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2015-12-30

この渾身のレポートをみよ『日本ボクシング界にいま、「重大な危機」が迫っている!〜統轄団体・JBCのずさんな運営資金管理を告発する』。現代ビジネス。

00:17 | この渾身のレポートをみよ『日本ボクシング界にいま、「重大な危機」が迫っている!〜統轄団体・JBCのずさんな運営資金管理を告発する』。現代ビジネス。を含むブックマーク この渾身のレポートをみよ『日本ボクシング界にいま、「重大な危機」が迫っている!〜統轄団体・JBCのずさんな運営資金管理を告発する』。現代ビジネス。のブックマークコメント

この半年間で目にした最も真摯で凄絶な報告です。渾身のレポートです。読んでください。

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日本ボクシング界にいま、「重大な危機」が迫っている!〜統轄団体・JBCのずさんな運営・資金管理を告発する

現代ビジネス

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47029

ジムの会長らから上がった不満の声

内山高志井上尚弥井岡一翔田中恒成高山勝成、田口良一…今年の年末も、日本各地でボクシングの世界タイトルマッチが行われる。年末のボクシング興行はいまや「年の瀬の風物詩」といってもよいほど、定着した感がある。

現在、日本のジムに所属する世界王者の数は10人。日本のボクシング界は何度目かの隆盛期を迎えているかのように見える。

だが、輝かしく見えるのは「リングの中」の話である。その外側に目を向けると、「日本ボクシング界の危機」とでもいうべき事態が進行していることをご存じだろうか。一般財団法人日本ボクシングコミッション(以下・JBC)の財務状況が悪化しており、このままいけば破たんしかねない状況にあるかもしれない、というのだ。

JBCは日本のプロボクシングに関わるすべてのライセンスを決裁し、すべての試合のルールを支配している。日本プロボクシング協会大橋秀行会長、以下・協会)が、ボクシングジムのオーナーやプロモーターなど興業での利益を求める事業者の団体であるのに対し、JBCは試合そのものを公平に制御する責任と権限を委託され、日本のプロボクシングを統括している非営利団体だ。

日本で行われる試合が、たとえ「WBA世界ボクシング協会)世界タイトルマッチ」と銘打たれようとも、JBC承認がなければ、それはプロボクシングの試合と認められることはない。

この機能があるおかげで、プロボクシングは「スポーツ」として広く社会に認められているともいえる。ゆえにJBCの財務状況の悪化は、日本のプロボクシングの存続に直結する一大事だ。

ここに、日本プロボクシング協会傘下の東日本ボクシング協会(会長は同じく大橋秀行氏、以下・東協会)の『議事録・平成27年度(No.6)』と書かれた内部資料がある。同資料に「別紙?」として収録されているのは、協会JBCに今年8月17日付で送付した『ご対応の要請』という文書。ここには、協会JBCとの間で、次のようなやり取りがあったことが記録されている。

日本のプロボクシング界の重鎮たちが「火急の事態」に対処するために東京ドームシティ後楽園ホールビルのJBC事務所に集まったのは今年8月10日のこと。「連絡協議会」と銘打たれたこの会合では、JBCの秋山弘志理事長と浦谷信彰事務局長、そして元ミニマム級世界王者大橋秀行協会長らが対峙していた。

協会に籍を置く各ボクシングジムの会長らの間では、以前から「JBCの財務状況が悪化しているのではないか」という懸念が広がっており、この「連絡会議」の場で、大橋協会長らはその事実関係を質そうとしたのだ。

冒頭からいら立ちを隠せない大橋協会長からは、JBCの財務内容についての質問が繰り返されていた。それに応じる秋山理事長と浦谷事務局長は終始、険しい表情を強いられていた。

―この場を何とか納めたい―。

そんな思いが先走ったのか、秋山理事長は大橋協会長の質問に、このように応じたという。

「取り急ぎ、向こう1年間の資金繰りについては問題ないと思う」

JBCの財務は1年しかもたないのか―。大橋協会長は秋山理事長の発言をこう受け取った。

この5年間で正味財産が急激に減少

これに危機感を覚えた協会側は、JBCただちに昨年の収支実績と「今後5年間にわたるJBCの財務シミュレーション」の提示を求めたが、JBCはあくまで「単年度の収入に見合った支出を予算に反映させ(る)」(東協会『議事録・平成27年度(No.7)』収録「資料?」・10月1日付、JBCから協会に宛てた『ご報告』)として、詳細な説明をさけたのだった。

