Hatena::ブログ(Diary)

愛・蔵太のもう少し調べて書きたい日記

2007-11-30

[]キーワード「集団自決」について

現在ちょっと荒れてるので、適当な調整のできる人を募集中です。

ぼく個人は歴史修正主義者でも何でもないので、「出典(史料・資料)」を明示することが可能な人でしたら、修正・変更はおまかせしたいところですが(あまり右・左に偏っていない人は、一応希望します)、現在そこらへんが不徹底なため。

「…という者もいる(○○大学教授・××氏『▲▲』p△△」というような記述も厭いません。

どういう立ち位置である誰が、どういうことを言っているか、が明記されていれば、判断は各人が可能だと思います。 

集団自決

  

[]「Corpus Delicti(コーパス・デリクタイ)」の翻訳について(罪の巨塊)

 これは以下の日記の続きです。

人が書いてもいないことを書いたと書く(言う)のはカンニンしてください、曽野綾子さん(罪の巨塊)

 

 大江健三郎氏の、新聞に掲載された元テキスト(画像)から。

「罪の巨塊」に込めた思い(2007年11月20日『朝日新聞』朝刊)

(前略)

私は渡嘉敷島の山中に転がった三百二十九の死体、とは書きたくありませんでした。受験生の時、緑色のペンギン・ブックスで英語の勉強をした私は、「死体なき殺人」という種の小説で、他殺死体を指すcorpus delictiという単語を覚えました。もとのラテン語では、corpusが身体、有形物、delictiが罪の、です。私は、そのまま罪の塊という日本語にし、それも巨きい数という意味で、罪の巨塊としました。

(後略)

 いや、大江健三郎さん、corpus delictiって「他殺死体」という意味ではない*1し、普通は「罪の塊」という日本語にもなりませんから。

 ぼくのところに来たトラックバックから。

マニアック過ぎて恐縮なんだが - 萬の季節

"corpus delicti"は「罪体」だろう。他殺体じゃない。他殺体は罪体になりうるけど他殺体しかcorpus delictiじゃないなら殺人以外の罪には「罪体」が無いことになってしまう。つまり自白以外に補強証拠がいらないことになってしまう(恐ろしい)。

(中略)

「罪体」ってわかりづらいが、多分法科の元学生的には「客観的構成要件に該当する事実」という表現がわかりやすいだろう。

(後略)

 ひらたく言うと「物的証拠」でしょうか。「罪体」の「体」にはたとえば、犯行に使われたナイフといった「モノ」の場合もあるわけです。(追記。すこしちがったみたいです。以下のところ参照→http://d.hatena.ne.jp/nomurayamansuke/20071130#1196409870

罪体《コーパス・デリクタイ》

"Corpus Delicti" は普通『罪体』と訳されるが、知らなければこれでもチンプンカンプンだろう。要は、殺人事件で言えば、被害者がまちがいなく死んでおり、その死の原因は他者の犯罪的な行為である(自然死や事故死や自殺ではない)事の証明である。犯人は○○だと指摘する前に、まずこれを確立する必要がある。犯罪構成事実。有罪認定証拠。証拠物件。

日々是好日 大江氏による「罪の巨塊」の変な説明

まず「他殺死体を指すcorpus delictiという単語を覚えました」とのことである。そこで大江氏はcorpus delictiを「罪の塊」という日本語にし、それも巨きい数という意味で「罪の巨塊」とした、というわけである。ところがcorpus delictiは大江氏もご存じだと思うが普通の英和辞典にも載っている言葉である。大江氏はなぜ辞書をあえて無視して(?)自分勝手にcorpus delictiから「罪の塊」という、大江氏の説明がなければ意味不明の、いや、私にとっては説明があっても意味不明な日本語を作ったのだろう。この『造語』が実は誤魔化しの始まりになっているのである。

研究社の新英和大辞典(第六版)でcorpus delictiを引いてみよう。

《1【法律】罪の主体、罪体(犯罪の実質的事実). 2 他殺死体 (後略)》と出ている。

確かに大江氏の記すように「他殺死体」との訳語はある。だから「他殺死体」という意味を込めててcorpus delictiを「罪の塊」とするのなら、もちろん「罪の塊」(他殺死体)が渡嘉敷島の守備隊長でありうるはずがない。これを同じものとするには大江氏の主張通り文法的にムリがある。しかし、ここで「罪の巨塊」=(巨きい数の「罪の塊」(他殺死体))としてしまうと、これは大江氏の「沖縄ノート」における文脈とは矛盾して論理の破綻をきたすではないか。

大江氏の説明によれば「渡嘉敷島の山中に転がった三百二十九の死体」と実は書くべきところ、その代わりに「罪の巨塊」と書いたことになる。この「三百二十九の死体」は「他殺死体」ではなく文脈では「自決死体」なのである。アメリカ艦船の砲撃で殺戮された「三百二十九の死体」ではなくて、渡嘉敷島の守備隊長の強制で集団自決した「三百二十九の死体」なのである。

2004年 横浜連続講座 伊佐千尋氏 baishin.com

一つは法廷場面で、検察官が強姦犯人らしい男の被告人の重要部分を指して、「コーパス・ディリクタイ」とだけあります。

 "corpus delicti" は犯罪のボディ、罪体、あるいは犯罪構成事実を意味する法律用語ですが、死体など犯罪の対象たるものを指すこともありますが、この場合は「あれが、元凶だ」ともじっているのでしょう。

 corpus delicti の意味を知らなければ、この漫画の面白みはありません。

 ↑これは沖縄戦とは関係のない、法律用語に関するギャグ。

大石英司の代替空港: 罪の巨塊

corpus delictiに関してのみ言えば、これは純然たる法律用語で罪体(罪の本体)のことに過ぎません。

アメリカの推理小説家M・D・ポーストが書いたその名も「罪の本体」という小説(光文社文庫の「クイーンの定員I」に収録)で詳しく取り上げられていますが、corpus delicti(犯罪の結果としての死体)は状況証拠のみによっては証拠とできず、直接証拠があって初めて有罪にできる… というアメリカ法について争われた法廷小説です。

JOHN GEORGE HAIGH

ジョン・ジョージ・ヘイグは完全犯罪を企んでいた。彼は死体が見つからなければ殺人の罪には問われないと信じていたのだ。だから、死体をこの世から消し去った。しかし、彼がよく口にしていた「CORPUS DELICTI」というラテン語は、文字通りに「死体」の意味ではない。「罪体」の意味である。つまり犯罪を構成する事実そのものを指すのであり、それが客観的に証明されれば必ずしも死体は必要ないのである。

めとLOG 〜ミステリー映画の世界

⇒"CORPUS DELICTI"(コーパス・デリクタイ)とは法律用語で、一般的に「罪体」と訳される。殺人事件に於いては、被害者がまちがいなく死んでおり、その死因が他者の犯罪行為=自然死や事故死・自殺等ではない事の証明。犯罪構成事実、有罪認定証拠、証拠物件とも訳される

 もうこのくらいでいいかな。

 で、今週号(2007年12月12日号)の「SAPIO」、井沢元彦氏「拝啓 大江健三郎様 「〈罪の巨塊〉とは〈集団自決の死体〉のこと」という弁明は少し苦しいのではありませんか」p41

 そもそも「corpusdelicti」つまり普通に訳せば「他殺死体」を、「罪の塊」と訳したのが、まったく思いやりのない大誤訳である。これを「罪体」と訳す辞書もあるが、丁寧に言えば「犯罪によって生じた死体(自然死とは違う)」という意味だろう。それを「犯罪」ではなく「罪」という言葉を使うと意味が逆転してしまう。言うまでもなく他殺された人は被害者であって本人に罪はないのに、まるで罪があったかのように感じられてしまうからだ。

 大江さん、あなたはレイプされ殺された女性の遺体のことを「罪の塊」と、被害者の遺族の前で言うんですか? いや、既に言ってますよね。あなたの言う通り、「集団自決」した「三百二十九の死体」が「罪の巨塊」なら、彼等は「罪人」ということですか? 普通の国語力を持った日本人なら、そう受け取りますよ。

 これはひどい。

「corpus delicti」を「罪の塊」と訳すのは、確かに異常訳ですが、普通に訳すと「他殺死体」ではなく「罪体」で、「罪体」とは「犯罪によって生じた死体(自然死とは違う」という意味ではありません。

「レイプされ殺された女性の遺体」は、法曹関係者によっては「罪体」と呼ばれるかも知れません(被害者の家族の前で言う可能性はあまり高くないと思いますが)。

 なんかこう、井沢さんのテキストは、相手の間違いを指摘しようとしているうちに、自分が何を言っているのか自分でもわからなくなる、みたいな見本のようなテキストにぼくには思えましたが、みなさんはいかがですか。

 ちなみにぼくには、大江健三郎さんが何を言っているのかがそもそもわかりませんでした。「渡嘉敷島の山中に転がった三百二十九の死体」と書けば誰にでもわかりやすいテキストになったと思うのですが。

 

[]『モノができる仕組み事典』『戦後「日本マンガ」論争史』『自然科学における数学的方法』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

モノができる仕組み事典

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★『モノができる仕組み事典』(成美堂出版編集部/編/成美堂出版/1,470円)【→amazon

日用品から旅客機まで、50種の完成するまでの工程を現場写真で構成。

戦後「日本マンガ」論争史

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★『戦後「日本マンガ」論争史』(小山昌宏/著/現代書館/1,890円)【→amazon

マンガ文化繁栄の陰に、マンガ論争あり!忘れられた「マンガ論争」から現在進行中の「マンガ論争」まで網羅。マンガ好きには黙殺できない論争の実態。

★『自然科学における数学的方法』(G.ポーヤ/著 細川尋史/訳/シュプリンガー・ジャパン/2,835円)【→amazon

ケプラー、ステヴィン、アルキメデス、ガリレオ、ニュートン…電気もコンピュータも人工衛星もない時代、人類はいかにして問題を解いたのか?

*1:正確には、「他殺死体」という意味とイコールではない、の意。

2007-11-29

[]漫画の社会的認知度について

発行部数2〜3万部 そのジャンルにくわしい人が知っている。カルト的な作家もいる

5万部 ちょっと鋭角的なまんが専門店の売り子は知っている。もっと売れて欲しいと思う

10万部 たいていのまんが専門店の売り子は知っている。幅広く漫画を読む人間には、自分の守備範囲外の漫画でも、アンテナにひっかかってくる(気になってくる)

20万部 書店の「売りたい」意識と、出版社の「返本リスク」のバランスが難しくなってくるところ。初版がこのくらいで、巻数が数巻になると、アニメの企画が進行し始めるので、よけい書店・出版社の「品取り競争」がはげしくなる。

20万部〜 アニメ・実写版の出来によって、漫画に興味のない人間でもその「作品名」を知るようになる。ただし「作家名」はあまり覚えてもらえず。

作家・売り子・読者が一番楽しい時期というのは、5〜10万部の漫画で、それがそれ以上伸びる可能性があると確信している次期なんじゃないかと思う。

10万部売れる作品は、わかる。ただし、20万部以上となると、ちょっとそれはわからない。要するに、どうすれば「10万部」の壁が越えられるか、はわかるんだけど、そこを越えてヒットするものは、仕掛ける側の意図を超えてしまうんですね。

 

[]『戦争の経済学』『嫉妬の正体』『技術戦としての第二次世界大戦』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

戦争の経済学

戦争の経済学

★『戦争の経済学』(ポール・ポースト/著 山形浩生/訳/バジリコ/1,890円)【→amazon

憲法9条改正?自衛隊を正規軍に?でもその前に一度、冷静になって考えてみよう。戦争は経済的にみてペイするものなのか?ミクロ・マクロの初歩的な経済理論を使って、現実に起きた戦争―第一次世界大戦から、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争まで―の収支を徹底分析!「戦争が経済を活性化する」は本当か?徴兵制と志願兵制ではどちらがコストパフォーマンスが高い?軍需産業にとって実際の戦争にメリットはあるか?核物質闇取引の実際の価格は?自爆テロはコストにみあっているか?…などなど、戦争についての見方がガラリと変わる、戦争という「巨大公共投資」を題材にした、まったく新しいタイプの経済の教科書。自衛隊イラク派遣の収支を分析した、訳者 山形浩生による付録「事業・プロジェクトとしての戦争」も必読。

嫉妬の正体

嫉妬の正体

★『嫉妬の正体』(谷沢永一/著/ビジネス社/1,680円)【→amazon

人が人である究極の本質は嫉妬だ。この世は、嫉妬でつくられる―『人間通』が説く、嫉妬の歴史。

技術戦としての第二次世界大戦 (PHP文庫)

技術戦としての第二次世界大戦 (PHP文庫)

★『技術戦としての第二次世界大戦』(兵頭二十八/著 別宮暖朗/著/PHP研究所/680円)【→amazon

戦車、飛行機、大砲、小銃、自動車…。第二次世界大戦における日本の軍事技術力は、いかなるレベルにあったのか?そして戦争の敗因は一体どこにあったのか?本書は、日本軍の陸戦兵器を中心にその戦略や性能を“米英中ソ”の4つの対戦国と徹底比較していく。「日本製戦車のセンス」「手榴弾を愛した敵軍」など、激戦の意外な真実が明らかになる白熱の対談。

2007-11-28

[]人が書いてもいないことを書いたと書く(言う)のはカンニンしてください、曽野綾子さん(罪の巨塊)

 これは以下の日記の続きです。

「沖縄集団自決訴訟」は、『沖縄ノート』の誤読に基づく、という説(罪の巨塊)

 

 以下のところから。

曽野綾子の「誤読」から始まった。大江健三郎の『沖縄ノート』裁判をめぐる悲喜劇。 - 文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ 『毒蛇山荘日記』

作家や新聞記者にとって問題は現地ばかりにあるのではない、言葉にもあるのだ。いや、すべては言葉なのだ。

 これはひどい。「SAPIO」2007年11月28日号、「沖縄集団自決と従軍慰安婦=なぜ日本人はデマに平伏してしまうのか」(池田信夫×曽野綾子)p32

 決定的だったのは、大江健三郎氏がこの年刊行された著書『沖縄ノート』で、赤松隊長は「あまりに巨きい罪の巨魁」だと表現なさったんです。

 私は小さい時、不幸な家庭に育ったものですから、人を憎んだりする気持ちは結構知っていましたが、人を「罪の巨魁」と思ったことはない。だから罪の巨魁という人がいるのなら絶対見に行かなきゃいけないと思ったのです。

 大江健三郎氏の『沖縄ノート』の元テキストは以下の通り。岩波新書、p210

 慶良間の集団自決の責任者も、そのような自己欺瞞と他者への欺瞞の試みを、たえずくりかえしてきたことであろう。人間としてそれをつぐなうには、あまりにも巨きい罪の巨塊のまえで、かれはなんとか正気で生き延びたいとねがう。かれは、しだいに稀薄化する記憶、歪められる記憶にたすけられて罪を相対化する。つづいてかれは自己弁護の余地をこじあけるために、過去の事実の改変に力をつくす。

 どうでもいいことですが、「たえずくりかえしてきたことであろう」が「たえずくりかえしてきたということだろう」となっているコピペテキストが流通しているようですが、これは間違いテキストです。

 やはりどう考えても赤松隊長=罪の巨魁という解釈は無理があると思うのですが、みなさんはいかがですか。「罪の巨塊」は「集団自決の死体」というモノ(事物)であり、「そのまえで、かれ(=赤松隊長)は…」と解釈するのが普通という感じ。

 まぁこの件に関しては、山崎行太郎さんのテキストを読んでいただければだいたい用は足りるのですが(ものすごく読みにくいのが少し難点)、

曽野綾子の「誤読」から始まった。大江健三郎の『沖縄ノート』裁判をめぐる悲喜劇。 - 文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ 『毒蛇山荘日記』

池田信夫君、逃げないでね(笑)。君の日本語は大丈夫か?

