2005-05-19
■[劣化ウラン弾]少し気になる「ウィキペディア」の記述について
これは「朝鮮戦争」と違って少し俺もいじったりしてますが、俺の最近いじった以下のテキスト部分が、
一部の反米的イデオロギーを持つ人間の「主張」に対する備考的補足
劣化ウランが放射性物質であることは明らかだが、分類上、劣化ウラン弾は核兵器でも放射線兵器でも大量破壊兵器でもない。
以下のように直されていて驚愕。
劣化ウラン兵器の是非をめぐって
劣化ウラン兵器が放射性物質であることは明らかだが、一般的には通常兵器と分類される。ただし、国連人権小委員会は1996年に、劣化ウラン兵器は大量破壊兵器であると宣言している。
俺の知っている限りでは、そのような「宣言」は、1996年の国連人権小委員会では出されたことがないんですが、何しろ俺の英語力もそんなに自信があるわけではないので、いきなりウィキペディアの編集をするより、こちらでみんなの意見を聞いてみようかと。
問題になっている「1996年の国連人権小委員会」のテキストは以下のところで見られるわけですが、
「劣化ウラン弾」について言及している部分を、「試訳」とあわせて引用してみます。
1. Urges all States to be guided in their national policies by the need to curb the production and the spread of weapons of mass destruction or with indiscriminate effect, in particular nuclear weapons, chemical weapons, fuel-air bombs, napalm, cluster bombs, biological weaponry and weaponry containing depleted uranium;
大量破壊、あるいは無差別的な効果のある兵器、特に核兵器、化学兵器、燃料気化爆弾、ナパーム、クラスター爆弾、生物学兵器、劣化ウランが含まれる兵器の、生産と拡散の制限を、国家政策として必要としている、すべての国々への要求。
2. Requests the Secretary-General:
(a) To collect information from Governments, the competent United Nations bodies and agencies and non-governmental organizations on the use of nuclear weapons, chemical weapons, fuel-air bombs, napalm, cluster bombs, biological weaponry and weaponry containing depleted uranium, on their consequential and cumulative effects, and on the danger they represent to life, physical security and other human rights;
事務総長への要請:
各政府、有能な国連機関、機構、非政府的組織からの、以下のことに関する情報収集をすること。核兵器、化学兵器、燃料気化爆弾、ナパーム、クラスター爆弾、化学兵器、劣化ウランを含む兵器の使用、それらの間接的・累積的な効果、それらによる生命、肉体的安全その他人権に対する危険。
ちょっと最初の部分が微妙ですが、「大量破壊、あるいは無差別的な効果のある兵器」と言っているうちの「無差別的な効果のある兵器」に、「燃料気化爆弾、ナパーム、クラスター爆弾」とあわせて「劣化ウランを含む兵器」が含まれるんじゃないかと。
一応世間的には、「大量破壊兵器」とは、1993年大量破壊兵器不拡散法において定義された兵器のことらしいですが、(すみません、この「法」のテキスト探してたんですが見つかりませんでした)
大量破壊兵器(たいりょうはかいへいき)とは、人間を大量に殺傷することが可能な兵器のことを指し、具体的には特に生物兵器、化学兵器、核兵器、放射線兵器の4種類を指すものとして用いられる (放射線兵器を核兵器に含めるとして3種類と数える場合もある)。NBCR兵器という。
劣化ウラン弾はとても「人間を大量に殺傷する」ことは難しい、限定的な兵器です。
まぁ、中には「劣化ウラン弾は核兵器」という脳内定義を世間に持ち出したり、
ウラン金属を兵器として用い、イラクの大地を永久に汚染したことは、極めて非人道的な行為であります。目の前で大量に人が死ぬということはありませんが、数年後には多くの子供たちと母親が悲惨な運命を引き受けねばならないことになります。その悲劇は終わることなく続くことになるでしょう。「サイレント ジェノサイド(静かなる虐殺)」あるいは「サイレント エスニック クレンジング(静かなる民族浄化)」と呼ぶべき事態であると私は認識しております。
その無差別性と大量性は、大量破壊兵器の定義を満たしております。
と、「イラクのかわいそうな子ども」の原因を、因果関係に関する根拠もあいまいなまま劣化ウラン弾のせいにして「大量破壊兵器」と言ったりする人(藤田祐幸さん)もいるわけですが。
俺は言葉の使いかたに関しては寛大ですが、定義も含めた使いかたになるといささかうるさい(というか、気になる)タイプの人間なので、「劣化ウラン弾」を「大量破壊兵器」だとか「核兵器」だとか言いたい人は、前にも言った通り、世間的に合意が得られている「大量破壊兵器」「核兵器」という言葉の定義を、法的レベルで(ここ重要)見直しさせる運動あたりからはじめてみてはいかがでしょうか。いくら脳内定義を出してもしかたないわけで。
とりあえず、
国連人権小委員会は1996年に、劣化ウラン兵器は大量破壊兵器であると宣言している。