実際、JBCホームページで公開されている『財務諸表』をみると、正味財産がこの5年間に急速に萎んでいることが分かる。

2010年に約1億6400万円あった正味財産期末残高は、昨年末、約1億1900万円となり、5年間に4500万円も減少した。近年、大幅な赤字が繰り返されているということだ。

JBC財務諸表

この1億1900万円のなかには負傷した選手に治療費支給する「健康管理金」(現「健康管理見舞金」)も含まれている。これは、試合のたびに選手からファイトマネーの1%~3%をJBCが徴収し積み立てたもので、「法的拘束力はないものの、原則的、また道義的にも選手の健康管理やその制度運用のコストに使途が限られる資金」(JBC関係者)だ。

JBC協会に提示した資料(東協会『議事録・平成27年度No.7』収録「資料?」・10月7日付『健康管理金残高相当額照会』)によれば、その残高は14年末に約5700万円となっている。そのためJBCが使用できる15年の繰り越し財産は約6200万円【1億1900万円−5700万円】である。

またJBCは今期の収支予算を約2200万円の赤字になると見込んでいる。つまりJBCが運用できる財産は4000万円【6200万円−2200万円】となる。

この財産額はJBCの過去10年間の財務状況と比べれば、特段驚くべきものではない。しかし今期、JBCは新たに「巨額の負債」を抱え込んでしまっているというのだ。

JBCは3年前、元職員4人を解雇し、それが労働争議となっていた。元職員から相次いで訴訟を提起され、公にはされてはいないが、これまでに4人のうち3人との和解が成立。「その和解金は約4000万円にも上る」(同前)という。

この和解金「4000万円」が事実だとすれば、JBCが使用可能な正味財産は0円となってしまう。また4人の内の1人、JBCの元事務局長である安河内剛氏とは未だ係争中(安河内氏との裁判については後述)であり、そのうえJBC亀田ジムの会長とマネージャーからも提訴されており、今後も訴訟費用が膨らむ公算だ。

筆者が信用する情報源は「裁判の費用も考えれば、JBCは今期、1億円にせまる赤字となってもおかしくないはず」とも証言しており、予断を許さない状況だ。これを賄うには新たに「寄付金」を募るなどするしかないはずだが、いずれにせよ財務の悪化に直面したJBCが、激しいリストラを迫られていることは間違いない。

ありえないミスを連発

財務の悪化は、本業の劣化を招く。プロボクシングを長らく取材してきたベテランの全国紙スポーツ部記者は「JBCは数年前から、試合管理でありえないミスを犯すようになった」と言う。

「たとえば今年4月に東洋太平洋スーパーライト級タイトルマッチの勝者をJBCは誤って発表した。それを時事通信社が配信し、掲載した朝日新聞などが訂正記事を出すというトラブルがあった。試合を管理するコミッションが勝者を取り違えて発表するなど聞いたことがない」

昨年末、八重樫東3階級制覇に挑んだWBC世界ボクシング評議会)世界ライトフライ級タイトルマッチでも、前代未聞のミスをJBCは犯している。WBCのルールでは4回と8回終了時に中間採点をアナウンスすることになっている。

4回終了時に行われた採点で、JBCはジャッジ3人の内2人が「39-37で八重樫を支持」と発表。ところが5回終了時に、ジャッジ2人は「37-39で相手選手を支持している」と訂正したのだ。

「優勢」と思っていたのに、試合途中でそれを覆された八重樫は、戦略の見直しを迫られる。挽回を期して攻勢に出るも7回、相手のカウンターを受け消耗、最後は強力な左ボディーに崩れ落ちた。JBCのミスが八重樫の敗北の引き金となったといっても過言ではない。八重樫が所属する大橋ジムの会長は、協会の大橋会長である。温厚な大橋協会長もこの時ばかりは語気を強めて抗議した。

昨年12月に行われた八重樫×ゲバラ戦。JBCの凡ミスが勝敗に影響した可能性が指摘されている【PHOTO】gettyimages

試合運営は、協会を構成しているジムの会長など興行主が「試合役員費」をJBCに支払うことでその費用を賄っている。そのため致命的なミスを連発するJBCへの不満が数年前から高まり、いまや協会内部でその不満が吹き荒れている。