 あと、こことか。

曽野綾子さんの『あまりにも巨きい罪な誤読』(2) :イザ!

このように、曽野綾子氏は30年以上にわたって、誤読を繰り返し増幅しつづけてきたのである。そして、その『努力』が、今回の裁判として結実したといっても過言ではない。

 

 ということで、曽野綾子『ある神話の背景』には、過去に書籍の形で流布したテキストが5種類あります。

 国立国会図書館ではこんな感じ。

1. ある神話の背景 / 曽野綾子. -- 文芸春秋, 1973

2. ある神話の背景 / 曽野綾子. -- 角川書店, 1977.11. -- (角川文庫)

3. ある神話の背景 / 曽野綾子. -- PHP研究所, 1992.6. -- (PHP文庫)

4. 沖縄戦・渡嘉敷島「集団自決」の真実 / 曽野綾子. -- ワック, 2006.5. -- (WAC bunko)

5. 曽野綾子選集. II 第2巻. -- 読売新聞社, 1984.6

 刊行順だと「12534」なのですが、これらの本の中で「罪の巨塊」という元テキストがどのように扱われているかを少し調べてみました。

 手元には「ワック」の本(4番目の本)しかないのですが、その中ではこんな感じ。p295〜p296

 大江健三郎氏は『沖縄ノート』の中で次のように書いている。

「慶良間の集団自決の責任者も、そのような自己欺瞞と他社への瞞着の試みを、たえずくりかえしてきたことであろう。人間としてそれをつぐなうには、あまりに巨きい罪の巨魂のまえで……(後略)」

 このような断定は私にはできぬ強いものである。「巨きい罪の巨魂」という最大級の告発の形を使うことは、私には、二つの理由から不可能である。

 曽野さん、「あまりにも巨きい罪の巨塊のまえで、かれはなんとか正気で生き延びたいとねがう」と、主語を略して引用してはいけません。もうみんな、それで『沖縄ノート』読んでない人は大混乱だよ。

 それはさておき、国会図書館の本で確認した限りでは、問題のテキストは以下のような感じでした。

1…罪の巨塊

2…罪の巨塊

5…罪の巨魂

3…罪の巨魂

4…罪の巨魂

 どうも、『曽野綾子選集』を出すときに元テキストが間違ってしまい、それ以降は大江健三郎氏は「罪の巨魂(あるいは巨魁?)」と言ったことに、曽野綾子氏のテキストしかみない人にはなっている、という、ちょっと考えられない状況が存在しているのが現在の状況。

 元テキストを批判するにしろ擁護するにしろ、書いてもいないことを書いたと書く(言う)のはちょっとマズいのでは、というのがぼくの感想です。曽野綾子さんが大江健三郎さんに対してどのようなことを書こうとも(言おうとも)、大江健三郎さんは「罪の巨塊」としか書いていません。

 

 いろいろ書いてみましたが、ぼくは「アイヒマン」に関する記述が面白かったのでした。

池田信夫君、逃げないでね(笑)。君の日本語は大丈夫か? - 文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ 『毒蛇山荘日記』

アイヒマンの話も、ぜんぜん、わかっていない。ハンナ・アレントのアイヒマン論がらみで、大江健三郎はアイヒマンの名前を出しているわけだが、池田信夫君はハンナ・アレントなんて、もちろん、知っているよね(笑)。大江健三郎は、赤松某旧帝国軍人を、「アイヒマン」のような極悪人だと批判しているわけではなく、ナチスの罪に対する贖罪意識から、後世のドイツの青年達にまで波及するだろう罪を償うために、自ら望んで堂々と公開処刑を要求した「アイヒマン」、そういう「アイヒマン」にも遠く及ばない愚物として批判しているわけだが……。池田君にはちょっと難しかったかな、この論理展開は……。

 大江健三郎氏のテキストは、ちゃんと全文を読まないとやはりいけないのです。

「【沖縄集団自決訴訟の詳報(4)】大江氏「日本軍の命令だ」」事件です‐裁判ニュース:イザ!

 被「『(ナチスドイツによるユダヤ人虐殺の中心人物で、死刑に処せられたアドルフ・)アイヒマンのように沖縄法廷で裁かれるべきだ』とあるのは、どういう意味か」

 大江氏「沖縄の島民に対して行われてきたことは戦争犯罪で、裁かれないといけないと考えてきた」

 被「アイヒマンと守備隊長を対比させているが、どういうつもりか」

 大江氏「アイヒマンには、ドイツの若者たちの罪障感を引き受けようという思いがあった。しかし、守備隊長には日本の青年のために罪をぬぐおうということはない。その違いを述べたいと思った

 被「アイヒマンのように裁かれ、絞首刑になるべきだというのか」

 大江氏「そうではない。アイヒマンは被害者であるイスラエルの法廷で裁かれた。沖縄の人も、集団自決を行わせた日本軍を裁くべきではないかと考え、そのように書いた

 ハンナ・アーレント(アレント)の『イェルサレムのアイヒマン』(みすず書房・1969年、p187)からの、大江健三郎の引用は以下の通り。『沖縄ノート』p212-213

沖縄ノート:ξ  Joseph murmured Vol.?  ε

 罪をおかした人間の開きなおり、自己正当化、にせの被害者意識、それらのうえに、なお奇怪な恐怖をよびおこすものとして、およそ倫理的想像力に欠けた人間の、異様に倒錯した使命感がある。すでにその一節をひいたハンナ・アーレントのアイヒマン裁判にかかわる書物は、次のようなアイヒマン自身の主張を収録していた。「或る昂揚感」とともにアイヒマンは語ったのである。

《およそ一年半ばかり前〔すなわち一九五九年の春〕、ちょうどドイツを旅行して帰って来た一人の知人から私は或る罪責感がドイツの青年層の一部を捉えているということを聞きました……そしてこの罪責コンプレックスという事実は私にとっては、謂うならば人間をのせた最初のロケットの月への到着がそうであるのと同じくらい、一つの画期的な事件となったのです。この事実は、それを中心に多くの思想が結晶する中心点となりました。私が……捜索班が私に迫りつつあるのを知ったとき……逃げなかったのはそのためです。私にこれほど深い印象を与えたドイツ青年のあいだの罪責感についてのこの会話の後では、もはや自分に姿をくらます権利があるとは私には思えなかった。これがまた、この取調がはじまったときに私が書面によって……私を公衆の前で絞首するように提案した理由です。私はドイツ青年の心から罪責の重荷を取除くのに応分の義務を果たしたかった。なぜならこの若い人々は何といってもこの前の戦争中のいろいろな出来事や父親の行動に責任がないのですから。》

 おりがきたとみなして那覇空港に降りたった、旧守備隊長は、沖縄の青年たちに難詰されたし、渡嘉敷島に渡ろうとする埠頭では、沖縄のフェリイ・ボートから乗船を拒まれた。かれはじつのところ、イスラエル法廷におけるアイヒマンのように、沖縄法廷で裁かれてしかるべきであったであろうが、永年にわたって怒りを持続しながらも、穏やかな表現しかそれにあたえぬ沖縄の人々は、かれを拉致しはしなかったのである。それでもわれわれは、架空の沖縄法廷に、一日本人をして立たしめ、右に引いたアイヒマンの言葉が、ドイツを日本におきかえて、かれの口から発せられる光景を思い描く、想像力の自由をもつ。かれが日本青年の心から罪責の重荷を取除くのに応分の義務を果たしたいと、「或る昂揚感」とともに語る法廷の光景を、へどをもよおしつつ詳細に思い描く、想像力のにがい自由をもつ。

 この法廷をながれるものはイスラエル法廷のそれよりもっとグロテスクだ。なぜなら「日本青年」一般は、じつは、その心に罪責の重荷を背おっていないからである。ハーレントのいうとおり、実際はなにも悪いことをしていないときに、あえて罪責を感じるということは、その人間に満足をあたえる。この旧守備隊長が、応分の義務を果たす時、実際はなにも悪いことをしていない(と信じている)人間のにせの罪責の感覚が、取除かれる。「日本青年」は、あたかも沖縄にむけて慈悲でもおこなったかのような、さっぱりした気分になり、かつて真実に罪障を感じる苦渋をあじわったことのないまま、いまは償いまですませた無垢の自由のエネルギーを充満させて、沖縄の上に無邪気な顔を向ける。その時かれらは、現にいま、自分が沖縄とそこに住む人々にたいして犯している犯罪について夢想だにしない、心の安定をえるであろう。それはそのまま、将来にかけて、かれら新世代の内部における沖縄への差別の復興の勢いに、いかなる歯どめをも見出せない、ということではないか?

 長々と引用しましたが、「アイヒマン」と赤松隊長がどのように関連づけて言及されたか、少しはわかりましたか。

 まとめると、

1・曽野綾子さんは大江健三郎さんが「沖縄ノート」でどのようなことを書いているのか、について書く(語る)にあたっては、少し不誠実である(大江さんが書いたとおりに書いたり語ったりしていない)

2・アイヒマンは大江健三郎氏の意識の中では、赤松隊長よりちょっと上の精神を持っている

3・やはり『沖縄ノート』はちゃんと読みましょう

4・大江健三郎氏の法廷証言全テキストが読みたい

 なのです。

 ただ本当に、『沖縄ノート』は、大阪万博の、沖縄がまだ日本に返還されていない当時の時代を背負いすぎているので、その点を考慮して読まなければいけないところです。

 

 これは以下の日記に続きます。

「Corpus Delicti(コーパス・デリクタイ)」の翻訳について(罪の巨塊)

 

[]『野口英世とメリー・ダージス 明治・大正偉人たちの国際結婚』『天狗はどこから来たか』『中世の秘蹟 科学・女性・都市の興隆』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

★『野口英世とメリー・ダージス 明治・大正偉人たちの国際結婚』(飯沼信子/著/水曜社/1,890円)【→amazon

日本女性の伝統的な忍耐と内助の功は物語となりつつある昨今、百年前の異国の女性が日本男子と共に生きたすがすがしい姿を多くの人に知ってもらいたい―。野口英世、高峰譲吉、松平忠厚、長井長義、鈴木大拙。黎明日本を背負った男たちと異国の妻の物語。

天狗はどこから来たか (あじあブックス)

天狗はどこから来たか (あじあブックス)

★『天狗はどこから来たか』(杉原たく哉/著/大修館書店/1,785円)【→amazon

日本を代表する妖怪である天狗。しかし、その正体は、意外にも多くの謎につつまれている。天狗はどのように誕生したのか?天狗の鼻はなぜ高いのか?そもそも、天狗とは何者か?天狗イメージの源流を探り、その誕生の謎を解く、図像学の挑戦。

★『中世の秘蹟 科学・女性・都市の興隆』(トマス・ケイヒル/著 森夏樹/訳/青土社/3,360円)【→amazon

ヨーロッパ中世は「暗黒」ではなかった。科学と人文精神を生み出した沸き立つ坩堝だった。いまだ異質のままだったユダヤ・キリスト教精神とグレコ・ローマン精神とが、その坩堝の中で混ぜ合わされ、新しい知と、女性への畏敬、そして美の感性が登場する―。都市と人物をたどり、歴史の「秘蹟」を描き出す、斬新・秀逸な中世論。いにしえの中世都市を巡り、偉人たちの活躍や思想をのぞき見る、万華鏡のような都市巡礼物語。

 

2007-11-27

[]ブログテキスト作ってて何がムカつくっていうと

 自分の考えたことと同じことを書いていながら、別の人のエントリーのほうがブックマークが多かったりすることですか。曽野綾子氏の誤読のこととか。でもまぁ、これはぼくのテキストに関しても逆に誰かからそう思われているかもしれないので難しい。最近保守派論壇系発言者のおっちょこちょいぶりが妙に気になる。昔からそうだったかな、と思うと、なんか昔からそうだったような気がする。最近ほどネタにはされていなかった(ネタにするほどの影響力もなかった)、というだけのことで。

 まぁそんなことはどうでもいいや。『魔の山』(トーマス・マン)を早いところ読もう。

 

[]2006年に出た本のリストをアップしてみました

 以下のところに、2006年に出た本のリストをアップしてみました。

蔵太の蔵

2006年に出た本リスト(タイトル・著者・出版社・ISBN)(tab形式テキストファイル)

 何冊か2005・2007年のが入ってたりするかもしれないし、ISBNの不明な本もたくさんありますが、まぁだいたい72000点ぐらい出版された、というのが去年の状況。

 今年は、11月中旬で65000点ぐらいなので、ひょっとしたら7万点いかないかもしれない、という感じ。

 ちなみに、手元にある一番古いデータによると、1999年で56000点ぐらいだった。

 以下のところに統計があった。

書籍雑誌の発行点数と売上比率:【 FAXDM、FAX送信の日本著者販促センター 】

年       書籍      書籍対雑誌売上比(金額)

               書籍    雑誌

1999年    65,026 冊     40.4 %   59.6 %

2000年    67,522 冊     40.5 %   59.5 %

2001年    69,003 冊     40.7 %   59.3 %

2002年    72,055 冊     41.1 %   58.9 %

2003年    72,608 冊     40.6 %   59.4 %

2004年    74,587 冊     42.0 %   58.0 %

2005年    76,528 冊     41.9 %   58.1 %

2006年      77,722 冊

 なんかずいぶん違う。コミックスとかムックを入れたり入れなかったりしているせいなのか。それにしても5000点も点数違うのは誤差としては大きい。

 ここんとこ、毎年2000点ぐらい出版される本の点数は増えていて、売り上げは全然増えていない(雑誌は落ちている)というのが最近の状況。売れる本は売れる、というのはまぁ、あちこちのブログの閲覧具合と同じようなものです。

 

[]『図説大江戸さむらい百景』『『性別が、ない!』ということ。』『奪われた記憶 記憶と忘却への旅』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

