『クライマーズ・ハイ』_Posted at 22:38

日航機墜落事故の報道を
巡って奔走した
とある新聞記者の半生を辿った映画。
日航機墜落事故に関しては
墜落遺体や墜落現場に詳しい。)

主人公が
日航機事故報道の指揮権を持つ
全権デスクを任されるのだが、
記事を巡る縄張り争いや
きなくさいコネクションが
邪魔をして思うように行かない。


新聞と
その紙面上で度々非難する
政治権力の癒着体質との間には
何の違いもない。
「教条」主義に基づく主張とも
受け止められる
社説を読めば明らかだ。

報道への期待と裏腹に、
我々が受け取る情報とは
我々自身が
見たものでも聞いたものでもない
事物について
あくまで「代理人」が取材をし
組織(上層部)の圧力によって
歪曲された情報
その程度のものである。
場合によっては
伝聞よりも精度が低い場合もある。

この映画では
そんな
新聞(社の組織)の内実を暴き出している。
社長 白河-編集局 追村のラインは
上記に挙げたような
どこの企業にもあるきな臭い関係を
観客に提示して、
「やっぱり
新聞社も
実力だけで評価される社会ではない会社、
そのひとつに過ぎないんだ。」という
諦めというか
奇妙な安心感を与えてくれる。

しかし、
この映画の見所はそこにはない。
その反対側である。
それは
政治力・規模ともに大きな
「本流」社会部と、
複合領域にまたがる社会現象を報道する
「傍流」「遊軍」との
これぞ「マスコミ」と言える
独特の緊張関係。

その一番のピークが
抜きネタ(スクープ)を巡る場面である。
身内を巧妙に欺きながら
(時には上司をもすっぱ抜く!)
等々力・田沢・佐山らの社会部と
主人公悠木らの結束は
実に見ごたえありですっ!!