JBCはこうした批判に真摯に向き合ってこなかった。今のJBCの姿勢からは、ボクシングやボクサーへのリスペクトという基本的な理念すら、揺らいでいるように見える」(老舗ジムの会長)。

関係者たちがこの疑念を一層深めたのが、”亀田追放処分”だった。14年2月、亀田ジムの会長らがJBCによりライセンスを停止され、兄弟たちは日本で試合をすることができなくなった。このときの騒動はマスコミでも大きく報じられたため、ご記憶の読者も多いと思うが、この裁定については、今でも「JBC亀田ジムへの責任転嫁」との指摘が協会関係者から出ている。

?亀田処分″の発端は、亀田大毅の13年12月のIBF国際ボクシング連盟)とWBCスーパーフライ級王座統一戦での「負けても王者事件」だったが、その3か月前に行われた大毅の世界タイトルマッチもあわせて、追放に至る過程を検証してみよう。

大騒動に発展した亀田大毅×リボリオ・ソリス戦

亀田家とJBCの対立

時は13年9月3日に遡る。この日、IBFスーパーフライ級タイトルマッチを制し、2階級制覇を成し遂げた亀田大毅。しかし、この試合で亀田ジムJBCに拭いがたい不信感を抱くこととなる。その原因は、試合で使われるグローブをめぐるJBCの対応だった。

「試合の調印式で同時に行われるものに”グローブチェック”がある。これはJBCのルールブックに定められる『インスペクターによる検査』で、これに合格したグローブでなければ試合には使用できない。世界戦では検査を経たグローブに選手がサインをして、開催国のコミッションが試合直前まで封印、保管することになっている」(前出・JBC関係者)

もちろんこの日のタイトルマッチでもグローブは封印された。しかし大毅の対戦相手のゲレーロ陣営がその後、「別のグローブを使いたい」と申し出て、JBCはこれを受け入れてしまったのだ。大毅陣営は当然、反発した。

JBCのルールブック第67条第3項但し書きには、「世界及び東洋太平洋タイトルマッチにおいては、JBC承認により当該認定団体の試合ルールを採用することができる」とある。この時、IBFゲレーロ陣営に対して別のグローブを使用することを許可したため、JBCとしては受け入れることにしたのだろう。

JBCのこの判断は理解できなくもないが、本来であればJBCは両者の契約書の内容をチェックして、事前にIBFとルールについての協議をしておくべきだったはずだ。当然、亀田興毅亀田ジムのマネージャーはJBCにこう抗議した。

「調印式で行われたグローブチェックはセレモニーであって大した問題ではないという認識でいいのか」(マネージャー)。

「何のためにJBCがあって、JBC承認料を支払っているのか」(興毅)。

結局、大毅陣営ゲレーロ陣営を直々に説得。試合では、封印されていたグローブが使用された。

JBCは事前にルールなどのチェックや調整をやっていないのではないか」。「これでは、いつか大きな事件が起こるのではないか」。当時、ある大手ジムのマネージャーが漏らしていた不安を筆者は耳にしている。彼の不安はその直後の「負けても王者事件」で現実のものとなる。

大騒動に発展

「グローブ事件」から3ヵ月後の13年12月3日、大毅はIBFWBAの世界スーパーフライ級王座統一戦に臨んだが、この試合は対戦相手でWBA王者だったリボリオ・ソリスが前日の計量に失敗し、WBA王座を剥奪されたうえで行われた。その際、IBFスーパーバイザーは、大毅が敗れた場合は「IBFの王座も空位になる」と誤って報道陣に説明してしまった。

結果、この試合で大毅はソリスに敗れてしまう。ところが、IBFスーパーバイザーが前日の発言を翻して、「大毅が負けても王座に留まる」と発表したため、騒動に発展した。

「観衆や視聴者を欺く行為」として、JBC亀田ジムも激しいバッシングに曝される。騒動の沈静化を図るためだろう、JBCは14年2月に亀田ジムの会長、マネージャーのライセンスの更新を認めなかった。

所属するジムの会長がライセンスを失うと、選手がボクサーライセンスを持っていても、原則、日本のリングには立てなくなる。つまり、JBCの処分は亀田兄弟に対する事実上の「国外追放処分」となったわけだ。