図説 大江戸さむらい百景

図説 大江戸さむらい百景

★『図説大江戸さむらい百景』(渡辺誠/著/学研/1,575円)【→amazon

将軍・大奥から下級武士まで武家生活のすべて。意外と知らない“侍”の実態を100点の写真・図版・挿絵で詳解。

『性別が、ない!』ということ。

『性別が、ない!』ということ。

★『『性別が、ない!』ということ。』(新井祥/著/ぶんか社/950円)【→amazon

ベストセラー・コミック『性別が、ない!―両性具有の物語』では明かされない、もう一つの顔とは!?両性具有ギャング漫画家が軽妙に綴ったリアル・セクマイ論。

奪われた記憶―記憶と忘却への旅

奪われた記憶―記憶と忘却への旅

★『奪われた記憶 記憶と忘却への旅』(ジョナサン・コット/著 鈴木晶/訳/求竜堂/2,730円)【→amazon

『ローリング・ストーン』誌創刊時からの敏腕インタビュアージョナサン・コットは、危険性を知らされないまま、鬱病治療のため、脳にECT‐電気ショック療法‐を施された結果、15年間の記憶を永遠に失ってしまった。本書は、神経生物学者、老年学者、精神医学者、心理療法学者、宗教家と対話し、人間にとって「記憶」とは何かを追求した貴重な記録。

 

2007-11-26

[]「日経サイエンス」の掲載論文をデータベース化してみる

 以下のところから。

「日経サイエンス」のバックナンバー:日経サイエンス

これは,サイエンスおよび日経サイエンスに過去に掲載された全論文のデータです。

 

1971年10月号〜1974年12月号

1975年1月号〜1979年12月号

1980年1月号〜1984年12月号

1985年1月号〜1989年12月号

1990年1月号〜1994年12月号

1995年1月号〜

 これはすごい。

 ということで、そのデータをもう少し使いやすいように、タブ区切りでデータを加工してみました

 そういうものを置くための場所も、ブログでは少し置きにくいので、fc2の無料ホームページスペースを借りてみた。

蔵太の蔵

「日経サイエンス」論文データベース(1971年10月・創刊号から1996年2月号まで)

 

 個人的には、なんかSFみたいなものを書きたくなったときの資料(発想のヒント)という感じでしょうか。

 実物を読むには国会図書館とかに行かなければならない(行けば多分読める)のが少し不便だけれど、○十年前のアイデアでも使えそうなのがありそうだ。日経サイエンスの場合はミニコラム的なものも拾い読みしているとネタにはなりますが。

 ということで、どうぞご利用ください。

 各人がファイルメーカーとかのデータベースに読み込ませて、「遺伝子」とか「脳」とかで検索すると、面白いものが見つかると思う。

 1996年3月号以降のものも、コツコツ製作中です。

 

[]『桃山・江戸のファッションリーダー 描かれた流行の変遷』『出版業界の危機と社会構造』『映画の中の昭和30年代 成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

★『桃山・江戸のファッションリーダー 描かれた流行の変遷』(森理恵/著/塙書房/2,415円)【→amazon

桃山時代から江戸時代前期の、『十二ヶ月風俗図』『歌舞伎図巻』『洛中洛外図巻』などの肉筆画や、『男色大鑑』などの版本に描かれた挿絵の、服飾表現(主に小袖・振袖の模様)から、服装の流行の変遷とファッションリーダーとして人々の耳目をあつめた小姓や従者の姿を明らかにする。また、日本服装史概説書の整理を行ない、服装史研究の時代背景を明らかにするとともに、さまざまな時代・地域における服装にこめられた人々の思いを知り、それを日々の服装の実践に役立てるものとして服装史を構想することを提案する。

出版業界の危機と社会構造

出版業界の危機と社会構造

★『出版業界の危機と社会構造』(小田光雄/著/論創社/2,100円)【→amazon

『出版社と書店はいかにして消えていくか』『ブックオフと出版業界』の二冊の後をうけ2001〜07年の業界の動きを克明に追いながらその危機をもたらす歴史的な背景を活写する!図版50余点。

映画の中の昭和30年代―成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活

映画の中の昭和30年代―成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活

★『映画の中の昭和30年代 成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活』(片岡義男/著/草思社/2,625円)【→amazon

半世紀前の映画をいま初めて見る。失われた東京、失われた日本。そして高度成長へとひた走った日本。著者一流の視点から、あの時代を鮮やかに読み解く。

2007-11-25

[]『黄色に描かれる西洋人 思想史としての西洋の人種主義』『イリヤ・カバコフ自伝 60年代-70年代、非公式の芸術』『アイビーは、永遠に眠らない 石津謙介の知られざる功績』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

黄色に描かれる西洋人―思想史としての西洋の人種主義

黄色に描かれる西洋人―思想史としての西洋の人種主義

★『黄色に描かれる西洋人 思想史としての西洋の人種主義』(北原惇/著/花伝社/1,680円)【→amazon

自らを「白人」と呼ぶ西洋の人種主義は侵略と植民地化を正当化するエゴイズム。人種をドクマ的に色で表現する西洋の人種主義に変化が現れ始めた。だが西洋という強者と同一視する心理によって西洋文明を受け入れてしまった日本では、西洋の人種主義を何の疑問もなく信じている。「新しい歴史教科書」にもそのことが端的に現れている…。パックス・アメリカーナに組み込まれた日本文化に対する警告の書。

★『イリヤ・カバコフ自伝 60年代-70年代、非公式の芸術』(イリヤ・カバコフ/[著] 鴻英良/訳/みすず書房/5,670円)【→amazon

友人たちがわけもなく逮捕され、どこかへ消えてしまうことの恐怖。地下芸術家たちの日常は、しかしマグマのエネルギーを培っていった。封印された未知の世界に、生命を吹き込む巨匠の証言。

アイビーは、永遠に眠らない―石津謙介の知られざる功績

アイビーは、永遠に眠らない―石津謙介の知られざる功績

★『アイビーは、永遠に眠らない 石津謙介の知られざる功績』(花房孝典/著/三五館/1,575円)【→amazon

本書は、知られざる石津謙介の素顔を交えながら、日本のカルチャー・シーンに今なお影響を与えている石津の功績を丹念に拾い上げ、分析した「石津本」の集大成となった。

2007-11-24

[]『渋谷百軒店ブラック・ホーク伝説』『カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化』『ミステリと東京』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

渋谷百軒店ブラック・ホーク伝説 (CDジャーナルムック)

渋谷百軒店ブラック・ホーク伝説 (CDジャーナルムック)

★『渋谷百軒店ブラック・ホーク伝説』(/音楽出版社/2,000円)【→amazon

ブラック・ホークとは…●1960年代の末になって、東京の街にはぽつりぽつりとロック喫茶ができはじめた。新宿の「ソウル・イート」、吉祥寺の「ビバップ」「赤毛とソバカス」など、数は少なかったが、大卒の初任給が3万円ほどで、レコード(アルバム)が2500円前後だった当時、英米のロックの最新盤が聴ける店は貴重な存在だった。高円寺の「ムーヴィン」も、当初はフリー・ジャズの店だったが、69年頃にロック喫茶に衣替えした。●同じようにして、ジャズからロックへという転身を歩んだのが、渋谷・百軒店にあった「ブラック・ホーク」である。ブラック・ホークがロック主体になったのもやはり69年頃だが、ムーヴィンの主だった和田博巳は「ブラック・ホークをお手本にした」と言っているから、脱ジャズは少し早かったのだろう。●ブラック・ホークは、もともとは「DIG渋谷店」だった。DIGはカメラマンでもある中平穂積が新宿二幸裏で始めた本格派のジャズ喫茶で、その2店舗目、渋谷支店がDIG渋谷店だった。古時計などのアンティーク類が多数飾られた木質のインテリアとかつての名曲喫茶を受け継いだ「私語禁止」がDIGの特徴だったが、それだけでなく時代の先端を行く前衛派のジャズの紹介などについても積極的で、硬派のファンを集めた。●そのDIG渋谷店で事件が起こったのは、1968年の冬だった。ある夜、ジャズ喫茶の心臓部ともいうべきレコード・コレクションがごっそり盗難にあったのである。オーナーの中平は激怒した。それだけでなく、渋谷という街に愛想をつかした。彼は店を売ることを決意した。それを買ったのが水上義憲で、「ブラック・ホーク」はそれによって誕生した。●ブラック・ホークは、インテリアやオーディオ装置など、店の什器一切をDIG渋谷店から引き継いだが、それだけではなかった。1965年からDIG渋谷店でレコード係をつとめていた松平維秋(のちロック評論家)も、そのまま新店に移籍した。彼はレコード・コレクションの方向づけなど、いわば企画マンとして店をきりもりしていくことになる。●百軒店は、60年代初頭から複数のジャズ喫茶が軒を並べた、個性的な一角だった。老舗の「オスカー」をはじめ、「ありんこ」「スイング」「ブルーノート」「SAV」そして「DIG渋谷店」。ここは関東大震災のあとに銀座などの店の臨時営業場所として急造された人工の町だったが、映画館も複数あり、60年代には「映画とジャズを楽しむ町」といった趣が濃かった。70年代に入ると、ライヴ・スペースを持つロック喫茶「BYG」も加わった。●その中にあって、ブラック・ホークは、きわめてユニークな存在だった。のちになって、店長格だった松平維秋自身が書いている。「だが六九年からの一〇年ほど、このスペースには特別な空気が満ちていた。世間的な分類では、ブラック・ホークはロック喫茶である。ところがその空気は、ロック喫茶らしさからは外れていて、プレイされる音楽が、席を埋める客たちの体に染み込んでいく光景は、いつも静謐といってよかった。そしてその音楽を他所で、たとえばラジオから聴く、ということはまずないのだった。 なぜかというと、ブラック・ホークの音楽は、世間の流行に同調することがなかったからだ。ロック=音量主義の七〇年代初頭には、個人レベルのコミュニケイションを重視してアコウスティック路線をとった。西海岸の音楽が一般化するころには、ゴスペル色の濃い南部のロックに力を入れ、シンガー&ソングライターにブームが兆せばイギリスの古謡をうたう人達に光をあてた。ヘソまがりではなく、わずか五〇人で満席のスペースは、つねに専門店的な使命を帯びるべき、という考えからだった。そこでは何年後かに、“幻の名盤”となるレコードが、幻ではなくリアル・タイムで流れつづけた。」(渋谷道玄坂百軒店界隈、85)●「専門店的な使命」という観点で特筆されるべきことは、この小さなスペースがおそらくは日本ではじめての「ブリティッシュ・トラッド」の紹介を積極的に行ったことだった。70年代の半ばのことである。もともと、ブラック・ホークは鈴木慶一や南佳孝などミュージシャンが多く集まる店だったが、「どんな音楽を提供するか」という面でも、数ある音楽喫茶で群を抜いてユニークな存在だった。「トラッド愛好会」などのグループもここから生まれ、トラッドはここから静かに広まっていった。●本書は、そんなブラック・ホークが歩んだ足どりをまとめ、本というメディアに定着されたメモリアルとなるものにしたい。

カメのきた道―甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス)

カメのきた道―甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス)

★『カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化』(平山廉/著/日本放送出版協会/966円)【→amazon

中生代の地球で、恐竜は巨大化の道を選び地球上を制覇したかに見えた。一方、哺乳類は一日食物をとらないと生死にかかわるという高代謝を選択し、餌獲得のために知能を発達させ、次の主役となった。しかしカメは第三の道である低代謝を選択し、餌がなければ1ヶ月以上でも待つことができる体を獲得した。その結果、ガラパゴスゾウガメは200歳を超える寿命の固体も確認されている。あわただしく攻撃的に生きる40年(自然状態でのサルの寿命)とゆっくり打たれ強く生きる200年のどちらに価値があるかはだれにも決められない。地球生命を相対化する視点から語る、意欲的なカメの進化学入門。

ミステリと東京

ミステリと東京

★『ミステリと東京』(川本三郎/著/平凡社/2,520円)【→amazon

久生十蘭、中井英夫、松本清張から、島田荘司、宮部みゆき、恩田陸まで、東京を舞台とした多彩な人気ミステリ小説を糸口に、巨大な犯罪都市・「東京」を鮮やかに読み解く―。

2007-11-23

[]『昭和前期の青春 山田風太郎エッセイ集成』『昭和テレビ風雲録 わがままカメラマンが行く!!』『虚構将軍石原莞爾』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

★『昭和前期の青春 山田風太郎エッセイ集成』(山田風太郎/著 日下三蔵/編/筑摩書房/1,890円)【→amazon

大破滅に向かって進行する昭和前期は、国家や歴史の恐ろしさをまざまざと見せつける時代だった。戦時下で青春時代をすごした著者はこの戦争をどう見るのか。「『戦中派不戦日記』から三十五年」「ドキュメント・1945年5月」「僕の危機一髪物語」など単行本初収録エッセイの逸品。

★『昭和テレビ風雲録 わがままカメラマンが行く!!』(秋場たけお/著/扶桑社/1,785円)【→amazon

時代を画した名カメラマンが描き出す激動のテレビ黄金期!、石坂浩二、武田鉄矢など、計27人の貴重なインタビューを収録。すべてが熱かったあの頃の、知られざるエピソードが満載。

虚構将軍石原莞爾

虚構将軍石原莞爾

★『虚構将軍石原莞爾』(泉章四郎/著/文芸春秋企画出版編集室/1,680円)【→amazon

貴重な証言と緻密な資料の分析で描く“天才”と呼ばれた将軍の実像。

2007-11-22

[]『ネブラスカ魂』----アラン・ラッドの身長が気になって気になって

 映画の情報はこちら。

ネブラスカ魂 - goo 映画

あらすじ ネブラスカ魂 - goo 映画(ストーリーの結末が記載されていますのでご注意ください)

 鉄道保安官、っていうのかな、まぁ鉄道関係の犯罪者を扱う職業の、俗称ウィスパー・スミス(囁きのスミス=アラン・ラッド)が、昔の友人であるマレイ(ロバート・プレストン)の悪党の仲間入りに対して同情したり、その妻マリアン(ブレンド・マーシャル)とあれこれある話。ネブラスカというとサウスダコタとカンザスの間に位置する州で、風景があまりホコリっぽくなくて美しい。話も、牛追いではなく列車強盗なのが「西部劇」としての歴史としてはもう後期・末期なのがわかります。しかし話はかなり滅茶苦茶で、その滅茶苦茶な話に半端な悪党マレイのルックスが実に合っているという、B級西部劇のお手本のような映画でした。列車を転覆させて荷物を奪うという、いくら悪党でもそれで生計を立てていくのは大変だろうというバカ犯罪を繰返し、事故シーンに重ねてマレイの高笑いが映像として重なる、という、1970〜80年代後半にまで至るB級アクション映画の元祖みたいな演出が心から笑えます。でもって気になるのはヒーローのアラン・ラッドと、ヒロインとの身長差をどうやって映像でゴマかしているか、というところで、もう、二人が並んで歩いたりするところなどは足元なんて映したりしないんだよね。1948年製作のカラー映画で、セットその他も含めてそれなりに金がかかっている、にもかかわらずたまらなくB級な作りは、平日の昼間の12チャンネルで大幅にはしょって放映されるにうってつけの映画という感じでした。悪口を言っているわけではなく、こういう映画を俺はひょっとしたらけっこう望んでいるのかもしれない、という感想です。

