世界最古の「乙女萌え(腐女子萌え)物語」とは何か

実はみなさんにぼくが隠していたことが一つあります*1ぼくは実は801妄想が「となりの801ちゃん」の中の人ぐらい好きだ、ということです*2
いまさらですが801というのは男性同士の恋愛物語(ボーイズラブ)のことで、それの好きな女性を「腐女子」と世間的には言っているみたいですが、ぼく個人は池袋の「乙女ロード」から取って「乙女」と呼ぶことにしています。意味は同じですが、なんかそのほうがいいじゃないですか。そういうの好きな男子が「腐男子」じゃなくて「乙女男子(おとめだんし)」のほうが。
ちなみに、最近萌えたのは、『正伝・野口英世』(北篤毎日新聞社)の中の野口英世星一星新一のお父さん)の関係とか*3、『蜀山残雨 大田南畝と江戸文明』野口武彦・新潮社)の中に出てくる大田南畝上田秋成が京都で会った話とか、ピカソとダリの関係とか、で、実は最近のぼくのエントリーはほぼ全部やおい妄想トリックテキストだったのです。
「野口清作」はなぜ「野口英世」に改名したか
蜀山人大田南畝はなぜ二回も試験を受けなければならなかったのか
ピカソの絵「朝鮮の虐殺」(Masacre en Corea)と信川虐殺事件について
で、今日は古今東西の名作の中で、いったい何が世界初・日本初の「乙女萌え(腐女子萌え)物語」だったのか、について考えてみます。
日本文学としては、『坊っちゃん*4』『おくのほそ道*5』『走れメロス』と古今ありますが、ぼくとしては『源氏物語』の中に出て来る光源氏」と「頭中将/内大臣」の関係に、かなり来るものがあります。ツンデレの元祖は『源氏物語』の中の葵の上だ、という説も「吹風日記」の中の人*6は言っているので、源氏物語』恐るべし、です。
中国なら16世紀・明の時代に作られた『西遊記』の孫悟空牛魔王の関係とかあるんですが、洋の東西を問わず結論を出しておきます。
紀元前15世紀から10世紀にかけて、古代メソポタミアで成立した叙事詩ギルガメシュギルガメッシュ)』です。
ギルガメシュ叙事詩 - Wikipedia

ギルガメシュがエンキドに売春婦シャムハト(女神イシュタルに仕える女神官兼神殿娼婦という版もあり、彼女の役割に付随するニュアンスが少々異なる)を遣わせると、エンキドはこの女と6夜7日を一緒に過ごし、力が弱くなったかわりに思慮を身につける。その後、ギルガメシュとエンキドはと力比べをするが決着がつかず、やがて二人は友人となり、さまざまな冒険を繰り広げることとなる。

まさに「充分に濃い友情は、恋愛と見分けが付かない」という偽クラークの第三法則です*7。少なくとも孫悟空カカロット)とべジータに萌えられる人は充分に萌えられると思います。
世界最古の物語が、実は世界最古の801妄想小説だったことに少し感動しました。ていうか、801妄想部分なかったら、ひょっとしたら現在までテキスト残ってなかったかも知れませんね。コミケを見ても、「トリトン」「ヤマト」「ガンダム」ではじまり、「キャプテン翼」でバブリーになり、「スラムダンク」「テニプリ」を経て「ガンダムSEED」「デスノート」に至る、というのが(乙女の心の中の)コミケの正歴史です*8エヴァハルヒなんて知らねぇよ、です*9
とりあえず、ギルガメシュとエンキドで学園舞台のアニパロはいかがですか。ってそれアニパロか?
ちなみに、漫画の中でなら手塚治虫鉄腕アトム、「地上最大のロボットの巻」に出てくるプルートゥあたりが、アトムといい線行ってるような気がしますが、少年漫画の中では友人とライバル(『巨人の星』における伴宙太と花形満は欠かせない存在なので、もっと古いものはいくらでもありそうです。ぼく的には「主人と奴隷」というかSMな関係として『ヴァンパイアバンパイヤ』は外せません。しかしそうであろうとなかろうと、「○○の起源は手塚治虫」と言っておくと、なんかそんな気がしてしまうのが不思議なのです。
 

*1:本当はたくさんあるんですが、それはそれ。

*2:すでに「プロフィール」の画像でバレバレじゃないの、と言うかたもいるでしょうが。

*3:本の中では画像入りです。

*4:これ、よく作品名間違えられるので有名なんですよね。『坊ちゃん』とか。より正確に表記するなら『坊つちやん』なのです。

*5:これもよく間違えられます。「奥の細道」じゃないんだよ! 証拠画像→芭蕉自筆奥の細道 どう見ても『おくのほそ道』です。

*6:最近更新が滞っているので寂しいです。

*7:これ、第一と第二を知っている人はあまり多くないんですけどね。以下の日記に少しだけ続きます→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20070129/housoku