この処分の理由についてJBCは次のように説明をした、と各紙で報じられている。

<亀田陣営が勝敗に関係なく王座にとどまることを事前に知っていながら報告を怠り、公表もしなかったことを問題視した>

耳を疑うような説明だ。IBFのルールブックには「挑戦者が体重超過の場合は、チャンピオンは勝敗にかかわらずタイトルを保持する」ことが明記され、インターネット上にも公表されている。しかも当時のJBC事務局長がこの試合のルール・ミーティングに出席し、IBFのこのルールが書類に含まれている合意文書にサインまでしている。

亀田陣営がわざわざJBCに報告するような類のものではなく、むしろ公表、説明すべきなのは、試合の管理責任のあるJBCの方だろう。

なぜJBCはこのようなあからさまな責任放棄をするのだろうか。考えられるのはJBCがこのルールを把握していなかった可能性である。筆者の取材に対してJBCは「ルールミーティングで『亀田大毅選手がソリス選手に敗れた場合はIBFの王座は空位になる』と決定され(た)」とし、これが当時の事務局長が「当財団を代表して承認したルール」と主張している。

だが、当時の事務局長は英語を解さず、またJBCは通訳も派遣していなかった。大毅の「負けても王者騒動」はJBCのルール誤認が引き起こした可能性が極めて高いのだ。

なぜ亀田の引退試合アメリカで行われたのか

そして、兄・興毅の引退試合の悲劇へと話はつながる。

今年10月16日、WBAスーパーフライ級王者・河野公平との一戦に臨んだ亀田興毅。判定で敗北を喫すると、その直後にボクシングを引退すると発表した。「国外追放」されていた興毅は日本では試合ができなかったため、引退試合アメリカシカゴで行われた。毀誉褒貶が激しい選手だったとはいえ、00年代のボクシング界をけん引した実績と功績を考えれば、海外での引退試合とは、あまりにも哀しい幕引きであった。

興毅最後の試合となった河野公平戦は、日本ではなくアメリカで行われた【PHOTO】gettyimages

興毅は、そのときの心情をこう吐露する。

Q:本当は日本で試合をして引退したかったのでは?

興毅「それはもちろんです。ファンの皆さんも後援会の皆さんも最後まで変わらず、ずっと応援していただきました。ホンマは自分を育ててくれた地元の大阪で最後の試合をするのが夢でした。そもそも相手は河野公平選手ですよ。日本人同士の世界タイトルマッチが日本で開けないなんて、こんな残念なことはないですよね……」

JBCからの処分が下ったあと、亀田ジムライセンスのある会長を新たに迎えようとした。あるいは興毅自身がジムを移籍しようともした。

Q:その時の気持ちはどうだった?

興毅「それは『なんとか日本で試合をやらせてください』の一心ですよ。河野選手の所属するワタナベ・ボクシングジムの会長さんとも何度も話し合いました。処分を受けたまま終わったなら、亀田家に対する誤解は解けることはありません。だから4階級制覇に挑戦したかったし、ファンの皆さんや後援会の皆さんの前で試合をして、亀田家をもう一度、見直してもらいたかったんです」

しかし、興毅のあらゆる働きかけにもかかわらず、JBCは興毅が日本のリングに立つことを認めることはなかった。

興毅「残念でしたけど、このままでは自分の試合のブランクが1年以上も開いてしまうことになりかねなかった。練習もしなければいけないでしょ。もう日本での試合をあきらめるしかなかったんです」

かくして亀田興毅は、JBC管轄の及ばないアメリカで河野とのタイトルマッチに挑み、引退したのだった。

興毅に日本での試合を認めないというJBCの決定は、問題アリだったと言わざるを得ない。河野の試合日程にも影響を与え、またファンの思いまで踏みにじることになったのではないか。そもそもJBCの試合管理上の過失が強く疑われる騒動の責任を、亀田ジムに負わせ、亀田3兄弟の選手生命に重大な影響を与えるような処断をすることが、果して許されるのだろうか。

亀田追放問題は、JBC執行体制の混乱を象徴しているように思えてならない。前述のとおり、亀田ジムの会長とマネージャーはJBC提訴しているので、今後の裁判JBCの責任も明らかにされることになるだろう。

健康管理金が激減

どんなスポーツにおいても言えることだが、ボクシングには特に危険がつきまとう。だからこそ、JBCがルールを支配し、試合を管理することで、ボクサーの健康、そして生命を守らなければならないのだ。

ところが、残念なことにJBCが本当にボクサーを守る姿勢を持っているのか、疑わざるを得ない問題が起こっている。JBCが14年度までに財務諸表で公表してきた「健康管理金」の数字が、実態と一致しないどころか、激減してしまっているのだ。