 

[]『ロリータ、ロリータ、ロリータ』『ウイスキー通』『ニッポンの「兵士」たち』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

ロリータ、ロリータ、ロリータ

ロリータ、ロリータ、ロリータ

★『ロリータ、ロリータ、ロリータ』(若島正/著/作品社/2,520円)【→amazon

画期の新訳『ロリータ』を世に問い、絶賛を博した著者が、満を持して書き下ろす決定版『ロリータ』論、遂に刊行!ナボコフが張りめぐらせた語り/騙りの謎の数々がいま、稀代の読み手の緻密な読解によって、見事に解き明かされていく。知的興奮と批評の醍醐味が溢れる衝撃の一冊。

ウイスキー通 (新潮選書)

ウイスキー通 (新潮選書)

★『ウイスキー通』(土屋守/著/新潮社/1,260円)【→amazon

アメリカンやカナディアン・ウイスキーの歴史は、建国の歴史でもある。18世紀、イギリスからの移民たちがライ麦を原料に蒸留酒を作ったのが新大陸での本格的なウイスキーづくりの始まりだった…。世界的ウイスキー・ジャーナリストが、今まで紹介されることのなかったアメリカとカナダのウイスキーを詳述。また、スコッチの最新事情やアイリッシュ、ジャパニーズの歴史と現状も詳説した、ウイスキー好きにとって待望の一冊。

ニッポンの「兵士」たち

ニッポンの「兵士」たち

★『ニッポンの「兵士」たち』(三島正/写真・文/時事画報社/1,890円)【→amazon

自衛隊を巡る旅は、日本を知る旅でもあった。足掛け15年にわたり取材・撮影した渾身のドキュメント。

2007-11-21

[]『荒野の決闘』----これは普通に面白かった

 例によって映画の基礎情報はこちら。

荒野の決闘 - goo 映画

あらすじ 荒野の決闘 - goo 映画(ストーリーの結末が記載されていますのでご注意ください)

 あと、こちら。

荒野の決闘 My Darling Clementine

 ドク・ホリディとワイアット・アープが話のメインとなっている「OK牧場の決闘」というのは、西部劇を知らない人でも名前ぐらいは知っているとは思いますが、これは実際に起きた決闘(銃撃戦)に、アープ兄弟が「クラントン一家」に牛を盗まれたとか、ドク・ホリディを慕う元看護婦のクレメンタインとかを筋に絡めてフィクション化(ロマンス化)したいい話でした。賭博師ドク・ホリディ(ヴィクター・マチュア)の登場シーンが渋すぎ・カッコよすぎです。基本的にはワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)が主役の映画なんですが、そんなわけで目線はドクのほうに。肺を悪くして東部の都会を離れ、無宿者になる、それでも部屋の壁には医師の免許証や彼女の写真が貼って(置いて)ある、インテリヤクザなドクのデカダンというか破滅型の性格。それに対して牛泥棒のせいで全財産を失いながらも真面目で呑気にトゥームストーンという西部の田舎町に保安官としてその地位を固めていくワイアット・アープとその兄弟。ラストの決闘シーンにおけるカットのメリハリのつけ具合も見事で、これはやはり古典的(非現代的)名作と言うに価する映画じゃないでしょうか。10年ごとに見返したくなるぐらいのいい話です。

 

[]『洲之内徹 絵のある一生』『戦火のバグダッド動物園を救え 知恵と勇気の復興物語』『小説道場』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

★『洲之内徹 絵のある一生』(洲之内徹/ほか著 関川夏央/ほか著 丹尾安典/ほか著 大倉宏/ほか著/新潮社/1,680円)【→amazon

小林秀雄が「当代一の評論」と称賛した型破りの“美術批評家”にして風変わりな“画廊経営者”、そして破天荒な“生活者”…そのような“自画像”を14年間にわたって「芸術新潮」に書き綴った私小説的連載「気まぐれ美術館」は、突然の死によって中絶を余儀なくされた。あれから20年、74年間の数奇な生涯を今、見直せば、絵を見ることは絵を経験することであり、すなわち自らの生を全うすることなのだという烈しい精神のかたちが立ち現れてくる。洲之内徹とはいったい何者だったのか。

★『戦火のバグダッド動物園を救え 知恵と勇気の復興物語』(ローレンス・アンソニー/著 グレアム・スペンス/著 青山陽子/訳/早川書房/2,100円)【→amazon

バグダッド陥落後、貧窮した市民たちが市の中心にある動物園を略奪しているという。南アフリカの自然保護活動家である著者は、何か役に立ちたいと単身イラクへ乗り込むが、そこで目にしたのは想像を絶する悲惨な光景だった。大半の動物は殺されて食べられ、ライオン、クマなど残された動物たちも、不衛生な檻で飢えと渇きのなかにいた。園内は戦火と略奪で破壊され,水を汲むバケツにいたるまで盗まれていた。混乱と危険のなか、知恵と機転で餌や物資を入手し、地元のスタッフやアメリカ軍と協力しながら、少しずつ動物園を立て直す著者。しかし、問題はどんどん増えるいっぽうだった…戦争に巻き込まれた罪なき動物たちを救うべく奮闘する著者の情熱があふれる感動のノンフィクション。

小説道場

小説道場

★『小説道場』(森村誠一/著/小学館/1,890円)【→amazon

「高層の死角」「腐蝕の構造」「人間の証明」…幾多のベストセラー作品を世に送り出して42年、著作350冊を超えた今もなお“小説峰”の山頂を極め続ける著者が“よき書き手、いい読み手”になる法を実践的指南。

2007-11-20

[]ダイオキシンに厳しい、九州大学の長山淳哉氏に少し興味を持ちました

 以下のところから。

[魔法使いな日々] - 2007/11b Diary

(前略)

 そんな中,こちらの記事から「ダイオキシンは怖くないという嘘」という本の存在を知ったわけですが,今どきダイオキシンでこれだけ騒げるというのはある意味大物だなぁ,と思って思わず著者の名前でぐぐってみたり。

 で,引っかかってきたのがこの辺だったりとか(^^;

メディア・学者の無知が生む恫喝(市民のための環境学ガイド)

 読んでみたい気はするんだけど,買う気はあんまりしないなぁ(^^; どっかの図書館にないかしら?(ぉ

 ボジョレー・ヌーボー吹いた。

長山淳哉 - Google 検索

メディア・学者の無知が生む恫喝(市民のための環境学ガイド)

PCB恫喝 市民のための環境学ガイド

C先生:以上で、北九州のPCB処理をめぐっての林田雅浩氏の記事の話は終わりだ。

 ところが、もう一つ記事があって、それがなんと油症研究班の一員だった九州大学助教授長山淳哉氏が主人公なんだ。長山氏は、油症患者の肝がん死の確率が、5.6倍も高いと著書に書いているらしいが、そのデータはどこを探しても出てこないそうだ。

A君:この小倉タイムスの記事ですか。長山氏曰く、「PCBを積んだタンクローリーが転覆したら、住民は全員移住ですよ。そこにはもう住めません」。

C先生:それがPCB処理施設反対派の論拠を与えることになった。

B君:PCBを積載したタンクローリーが転覆して、PCBが数トンも流れ出ることがあれば、それは結構大事かもしれない。しかし、急性毒性が高い訳ではないから、落ち着いて、防護を考えながら除去作業に従事すれば良い。その後、土壌汚染の大規模処理は必要になるだろうが。

C先生:大体、そんなことが起きないように対策を練るのだ。世の中、タンクローリーがそんなに転覆しているか。処理すべきPCBは、全部で5万トン。原油の消費量は、2.5億トン/年で、原油からできる製品のかなりの部分がタンクローリーで運搬されている。

A君:PCBですから、ガソリンよりは厳重な積載方式を取るでしょう。

B君:誰かがPCBジャックでもやらない限り、PCBがぶち撒かれる可能性は極めて低い

A君:長山氏は、その講演会で参加者からの、「20〜30年前、PCBは普通に使われてきたのに、その何が怖いのか」、という極めてもっともな質問に対して、「何が起きるか分からないことが怖い」と答えたそうです。

C先生:さる学会の場で長山氏の講演を聴いて質問をしたことがある。そうしたら、なんと「ノーコメント」という回答だった。学会の場で「ノーコメント」は無いだろう。学者としての良識が無い人間だという印象だった。

 今回の記事を見ると、長山氏には、恐らく、リスク管理などという発想が皆無なのだろう。多少、PCB、ダイオキシンに対する知識があるかもしれないが、渡辺先生の指摘によれば、そのデータソースは怪しいらしい。環境を語るには、全体を見渡してバランスの良いリスク管理とは何かについての何か直感があることが条件だが、長山氏にそれは無いということが証明された記事だと言えるだろう。まあ、環境音痴だ

A君:無知ではなく音痴ですか。

B君:まあ同じこと。環境音痴が結果的に市民を恫喝している

C先生:メディアは、それなりの商売だから、ある程度のセンセーショナリズムは仕方が無い部分がある。しかし、学者がなぜセンセーショナリズムにハマルのか。有り得る理由は、(1)それで研究予算が取れる場合がある、(2)良心を殺してでも目立ちたい、とか、(3)新聞に出ると偉くなった気分になれる、といったところまでは理解できるのだが、これでは解釈が不十分のような気がする。どうもそれ以外にもあるに違いない。しかし、全く理解できない。

 ちょっとこの、「PCB処理施設反対派の論拠を与え」ている「長山淳哉」氏の記事(元テキスト)が見当たらなかったので、本日は「魔法使いな日々」の人の情報提供に依拠してみました。

 ダイオキシンがどのくらい危険なのか(危険でないのか)は、たとえば以下のところなどを参考に。

ダイオキシンの危険性神話

 世の中には危険がたくさんあるが、ダイオキシンは比較的安全なようである。怖いのはそれを武器に扇動するマスコミではないだろうか?人の健康に関することは、もう少しバランス感覚を持つ必要がある。ダイオキシンを取りたくないために多量の水銀を取るようなことはしてはならない。また、たばこ一本を吸うと100pg-TEQのダイオキシンを取り込んでしまう。たばこを吸いながらのダイオキシン反対運動は慎んだ方がよい。

「劣化ウラン弾」と違って、政治的にその使用を利用している人はあまり目立たないのですが、一部で言われているほど危険なものではない、というのもある種定説です。

 ということで、以下の本をちゃんと読んでから、この件に関してはまた何か言うかも知れません。

ダイオキシンは怖くないという嘘

ダイオキシンは怖くないという嘘

★『ダイオキシンは怖くないという嘘』(長山淳哉/著/緑風出版/1,890円)【→amazon

 塩(塩化ナトリウム)の致死量も、数百グラムという感じなので、割と怖いかも知れない。

  

[]『幸福大国ブータン 王妃が語る桃源郷の素顔』『雑誌記者向田邦子』『ヴィクトリア女王 大英帝国の"戦う女王"』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

★『幸福大国ブータン 王妃が語る桃源郷の素顔』(ドルジェ・ワンモ・ワンチュック/著 今枝由郎/訳/日本放送出版協会/2,205円)【→amazon

国民の約97%は幸福である(2005年の国勢調査より)。40年前には国土の5割以下だった森林面積が、7割以上に回復。…その国は、ブータン。経済成長ではなく「国民総幸福」を国の指標とし、独自の「豊かさ」を築くブータン。この幸福大国に生まれ育った第四代国王王妃が、知られざる祖国の素顔を、少女時代の思い出や年中行事、ブータン人の死生観などを通じて感性豊かに描く。

雑誌記者 向田邦子

雑誌記者 向田邦子

★『雑誌記者向田邦子』(上野たま子/著/扶桑社/1,575円)【→amazon

知られざる人気作家の若き記者時代。同僚だった無二の親友が綴る、銀座、映画、恋…の日々。

ヴィクトリア女王―大英帝国の“戦う女王” (中公新書)

ヴィクトリア女王―大英帝国の“戦う女王” (中公新書)

★『ヴィクトリア女王 大英帝国の"戦う女王"』(君塚直隆/著/中央公論新社/903円)【→amazon

植民地を世界各地に築き、「太陽の沈まない帝国」と呼ばれた19世紀イギリス。18歳で即位し、この繁栄期に64年間王位にあったのがヴィクトリアである。後に「君臨すれども統治せず」の確立期と言われ、女王の役割は小さいとされたが、実態は違う。自らの四男五女で欧州各王室と血縁を深めた女王は、独自外交を繰り広げ、しばしば時の政権と対立した。本書は、全盛期の大英帝国で、意思を持って戦い続けた女王の実像を描く。

2007-11-19

[]『赤い河』--ピカレスクなオレ様ジョン・ウェイン

 ちょっと西部劇という映画のジャンルに興味を持って、ある程度まとまった本数、そうだな、100本ぐらいを目標に見てみようかと思った。どうもぼくの記憶では、かつて成功して、完結したいちジャンル、たとえて言うなら都電のようなものとして存在しているのですね、西部劇というのは。さらにその記憶には、あまり駄作がなかったように美化されている。もちろん映画館で封切り映画をバリバリ見ていた年では(さすがにぼくも)ないので、ビデオとかで数本を見た限りの記憶ですが。で、以下の本を参考に↓

大いなる西部劇

大いなる西部劇

★『大いなる西部劇』(逢坂 剛 (著), 川本 三郎 (著)/新書館/2,415円)【→amazon

西部劇を愛する2人が、名作からB級作品の細部までたっぷり語り合う。貴重図版多数、データも充実。戦後日本で公開された西部劇映画の作品リスト・作品名索引付き。

 最初にこんな映画を見てみた。

赤い河 - goo 映画

あらすじ 赤い河 - goo 映画(ストーリーの結末が記載されていますのでご注意ください)

 ハワード・ホークス監督の古典ですね。古典すぎてどう評価したらいいのか今の人間にはよくわからない。主人公のダンスン(ジョン・ウェイン)はいきなり人の土地を掠奪して牧場にしてしまい、牛追いの途中からヒーローは養子のマシュウ(モンゴメリイ・クリフト)に明らかに変わってしまう。宗教映画とか史劇映画のパロディなのか、その割にはみんなシリアスにやっているので、聖書の出エジプト記とかが元ネタなのか、とか、そういうモノの知識が欠如しているぼくは思ってしまいました。ハワード・ホークスが『三つ数えろ』(1946年)の次に作った映画(1948年)ということで、少し納得してしまう部分がある。これはどうも主人公に感情移入して見てはいけない映画の一つなんじゃないだろうか。ある種前衛で、フィルムノワールとかヌーベルバーグとかがお好きな人におすすめの、西部劇ファンにはおすすめできそうにないステキな映画でした。あと牛好きな人にもおすすめです。もう、CGじゃない生の牛がこんなに出て来る映画なんて信じられない。画面いっぱいに牛だらけ、牛まみれになるという、ハリウッド・バビロンの底力がすごいです。スタンピードはおそろしい。

