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愛・蔵太の気になるメモ(homines id quod volunt credunt)

2007-01-12

[]漫画の「制作費」を考える

TVアニメの場合の制作費は、以下のところなどをいろいろ参考に。

たまごまごごはん - アニメ制作の費用についてしらべてみた。

だいたい30分1話で800〜1千万円前後かな。

漫画の場合はちょっとよくわからないので、「原稿料1枚2万円」と考えてみます。以下の数字も類推による部分が多いので、取り扱いにはご注意ください。

週刊誌連載の場合、2か月で単行本1冊できるので、月産100枚=200万円

必要経費は、紙・ペン・トーン代併せても数万円ぐらいでしょうか。

あと、仕事場の家賃が難しいけど、10万ぐらいにしておこう。

一番かかるのが、アシスタントに支払う人件費。

チーフアシ1人+サブアシ2〜3人+背景1人で、計4〜5人体制。

社会保険・年金まで含めると(普通は含めない場合が多いのかな)、1人最低15万ぐらいは必要か。

あと、チーフだったらキャリア(職歴)にもよるけど、30万ぐらいでもおかしくない。

これぐらいの給料なら、二十代〜三十代はじめまでなら、かろうじて暮らせる(家や妻や子供をあきらめれば)。

で、漫画家の支払いが人件費だけで75〜90万円。「原稿料1枚1万円」ぐらいで週刊連載やったら、持ち出し気味です。

出版(単行本化)のことを考えると、また出版社側の別の問題も。

1冊420円で1万部本を作っても、売り上げ的には420万円にしかならない

つまり、コミックス(単行本)にする際に、「新書版コミックス」の値段で出すには、必要最低部数は○万部(少なくとも1万部ではない)出さないといけない、という感じでしょうか*1

昔の『のらくろ』とかだとたとえが古すぎる気もしますが、これかなり立派な装丁ですよね、古本とかで見ると。表紙もハードカバーだし。箱になんか入っているし。

今の感覚だと本1冊で2000円ぐらいの売値がついてもおかしくなさそうだ。

ちなみにコミックス1冊読むのに15分だとしたら、30分で2冊、制作費800万円分の漫画を消費することになるので、TVアニメとほぼ同じ金額になります。

劇場の実写映画だと1500円で1時間半ぐらい楽しめる、みたいな感じなのですが、制作費2400万円の実写映画は想像できません。「映画人口」と「アニメ人口」の基本ベースの違いがすごいことになっているのかな。

漫画家の原稿料をあげる(必然的にアシスタントの給料もあがる)とか、アシスタント・仕事場を使わないで描くとか、コミックス(単行本)の単価を高くするとか、いろいろな案もありますが、二十代・三十代はともかく、「絵を描くことで生計を立てる」ことを考えるなら、商業デザイナーや学校の美術の先生などと比べると、漫画家という商売は「一発当たるとでかい」ということ以外のメリットは少ないかもしれません。

ただそれは「スポーツやる人」「音楽やる人」「文章を作る人」などなど、クリエイティヴとか実力な世界の人はみんな同じなわけで。

小説の場合は、仕事場もアシスタントも普通はいらないし、単行本は部数は少ないけどハードカバーで最初に出る場合が多いので、漫画家よりはほんの少し出費の面で楽かもしれない。ただ、三十代前半の段階でそれなり(数万人単位)の「固定読者」がいるぐらいの小説家にならないと、「一生の仕事」としていくには厳しいかも。若いことを理由に原稿・執筆依頼をする出版社がいるのは「若いことがウリになる」時期だけでしょうし、毎年次々と新人が出てくるわけです。

学校の先生やるのが一番いいかもしれないですね。つまらない結論ですが。

 

(追記)

