『教師力ピラミッド』堀裕嗣著(明治図書)を読みました。

『教師力ピラミッド』堀裕嗣著(明治図書)を読みました。
 教師に必要な力の全体像をピラミッド型で表し、それを解説した本です。
 この本は、本棚に置き続け、ことあるごとに読み直すであろう本です。自分の今の「教師力」がどのような状態にあるのか客観的にチェックするために活用できそうです。この本にあるように、「教師力」は経験を積んだからといって蓄積されていくとは限りません。経験を経ることによって感覚が鈍ったり、大切なことができなくなったりしてしまうことがあります。そこで、折にふれ、この本で「教師力」をチェックしていくことは大切なことであると思います。
 読んで、早速行動を見直さなくては思ったことのうち二つ。
教育雑誌を購読するこということ。
 単行本は結構読んでいますが、教育雑誌は買わなくなって久しいです。改めて、買おうと思いました。また、雑誌の種類も、自分のあまり興味のないものも買ってみます。
・ 「最近の子どもたちは声をかけられないこと自体に意味を感じ取る傾向があります」という一文から、「今はそっとしておこう」ではなく、まずは声がけをしてから判断するようにしようということ。
   これには思い当たる節もあり、そうだよなあと納得しました。

 最後に二つ。
その一。
 このように教師に必要な力を客観的に分析し、網羅して表すことができるのは堀裕嗣さんの他にはいないのではないかということです。現場の第一線に立ちながら、政治や社会の動向にも着目し、それらを分析し、中と外、両方から教師力を表しています。これだけの仕事を成し遂げることが出来る方はまあ、堀先生の他にいないだろうなあと思います。脱帽。
その二。
 堀先生の他の著作『一斉授業10の原理・100の原則』や『絶対評価の国語科テスト改革・20の提案』や『学校週5日制・教師の仕事術』等のように、読み進めるごとに衝撃をうけるということはありませんでした。この本のあとがきに「こういうレイアウトの本は世に溢れていますが、私には合わない、私には書けない、もっと言うなら私は書きたくない」と記されているように、堀先生の著作としては異例のレイアウトです。私は、堀先生の思想が細かに書き込まれた本が好みのようです。
とは言え、この本が素晴らしいのには変わりはありません。

『教師力ピラミッド』感想の追記。
 堀先生は、教師力ピラミッドで表された「教師力」について、このような「教師力」をもった教師は有り得ない、だからこそ、チームで力を補完し合うと主張されています。まさしく、その通りだと思います。中学校の経験がある私にとって腑に落ちる言葉です。実際、私が教師になって4年目の時の学年は、まさに堀先生が示すチームだったなあという経験があります。
 小学校に移り、このチームをなんとか作れないかと思うのですが、学級担任制や学年職員の少なさ、職員構成などなどから難しさを感じています。小学校でもこの発想で教育活動を行えないかと思い続けています。