 ちなみに、カウボーイたちが牛を売った「カンサス州のアビリーン」とはこんなところ。

アビリーン (カンザス州) - Wikipedia

アビリーンは、1857年に設立された。名前は新約聖書から取られており、平原の都市という意味を持っている。カンザスシティの西にある最も大きな家畜の集積地として町は急速に発展し、流れ込んだ荒くれ者により、西部でもっとも荒れた町の1つになった

1871年4月、ワイルド・ビル・ヒコックが保安官になった。しかし、フィル・コーとの銃撃戦で友人の保安官であるマイク・ウィリアムを偶然に射殺してしまい、12月に保安官の任務を解かれた。

 アメリカ合衆国の真ん中にある町です。2000年の国勢調査によると、総人口は6,543人

 

[]『皇子たちの南北朝 後醍醐天皇の分身』『ダイオキシンは怖くないという嘘』『水平線までの距離は何キロか? 文系でも楽しめる「およそ数学」の世界』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

皇子たちの南北朝―後醍醐天皇の分身 (中公文庫)

皇子たちの南北朝―後醍醐天皇の分身 (中公文庫)

★『皇子たちの南北朝 後醍醐天皇の分身』(森茂暁/著/中央公論新社/980円)【→amazon

後醍醐天皇の夢の実現のため、命さえ惜しまず働く尊良、世良、宗良、恒良、成良、義良、護良、懐良らの皇子たち―はじめは討幕計画の推進者として、のちには各地の南朝軍の旗頭として果敢に戦い、南北両朝統合に至る激動の時代に全青春を費やす―彼らの姿をとおして、新たな南北朝史を描く一冊。

ダイオキシンは怖くないという嘘

ダイオキシンは怖くないという嘘

★『ダイオキシンは怖くないという嘘』(長山淳哉/著/緑風出版/1,890円)【→amazon

ごみ焼却場などからのダイオキシン汚染が深刻化するなかで、汚染対策を強く求める国民の声に押されて、議員立法でダイオキシン対策法が成立、国もようやくここ10年、ダイオキシン対策に取り組んできた。ところが一方で、こうしたダイオキシン対策は無駄、ダイオキシン法は悪法であるとか、ダイオキシンは恐くない、といった論調の本が次々と出版され、新聞までもが好意的な評価を加える事態となっている。このままでは、ダイオキシン問題をミスリードしかねない。本書は、ダイオキシンは恐くない、環境ホルモン問題は空騒ぎ、ダイオキシン法は悪法という嘘を立証するため、その中心的論客である、中西準子(産業技術総合研究所化学物質リスク管理センター所長)、渡辺正(東京大学生産技術研究所教授)、林俊郎(目白大学人間社会学部教授)、安井至(国連大学副学長)ら各氏の論調を詳細に取り上げ、彼らの主張がいかに科学的に間違っているかを明らかにする。

水平線までの距離は何キロか?

水平線までの距離は何キロか?

★『水平線までの距離は何キロか? 文系でも楽しめる「およそ数学」の世界』(沢田功/著/祥伝社/1,365円)【→amazon

「およそ」で充分!数学的思考法で、身近な世界が面白くなる飛行機雲の長さは何キロ? 光の明るさって何? なぜ地球の重さがわかる? 万有引力の法則って何?……………「およそ数学」とは………………?厳密な「=(イコール)」計算にこだわらず、「およそ」のところで計算して、ある条件の下での妥当な答えを使って、現実の現象を理解する方法。物理学でよく使われる、「近似計算」のこと。学校教育の「イコール文化」で、数学や物理がすっかり苦手になってしまった人でも、「およそ文化」を知れば、身近な現象から数学や物理の楽しさを再発見できます。

 

[]2007年06月に出た読みたい本

 2007年06月に出た読みたい本のリスト。

 今までのリストはこちら。

2007年01月に出た読みたい本

2007年02月に出た読みたい本

2007年03月に出た読みたい本

2007年04月に出た読みたい本

2007年05月に出た読みたい本

 07〜10月の分も近いうちに整理します。

 リストはNDC分類順です。


★『江戸の武士の朝から晩まで』(歴史の謎を探る会 編/河出書房新社/540円)【→amazon

何を食べていた?給料はどのくらい?恋愛、結婚は?トホホな下級武士から贅沢三昧の上様まで、江戸の侍たちの暮らしぶりを細見!あぁ、今も昔も、サラリーマンの悲哀は変わらない。


★『誰もが気になっていた飛行機の大疑問』(謎解きゼミナール 編/河出書房新社/540円)【→amazon

必ず機体の左側から搭乗するのはなぜ?パイロットのトイレはどこにある?…など、飛行機をめぐる謎や不思議を一挙解決。空の旅の楽しさが急上昇の博学本。


★『西洋音楽から見たニッポン―俳句は四・四・四』(石井 宏 著/PHP研究所/1,575円)【→amazon

音楽を通じて再発見する日本語の美しさと日本人の感性。第13回山本七平賞受賞著者による斬新な日本人論。


休日は、骨董 (祥伝社新書)

休日は、骨董 (祥伝社新書)

★『休日は、骨董』(細矢 隆男 著/祥伝社/819円)【→amazon

日本人は、美術好きで歴史好き。この二つを満足させてくれるのが、骨董の世界だ。自慢できる骨董の一つくらいは私も、と考える人が増えている。ただ、海千山千の骨董商に贋物やハズレをつかまされるのではないかという不安もあろう。せめて悪い業者を見極めるコツを頭に入れておけば、被害は少ないはずだ。数多く現物に触れ、まず買ってみるのが、上達への早道だ。さまざまな魅力的な骨董と出逢えて、手軽に参加もできるのが、骨董市である。当日は朝早くから出掛けるため、前日は早々に就寝。一日中歩き回って、食欲も旺盛。中高年を元気にさせてくれる骨董市の楽しさをお届けします。


TOKYO図書館日和

TOKYO図書館日和

★『TOKYO図書館日和』(冨澤 良子 著/アスペクト/1,575円)【→amazon

公立の総合図書館や博物館、美術館に併設している図書館を中心に、個性ある蔵書が魅力的で、建物、空間、雰囲気など、読書以上にも楽しめるような図書館を選んだ、図書館ガイドブック。


旅する理由

旅する理由

★『旅する理由』(山口 由美 著/千早書房/1,575円)【→amazon

人はなぜ旅に出るのだろう。幻の蘭が咲くボルネオの熱帯雨林、ナミビアで見た砂漠の中のダイヤモンドエリア、ロックフェラーの息子が消えた魔境のニューギニア、旅人たちが愛した「美しい日本」…。物語をめぐる旅の果てに辿り着いた、旅する作家の「原点」とは。


ドゥルーズ・映画・フーコー

ドゥルーズ・映画・フーコー

★『ドゥルーズ・映画・フーコー』(丹生谷貴志/著/青土社/2,520円)【→amazon

自ら命を絶った“生の哲学者”ドゥルーズ。病への治療を拒否して逝った“生=権力の考古学者”フーコー。現代を代表する二人の哲学者の全思想を「世界は映画である」というテーゼの上で出会わせ、死と崩壊へ向かう生の過程を凝視する新しい哲学を提示する。“崩壊以後”の映画としてのイーストウッド論を増補。


私たち、日本共産党の味方です

私たち、日本共産党の味方です

★『私たち、日本共産党の味方です。』(筆坂秀世/著 鈴木邦男/著/情報センター出版局/1,260円)【→amazon

なぜ共産党はほぼ全選挙区に候補者を出すのか?共産党員はどんな生活をしているのか?今、共産党は国をどう変えたいのか?何を目指しているのか?元・最高幹部に右翼の論客・鈴木邦男が、党への疑問を問いかける。語られなかった共産党のリアルとこれから。


生き残る生物 絶滅する生物

生き残る生物 絶滅する生物

★『生き残る生物絶滅する生物』(泰中啓一/著 吉村仁/著/日本実業出版社/1,470円)【→amazon

カタツムリの「右巻き」「左巻き」って何?なぜトンボは2匹くっついて飛ぶの?オスからメスになる魚がいる?怠け者の働きアリがいるわけは?生物の不思議な生き残り戦略を大紹介。


マンガ狂につける薬 下学上達編 (ダ・ヴィンチブックス)

マンガ狂につける薬 下学上達編 (ダ・ヴィンチブックス)

★『マンガ狂につける薬 下学上達篇』(呉 智英 著/メディアファク/1,260円)【→amazon

“下学上達”とは論語から生まれた「身近なものから学び、次第に深遠な学問にたどりつくこと」を意味する言葉。稀代の論語狂、呉智英の手により、マンガが人生の深遠への入り口に変わる。


★『お伽の国―日本 海を渡ったトルストイの娘』(A.トルスタヤ 著 ふみ子 デイヴィス/群像社/2,100円)【→amazon

文豪レフ・トルストイの末娘として貴族の家柄に生まれ、父の死出の旅に立ち会ったアレクサンドラ。戦争、革命、投獄、母の死をのりこえ、革命後のソ連に絶望して日本に脱出したアレクサンドラが、アメリカに亡命を決意するまでの二年近くを過ごした昭和初期の“お伽の国”。


★『「数」の日本史 われわれは数とどう付き合ってきたか』(伊達宗行/著/日本経済新聞出版社/900円)【→amazon

「ひい、ふう、みい」はいつ頃から「いち、に、さん」に変わったのか?九九が日本人の常識になった時期は?縄文から現代まで日本の数文化を形作ってきた様々な場面を、独自の視点から明快に読み解いた、知的冒険の書。


歌姫あるいは闘士 ジョセフィン・ベイカー

歌姫あるいは闘士 ジョセフィン・ベイカー

★『歌姫あるいは闘士 ジョセフィン・ベイカー』(荒 このみ 著/講談社/1,890円)【→amazon

1920年代、パリを熱狂させた「野生の踊り」。ナチ占領下、自由フランスの戦士。米政府を敵に回し、公民権運動を大支援。肌の色、宗教の異なる12人の養子からなる「虹の部族」のママン…。無一文の踊り子が、世界一の金持ちとなって、破産し、ステージで死ぬまでの68年10ヵ月。


知ればトクする天気予報99の謎 (二見文庫)

知ればトクする天気予報99の謎 (二見文庫)

★『知ればトクする天気予報99の謎』(ウェザーニュース 著/二見書房/630円)【→amazon

気温差情報で1月に冷やし中華を売ったコンビニの戦略、意外!空の80%が雲で太陽がなくとも「晴れ」!!道路凍結の目安は気温0℃ではなく3℃、降水確率の不思議!確率0%なのに、なぜ雨が降る?等々、全99項目。


★『お江戸の意外な商売事情 リサイクル業からファストフードまで 』(中江 克己 著/PHP研究所/650円)【→amazon

当時としては人口世界一を誇った100万都市江戸。城を中心に武士が住み、庶民が生活していた江戸は、大阪とはまた違った、消費都市の顔を持っていた。それは、食べ物、娯楽、ファッションに始まり、現在でいう情報産業、リサイクル業など、実にさまざまな商売が生まれ、都市生活を支えていた。本書は、10分野に分けて、新商売、珍商売の数々を紹介した江戸学入門本である。


江戸は心意気

江戸は心意気

★『江戸は心意気』(山本 一力 著/朝日新聞社/1,260円)【→amazon

商人の知恵、職人の技、そして武家の誇り―したたかな江戸の気骨がそこにある!一力節が冴えわたる著者初の歴史エッセイ集。幻の掌篇小説二作も単行本初収録。


変な映画を観た!! (ちくま文庫)

変な映画を観た!! (ちくま文庫)

★『変な映画を観た!!』(大槻 ケンヂ 著/筑摩書房/714円)【→amazon

大槻ケンヂが目撃した変テコ映画を一挙公開。カルト、怪獣、エロ、不条理、狂気…。知られざる必笑ムービーから爆眠必至の文化的作品の意外な見どころまで。オーケン・セレクション・シネマを、ご案内。三留まゆみのイラスト多数。


★『読書通-知の巨人に出会う愉しみ』(谷沢 永一 著/学習研究社/777円)【→amazon

その名は耳遠いながらも、近現代日本の知の世界を築いた十二人の著作家たち。その抜きん出た業績を、今改めて問う。


漱石の夏やすみ (ちくま文庫)

漱石の夏やすみ (ちくま文庫)

★『漱石の夏やすみ』(高島 俊男 著/筑摩書房/819円)【→amazon

第一高等中学校時代の夏やすみ、友人たちと房総を旅行した夏目漱石が帰京後、郷里松山で静養する級友正岡子規に宛ててつづった漢文紀行。題して『木屑録』という。「漢文」であるがゆえにあまり知られなかったこの作品の諧謔にみちた味わいを、軽妙自在な名訳であきらかにし、子規との若き日の交友や日本人の「漢文」観にも説きおよぶ興趣つきない一冊。


★『われわれはみな外国人である 翻訳文学という日本文学』(野崎歓/著/五柳書院/3,675円)【→amazon

翻訳は日々あたらしい。今、読者に伝わる言葉は、どう創られるのか。プルースト、ジッドから現代の小説家まで、著者が、その作品の魅力を縦横に綴ったオマージュ集成。


ネットはテレビをどう呑みこむのか? (アスキー新書 016)

ネットはテレビをどう呑みこむのか? (アスキー新書 016)

★『ネットはテレビをどう呑みこむのか?』(歌田 明弘 著/アスキー/760円)【→amazon

インターネットでテレビのコンテンツが配信されるということは、テレビ番組がネットのコンテンツのひとつになるということにほかならない。膨大なネットのコンテンツのひとつになったテレビ番組は、当然ながら、現在のような地位を保つことはできない。そうしたことを感じているからこそ、テレビ局側の抵抗は大きい。


視覚とマンガ表現―科学とマンガのナベ“鍋?”ゲーション

視覚とマンガ表現―科学とマンガのナベ“鍋?”ゲーション

★『視覚とマンガ表現 科学とマンガのナベ《鍋?》ゲーション』(牧野圭一/共著 上島豊/共著/臨川書店/2,100円)【→amazon

マンガ家は感覚をダイレクトに形にする。私たち読者がそれを自然に受け入れられるのは、なぜだろうか?視覚の様々な不思議を通して、マンガ家と物理学者が「リアルな表現」の謎に迫る。


★『中国の不思議な資本主義』(東 一眞 著/中央公論新社/819円)【→amazon

巷にはニセモノがあふれ、官僚は官職を売買し、儲かると思った分野に企業が殺到して共倒れする。隣国のこの奇妙な経済がどんなタイプの資本主義を形成するか、我々は知っておくべきだ。