*8:どうもジャンプ系マンガとサンライズ系アニメが多いような気がしますが、多分気のせいではなく「やおいの血」のせいだと思います。

*9:ただしカヲル君はいいものです。

ブックマーク・RSSから(2007/01/26)

あとでぼくのブックマークに入れたり入れなかったりするものの候補です。


ノーマル:みんなのうた2(無人島に持っていくレコード)


'62〜'66なのは大瀧詠一の個人的体験というか、そういう世代だからだが、'62の方はともかく、「以降、もうわかんな」くなる'66には意味がありそうな気がする。ビートルズだとリボルバーが'66でサージェントペパーズが'67。ビートルズの影響を受けたトロピカリズモ、ブラジル音楽の「ロック化」も当然この辺の年から。
↑「大瀧詠一「師匠」が『レコード・コレクターズ増刊無人島レコード2』に寄せた文章」を孫引用。

bugblog - satellite:通勤電車の混雑率


小田急線の混雑のすごいところは、途中で降りる人がほとんどいないことだ。それに急行だと一駅の間隔が長いしね。だから途中から座れることもあり得ないし、痴漢がいても逃げられない。荷物を持っているから手で払うなんてこともできず、適当に踵で蹴り上げると「いて! なにすんだこら!」とか怒られたりするわけです。
↑逃げられない小田急線が「首都圏の通勤電車、混雑率ワーストテン」に入っていないのを疑問に思うブログ主。

猫は勘定にいれません:ギボギボ90分!―と学会レポート/永瀬唯志水一夫皆神龍太郎


「ギボギボ90分」この酷いタイトルの(笑)本は、「どうして、いまさら宜保愛子?」という1文から始まります…実にまったくです。前書きで本書のメインライターである永瀬唯さんが書くところによると、宜保さんこそは今でもテレビ界で大活躍している霊能タレントの草分け的存在であるからだといいます。分かったようで分からない説明なんですが、趣旨としては、いかにして宜保さんが霊能タレントという地位を築いたのか、それを彼女の使ったワザの数々を検証することで明らかにしてみよう、という企画です。
↑と学会の個性的な3人による宜保愛子のワザの検証本を紹介。

かまくらかまくらが選ぶ今年の漢字は「白」に決定しました!


かまくらが選ぶ今年の漢字は「白」に決定しました! やはり決め手は「ToLOVEる」の連載開始、これに尽きます。ララたんこそはちょびっツ以降氷河期の続いていた人外白痴界にようやく舞い降りた救世主。2006年世界で最も輝いたMVPと言っても過言ではありますまい。来年以降もさらなる活躍を期待しています!
↑白痴系の娘をものすごく熱く語るブログ主。ヤケドせずには言及できません。

かまくら:生活の悩み3点セット(仮題)


料理するのは好きなのですが、洗い物が嫌いでつい流しに食器をためてしまいます。でもまあ放っておいて誰かが代わりに洗ってくれるわけでもないので仕方なく「風呂に入る前には洗おう」と自分内ルールを決めておくわけなのですが、風呂の前ということはオナニーと時間帯がかぶるんですよね。問題はどっちを先にするか。
↑食器洗い・風呂・オナニーの順番をどうしたらいいか本気で悩むブログ主。

押入れで独り言:ポーまでの図解その1


こんなものを作ってみました。しかし、うまく整理できんなあ。図解って難しい。
↑『モルグ街の殺人』はどのような作品に影響を受けているか、の図式。

猿゛虎゛日記:大学生のいじめ


ところで、実を言うと私は、「ゼミ」というものがかなり嫌いだった。特有の嫌な空気があると、思っていた。特に大学院。数人の院生が、それこそマニアックな議論を延々としている。黙っていると、議論に参加しなさい、と言われる。で、勇気を出してしゃべりはじめた瞬間、マニアックな人たちが、じろっとこっちを見る(ように感じる)。緊張して口の中が乾き、どんどんしどろもどろになってくる。自分で何言ってるかわからなくなってしまうことさえある。すると、マニアックな院生たちの目に明らかに失望の色が浮かぶ(ように感じる)。何とかむりやりまとめてしゃべり終わる。すると、私が話したときに限って、なんともいえない長〜い沈黙が流れる(ような気がする)。そして、再びマニアックな院生たちが、私の言ったことと全く関係ない議論を、嬉々として再開する。その瞬間、「あー、またやっちゃった、とんちんかんなこと言っちゃったんだ」と、目の前がまっくらになり、残りの時間は意識もうろうである。そんな感じで、私は大学院に入ってどんどん学校が嫌いになっていった
↑大学生・大学院生のいじめはもう少し複雑である、という話。

