発見されたのでしょう。

 
 中間化石は、進化を証明してはいません。古代に発見される化石の生物は、進化の途上にあるのではなく、そのような生物が古代に生存していたということを証明するに過ぎません。人間の脳の重さに変異があるように、過去に生存していたサルの中に、脳の重さの重いサルも存在していたのです。