幻の公衆

幻の公衆

★『幻の公衆』(W.リップマン 著 河崎 吉紀 訳/柏書房/2,940円)【→amazon

公衆への過大な期待に立つ民主主義は、とてもアブナイ。名著『世論』(本書では「輿論」)に続いて刊行されていた警醒の書、待望の邦訳!現代日本を覆う政治的無関心へのリアルな処方箋をも提示する、不朽の晴眼。


★『書く女たち-江戸から明治のメディア・文学』(北田 幸恵 著/学芸書林/3,150円)【→amazon

江戸末期から明治初期に活躍した只野真葛、江馬細香、清水紫琴、中島湘煙、樋口一葉らの漢詩、演説、評論、小説、日記を取り上げ、近代夜明けの女性表現の全体像を明らかにする。


ぼくには数字が風景に見える

ぼくには数字が風景に見える

★『ぼくには数字が風景に見える』(D.タメット 著 古屋 美登里 訳/講談社/1,785円)【→amazon

円周率22,500桁を暗唱、10ヵ国語を話す天才の「頭と心の中」をサヴァン症候群でアスペルガー症候群の青年が語る感動の手記。全米大ベストセラー!『博士の愛した数式』の小川洋子さん絶賛──「思慮深く、優しい声で、ダニエルは私たちにそっと教えてくれる。この世界は、生きるに値する場所である、と」


日本史集中講義―点と点が線になる (祥伝社黄金文庫)

日本史集中講義―点と点が線になる (祥伝社黄金文庫)

★『点と点が線になる 日本史集中講義』(井沢 元彦 著/祥伝社/670円)【→amazon

結果が原因を生み、それがまた結果を生む。歴史は点と点の繋がりで見なければならない―教科書では、本当の歴史はわからない。井沢史観のエッセンスを凝縮!聖徳太子から第2次世界大戦まで、1冊で、日本史が一気にわかる。


奇想科学の冒険―近代日本を騒がせた夢想家たち (平凡社新書)

奇想科学の冒険―近代日本を騒がせた夢想家たち (平凡社新書)

★『奇想科学の冒険 近代日本を騒がせた夢想家』(長山 靖生 著/平凡社/798円)【→amazon

時代の変化が激しかった明治から昭和初期には、人類の進歩、豊かな未来、理想社会の実現のため、科学に取り組み、発明に熱中した人たちが数多くいた。文学の世界でも、理想社会を描いた空想小説が多く発表された。今から見ると、これらは珍奇なものではあるのだが、ここには、近代を動かした精神のうねりが刻まれている。「奇想科学」に邁進した人たちの思考と生涯を通して、近代日本を動かした社会的夢想を掘り起こす。


作家の誕生 (朝日新書48)

作家の誕生 (朝日新書48)

★『作家の誕生』(猪瀬 直樹 著/朝日新聞社/756円)【→amazon

太宰治は芥川龍之介の写真をカッコイイと思った。文章だけでなく見た目も真似た。投稿少年だった川端康成、大宅壮一。文豪夏目漱石の機転、菊池寛の才覚。自己演出の極限を目指した三島由紀夫、その壮絶な死の真実とは…。


スキタイと匈奴 遊牧の文明 (興亡の世界史)

スキタイと匈奴 遊牧の文明 (興亡の世界史)

★『スキタイと匈奴 遊牧の文明』(林 俊雄 著/講談社/2,415円)【→amazon

前七世紀前半、カフカス・黒海北方に現れたスキタイ。前三世紀末、モンゴル高原に興った匈奴。彼らはユーラシアの草原に国家を築き、独自の文明を作り出した。ヘロドトスや司馬遷が描いた騎馬遊牧民の真の姿は近年の発掘調査で明らかになってきた。


反省 私たちはなぜ失敗したのか?

反省 私たちはなぜ失敗したのか?

★『反省 私たちはなぜ失敗したのか?』(鈴木宗男/著 佐藤優/著/アスコム/1,680円)【→amazon

国民のみなさま、すいません――。何がいけなかったのか、今まで公表できなかったことを実名入りですべて徹底的に反省します!男の嫉妬、裏切り、嘘、陰口、媚へつらい、足の引っ張り合い、カネ、女、スキャンダル、つかい込み、恫喝、悪評、醜聞、セクハラ……。この二人の失敗は、あなたにも起こりうる! 経営者、中間管理職、組織のなかで上を目指すビジネスマン必読の書。


北朝鮮の日常風景

北朝鮮の日常風景

★『北朝鮮の日常風景』(石 任生 撮影 姜 尚中 推薦/コモンズ/2,310円)【→amazon

北朝鮮の四季折々の中に展開される人びとの日常風景。苛酷な境涯の中でも必死に生きる人びとの息づかい。1990年代後半の「苦難の行軍」の時期から最近までの7年間、北朝鮮の人びとの生活のさまざまな断面を記録している。


花の都パリ「外交赤書」 (講談社プラスアルファ新書)

花の都パリ「外交赤書」 (講談社プラスアルファ新書)

★『花の都パリ「外交赤書」』(篠原 孝/講談社/840円)【→amazon

お騒がせの異能官僚が大活躍。国会議員、官僚、外交官達の痴態全部書きます。トンデモ出張者の群れ。官僚機構の内側でしか見えない議員先生やお役人のトホホな実態。パリの風物も満載。


日本男児 (文春新書)

日本男児 (文春新書)

★『日本男児』(赤瀬川 原平 著/文藝春秋/767円)【→amazon

目からウロコが落ちるように、頭のウロコも落としてみよう! すると世界がこんなにも違って見えてくる。究極の日本男児の世界27篇登場!!’60年代、前衛芸術家。’70年代、超芸術探索。’80年代、芥川賞作家。’90年代、「老人力」提唱。そして21世紀……古希にあたる今年、辿り着いたのが「日本男児」という境地。ある時は「憲法」や「徴兵制」という問題を、またある時は「女子中高生」や「鼻づまり」という問題を、ハイパー・オリジナルな視点で捉えた――究極の赤瀬川ワールド。


指揮者の奥義

指揮者の奥義

★『指揮者の奥義』(H.シェルヒェン 著 福田 達夫 訳/春秋社/2,940円)【→amazon

感性や経験でしか身につかないといわれるオーケストラの指揮。しかしドイツの指揮者シェルヒェンは「指揮は教えられる」という。約500にも及ぶ譜例を駆使し、第1、2部では楽譜の読み込み方、指揮者の養成方法、オーケストラの特性、各楽器の活かし方等を詳説。第3部では諸場面に応じた指揮法を、姿勢から動作に至るまで逐一具体的に教え、最後に3曲の実践課題曲で総仕上げをする(ベートーベン交響曲第1番他)。オーケストラ関係者のみならず器楽演奏者、つまり音の表現に日夜習練を積まれている方々に是非実践して頂きたい1冊である。


★『法律家たちのユーモア』(小野 誠之 訳 J.エイ 著/潮出版社/1,365円)【→amazon

法廷は、泣く子もだまる「笑い」の宝庫。紳士淑女の国・英国の裁判官、弁護士、陪審員、被告人たちの間で100年以上前にくり広げられた、辛口かつシニカルな幕間劇―。


ドキッ 乙女だらけの帝國陸軍入門

ドキッ 乙女だらけの帝國陸軍入門

★『ドキッ・乙女だらけの帝國陸軍入門』(堀場 亙 文 峠 タカノリ/イカロス出版/1,700円)【→amazon

六十数年前…、大陸の平原で、南方の密林で、孤島の洞窟で、不屈の魂を最大の武器とし、強大な敵に立ち向かった大日本帝國陸軍!!この本では、兵器、組織、軍装、戦術、軍人、戦歴などなど、第二次大戦時の帝國陸軍のすべてを、ミニスカ軍人たちが分かりやすく解説しちゃうぞ。総員着剣吶喊せよ。


★『七福神の創作者』(一色 史彦 著/三五館/1,470円)【→amazon

建築文化史の大家にして酒豪の、35年間にわたる「古建築と日本人」の集大成メッセージ。


ちょっと本気な千夜千冊虎の巻―読書術免許皆伝

ちょっと本気な千夜千冊虎の巻―読書術免許皆伝

★『ちょっと本気な千夜千冊虎の巻 読書術免許』(松岡 正剛 著/求龍堂/1,680円)【→amazon

前人未到の読書案内『松岡正剛千夜千冊』の著者が贈る人生を変える読書術。この「一冊」で「千冊」が読める。


平成男子図鑑 リスペクト男子としらふ男子 (NB online books)

平成男子図鑑 リスペクト男子としらふ男子 (NB online books)

★『平成男子図鑑 リスペクト男子としらふ男子』(深沢真紀/著/日経BP社/1,365円)【→amazon

あなたの横にもきっといる。「イマドキの男子」の世界にようこそ。


相倉久人の70年代ロック&ポップス教養講座

相倉久人の70年代ロック&ポップス教養講座

★『相倉久人の70年代ロック&ポップス教養講座』(相倉 久人/音楽出版社/2,730円)【→amazon

「ポピュラー音楽」なんていうジャンルはない? すべての音楽はポピュラー化する? 一見して難解なテーマを丁寧にかみくだき、現代の音楽の本質にずばり迫る、相倉イズムの70年代ロック&ポップス論。「ジャズとロックは音楽的に異なるだけではない。サックスなどの楽器は身体の延長であり道具だが、ロックは機械を活用したメディア音楽である」という視点から始まる相倉ロック論を集大成し、「ロック時代の音楽の特性」を概括。『相倉久人の超ジャズ論集成』に続く待望の書が登場!


星山博之のアニメシナリオ教室

星山博之のアニメシナリオ教室

★『星山博之のアニメシナリオ教室』(星山博之/著/雷鳥社/1,890円)【→amazon

「機動戦士ガンダム」「銀河漂流バイファム」「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」…チーフシナリオライターとして数多くの名作オリジナルアニメを育て、日本アニメ界に不朽の功績を残した著者が、アニメ作品づくりを志す人に向けて書いたアニメシナリオの入門書。


岡本太郎の見た日本

岡本太郎の見た日本

★『岡本太郎の見た日本』(赤坂 憲雄 著/岩波書店/2,415円)【→amazon

近年改めて再評価が巻き起こりつつある岡本太郎。その芸術家の枠に収まりきらない多様な活動のうち、民族学的側面にわたる仕事、すなわち有名な「縄文土器の発見」から展開された独自の日本文化再発見の道行きを、気鋭の民俗学者が読み解く。太郎が類まれな感性で見だしていた「ほんとうの日本」とは?画期的な岡本太郎論!


★『空洞地球/ポーソロゴスの図書館ミコスから』(D.ロビンス 著 ケイ ミズモリ 訳/徳間書店/1,680円)【→amazon

現在、2900万人を超える地上の人々が、自分が何者であるのかに目覚めています。2012年までに到達することが期待されている臨界点は5500万人です。この臨界点に達すると、私たちには1万年の平和が保証されます。それはまた、公然と人類に宇宙の法則を教えるために、アセンディッド・マスターたちが視覚的にも物理的にも地表を歩けるようになる臨界点です。


★『江戸期のスウェーデン〜ロスラーゲン地方の庶民の暮らし〜』(G.ブルーセヴィッツ 荒川 明久 訳/国際語学社/1,890円)【→amazon

スウェーデン人画家グンナル・ブルーセヴィッツがユーモアとペーソスのある画風で、江戸期のスウェーデンの暮らしを紹介。


★『リサイクルは資源のムダ使い』(小若順一/著 食品と暮らしの安全基金/著/講談社/1,470円)【→amazon

ペットボトルは、リサイクルより燃やして発電が正しい。温暖化から水・食料にいたるまで知られざる事実と地球に正しい生活マニュアルを一挙公開。


日のあたる白い壁 (集英社文庫)

日のあたる白い壁 (集英社文庫)

★『日のあたる白い壁』(江國 香織 著/集英社/580円)【→amazon

「出会った絵について書くことは、でも勿論私について書くことでした」ドラクロワ、ゴッホ、マティス、荻須高徳、小倉遊亀、オキーフ…etc.。古今東西の27人の画家の作品をとりあげ、「嫉妬しつつ憧れつつ」自由に想いを巡らした、美しくユニークなエッセイ集。愛らしい小品から名作まで、画家たちの様々な作品を鑑賞しながら、江國香織その人に出会う―二重の楽しみが味わえる、宝物のような一冊。


日本の美しい歌―ダークダックスの半世紀

日本の美しい歌―ダークダックスの半世紀

★『日本の美しい歌 ダークダックスの半世紀』(喜早 哲 著/新潮社/1,680円)【→amazon

結成56年、ダークダックスのゲタさんが語る懐かしい歌の数々。「鈴懸の径」と灰田勝彦さん、「雪の降る街を」と中田喜直先生、「からたちの花」と山田耕筰先生、「蘇州夜曲」と服部良一先生。歌い続けて半世紀、忘れられない思い出がいっぱい。團伊玖磨先生たちと訪問した中国では不思議な出会いもありました。折々のヒット曲、懐かしい唱歌についても語ります。さあ、ご一緒に歌って下さい!