音楽配信メモオリコンが自分たちに都合の悪い記事を書いたジャーナリストを潰すべく高額訴訟を起こす


烏賀陽さんはメールの冒頭で「みなさんのお知恵、お力を貸してください。記事にしてください。ブログに書いてください。ウエブサイトに載せてください。メールを転送してください。言いふらしてください」と書いた。みんなができることは簡単だ。このことをリアルの社会で話のネタにしたり、ふざけるなと憤ってネット上で「今こんなことが起きているんだよ」と広めてくれるだけでいい。それが大きなうねりになれば、オリコンだって態度を軟化させざるを得なくなる。
チェーンメールとかチェーンブログテキストを推奨されてもな、というのがぼくの感想だった。

Kusaker.log:「海外の地下鉄駅のデザインは凄い」


ひさびさに2ちゃんねる行って見つけたスレに、海外の地下鉄写真へのリンクがいっぱい。気の迷いで全部del.icio.usにpostしたらカオスってしまったのでここで整理。
↑海外の地下鉄写真リンクを整理してもらいました。

好むと好まざるとにかかわらず:ジンギスカンは終わった(1)


北海道人である我々には辛いことだがジンギスカンは終わった。東京でジンギスカンの美味しさ・栄養価について語られたのは今年の夏まで。今はもう、ラム肉について熱っぽく語るプチマチャアキの姿はない。今秋、近所の商店街にあったジンギスカン専門店が閉店し、自由が丘の東急ストア近くにあった店もいつのまにか閉店していた。そう、ジンギスカンは終わったのである。
ジンギスカンは臭いし固いし家庭料理だし、焼き肉ほどおいしくない、というブログ主。

屋久島ひとりごと:町の合併


屋久島には二つの町がある。島をほぼ南北に仕切って、北側が上屋久町、南側が屋久町である。人口はそれぞれ7000人弱と規模はほぼ同じだ。
屋久島の町が合併するに至るまでのゴタゴタについて。2007年10月1日に合併するようです。

ラスコーリニコフの質屋 - 質屋業界のダークサイド:レンタル時計店問題について


以前から大阪や神戸にはあったそうですが、ヤミ金業者肝煎のレンタル時計業者が素行の悪い質屋と組んで(あるいは質屋業登録して?)消費者を騙しているというニュースがブログなどでもちらほら話題になるとき、引かれる資料がまずこれでした。
↑「質屋は特例で109.5%の金利を認められている」とのこと。

Elastic:「ウラハラ」系について考えてみる


で、メンズとレディス。この2つに共通するのは何かというと「カルチャー臭がする」という点。音楽(パンク、ロック、ヒップホップ)、スケーボー、サーフィン、ロリータ(思想)というようなカルチャーを背景にライフスタイルの一部としてファッションを楽しんでいたのがウラハラ系かなぁ〜と。サロンボーイ系(chokichoki系)はウラハラ系の流れを汲んでおり、ポストウラハラ系だと私は思っているのですが、彼らはもはやウラハラ系とは別の存在です。そこにはカルチャー臭はほとんどなく、ファッションリーダーの模倣をしているにすぎない場合が多いので。ウラハラのミーハー面(○○着用、レアもの)だけ受け継がれ、カルチャー面はほとんど受け継がれなかったように思います。要するに服やファッションリーダーにしか興味がないのですよ。そういう意味で、そろそろ「ウラハラ系は死んだ」と言っても過言ではないかなと。裏原エリアの代表的カルチャーショップで、メインストリートの名前にもなった「プロペラ」も閉店してしまいましたし。
↑カルチャーを背負わないとウラハラ系にはなれないみたいです

時代伝奇夢中道 主水血笑録:「天狗童子 本朝奇談」 異界からの乱世への眼差し


というのがおおまかなあらすじですが、とにかくユニークなのは、作中で物語られる天狗たちの社会・生態の描写。人間を遙かに超えた験力を持つ天狗ですが、その中には幾つもの階級やキャリアパス(?)があり、またその出自も、生まれながらの天狗から、人間が変じた者まで様々。さらに、大山天狗たちの、一種仙境と言える住処の描写も詳細で、何だか不思議なリアリティがあります。
↑天狗たちと少年を描いた佐藤さとるの不思議な伝奇小説。

中西理の大阪日記:ロベルト・ヴィーネ監督「カリガリ博士


そういえば不思議なのは俳優ではマリアと偽マリアの1人2役を演じるブリギッテ・ヘルムが妙に身体をぐねぐれとしねらせるようなその動きがやはり官能的で魅力たっぷりなのだが、ひとつ疑問に思ったのは偽マリアのデビューシーンでダンスを踊るのだが、これがいったいどのようなダンスなんだろうということだ。衣装からするとやはりほぼ同時代のバレエ・リュスの衣装を思わせるようなエキゾチズムを感じさせるのだが、このダンスは明らかにバレエではない。そうかといって、私がイメージするドイツ表現主義舞踊とも違うし*3ミュージカル「キャバレー」に出てくる大衆キャバレーのようなところで踊られていたようなスタイルに近いのだろうか。いずれにせよ官能的かつ蠱惑的なダンスである。
↑映画『メトロポリス』のあるダンス・シーンに関する感想