日本核武装論ってそんなに盛んだったのか。あと麻生太郎氏の発言は会議録のほうが面白い

見出しは演出です。
こんなところから。
核論議容認発言:共産、社民も麻生外相の罷免要求毎日新聞

共産党志位和夫委員長は4日、東京都内で開かれている「赤旗まつり」で講演し、核保有論議の容認発言をした麻生太郎外相について「内外から厳しい批判があっても発言を繰り返している。どうにも止まらないならやめてもらうしかない」と他の野党と連携して罷免を要求する考えを示した。
また、社民党福島瑞穂党首は4日、講演で訪れた札幌市で記者会見し、核保有議論を認める麻生太郎外相に対し「不信任案を出すべき段階にある」と述べた。【有田浩子、葛西大博】

毎日新聞 2006年11月4日 19時26分 (最終更新時間 11月4日 20時09分)

ちょっとテキストが「繰返し」という部分に関して見あたらなかったけど、以下のところから、
花岡信昭:このご時世に「議論封殺」の不可解さ(nikkei BPnet)

花岡信昭:このご時世に「議論封殺」の不可解さ
2006年10月31日 14時56分
 
安倍首相は70%前後の支持率を背景に順調な政権運営を続けているが、ここへきておかしな空気が出てきた。「言論・議論の封殺」ともいえる風潮である。中川昭一政調会長の「核保有を巡る論議」、下村博文官房副長官の「河野談話見直し」発言に対して、野党のみならず政府・与党内からも議論そのものを封じ込めようという動きが出ている。なんともナイーブな、と言わなくてはなるまい。日本の議会制民主主義はそれほど「ヤワ」だったのか。
安倍体制を支える要人の発言に対して、民主党はじめ野党側が責めるのは、まだ分かる。安倍政権に抵抗し、国会対策上の劣勢を挽回しようとすれば、「なんでもあり」の世界である。
不可解なのは、与党内から異論が出ていることだ。10月15日、中川政調会長がテレビで「核の議論は当然あっていい」と発言したことに対しては、自民党公明党の幹部から、「議論すること自体が核保有の疑念を与えることになる」とストップがかかった。
麻生外相は24日の衆院外務防衛委員会で「日本がなぜ核を持たないか、議論をしておいたほうがいい。議論は封殺すべきではない」と答弁したが、これが当然の態度というべきだろう。だが、同じ外務防衛委員会で久間章生防衛庁長官は「100人のうち1人が核を持つべきだと言い出すと、50対50の議論が起きていると喧伝される恐れがある」などとして慎重な姿勢を示した。

ちょっと国会の会議録ということで、「盛ん」だったり、容認したがっているのは「核論議」についてで、逆に言うと共産・社民党の人は(あるいはそれらの党が政権をもし仮に取ったとしたら)「核の議論はしてはいけない(容認できない)」ということになるんでしょうか。
核保有論議是認/世界に誤解を与えかねない河北新報ニュース)

世界に向き合う外相ともあろう立場の人が繰り返し発言するのは、不見識としか言いようがない。麻生太郎外相の核保有論議是認発言のことだ。
24日の参院外交防衛委員会で麻生氏は「非核三原則を変える話は政府内にない」としながらも、「なぜ核兵器を持たないかの議論をしておいた方がよい。議論は封殺されるべきではない」と語った。
麻生氏は17日の衆院安全保障委員会で「何の勉強もしないで無知なままより、きちんと勉強した上で持たないというのも一つの選択肢だ」と発言。
18日の衆院外務委員会では「隣の国が持つとなった時に検討も駄目、話もできない、意見交換も駄目というのも一つの考え方だが、いろいろ議論しておくことは大事だ」と、議論自体を排除すべきでないとの認識を示している。
この間、安倍晋三首相は国是として「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を堅持し、政府や自民党の機関で「議論しない」ことを明言した。
麻生氏はこうした首相の方針を踏まえているのだろうか。まさか、国会の場で個人的見解を披露しているわけではあるまい。外交の責任者としての発言の影響は殊更大きい。
今まさに、世界各国は連携して、北朝鮮の核実験に抗議し、経済制裁を加えている最中であり、その最終目標は外交努力により、北朝鮮に核を廃棄させることだ。
非核三原則の日本が、このタイミングで何を議論するのだろうか。それでなくても、米国をはじめ外国メディアや専門家の間で「核武装ドミノ論」を懸念する意見があり、日本に対する警戒心が高まっている。
参院外交防衛委員会で麻生氏に続いて答えた久間章生防衛庁長官は「1人の人が(核を)持つべきだという話をすると、国内で持とうという考えの人がほとんどいないにもかかわらず、そういう議論が沸き起こったようになる」と指摘した。久間氏の言うように、論議することにより、わが国に核保有の考えがあるような、世界に誤ったメッセージが伝わらないかどうか心配だ。
麻生氏や、テレビ番組で核保有論議の必要性を唱えた中川昭一自民党政調会長の真意がどこにあるのか分からないが、これ以上の発言は、閣内不一致など無用な混乱を起こす。
わが国は世界で唯一の被爆国であり、その立場を再認識し、核を保有しないことを逆に強みにしたい。
米、ロ、英、仏、中の5カ国だけに核保有を認める核拡散防止条約(NPT)体制にはさまざまな矛盾があり、同条約に加盟していないインド、パキスタンイスラエルが核を保有している現実もある。
 わが国のなすべきことは、事あるごとに非核三原則の堅持を言及し、世界の核廃絶に向けて、リードしていくことではないか。理想論ととらえる向きもあろうが、それが世界から信頼を勝ち得る国の姿であり、「主張する外交」だろう。
 