定本 落語三百題

定本 落語三百題

★『定本 落語三百題』(武藤 禎夫 著/岩波書店/8,190円)【→amazon

落語はどのようにして生まれたのか―本書では、著者永年の噺本研究の成果を活かし、三百の古典落語について、その原話を明らかにする。噺本・演題集等からの引用も豊富。一層充実した待望の決定版。


読んで覚える 楽譜のカラクリ

読んで覚える 楽譜のカラクリ

★『読んで覚える 楽譜のカラクリ』(田熊 健 編著/自由現代社/1,260円)【→amazon

スラスラ読みながら楽譜のカラクリがどんどん見えてくる。音楽がもっと楽しくなる本。


正倉院の謎

正倉院の謎

★『正倉院の謎』(由水 常雄 著/魁星出版/3,780円)【→amazon

正倉院は藤原仲麻呂のクーデターのための武器庫、宝物庫だった!あの名香「蘭奢待」は信長だけでなく、明治天皇にも切り取られていた!岩倉具視、伊藤博文、井上馨ら明治の元勲は「宝物」を私物化していた!?厳重に封印された正倉院から、なぜ「宝物」類は消亡、増減したのか?歴史の闇に隠された「宝物」の数奇な運命。


2007-11-18

[]『少女雑誌ふろくコレクション』『清朝十四王女 川島芳子の生涯』『ネット君臨』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

少女雑誌ふろくコレクション (らんぷの本)

少女雑誌ふろくコレクション (らんぷの本)

★『少女雑誌ふろくコレクション』(弥生美術館/編 中村圭子/編 外舘惠子/編/河出書房新社/1,575円)【→amazon

『少女界』から『りぼん』まで少女ふろくの足跡をたどる!!内藤ルネ、田村セツコ、巴里夫、乙女ちっく三羽烏―陸奥A子、田渕由美子、太刀掛秀子、一条ゆかり、さくらももこetc.楽しくて、可愛くて、おしゃれな“ふろく”たち。

清朝十四王女―川島芳子の生涯 (ウェッジ文庫)

清朝十四王女―川島芳子の生涯 (ウェッジ文庫)

★『清朝十四王女 川島芳子の生涯』(林えり子/著/ウェッジ/780円)【→amazon

清朝最後の王女として生まれた少女は、辛亥革命の勃発により日本に渡り、川島芳子と改名する。清朝の復興を夢見る一方で、恋愛にあこがれる美貌の女性に育った芳子に、やがて戦乱が襲いかかる。日本の狭間で歴史に翻弄され、“男装の麗人”と呼ばれたひとりの女性の数奇な運命を活写する。芳子の生涯を辿ることは、日本の現代史を振り返り、日本人の平和観を問い直すことである―。

ネット君臨

ネット君臨

★『ネット君臨』(毎日新聞取材班/著/毎日新聞社/1,470円)【→amazon

匿名社会の恐怖、拡大するネット犯罪…。ネット社会の急速な進展は、我々の生活に便利さや効率をもたらす一方、さまざまな負の部分を生み出している。ネットは我々をどう変えるのだろうか。また我々はネット社会をどう築けばいいのか。ネット社会に警鐘を鳴らした毎日新聞取材班による大反響連載「ネット君臨」の書籍化。本書では、国内最大のネット掲示板「2ちゃんねる」に代表される匿名による誹謗・中傷が人々の暮らしに深刻な影響を与えている実態を現場から報告。「2ちゃんねる」の管理人ひろゆき(西村博之)氏にインタビュー。さらに国の政策がインフラ整備に偏り、企業や個人のマネーゲームを生んでいる実態や米国、韓国、中国のネット犯罪の現場をルポ。マスコミがこれまでほとんど触れてこなかったネットの問題点に真正面から切り込む。

 

[]2007年05月に出た読みたい本

 2007年05月に出た読みたい本のリスト。

 今までのリストはこちら。

2007年01月に出た読みたい本

2007年02月に出た読みたい本

2007年03月に出た読みたい本

2007年04月に出た読みたい本

 06〜10月の分も近いうちに整理します。

 リストはNDC分類順です。


古本屋開業入門―古本商売ウラオモテ

古本屋開業入門―古本商売ウラオモテ

★『古本屋開業入門-古本商売ウラオモテ-』(喜多村 拓 著/燃焼社/1,890円)【→amazon

現役古本屋店主が長年の体験を基に、古本屋開業のノウハウをすべて公開し商売の醍醐味を語り尽くす。本の上手な集め方、仕入の仕方、自家目録の作り方、成功するホームページの作り方、通信販売ノウハウ、古本の汚れや線引きの消し方まで、懇切丁寧に手ほどき。


三度のメシより古本! (平凡社新書)

三度のメシより古本! (平凡社新書)

★『三度のメシより古本!』(樽見 博 著/平凡社/735円)【→amazon

古本が好きでたまらない。古本の魅力とは何だろう。何が人を蒐集に駆り立てるのか。明治以降の人気商品の変遷を、戦後の初版本ブームを知りたい。本を愛し、記録することに情熱を注ぐ人々を知りたい。読む楽しみ、集める喜び。気がつけば、人は古本に癒されている。本書は、至楽への案内がテンコ盛り。


論壇の戦後史―1945‐1970 (平凡社新書)

論壇の戦後史―1945‐1970 (平凡社新書)

★『論壇の戦後史 1945-1970』(奥 武則 著/平凡社/840円)【→amazon

戦後の日本は「悔恨共同体」から始まった。終戦直後、清水幾太郎らが作った二十世紀研究所には林健太郎、丸山眞男、福田恆存など、その後立場を異にする人たちが集まっていた。以後、彼らが活躍する舞台となる論壇誌は、いかなる問題を、どのように論じてきたのか。論壇が存在感を持っていた時代を鮮やかに描き、「戦後」に新たな光をあてる。


幽霊を捕まえようとした科学者たち

幽霊を捕まえようとした科学者たち

★『幽霊を捕まえようとした科学者たち』(D.ブラム 著 鈴木 恵 訳/文藝春秋/2,600円)【→amazon

錬金術から化学が、占星術から天文学が、心霊研究からは?幽霊の存在を科学的に実証せよ!ノーベル賞科学者のチームが始めた驚愕の研究。


王朝貴族の悪だくみ―清少納言、危機一髪

王朝貴族の悪だくみ―清少納言、危機一髪

★『王朝貴族の悪だくみ-清少納言、危機一髪』(繁田 信一 著/柏書房/2,310円)【→amazon

射殺された清少納言の実兄、不正の限りを尽くして私腹を肥やす受領…藤原道長や藤原行成の日記に書かれていたのは、貴族たちの犯罪だった。


★『戦艦「大和」の博物館-大和ミュージアム誕生の全記録』(小笠原 臣也 著/芙蓉書房出版/2,940円)【→amazon

巨大な戦艦「大和」の10分の1模型(全長26.3m)や零式艦上戦闘機、人間魚雷「回天」などの実物展示で戦争の悲惨さと平和の大切さを現代に伝える博物館建設の全記録。


藤原道長―男は妻がらなり (ミネルヴァ日本評伝選)

藤原道長―男は妻がらなり (ミネルヴァ日本評伝選)

★『藤原道長-男は妻がらなり-』(朧谷 寿 著/ミネルヴァ書房/3,150円)【→amazon

天皇家との外戚関係を築き、貴族社会の頂点に立ち、機をみるに敏に活動し、運をつかんだ道長。その栄華とは裏腹に病に悩む姿もあった。本書は膨大な史料と格闘し、等身大の道長像を描き出す。


謎とき徳川慶喜―なぜ大坂城を脱出したのか

謎とき徳川慶喜―なぜ大坂城を脱出したのか

★『謎とき徳川慶喜-なぜ大阪城を脱出したのか』(河合 重子 著/草思社/2,310円)【→amazon

幕末最大の謎ともいえる慶喜の大坂城からの遁走とその後のひたすらの恭順は敗退した幕臣側から言えば、まことに釈然としない出来事である。長年の慶喜研究家で「慶喜贔屓」を自称する著者が大正時代の『昔夢会筆記』(慶喜公からの聞き書き)をもとに、そこにいたる慶喜の生い立ちと置かれた環境をあとづけ、慶喜の最後の決断を納得がゆくまでに描いた評伝であり歴史評論書。


★『スペインの貴公子フアンの物語-レパント海戦総司令官の数奇な運命』(西川 和子 著/彩流社/2,100円)【→amazon

片田舎に突然現れた豪華な迎えの馬車…。弱冠24歳で神聖同盟連合艦隊の総司令官としてレパント海戦に勝利した“英雄”フアン。31歳で夭折した数奇な生涯。


★『新聞が書かない国際記事のウラ常識』(21世紀宗教・民族研/土屋書店/840円)【→amazon

新聞の解説ではほとんど触れられず、高校の「世界史」の教科書も教えてくれない国際情報理解のために不可欠の「西洋世界の大常識」とは何なのか?愉快・痛快なエピソードをまじえて説く現代人必読の「ウラ常識集」90項目。


★『〈ポストモダン〉とは何だったのか』(本上 まもる 著/PHP研究所/756円)【→amazon

1983年、当時二〇代であった浅田彰の『構造と力』がベストセラーになり、フランス現代思想を源流にもつポストモダン思想が日本でもてはやされた。しかし、ニューアカデミズムと呼ばれたその思想は、相対主義の烙印を押され、まもなく世間一般から忘れられてしまう。ニューアカは一時の流行にすぎなかったのか?じつは、成熟した日本社会の見取図を描ける唯一の思想として、まったく古びていないのでは?浅田彰、柄谷行人、東浩紀、福田和也…日本におけるポストモダン思想の潮流を再検討する。


「夕張問題」 (祥伝社新書)

「夕張問題」 (祥伝社新書)

★『夕張問題』(鷲田 小彌太/祥伝社/777円)【→amazon

日本人である私たちは、生まれると同時に、どこかの地方自治体の一員になります。東京都民にしろ、夕張市民にしろ、自治体の外にはいられません。私たちの日常生活において、「国」よりも「自治体」のほうがより密接であり、もし自治体のサービスが受けられなくなると、鉄道の廃線どころの騒ぎではすみません。「市」や「町」を、あたりまえにある空気のように思っていると、突然、酸欠死に襲われます。いま「夕張市」は財政再建団体に指定され、市民は酸欠状態です。ここからいかに脱出し、新たな活力ある、老人にも子供にも夢のある街にするには何をなすべきかを、本書は分析し、展望しています。


★『封印作品の謎』(安藤 健二 著/大和書房/840円)【→amazon

『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』『ノストラダムスの大予言』『ブラック・ジャック』『O‐157予防ゲーム』これらの作品は、なぜ、どう禁じられたのか。粘り強い取材で意外な真相を明らかにする新世代ルポルタージュ。


潜入!ニッポン不思議島 (宝島社文庫)

潜入!ニッポン不思議島 (宝島社文庫)

★『潜入!ニッポン不思議島』(諸島文化・民俗研究会/宝島社/630円)【→amazon

日本には6,800もの島が存在し、そのうち430の島に、人が住んでいるという事実をご存知だろうか。名前も奇妙なら景色も奇妙、島民も奇妙。いや、奇妙というより、何かがおかしい…。本書は「ここは本当に日本なのか!?」と思わず声をあげてしまう奇妙な島々に潜入を敢行。「よそ者が島の秘密をバラすのか!?」と、時に警戒され、追い返されつつ、民俗学者たちも恐れる禁忌に迫った。


江戸の温泉学 (新潮選書)

江戸の温泉学 (新潮選書)

★『江戸の温泉学』(松田 忠徳 著/新潮社/1,260円)【→amazon

温泉文化は、江戸時代に花開いたといわれ、江戸を知ることでこそ、温泉の「今」が一層わかる。徳川家康の熱海湯治で幕開けした江戸の温泉が、医療、科学、ヴァカンス、遊興…の各分野で発展していく姿を、あまたの古書や資料で紐解く著者の姿は圧巻。ホンモノのお湯を求める日本随一の“温泉教授”がたどりついた温泉学は、ここに結実した―。


★『コーヒーの真実』(A.ワイルド 著 三角 和代 訳/白揚社/3,675円)【→amazon

コーヒーの誕生からスターバックスまで。世界を変えた琥珀色の液体。


★『おとぎ話の生物学 森のキノコはなぜ水玉模様なのか?』(蓮実 香佑 著/PHPエディタ/1,470円)【→amazon

昔話・おとぎ話に隠された意外な真実にびっくり。さあ、眠れぬ十三夜のはじまりはじまり。 桃太郎はどうして鬼退治に出かけたのか?―桃太郎ウサギはなぜカメに負けたのか?―ウサギとカメ竜宮城はどこにある?―浦島太郎森のキノコはなぜ水玉模様なのか?―白雪姫オオカミなんか怖くない?―三匹の子豚スズメのお宿はどこにある?―舌切り雀タヌキは本当に化けるのか?―キツネとタヌキの化けくらべカチカチ鳥の正体は?―かちかち山本当にキリギリスが悪いのか?―アリとキリギリスジャックと豆の木は天に届いたのか?―ジャックと豆の木世界で一番大きい生き物はなに?―エビの腰はなぜ曲がったかカキの種に価値はあるのか?―さるかに合戦かぐや姫はなぜ竹から生まれたのか?―竹取物語 おとぎ話に隠された謎を生物学が解明する。おとぎ話や昔話に隠されたさまざまな謎。あっと驚く事実を生物学・植物学の視点から解き明かす刺激満点のサイエンス読み物。


実録・アメリカ超能力部隊 (文春文庫)

実録・アメリカ超能力部隊 (文春文庫)

★『実録・アメリカ超能力部隊』(J.ロンスン 著 村上 和久 訳/文藝春秋/660円)【→amazon

超能力で敵を制圧し、敵地をスパイする特殊部隊。そんな計画がアメリカに実在した!ヴェトナムの悪夢に苦しむ軍人が夢見た「敵を武力で傷つけることのない愛と平和の軍隊」。軍上層部を動かした構想は、いかに変質し、何を生み出したのか。関係者の証言が明かす仰天の真実。アメリカの狂気と悲喜劇を暴くノンフィクション。


今世紀で人類は終わる?

今世紀で人類は終わる?

★『今世紀で人類は終わる?』(M.リース 著 堀 千恵子 訳/草思社/1,680円)【→amazon

たとえば、致死率の高い危険なウイルスのDNA配列情報は、いまやだれでもインターネットからダウンロードできる。このDNA情報から、ウイルスを合成し、さらに強力なウイルスへと改造する技術を持った科学者は、世界に数千人存在し、その数は年々増えている。もし、通り魔殺人や銃乱射事件を起こすようなタイプの人間がこの技術を習得したら、いったい何が起きるだろうか―。核戦争や地球温暖化といった、20世紀から危惧されてきたものとはまったく別の、予想外の脅威による人類文明終焉のシナリオを、第一線の物理学者が描き出す。


歴史の中の数学 (ちくま学芸文庫)

歴史の中の数学 (ちくま学芸文庫)

★『歴史の中の数学』(M.S.マホーニィ 佐々木 力 編訳/筑摩書房/1,470円)【→amazon

数学の発展は、はたして自律的なものだろうか?20世紀後半の著名な科学史家トーマス・S・クーンの薫陶をうけた数学史家が、数学の内容を広く文化史―社会史の中に読み解いた挑戦的な著作。古代オリエント数学とギリシャ数学の連続性・非連続性、数学者の道具箱としての幾何学的解析、中世西欧数学に近代的解釈を読み込むことへの疑念、近世西欧の代数的思考法の思想史的背景、振子時計設計の際の数学的理論家と職人との確執、コンピュータ計算思考の誕生にまつわる複合的史話、をスリリングに語る。数学史研究の現代的最前線を日本の読者に伝えようとする待望のオリジナル編集。増補新版。


時そばの客は理系だった―落語で学ぶ数学 (幻冬舎新書)

時そばの客は理系だった―落語で学ぶ数学 (幻冬舎新書)

★『時そばの客は理系だった 落語で学ぶ数学』(柳谷 晃 著/幻冬舎/777円)【→amazon

落語の噺には、数学や科学のネタが満載されていた!「親子酒」は「クレタ人のパラドックス」であり、「一目上がり」は「等差数列と等比数列」を解説、「千早振る」は「演算の法則」で、「平林」は「素因数分解」で、「こんにゃく問答」は「非ユークリッド幾何学」、「日和違い」は「カオス理論」でもある。ネタづくりは、数学のわかる落語家・三遊亭金八と林家久蔵が担当。笑っている間に身につく数学の知恵26席。


シンカのかたち 進化で読み解くふしぎな生き物

シンカのかたち 進化で読み解くふしぎな生き物

★『進化で読み解くふしぎな生き物 シンカのかたち』(遊磨正秀/監修 丑丸敦史/監修 北海道大学CoSTEPサイエンスライターズ/著 宮本拓海/イラスト/技術評論社/1,659円)【→amazon

空中生活を送るネズミ・歩くヤシの木・巨大なミミズ・メスしかいないトカゲ・シロアリをだますカビ・いつも四つ児で生まれるアルマジロ・干上がっても死なない虫・オタマジャクシにならないカエル・若返りするクラゲ…私たちの常識をくつがえす生き物たちが、進化のひみつを伝える。


生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

★『生物と無生物のあいだ』(福岡 伸一 著/講談社/777円)【→amazon

生きているとはどういうことか―謎を解くカギはジグソーパズルにある!?分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色をガラリと変える。


★『進化のイコン』(J.ウエルズ 著 渡辺 久義 監訳/コスモトゥーワン/3,570円)【→amazon

ミラー‐ユーリーの実験、系統樹、脊椎動物の前肢の相同、ヘッケルの胚の絵、始祖鳥、オオシモフリエダシャク、ダーウィン・フィンチ、四枚羽のショウジョウバエ、ウマの進化図、人類の起源―アメリカで大論争!なぜニセモノ「進化の証拠」が教科書に掲載され続けるのか。 ダーウィン理論は科学か神話か?