前述のとおり、健康管理金とは14年までJBCが運用してきた選手の治療費などを賄う資金である。日本人ボクサーは試合の計量時にファイトマネーの2%~3%を、外国人ボクサーは1%をこれまでJBCに納付してきた。その基金によって負傷したボクサーは診療費の補助を受けられる。

生命の危険にさらされることもあるボクシングにあって、健康管理金は選手の命の危険や治療の経済的負担を和らげるために、プロボクサーたちが長年積み上げてきた互助資金だ。

JBCの財務内容が危機的状況にある疑いは先述し、そこで「健康管理金の残高は14年度末に約5700万円である」と書いた。しかし、実はこの数字自体が不可解なのだ。

健康管理金は08年までは、「預り金」としてJBC財務諸表では負債の部に組み入れられていたが、「経理の透明化のために当時の監督官庁文科省の指導を受け、それまでの積立金残高を収入として計上した」(当時の事務局長の安河内氏)という。

その残高は08年に約5400万円だった。08年以降、JBC財務諸表で公表されている健康管理金の収支(「健康管理収入」と「健康管理費」)を計算すれば、14年末までに残高は約1億1900万円まで積みあがっていなければならない。にもかかわらず、JBC協会に対して14年末の残高を約5700万円(前掲『健康管理金残高相当額照会)と説明しているのだ。

さらにJBCは健康管理金の「10月7日12:25現在の残高」(東協会『議事録・平成27年度No.7』収録「資料?」・10月7日付『照会結果』)を協会に示しているのだが、その数字はなんと約3100万円となっている。元事務局長の安河内氏との訴訟で第2審まで敗れ、同氏に約2250万円を差し押さえられてしまったからだ。

河内氏との訴訟は、11年に勃発した内紛が原因だ。JBCは11年、同氏を事務局長から降格させ翌年、懲戒解雇している。安河内氏は降格処分と解雇の無効を訴えて東京地裁提訴し、昨年、同氏の訴えが全面的に認められる判決が下された。

「安河内を失脚に追い込んだのは、現在のJBC事務局長の浦谷信彰らの獨協大学閥のグループで、彼らには改革派で知られる安河内への遺恨があった」(協会関係者)。

協会JBCに改善を要請

実際に、東京地裁は安河内氏の降格処分を、JBCが「浦谷らの要求を受け入れ、原告(筆者注・安河内氏)を被告(注・JBC)から排除することを主たる目的として行ったもの」(判決文)と認定。降格処分を「違法、無効」(同前)と断じ、安河内氏を事務局長に戻すように命じている。

JBC控訴したが、今年の6月、東京高裁は1審判決全面的に支持したばかりか、さらに安河内氏側の主張を補強した判断を下している。JBCはなおも上告している。

「こうした裁判費用が近年の多額の赤字につながっており、この内紛の顛末が、試合管理に不備が生じ始めた原因とみられている」(前出・協会関係者)

この混乱を早く収拾してほしい協会は、今年7月7日に『安河内剛氏との訴訟(本件訴訟)に関する要望』(協会『平成27年度 第1回 理事会議事録』資料?)をJBCに提出し、「上告の取下げ」を求めたが、JBCは拒否。また同時に健康管理金について説明を求めた協会は、思いもよらぬ返答を受け取ることとなる。

今年8月17日に協会からJBCに宛てた『ご対応の要請』(前掲)によれば、今年8月10日に行われた連絡協議会の場で、JBCの秋山理事長は大橋協会長らに対して、こう説明したという。

「(注・安河内氏との)1審判決による強制執行を停めるためにJBCが供託した合計約1400万円に対しては(中略)、返金を受けた段階で、上記専用口座(注・健康管理金の専用口座)に必ず入金する」

「ただ、今後も安河内氏との訴訟が続き、月額約50万円の支払い義務が発生し続ける」

「その他状況に鑑み、上記専用口座(注・つまり健康管理金)の欠損分を速やかに回復することは難しい」

これら秋山理事長の説明は、JBCが、少なくとも安河内氏との裁判に関わる1400万円の供託金などの資金を、健康管理金から捻出していたことを伺わせるものだ。

亀田の慟哭

JBCは筆者の取材に対してこうした事実は「ありません」と答えたが、他方、健康管理金について「法的に自由に使うことのできない健康管理金は存在しない。治療費だけではなく、当財団の他の事業経費にも使うことは何らの問題もない」との認識を示している。