こんなテキストも。

アニメーターとして生きる: 原因

アニメーターのほとんどが会社員ではなく個人事業者です。

所得税は入金日に天引きされますが年金、保険料、住民税は後から請求されます。

年金は加えて国民年金基金に入らないと会社員の給付率に届きませんし退職金など全くありません。

ボーナスも有給休暇も雇用保険も労災保険もありません。それらがあるぐらいに貯金をしたり保険に加入したら大変な額です。

故に平均的なサラリーマン並に生活を安定させるには約その三倍必要だと聞いた事があります。

年収300万円のサラリーマン並になるには年収900万円にならなくてはいけないわけです。

とすると、アシスタント業も「チーフ」レベルで月収100万(年収1000万以上)は必要か。

そのぐらいアシに金を出している漫画家は日本にどのくらいいるんだろうか。

 

*1:雑誌で原稿料が充分に出せるほど黒字だったら別計算か。文学系の小説雑誌の場合は赤字でも出している、みたいなところもあるだろうけど、さすがに漫画の場合は赤字で出しているところはないでしょうね。テキスト書いてから気がついたけど、少し大げさに書いておいたほうが面白いのでそのままにしておきます。

tennteketennteke 2007/01/10 23:55 こんばんは。
>>ただそれは〜
作る人と売る人の分業体制がまだまだ未熟なのでしょう。
小説やマンガなんて、(読者に)売るのは編集者・出版社の役割になってますが、(出版社に)売る仕事ってのは日本ではまだまだです。
流通産業の中継所にお金が落ちるシステムばかりで、作品に付加価値をつけて、より高く売る技術は未整備なのでしょう。

なまねえなまねえ 2007/01/11 07:18 月に100ページも描くから、アシが必要になるんだよ。
月に100ページも描かせるのは、出版社の都合。
腐るほどマンガ出して、供給過剰にしてるのも、出版社の都合。
安値をつけて値崩れさせてるのも、出版社の都合。

新古書店や同人誌をとやかく言えるような状況じゃない。

nisoku2nisoku2 2007/01/11 08:14 漫画家の収入については、以前、神田森莉氏が収支を公開されていましたので、ご参考までに。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~moli/kongetu.html
http://www2u.biglobe.ne.jp/~moli/kongetusigoto2.html

lovelovedoglovelovedog 2007/01/11 20:41 「売れる漫画・小説を書かせる技術」というのは、出版社の中の編集者以外の人が持っていても面白いのでは、と確かに思います。ただ、スポーツの場合はマイナーなスポーツで超一流でも、それでは食えていけない、というところがあるので、なんかいろいろ考えてしまうのです

lovelovedoglovelovedog 2007/01/11 20:42 「出版社の都合」に関しては、ぼくは判断とか意見がうまく言えないんですが、「新古書店や同人誌をとやかく」言っている出版社というのは存在するのでしょうか。「日本ペンクラブ」や「21世紀コミック作家の著作権を守る会」が、著作者の立場から「新古書店」に対してアピールをしているのは知っていますが(http://www.japanpen.or.jp/seimei/010615.html)ちょっと出版社の例は知らないのです。まぁ「本は新刊書店で買いましょうキャンペーン」ぐらいは、出版社が合同でやっていてもおかしくないとは思いますが。「同人誌」のほうに「とやかく」言った例は、著者・出版社のどちらも、探しかたがうまくないせいなのか見当たりませんでした(デマが流れた例は「ピカチュウ」関連で一つありました→http://ninjin.net/radica/HTML/990129.html)

lovelovedoglovelovedog 2007/01/11 20:42 神田森莉さんは「原稿料1枚1万円ぐらい」の人なんですね。ものすごく大変そうな印象を受けたのでした

oguoguoguogu 2007/01/12 00:15 この話題に関しては、竹熊氏の
マンガの原稿料はなぜ安いのか?
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%AC%E5%8E%9F%E7%A8%BF%E6%96%99%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%AE%89%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%8B-%E2%80%95%E7%AB%B9%E7%86%8A%E6%BC%AB%E8%AB%87-%E7%AB%B9%E7%86%8A-%E5%81%A5%E5%A4%AA%E9%83%8E/dp/4872574206
で分析されえていたと思うのですけれど、内容は忘れてしまいました。

flowerflower 2007/01/12 01:13 原稿料1枚1万だとして、それは雑誌掲載時の稿料ですから雑誌の売り上げから支払われます
コミックスの売り上げの場合、すでに掲載されたものをコミックスにするわけですから元手は印刷費くらいです

lovelovedoglovelovedog 2007/01/12 01:19 雑誌があれば、コミックスは○万にいかなくても儲かる、という仕組みがあるわけですね。

