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愛・蔵太の気になるメモ(homines id quod volunt credunt)

2006-03-08

[]お前らどうせ映画『ホテル・ルワンダ』のパンフレットなんて読まないで何か言ってるんだろうから、俺が町山智浩のテキストを全文アップしてやるぜ。あとその感想。

こんなエントリーとか。

本当は痛いテレビ番組:「ホテル・ルワンダ」をめぐる論争 - livedoor Blog(ブログ)

こんな「はてなブックマーク」のタグ・キーワードとか。

はてなブックマーク - タグ ホテル・ルワンダ

はてなブックマーク - ホテル・ルワンダ

いろいろあるみたいなので、とりあえず映画『ホテル・ルワンダ』を見て、さらに町山智浩さんのパンフレットのテキストを読んでから何かを言わなければいけない気になりました。

ということで、とりあえずパンフレットを買ってきました(映画は未見)。

これで600円は正直ボッタクリ

でも、町山さんがどういう文脈でどういうことを言っているか知りたかったので(知らせたかったので)。

goo映画の『ホテル・ルワンダ』情報は、こちら。

ホテル・ルワンダ - goo 映画

公式サイトもあるんですが、上映館を知るには上記サイトからのほうがいいかも。

ということで、とりあえず町山智浩さんのテキストを全文アップしてから、何かを言うことにします。

本来は町山さんの著作物なので、町山さんが自サイトに公式に掲載したら、私のテキストは消します。

ボランティアではありますが、ボッタクられすぎの気もするので、「はてなポイント」による投げ銭は歓迎します。

はてなポイントはこちら→ここをクリック

だいたい一人10〜20ポイントぐらいを希望。

パンフレット代+買いに行ったときの交通費を引いた全額は、町山智浩さん(id:TomoMachiさん)にお支払いします。はてなポイントとして)

以上のことをご了承ください。

では。

彼でなければダメだった----テリー・ジョージ監督の賭けに見事に応えたドン・チードル

 

ドン・チードルでなきゃダメなんだ」

テリー・ジョージ監督はそう訴えた。『ホテル・ルワンダ』への出資を検討したハリウッドのメジャーな映画会社は、主演をデンゼル・ワシントンかウィル・スミス、またはウェズリー・スナイプスのようなスーパー・スターに演じさせたがった。もちろん客を呼ぶためだ。しかしジョージ監督はこれまで主演映画が一本もないドン・チードルにこだわった。

「シナリオの時点でドンを想定していた」監督は言う。「『青いドレスの女』からずっと彼に注目してきたんだよ」『青いドレスの女』(95年)のドン・チードルは、謎の美女を追う主人公デンゼル・ワシントンの弟分。テキサスから来たガンマンで、バカでっかい銃をやたらめったら撃ちまくり、酔っ払うと仲間のデンゼルですら撃とうとするので敵よりも始末に悪い狂犬のようなキャラクターで強烈な印象を残した。

「ドンはカメレオンだ」ジョージ監督は言う。「役柄に完全に一体化してしまうんだ」

次にチードルが『ブギーナイツ』(97年)で演じたのは気の弱いオタク。カントリー&ウェスタン好きのオーディオ・マニアだ。カントリー&ウェスタンはアメリカの演歌で、聴いているのは右翼的な白人ばかりだし、ましてや音質にこだわる奴なんかいないのだが。オーディオにこだわりすぎて電器屋をクビになったチードルはポルノ映画俳優になるが、銀行で「ポルノに出てるような人にお金は貸せません」と言われてショボンとする。その情けない顔は忘れられない。

「チードルの演じてきた役を並べるとどれもあまりに違うので驚くよ」とジョージ監督は言う。『アウト・オブ・サイト』ではまたしてもすぐに暴れる強盗で怖がらせたかと思うと、『ラッシュ・アワー2』ではクンフーにかぶれたソウル中華料理(どんなんだ?)レストランの店主役で笑わせた。

でもチードルがその本領を発揮する役は、どこにでもいそうな真面目で平凡な男だろう。『トラフィック』のチードルは麻薬捜査官だったが、犯人をガンガン撃ち殺す刑事アクションではなくて現実的な映画なので、チードルがせっかく麻薬組織のボスを逮捕しても裁判で無罪になってしまう。相棒(ルイス・ガスマン)も殺され、やっぱり正義は勝てないのが現実化……と観客があきらめた後、最後の最後にチードルが敵の盗聴に成功する。僕らと同じ非力な男に見えるからこそ、彼の一発逆転に客席から思わず拍手が沸き起こった。

