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バッタもん日記

2017-11-23

自慰のネタを「おかず」と呼ぶ理由 ―食文化に基づく考察―

1.はじめに

いつ頃からかは知りませんが、現代の日本語では、自慰の際に性的興奮を高めるために用いられる道具を「おかず」と呼びます。私が睾丸紅顔の美少年であった平成初期の頃にはすでにその表現が用いられていたと記憶しております。当時、週刊少年ジャンプには「電影少女」という青少年リビドーをかき立てるエロ漫画が掲載されていました。単行本を所有しておらず、友人に借りた雑誌で読んだだけなので断言はできませんが、作中でその表現が用いられていたはずです。もっとも、純真な中学生であった私には意味がわかりませんでしたが。

2.日本の食文化における「おかず」の意義

今も昔も日本の食事は米を中心として構成されています。現在では日本の食物は多様化し、栄養学的にも優れた食文化を持っていると言えます。しかしそれは戦後数十年の食生活改良の賜物であり、戦前までの日本の食文化は必ずしも豊かであったとは言えません。日本の伝統的な食文化の最大の特徴および問題点は、米偏重です。*1研究者の説明を引用してみましょう。

石毛直道著「世界の食べもの 食の文化地理」(講談社学術文庫)より

それにたいして東アジア東南アジアにおいては、食事というものは主食と副食の二種類のカテゴリーの食品から構成されるものである、という観念が発達している。たとえば現代日本語では、飯(めし、あるいはご飯)(引用者注:原文では「めし」はルビ)に対置されるのがおかずであり、正常な食事というものは飯とおかずの両者から構成されている、という観念がある。(P12)

これらの民族で、料理を主食と副食のふたつのカテゴリーに分類するさいに、普通主食にあたるものは、腹をふくらませることを第一の目的とした穀物やイモ類などの炭水化物に富んだ食品で、原則として味付けをしないで料理することが共通点としてみられる。それにたいして、副食は肉、魚、野菜などを味付けした料理で、主食を食べるさいの食欲増進剤としての役割をになっている(P12-13)

食事主体は飯であり、飯は何杯もおかわりをする。飯を多量に胃袋に入れて腹を満たし、その他の食べ物は大量の飯を胃袋に送り込むための食欲増進剤として食べられたのである。(P155)

ケンブリッジ世界の食物史大百科事典1 祖先の食・世界の食(朝倉書店)より

主食である米飯を食べるための副食として日本料理は発達してきたのである。(P163)

日本人の伝統的な食事は、「ごはん」あるいは「めし」とよばれる味つけをしない米飯と、「おかず」といわれる味つけをした副食物の2種類の食品から構成されている。米飯が食事の主役とされるので、「ごはん」、「めし」ということばは「食事」の同義語となっている。味のついた副食物は米飯の摂取を補助する食品であり、副食物の料理が洗練されていることと、その種類の多いことが、上等の食事を格づけるものとされている。(P163)

以上のように、日本の文化において「おかず」とは「食欲を増進する食物」を意味します。そこから派生して、性欲を増進する道具を「おかず」と呼ぶようになったのではないかと言語学の素人である私は考える次第です。

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オカズ〜その語源〜(togetterまとめ)
直接の語源に関してはこのような主張がありますが、私の考察はこの用法が定着した背景の一つとしては考え得るのではないかと思います。あまり厳密に考えず、他愛のない知的遊戯、言葉遊びとお考え下さい。

*1:その典型が白米偏重による栄養障害に起因する脚気ですね。脚気の蔓延および克服は、社会医学の本場である大英帝国を見習った大日本帝国海軍の偉業であると同時に、陸軍軍医総監であり、ドイツ医学の影響から逃れられなかった森鴎外の汚点でもあります

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