つまりJBCは財務上、健康管理金とそれ以外の資金を色分けすらしていなかったということだ。これで、ファイトマネーから健康管理のための資金として、同管理金を納付してきた選手たちの理解が得られるのだろうか。

杜撰な健康管理金の運用に対して反発する協会は、4月に「JBC健康管理見舞金等対策委員会」(委員長・金子健太郎「金子ジム」会長)を発足させた。また西日本、中日本、西部日本の地方地区のプロボクシング協会でも「健保金調査委員会」が組織されており、委員長を務める緑ボクシングジムの松尾敏郎会長は、「使途があまりに不透明で、まともな説明もなされていない」と横領を視野に入れた刑事告訴に踏み切るよう協会に働きかけている。

協会の反発も当然だろう。ここまで見てきたように、近年のJBCにはボクサーを重んじる姿勢が決定的に欠けているからだ。亀田興毅追放処分を受けた「負けても王者事件」を振り返って、こう訴えている。

「大毅は本当に可哀そうでした。処分を受けたのは自分のせいやと、亀田家の足を引っ張ってしまったと、ずっと責めていたんです。でも大毅はなんも悪くない。相手の体重オーバーやし、その体重差が試合でどんだけ影響するかはボクシングをちょっとでも知ってる人やったら分かってもらえると思います。それでも大毅は判定まで持ち込んだ。ええ試合をしたんです。

どうか選手の気持ちに寄り添ってほしい。命をかけて試合をしてるんです。ボクシングが本当に好きでやってるんです。選手たちはみんなプロボクシングの宝なんやから」

筆者が一連の問題についてJBCの見解を求めたところ、浦谷信彰事務局長の名前でA4用紙11枚にも及ぶ『回答書』が返送されてきた。

「錯誤など存在していない」

係争相手の安河内氏、亀田ジムとの裁判などがJBCの財務の悪化の原因ではないかとの問いには、「いずれも相手方から訴えられたものであり、これに対処し なければ大きな損害が発生した」と主張し、亀田ジムの処分や亀田興毅の移籍が認められなかったことについても「亀田側の事情」と切り捨てた。

財務状況についても「悪化は認められない」とし、健康管理金の実態が財務諸表で公表している収支の合計と大きく錯誤している問題については、「錯誤など存在しておりませんし、当財団は虚偽の報告をしたことはございません」と答えた。

そしてここまで筆者が指摘してきた問題の一切をかわすかのように、

「当財団の財務状況はボクシング試合のテレビ放送数の減少及び放送承認料額の低下にともなう放送承認料収入の減少、年間の試合数の減少に伴う試合承認料の減少、ボクサーの減少に伴うライセンス料収入の減少により厳しいものとなっており、現在、事務局経費削減に努めるなど対策を検討しているところです。

しかしながら、毎年ライセンス料その他の収入は約1億6千万円となっており、次年度も同様でありますから、急激な財務状況の悪化は認められません」

「当財団はご指摘のような諸問題を引き起こしてはいませんので、選手及びファンにどのように説明をするかと問われましても困惑するばかりでありますが、当財団は種々の問題について適切な解決に向けて真摯に努力してまいります」と回答した。

こちらの問いから逃げるような答えに呆れるばかりだが、いずれボクシング業界の内外に対して、納得のいく説明をするよう要求される日が来るだろう。

JBCに今求められているのは、この数年で招いてしまった混乱の責任を見つめることと、未来志向でボクシング界を展望しようとする姿勢ではないか。

(文中一部敬称略)

金星宏幸(きんせいひろゆきより)金星宏幸(きんせいひろゆきより) 2016/07/23 00:32 ボクシング協会だけでは無く芸能界もそうだし事務所が金で隠している事や、ボクシングでは八百長だらけで弱い相手しか日本に連れて来ないこと。(T_T)今はネットがあるので世界の情報は速く昔見たいに嘘は通じません!!(T_T)変えたいのなら日本の社会自体が変わらなければこのままで衰退するしか無いでしょう。(T_T)日本は世界に通用するのは昔からアニメぐらいしか無いのですからね!!(^_^)変えたく場日本の社会システムを変えるしか方法は無いですね。(^_^)だから今はスポーツ選手でも稼げる人はアメリカやヨーロッパに行きます。(T_T)世の中は結果だけが全てだからです!
(^_^)

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