テリー・ジョージカントクは、そんな平凡なチードルが『ホテル・ルワンダ』に欲しかったのだ。もし、デンゼル・ワシントンだったら頼りがいがありすぎて、彼が画面に出てくるだけで観客は安心してしまう。ウィル・スミスだったらどんな苦しい状況でもギャグを飛ばし続けるだろうし、ウェズリー・スナイプスだったら最後にはクンフーで民兵の二、三人やっつけてしまうかもしれない。彼らはヒーローだから、何の躊躇もせずに正義の戦いを始める。そのほうが確かに客は入るだろうが、映画館を出たらみんなルワンダの悲劇など忘れてしまうだろう。

実は、モデルとなったポール・ルセサバギナ氏はどちらかといえばヒーロー・タイプだった。体格はたくましく、政府の要人や軍人と互角につきあうほど押し出しは強い。一流大学を出て、ヨーロッパで教育を受け、ケニヤルワンダ語、フランス語、英語を操るインテリ。バリバリのエリート。常に服装と態度を乱すことのない、並外れた強い意志の男である。しかし、テリー・ジョージ監督とドン・チードルは独自のポール像を作り上げた。

たとえば、死体の山と遭遇したポールがホテルに帰ってから、一人の部屋で思わず泣き崩れる。「あの場面はシナリオにもなかった。僕と監督で作り上げたんだ」インタビューでチードルは言っている。「ポールは百日間に小さな崩壊はいくつかあっただろうけど、こんな風に取り乱したことは一度もなかった」ポールは自分の感情に負けることが許されなかった。もし、そうしたら彼が支えている1200人を乗せた崖っぷちも崩壊してしまうから。「でも、テリーと僕は何週間も話し合って、ポールが誰も見ていない一瞬に密かに泣いたことにした。この物語を集約するような瞬間が必要だから」

ルワンダの虐殺は現実なので、ハリウッド映画のようにわかりやすい悪役はいない。戦って敵をやっつければOKというわけではない。チードル演じるポールの敵は自分の内側にある「自分だけ助かればいい」という弱さだ。ポールを観客に近い人物として描くことで、『ホテル・ルワンダ』は「彼だって戦えたのだからあなたにもできるはず」と、観客を励ますと共に、逃げ場をなくす厳しい映画になった。ポール・ルセサバギナ氏は『ホテル・ルワンダ』の米版DVD収録のコメントでこう問いかけている。

「ルワンダと同じような状況になったとき、あなたは隣人を守れますか?」

日本でも関東大震災の朝鮮人虐殺からまだ百年経っていないのだ。

もちろんこのテキスト(情報)は、「「当人(元テキストを書いた人間)に対して接点を持たない第三者」により、当人に確認を取らないまま伝えた」ものなので、正確なものではありません(その不正確さの部分は、「タイプミス」程度のものだとは思いますが。ていうか白地にオレンジのインクなので、猛烈読みにくかったよ)。できたらパンフレットで元テキストを確認してみてください。

で、俺の感想なんですが…すみません、やっぱり最後の一行は唐突すぎです。

町山さんにコテンパンにやられている嫌韓厨が、どんなにダメでバカでサイテーな奴でも、それには同意せざるを得ません。その一行を入れたいと考えた、町山さんの気持ちも理解した上でのことでもありますが。

やはり日本人に「ルワンダと同じような状況になった」というのは、想像力を喚起するには複雑な手続きが入りすぎてしまうんですね。

まず、日本は欧米の植民地になったことはなく(というか、戦後十数年を除くとどの国の支配下にもならず)、「植民地政策としての、外的に挿入された人種差別意識」というものが存在しない、という点が大きいでしょう。

あと、歴史的な体験として「まだ百年経っていない」というほどには、百年という時間は「まだ」というものではありません。「虐殺」の例としては適切かどうかは不明ですが、イデオロギーという妙な理由で殺し合いが起きた「連合赤軍事件」ぐらいが、「体験(直接的なものではありませんが)」として記憶に残る事件じゃないでしょうか。

つまり、「ルワンダと同じような状況」は、日本人にとっては「関東大震災の朝鮮人虐殺」という事実よりは「デビルマン悪魔狩り」という虚構のほうが理解しやすいのでは、とすら思えるわけです。「虚構と同じ、あるいはそれ以上のことが起こったのはすごい」みたいな感じでしょうか。

もう少しいろいろ書くかも知れませんが、とりあえず映画を見てからのことになりそうです。

あと、いろいろ知りたいことがあるうちの一つに、「ポール・ルセサバギナ氏は本当に『ルワンダと同じような状況になったとき、あなたは隣人を守れますか?』と言ったのか」というのがあるんですが、これはDVDを見れば確認できるのかな。ネット上のテキストとしては存在しないので(誰か見つけてくれるとありがたいです)。

