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Twitterの知人たちに乗っかって今年を雑に振り返っとく。
1月 昨年末以来、電子書籍制作にそれほど興味がわかなくなってきた。次のステップを模索する日々。あとは音楽。吉祥寺ePubPubの仲間たちとセッションしたら楽しかったので音楽への興味を取り戻す。
2月 でんでんコンバーター1周年を記念してでんでんエディターをリリース。JavaScriptに対する苦手意識が軽減された。
3月 セルフパブリッシングで活動する人との交流を広げることにした(昨年は裏方に徹するべきだと思い遠慮していた)。読書活動を可視化するSNSの開発を構想する。
4月 水面下でSNSの開発を続けるものの実装力の低さからなかなか進まない。RailsとWeb APIをいろいろ勉強。
5月 電書ラボの認知向上も兼ねてeBookUSERに「EPUB制作ガイドとの付き合い方」を寄稿。
6月 家庭の都合により夫婦共働き体制に移行。以後生活が一変。2人の子供のどちらかが2週間に1度のペースで病気になる(11月までずっとこんな感じ)。核家族なので実家の支援が得られず日常を生き抜くのに精一杯。SNS開発は凍結。
7月 JEPAセミナー『7月2日 デジタル教科書の国際標準「EDUPUB」3』でIMS/GLC Caliper概説を発表。
仕事の関係でe-Learning関係をいろいろ調べている。自主開発はご無沙汰。Twitterで知り合った作家さんたちとの交流で心を癒やす日々。
8月 日常生活に追われてあまり覚えていない。AH Formatterで遊んでた。夏休みだったが子供が病気がちなので旅行もせずしめやかに過ごす。心なしかTwitterでのペルソナが汚れキャラ化してきた。
9月 電書ちゃんの誕生日企画で「でんでんランディングページ」をリリース。デザイン力に自信はなかったのだかそこそこ頑張ったと思う。短期決戦型開発は楽しかったし結構使って貰えてるのが嬉しい。作家さんたちから電書ちゃんにいろいろ誕生日プレゼントを頂く。感謝。
10月 gulpやnode.jsが面白い。JavaScriptの将来性を改めて認識。フロントエンドの潮流に食らいついて行きたい。電子書籍技術を時代遅れだと思わせたくない。知り合いの作家さんたちが軒並み調子を崩した不吉な季節。
11月 何やったっけ? ランディングページのバージョンアップとnode.jsで遊んだくらいか?
12月 社員旅行でディズニーシーを満喫。子供たちの体調が落ち着いてきたので生活に少し余裕戻ってきた。JST情報管理に「EPUB概説:電子出版物とWeb標準」が掲載。
総括としては、アウトプットは低調だったが、作家さんたちとの交流が広がったのがよかった。来年はもっと楽しんで貰えることをやらかしたい。覚悟してな!
こちらからは以上です。
前から気になっていた本をようやく読んだ。
「この本には自分のことが書いてある!」
読んだ瞬間にそう感じられる作品は、まず間違いなく傑作だと思う。地方都市が舞台の連作短編を収録した本書にそんな感想を抱く人は相当数いると思う。とりわけ著者と同世代(ロスジェネ)で、かつ地方出身者には刺さりまくるはずだ。かつての同級生との微妙な距離感とか、地方の生活の選択肢の少なさとかリアルだ。自由って選択できることなんだな、と思う。
物語の多くは、地方で暮らす女の子の思春期やその後の話だ。思春期はキラキラしてるし、地方から見た東京だってキラキラしてる。どちらもやがては失われてしまう。でも人生はその後も続く。
最初の短編「私たちがすごかった栄光の話」は東京での自己実現がかなわず地元に戻ってきた女性ライターの話だ。この主人公を巡るあれこれも共感を呼ぶところは多いのだけれど、印象的なのは似たような境遇の同僚カメラマン須賀さんの終盤における振る舞いだ。「地元サイコー!」「東京なんかクソくらえ!」とポエムを綴ったラーメン屋店主が、彼にアンサーポエムを求める場面がある。それは決して険悪な雰囲気のものではないが、異なる生き方を選んだ者同士の静かな緊張感がある。
地元に留まった人間は、故郷を捨てた人間が恨めしく、見返してやりたいと感じていることだろう。反対に、外の世界があることを知ってしまった人間にとって、地元しか知らない人生など、愚かで退屈極まりないものに感じられるものだ。けれども外の世界を知れば知るほど、自分の惨めさや至らなさを自覚せずにはいられない。地方と東京の間で宙ぶらりんになってしまった人生を、どのように着地させればよいのだろう。
彼はラーメン屋の店主に即興でこんなポエムを返すのだ。
Yo! Yo! 楽しそうでなによりだNa!
俺は東京行ったさ文句あっか!?
ここで楽しくやってたら最初からどこにもいってねーよバーカ
あらかじめ失われた居場所探して、十年さすらった東京砂漠
そうさ俺は腹を空かせた名もなきカメラマン
いまだ彷徨う魂、高円寺の路地裏に残し
のこのこ帰ってきたぜ! ラーメン食いに帰ってきたぜ!
だからラーメン食わせろ!! 今すぐ俺にラーメン食わせろ!!
きっとこういうことなんだろうと思う。
どんなに冴えなくてもクソッタレでも、俺が生きてきた大切な人生だ。それを否定しちまったら俺は俺でいられなくなる。あんたの人生だって同じだろう。俺はあんたみたいな人間になるのは真っ平ごめんだが、あんたの人生を否定したりはしない。だったらここでやっていくしかないじゃないか。俺にもあんたにもこの場所しかないんだから。
このように本書で描かれている物語たちは懐かしくて苦い。苦いけれども愛おしい。愛おしくて登場人物たち一人ひとりを抱きしめたくなる。なぜなら本書で描かれる愚かしさも痛みも恥ずかしさも気まずさも、僕が体験してきたものと同じであるかのように感じられるからだ。
だから僕は「僕たちの世代の物語を語ってくれる作品が現れた!」と一方的に思い込んで興奮しているし、同世代の知人に本書を薦めまくりたいし、語り部たる著者にものすごく感謝したくなった。