という「宣言」は本当にあるのか、少しいろいろな人の意見を聞いてみたいです。
■[劣化ウラン弾]別に全然イラクでは奇形児が増えていないんじゃないかと思ったりする件について
最近は劣化ウラン弾に関する既知外なテキストが掲載されているブログのチェックを怠ってたんですが、なんかテレビで放映されたせいか、
アメリカは今も、劣化ウラン弾と続出する奇病の因果関係を否定しているが、軍の極秘文書が「第二の枯れ葉剤」であったことを雄弁に物語る。
ベトナムとイラク。2つの国で米軍が敢行した「環境破壊」を通じて、半永久的に地球を汚染し、自国兵も含む人々の体を蝕むことをも厭わない「アメリカの正義」の正体に迫る。
また少し目につくようになりました。たとえばこんなの。
→長崎発/高校生1万人署名運動(核廃絶平和運動) : Kankoのみんなで楽しくEnglish♪ -北国tv
91年の湾岸戦争で米軍が 劣化ウラン弾 を使った後でがんや 先天性の異常が増えていること。(湾岸戦争ではバスラ西方で300トンの劣化ウランが使われたと指摘。 90年に千人あたり 3.04人 だった先天性異常が98年ごろから急増し、01年に 22.19人 になったと説明。 経済制裁で医療品が不足し、無政府状態で援助も全くないそうです。
なんかその数字だけ見ると「すげぇことが起きているんだなぁ」と思ったりするかもしれませんが、こんなデータも。
アメリカでは現在、5〜10%の夫婦が不妊に悩み、せっかく妊娠しても流産してしまうケースが前妊娠の約半数に及ぶという。そしてその多くの場合、妊婦が妊娠に気づく前に流産してしまうということが最近の調査で明らかになった。さらに新生児の3〜5%に重い奇形が発生しているほか、精子数が減少しているという指摘もある。
アメリカの「千人あたり30人から50人」というのは、劣化ウランが使われたイラクより多いですね。
引用を続けます。
では日本ではどうかというと、(社)日本母性保護産婦人科医会による1996年までの過去25年間の新生児調査によると、日本における先天異常発現率は約0.91%。
日本の0.91%、千人あたり9.1人というのは、劣化ウランが使われる前のイラクより多いですね。
…あれ…? これはどう解釈すればいいんでしょうか。
俺の解釈としては「イラクにおける新生児の異常発現率に関する調査データが、10年間で充実してきて、以前の調査では拾い上げられて来なかった異常・奇形のデータも集まるようになった」ということにすぎない、みたいな気もするんですが。あと、アメリカはもはや人が住めるような土地ではない、とか。
ちょっと「Kankoのみんなで楽しくEnglish♪」の人にトラックバックして、意見を聞いてみます。



ああ、こりゃ傑作ですな。「国連は対人地雷を大量破壊兵器に認定した!」と言い張るのに等しい。いや、それ以下か。
>「無差別的な効果のある兵器」
クラスター爆弾を禁止させようという運動の中に、「地雷と同じく無差別に〜」という主張がありましたね。「クラスター爆弾は大量破壊兵器だ」という主張はあんまり聞かない。
>ナパーム
この兵器は特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)で指定されてるんで、通常兵器なんですよね、国際法的にも。
>燃料気化爆弾
もう米空軍は廃棄しちゃったんですよね、その兵器。点火タイミングが難しく、威力が変動するのでイマイチ使い難いからって。
http://members.jcom.home.ne.jp/3720652101/uranium.htm
「劣化ウラン弾は核兵器だ!」って言う人は、水銀体温計使えない
人たちかもw
さて奇形率ですが、分からないなりにちょっと反論があります。一般的な畸形の発生率は何かについて調べたようとしたところ、チェルノブイリにおける新生児「先天性形成不全」率のデータに辿り着きました。
→http://www-j.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/JHT/JHT9506.html
これによりますと、「セシウム137汚染密度・15キュリー以上」の汚染が強い地域では、事故前の先天性形成不全が1000人あたり「3.87±0.31」、事故後が「6.92±0.38」とのことで、増加しているものの、日本よりも低い数値が出ています。
なお原爆から少し後の、1948から6年間の広島長崎における「出生時障害」の頻度を調べたデータもありましたが、→http://www.rerf.or.jp/nihongo/radefx/genetics/birthdef.htmこちらによれば、広島長崎においては0.91%、一方で東京赤十字産科病院による日本人の出生調査における数字は0.92%であり、広島長崎は日本全体(あるいは東京?テキストでは不明)よりも低い値を示しています。
(妊娠中の被爆については、「重度精神遅滞については、広島、長崎の原爆被爆生存者のデータから、受胎8−15週の被曝の影響が最も大きい」という資料があります。→http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/09020803_1.html この資料は、上のほうで被曝による先天性異常について論じられていますが、すみません、アホで資料が読めません、、、)
といいますか、アメリカの重い奇形の発生率というのは相当ひどい数字ではないでしょうか。数字が正しいなら汚染されているどころの騒ぎではないような。
いったいどこからを「奇形」とするのか、出産年齢は、どのような種類の奇形が発生しているのか、死産は含むのか、なんかを考えないと数字だけで確認するのは難しいのではないかと思います。
最終的にはこの論文に行き着くみたいです.
http://www.web-light.nl/VISIE/DUREPORT/mirror_dureport.html
・・・・・・統計を取り始めたのが1991年かいッ!