2006年10月28日土曜日

どうも「24日の衆院外務防衛委員会」(花岡信昭氏)なのか「24日の参院外交防衛委員会」(河北新報ニュース)なのかよく分かりませんでしたが、ちょっと調べたらわかりました。
参議院会議録情報 第165回国会 外交防衛委員会 第2号

第165回国会 外交防衛委員会 第2号
平成十八年十月二十四日(火曜日)
(中略)
国務大臣麻生太郎君) 核武装の話をすると、大体持つ前提の話を皆されたがる人が多いと思っております。大体どういった方がされるかもよく傾向値で分かりますけれども。
基本的に言って、なぜ核を持たないかという話をもう一回きちんと頭の整理された国会議員って何人ぐらいいらっしゃいますでしょうね。もう、あの時代えらくやらされたときにおられた方、今ほとんどいらっしゃいませんから。何となく持っちゃいかぬというような固定概念だけでやるのは甚だ危険なんであって、なぜ持たないかという理由をきっちり議論をしておいた方がいいと私自身はそう思っておりますんで、議論というものは、言論封殺みたいな話、やたらはやるのは多いところですけれども、私はこういった話は堂々ときちんとされた上で、納得をされた上でというところが一番大事、したがって議論は封殺されるべきではないと、基本的にそう思っております。

それより、なんでこっちのほうは報道しないのかなぁ、と思った。
麻生太郎・中川昭一 ファン通信 麻生外相 「参院 外交防衛委員会」

緒方氏が麻生氏に対して、核保有議論発言の撤回を要求しての麻生氏の発言。
「あの、度々お答えしておりまんで、柳田先生にお答えをしたのと同じのを、よく聞いていてください(中略・柳田氏に対しての答弁と同じ)
うちは共産党と違って、自由に喋れますんでね、そこは間違えんでくださいよ。
その自由に喋れるというところまで、封殺されるのは断固認められんという意見を申し上げておるんであって、自由の為に我々は働いております。(下略)」

公式記録(だと思う)は、こちら。
参議院会議録情報 第165回国会 外交防衛委員会 第3号

第165回国会 外交防衛委員会 第3号
平成十八年十月二十六日(木曜日)
(中略)
国務大臣麻生太郎君) 度々お答え申し上げておりますんで、柳田先生にお答えしたのと同じことをもう一回言いますんで、よく聞いていてください。
この間の話を申し上げましたが、一般論として国の安全保障の在り方というものにつきましては、それぞれの時代状況というものがあります。持たず、作らず、持ち込ませずといったものを作った時代はいわゆる佐藤内閣のころで、冷戦構造の最中でありました。今は冷戦構造は終わって一極構造になり、隣に核を保有し、それを搬送する能力を持ったノドンというミサイルを実戦配備させ得るまでの国が隣国に登場してきたという状況を踏まえて、日本の防衛というものを考えてみるというのは当然ではありませんかと。その中に非核三原則というものもあります。これが国是ということも分かっております。しかし、状況が違ったということに関していろいろな議論が出てくるということを封殺するつもりは私どもにはありません。これはずっと申し上げてきている。
ただし、我が国が非核三原則というものを、これまでも歴代の内閣が累次にわたって説明をしてきております。この内閣においても、安倍内閣においても同様の発言がされております。したがいまして、これを堅持していくという立場に変わりはないということも度々申し上げました。うちは共産党と違っていわゆる自由にしゃべれますんで、そこは間違えぬでくださいよ。その自由にしゃべれるというところまで封殺され、封殺されるのだけは断固認められぬという意見を申し上げておるんであって、自由のために我々は働いております。
また、法律上いっても問題だということも、原子力基本法というものもありますと。また、条約の上からもNPT条約というものにも加盟をしておるという現状を追ってみますと、日本の核兵器ということに関しては保有することはありませんということをずっと申し上げてきたのであって、そういった議論が起きるということを私はあおっているわけでもありませんし、ただ言論封殺というのに加担するつもりだけはありません。

ぼく自身はとりあえず、核保有の議論をしたい人は、YouTube核兵器の映像を見てからするといいと思います。
YouTube - nuclear bomb
これなんかいかがでしょうか。
YouTube - nuclear bomb 4
もう何というか、人間が人間に対しては使ってはいけないような兵器のような気がします。
この映像を見せながら、日本全国の人間に「日本が核兵器を持たなければならない必要性」を説くのは、世界中の人間に「核兵器を使ってはいけない・もってはならない必要性」を説くのより、数百倍も難しそうな感じではあります。
まとめると、
1・花岡信昭さんの「24日の衆院外務防衛委員会」というのは間違いで、「平成十八年十月二十四日」の「(参議院外交防衛委員会」が多分正しい(今までこういうのは放置してたんですが、「ネット上の間違い」が「孫引きで引用・転載されることの弊害」を加味して、ちょっと「nikkei BPnet」にメールでも打っておくことにします)
2・麻生太郎氏が、また面白いことを言ったが、共産党は「そんなことはない!」と反論していない
3・核兵器は嫌だねぇ
だったのです。