『日本語と女』_Posted at 03:11

寿岳は
言語学の研究分野を
ジェンダー学に押し広げたという意味で
女性史上重要な功績を挙げた人物である。

本書で彼女は
女性週刊誌と一般的な週刊誌とで
使われている言語傾向を抽出/分析し、
女性誌
固有名詞の使用頻度の低さや
(中世の男性‐漢語/女性‐かなという関係を連想する)
思わせぶりな文の終止が頻繁に使われているのが
(連用形終止や「…」の多用)
特徴であるとしている。

それらの特徴から推測するに
少なくとも
明治以前の近代と
近代の延長上にある現代で、
無知で小賢しくない女性が
男性にとって都合がよいことが
言語学からも見えてくる。
(多少なりとも思考の「飛躍」が必要だが。)

以下の寿岳の鋭い指摘と併せると
現代の男女の恋愛と言語の関係を考える際に
大いに助けになると思う。

「明治以前の日本語では、
常に『愛』または『愛する』という語は、
男が女に対してもつ感情として表現されている。
[…]男と女の間では[…]
『わたし(男)愛する人
『そっち(女)愛される人』というように
常にシテと受け手が固定していた。」(p114)
(※括弧内引用者)