うみゅうみゅ 2007/01/12 10:28 出版社側の都合と,内部での製作費用に関しては鈴木みそ氏の漫画「銭」1巻に具体的な数字を伴って記載があります。
示されたデータは連載誌の実際のデータが元になっているとの事で,これも非常に参考になるのではないでしょうか。
端的に言うと,「雑誌だけでは必ず赤字(返本率が売上に平行して増えるので,雑誌が売れても赤字が減らない)なので,単行本の黒字で埋める」ビジネスモデルだそうで。

lovelovedoglovelovedog 2007/01/12 21:26 これはまた面白そうな本ですね。情報どうもありがとうございます

  2007/01/12 22:20 現在の漫画出版界は原稿料のデフレが起きていて、一万円出さない出版社が多いですね。で、単行本も出してはくれないと言うことで、持ち出し状態な所もあるようです。

lovelovedoglovelovedog 2007/01/12 22:39 漫画雑誌の売れ行きとかと関係あるんでしょうかね

derodero 2007/01/13 01:50 ちなみにマイナーエロ漫画家の原稿料は1枚8千円です。
20Pで16万、もっと描ければ良いんですがアシさんなんて
使えない現状ですから、ボッタクリ価格の同人が流行るわけです。

ま 2007/01/13 04:38 失礼します。
アシの経験のある者なのですが意外と馬鹿にできないのが
「食費」です。作業中は食事の用意もできないのでデリバリーや出前を基本取ります。
コレが曲者で通常より高くなり一食800円ほどになります。
アシ4人で朝10時から夜10時まで週4日の作業するとして
800円×4人分×昼・夜の二食分×週4日(作業日)×4週=10万円
この他にアシの交通代などもかさむのです。
あと原稿料1枚2万なんて結構な売れ線じゃないと無理です。

ごろーごろー 2007/01/13 06:30 >daroさん
エロ漫画家は同人誌でも出さなきゃ生活できませんし。
個人製作してるものですから価格も別にボッタクってるわけじゃないですよー。ちなみにコミケで黒字になるのは全体からするとかなり少ない割合だそうです。数十万単位で儲かるのはそれこそ数%でしょう。

lovelovedoglovelovedog 2007/01/13 08:15 原稿料とか食費とか同人誌販売とか、具体的な経験に基づく数字どうもありがとうございます。漫画で食っていくのは大変ですね

某編集者某編集者 2007/01/13 15:18 ちなみに私も某雑誌編集者ですが、アシ代はチーフじゃない、普通のアシさんは基本的に一日原稿1ページ分、ぐらいが相場ですね。(チーフは1.5〜2)
週刊誌マンガだと4、5人で描かれることが多いので、あっという間に原稿料は食いつぶされます。もっとも、それぐらいアシがいないと許されない作画量ですからね。昨今は。
 よく週間で人気だった作家さんが月刊や隔週に移ることがありますが、これは作品をもっと時間をかけて作る、という事と共にアシスタント料を抑える、という意味で移籍する人もいますね。週間マンガはいずれにせよ過酷です。

lovelovedoglovelovedog 2007/01/13 21:13 なかなか面白い話をどうもありがとうございます。週刊だとコミックス(単行本)はさっさと出るんですが、金銭・精神面での消耗度が激しい、という感じでしょうか

ん 2007/01/14 08:14 今の時代、どんな新人アシでも月最低20は貰えます。
じゃないとアシが集まらないから。
昔と違って「修行」って意識はほとんど無いです。

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