関連リンクとしてはまぁ、こんなところで。

Rusesabagina Rwanda - Google 検索

IGN: Interview: Don Cheadle and Paul Rusesabagina

RadioFree.com Interviews: Paul Rusesabagina, Hotel Rwanda

 

(追記)

こちらにも全文が掲載されたみたいです。

http://d.hatena.ne.jp/kemu-ri/20060304/1141410831

あちらのは正規版、こちらはブートレグ(海賊版)ということになりますが、まぁ町山さんから何か言われたら考えます。

[]受け入れられない

ホテル・ルワンダ』が町山智浩さんの望んだ通りの感想で見られていないということを嘆くことよりも、『男たちのYAMATO』がゲイ・カルチャーの人たちに、別の形で見られていることのほうが製作者としては嘆く素材かもしれない、と思った。

風車の百式風車の百式 2006/03/04 01:28 「実は、モデルとなったポール・ルセサバギナ氏はどちらかといえばヒーロー・タイプだった」のに
「ポールを観客に近い人物として描く」というのはベクトルの向きが違うだけで
事実を映画的演出のために改変しているという事には変わりなく
客を入れるためにデンゼル・ワシントンやウィル・スミス、ウェズリー・スナイプスを主役にするのと変わらないんじゃ…と思った。

lovelovedoglovelovedog 2006/03/04 10:52 そうですね、監督が理想とする「虚構」のために、映画の主役を誰が演じるかを決めた、みたいな感じで。「実際にあったことを映画(物語)にした映画」が、いくらリアルでも映画(物語)=虚構だ、ってことは、見る側も配慮が必要でしょうか

sissis 2006/03/04 22:50 面白かったです。虐殺の流れのでき方とか、家庭もある普通の男がどうやって流れに抗うのかとか、割といろいろ考えられました。思考実験としての文学の価値ですかね。多分、自分は事実に基づいていなかったとしても特に違いもなく楽しみ、やはりいろいろ考えたでしょう。
「事実を映画的演出のために改変」というのはそうなんでしょうけど、問題をもっと卑近なものとして提示したかった、ということかと。ヒーローモノになってしまえば、正直Independence dayと同じくらいの感情移入しかできなかったかも。ヒーローとして自分とは切り離して考えたでしょうから。駄作と呼ばれている宇宙戦争、自分は面白く見られたのですが、その理由も、主人公が等身大で不器用な中年男だったからでした。
関東大震災が最後に来るのは確かに唐突な印象があります。ただ、彼のルーツ云々よりも、彼の中では、日本人や国に対して懐疑的であること・右的になることへの警戒感を持つことが常識であり、またある意味知識人としてのステータスの一環として必要だからじゃないのかな、と思えます。あと、自分が感じたのはむしろ、その例までさかのぼらなければならないほど日本は平和だったみたいだなぁ、ということでした。

lovelovedoglovelovedog 2006/03/05 00:39 映画の出来そのものに否定的な意見を述べる気はないんですが、「非ハリウッド映画」イコール非商業的映画でもないわけで、どうも興行的にヒットしたことによって、こういう商業映画のスタイルに、ハリウッドの人間が貪欲になっていくことが気がかりです。日本映画がどんどん「泣ける映画」という作り(スタイル)になっているのと同じような感じで

YASYAS 2006/03/05 01:42 地方在住なのでまだ見てないです。町山さんの記事でとっても見に行きたいと思ってたんですが……
その町山さんが「役に立たない」って言ってるので、もう見に行かなくてもいいかな、って気がしてきました。

……せっかくがんばって上映にこぎつけたのに、たった一人が自分と相容れない感想を書いただけで「役に立たない」なんて言っちゃうのは正直どうかと……しかも自分の作った映画でもないのに……

町山さんは何がしたくて「ホテル・ルワンダ」を日本で上映したんでしょうね?

lovelovedoglovelovedog 2006/03/05 01:49 みんな人それぞれに考えればいいことなので、町山さんにはルワンダの虐殺に、関東大震災時の朝鮮人虐殺と通じるものを見たということでいいのでは。俺はなんか、ジャック・ヴァンス『冒険の惑星』シリーズその他の世界と同じようなものを感じました

naonao 2006/03/08 09:33 関東大震災で虐殺はあったのかもしれない、でも、阪神・淡路大震災では虐殺はなかった。被災者の国籍を超えた努力で、悲惨な震災を乗り越えられたと思います。
ところが町山氏は、こうした現実を無視していますよね。
震災の悲惨さはいつの時代も変わりませんが、国民の人権感覚や差別意識は、教育や社会環境による時代の違いで異なるのだということ。異なる時代の震災がそれを証明しているように思うのに。
関東大震災での朝鮮人虐殺を持ち出すのなら、阪神・淡路との違いは何だったのか、それを考えることの方が重要ですし、この映画の解説に相応しいように思うのですが…