伝説のプラモ屋―田宮模型をつくった人々 (文春文庫)

伝説のプラモ屋―田宮模型をつくった人々 (文春文庫)

★『伝説のプラモ屋 田宮模型をつくった人々』(田宮 俊作 著/文藝春秋/600円)【→amazon

田宮模型は自他共に許す世界最大のプラスチックモデルメーカー。プラモデルのために実車のポルシェを解体してしまったという「伝説」の社長。その彼を取り巻く人々も負けず劣らずユニークだ。CIAに始まり、カルロス・ゴーン氏、韓国元大統領、カイロの小学生、そして偉大な父まで。伝説の模型屋を作りあげたさまざまな人間群像を紹介。


★『未完の建築家 フランク・ロイド・ライト』(A.L.ハクスタブル 三輪 直美 訳/東陶機器/2,100円)【→amazon

ピュリッツァー賞評論家が描く、天才建築家のあまりにも真摯で破天荒な一生。


日本陸軍試作機物語

日本陸軍試作機物語

★『日本陸軍試作機物語』(刈谷正意/著/光人社/2,100円)【→amazon

キ51九九襲撃機、キ43一式戦闘機隼、キ44二式戦闘機鍾馗、キ84四式戦闘機疾風等々、陸軍航空技術研究所で、各部門の超エキスパートに鍛えられながら試作機審査に励んだ青春。軍技術者の誇りを胸に新機軸を拓いた若きパイオニアたちの苦闘の航跡。


川上犬物語

川上犬物語

★『川上犬物語』(久能 靖 著/河出書房新社/1,680円)【→amazon

戦時中、食糧難で多くの動物たちが殺された。長野県の山奥に暮らしていた貴重な日本の純血犬、川上犬も姿を消したはずだった。ニホンオオカミの血をひくといわれ、猟師とともに断崖をかけめぐっていた勇敢な犬。「この犬を失ってなるものか」ある男がひそかに起こしていた行動が、再会の奇跡を生んだ―。平和の大切さを思い出させてくれる感動の実話。


『洋酒天国』とその時代

『洋酒天国』とその時代

★『『洋酒天国』とその時代』(小玉 武 著/筑摩書房/2,520円)【→amazon

開高健さんのコピー“「人間」らしくやりたいナ”は、我が社の経営の根底に流れる思想でもある。この書は、開高健さん、山口瞳さん等、異才を放った社員たちが創ったPR誌『洋酒天国』を軸に、高度経済成長に突入する直前の熱気に満ち溢れた時代の姿を描いた、極めて興味深い昭和史の1ページとなっている。


すぐわかる女性画家の魅力

すぐわかる女性画家の魅力

★『すぐわかる女性画家の魅力』(千足 伸行 監修/東京美術/2,310円)【→amazon

描くことに命を燃やした女性たちの生涯と作品に光を当てる初の入門書。女ゆえに、女だからこそ直面した数々の問題と向き合いながら美の歴史に鮮やかな輝きを残した画家たちの波瀾万丈の人生。


ドビュッシー (作曲家・人と作品シリーズ)

ドビュッシー (作曲家・人と作品シリーズ)

★『ドビュッシー』(松橋 麻利 著/音楽之友社/1,470円)【→amazon

友人すら次々背を向けるほどのスキャンダラスな生活の中、多くの傑作が生み出される…類い希なる才能で、フランス音楽の「近代」から「現代」への扉を開いた天才の全貌に迫る。


★『図説 指揮者列伝』(玉木 正之 著 平林 直哉 著/河出書房新社/1,890円)【→amazon

オーケストラとの逸話や伝説の数々、一流の指揮とは何か、聴き方のツボとは…。辛口ライターによる異色の指揮者物語。


小津安二郎先生の思い出 (朝日文庫 り 2-2)

小津安二郎先生の思い出 (朝日文庫 り 2-2)

★『小津安二郎先生の思い出』(笠 智衆 著/朝日新聞社/525円)【→amazon

『父ありき』『東京物語』『晩春』などを代表作に、ほぼ全ての小津安二郎映画に出演してきた俳優、笠智衆。小津監督や原節子などを始め、様々な人との交流や撮影秘話、また御前様としてなじみ深い『男はつらいよ』など、朴訥として優しく、不器用な役柄そのままに、自らの俳優人生と小津安二郎を振り返る。


木暮実千代―知られざるその素顔

木暮実千代―知られざるその素顔

★『木暮実千代 知られざるその素顔』(黒川鍾信/著/日本放送出版協会/1,995円)【→amazon

昭和13年、全国に数人しかいなかった共学の大学で学ぶ女子大生は、スカウトされた松竹を代表するスターになる…が、恋を選んで満洲へ。戦後、九死に一生を得て帰国した彼女は、官能的な大人の女に成長してスクリーンに上品な香気を漂わせ百本を超える映画に出演、やがて「客を呼べる俳優」として転向した舞台で大活躍…ドラマのような72年の歩みをえぐる初めての評伝。


★『漫画映画の志-『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』』(高畑 勲 著/岩波書店/2,625円)【→amazon

高畑監督が自らの作品作りの原点とするフランスの漫画映画『やぶにらみの暴君』。三〇年の歳月を経て、作者たち―監督ポール・グリモー、脚本ジャック・プレヴェール―は、それを『王と鳥』という映画に作り直した。なぜ、彼らはそうしなければならなかったのか?そしていま、その映画が問いかけるものとはなにか?作者たちの烈々たる志のもとに、一本の漫画映画がたどった驚くべき数奇な運命と、作品制作をめぐる壮大なドラマを追う。


プロレス 金曜8時の黄金伝説 (講談社プラスアルファ文庫)

プロレス 金曜8時の黄金伝説 (講談社プラスアルファ文庫)

★『プロレス 金曜8時の黄金伝説』(山本小鉄/著/講談社/780円)【→amazon

アントニオ猪木、坂口征二、藤波辰巳、長州力、タイガーマスク、前田日明、高田延彦…当時の新日本プロレスには、キラ星のごとくスター選手が揃っていた。現在の選手たちは最強を目指して、もっともっと練習しなくてはダメだ!“鬼軍曹”がプロレスラーから格闘家まで一刀両断、最後の御意見番として日本のプロレス&格闘技界に愛情をこめて喝を入れる。みんな、もう一度あのころの元気を取り戻せ!“小鉄イズム”炸裂。


『モンスターハンター』プレイ日記 本日も逆鱗日和

『モンスターハンター』プレイ日記 本日も逆鱗日和

★『本日も逆鱗日和』(大塚角満/著/エンターブレイン/998円)【→amazon

本書は、2004年3月から始まったファミ通.comのブログ“『モンスターハンター』プレイ日記”と、ファミ通コネクト!オン誌で連載している“本日も逆鱗日和”というコラムに加筆、修正を加え、さらに書き下ろしのコラムを新たに収録して構成したものです。


★『買い被られた名作 『嵐が丘』『白痴』『復活』『トニオ・クレエゲル』『狭き門』』(岡田量一/著/彩流社/2,310円)【→amazon

文豪と呼ばれる作家や著名な批評家が勝れた作と評価してしまうと、誰もがその言葉を鵜呑みにして、その作品を過大に評価してしまう…。ちょっと疑って読んでみませんか?世界的名作の新たな読み方を平易に示す、もう一つの読書論。


モダン都市東京―日本の一九二〇年代 (中公文庫)

モダン都市東京―日本の一九二〇年代 (中公文庫)

★『モダン都市東京 改版-日本の一九二〇年代』(海野 弘 著/中央公論新社/1,300円)【→amazon

大正、昭和初期のモダン都市「東京」。同時代の文学作品を手がかりに、都市生活者が闊歩しはじめた近代都市の情景を、スリリングに描きだす。


★『乱歩と名古屋 地方都市モダニズムと探偵小説原風景』(小松史生子/著/風媒社/1,260円)【→amazon

乱歩が多感な少年時代を一番長く過ごした名古屋。明治末期の、保守と革新が入り混じった地方都市モダニズム文化の洗礼を受けたことが、乱歩の感性に何を刻印したのか。


幕末 維新の暗号

幕末 維新の暗号

★『幕末 維新の暗号-群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか』(加治 将一 著/祥伝社/1,995円)【→amazon

歴史作家・望月真司のもとに届いた一枚の古写真。それは幾度となくマスコミにも取り上げられた、いわくつきの代物だった。被写体は総勢四十六人。書き込まれた名前によれば、坂本龍馬、西郷隆盛、高杉晋作、岩倉具視、大久保利通、中岡慎太郎、伊藤博文、さらに桂小五郎、勝海舟…と幕末の志士たちが勢ぞろいしていたからだ。荒唐無稽―だが、まがい物と片づけられてきた写真を仔細に検証すると、被写体と実在の人物が次々に合致していった。この古写真はなぜ撮影され、そして歴史の彼方に葬り去られたのか。謎を追ううちに、望月は写真に込められた「秘密」に突き当たる。それは明治政府の重大なタブーに触れるものだった。吉野、佐賀、長崎、鹿児島、山口県柳井―徹底的な取材と綿密な史料分析から解き明かす、驚愕の幕末史。 龍馬、西郷隆盛、高杉晋作、岩倉具視、大久保利道、中岡慎太郎、伊藤博文……英傑たち結集の瞬間!? 謎の古写真が炙(あぶ)り出した日本史の闇!


★『東京伝説 溺れる街の怖い話』(平山 夢明 著/竹書房/580円)【→amazon

都市にはびこる異常犯罪と怪事件、その裏には必ず我ら「人間」の存在が隠れている。欲望やストレスの渦巻く心の闇に引きずられ、とうとう溺れてしまった者たちの存在が…。パラパラ漫画のごとく流れる日常の中にともすれば埋もれ消えゆく奇怪な出来事を、丁寧な取材で聞き集め、説話風に綴った衝撃の実話都市怪談集。


古本暮らし

古本暮らし

★『古本暮らし』(荻原 魚雷 著/晶文社/1,785円)【→amazon

ほしい本を見て悩む。明日からの生活費のことを考える。でも、買っている。古本暮らしは、愉しく、辛く、幸せだ。古本屋巡礼が散歩。


病気だョ!全員集合―月乃光司対談集

病気だョ!全員集合―月乃光司対談集

★『病気だョ!全員集合 月乃光司対談集』(月乃光司/著 大槻ケンヂ/[述] 雨宮処凛/[述] 今一生/[述] 石井政之/[述] 手塚真/[述] ホーキング青山/[述] 信田さよ子/[述] 戸川純/[述] 中村うさぎ/[述] Kacco/[述] アイコ/[述] 大久保長男/[述] DAIGO/[述]/新紀元社/1,575円)【→amazon

新宿トークライブハウス「ロフトプラスワン」で、毎回満員御礼の病気イベント「こわれ者の祭典」の代表・月乃光司が、最強の面々と繰り広げた、すべての生きづらい人に捧げる涙と爆笑の熱きトーク集。


随筆三国志 (講談社文芸文庫)

随筆三国志 (講談社文芸文庫)

★『随筆三国志』(花田 清輝/講談社/1,260円)【→amazon

流行りの梁父吟が大好きな諸葛孔明は当時のアプレ・ゲール!強靭なレトリックと博覧強記で縦横に古典を論じ、同じく乱世の修羅にある現代の貌を浮き彫りにする花田流三国志論。戦争中に書かれた比類なき抵抗の書『復興期の精神』から最後の著作『日本のルネッサンス人』まで首尾一貫、転形期の人間像を描き続けた花田清輝が、三国志に託して今の世界を、さらに歴史の未来を透視する知的興奮に満ちた一冊。


清水義範ができるまで (講談社文庫)

清水義範ができるまで (講談社文庫)

★『清水義範ができるまで』(清水 義範 著/講談社/600円)【→amazon

斬新な発想を駆使し、ユーモア、SF、歴史ものなど、数多くのジャンルの小説を執筆し続ける著者の素顔とは?幼少期の読書体験から、作家を目指した経緯、そして小説の創作法まで、すべてを明かす。唯一無二のマルチ作家による、自伝的エッセイ集。文庫版特典、創作落語「お天気屋」、小説「添乗さん」を収録。


今は昔のこんなこと (文春新書)

今は昔のこんなこと (文春新書)

★『今は昔のこんなこと』(佐藤愛子/著/文藝春秋/777円)【→amazon

下働きのみよやが着物を捨て「アッパッパ」を着た日から幾星霜。気がつけば「ステテコ」に「カンカン帽」のオッサンは消え、「ホホホ」と笑う女もいない―懐かしさより笑いを誘う、絶滅風俗事典。


天皇陛下萬歳―爆弾三勇士序説 (洋泉社MC新書)

天皇陛下萬歳―爆弾三勇士序説 (洋泉社MC新書)

★『天皇陛下萬歳 爆弾三勇士序説』(上野 英信 著/洋泉社/1,785円)【→amazon

1932年2月、上海事変に際し廟巷鎮で、突撃路を開くため破壊筒をかかえて鉄条網に突っ込んだ三人の工兵―作江伊之助、江下武二、北川丞―は、敵陣に運び込んだ爆弾とともに「天皇陛下萬歳」の一声を残し、自らの身を散らせた。世にいう爆弾三勇士である。彼らを軍国主義日本はいかにして神様に仕上げたのか。それによって何をしようとしたのか。いや、そもそも彼らは本当に「天皇陛下萬歳」と言ったのか。彼らはなぜ“軍神”ではないのか。そして、彼らのなかに被差別部落民がいるという心ない噂はなぜ民衆に広がったのか。―これらの疑問の底から“いわれなき神”と“いわれなき死”という日本人の思想の根を掘り起こす渾身のノンフィクション。待望の復刊。


★『不思議の国ルイス・キャロルのロシア旅行記』(L.キャロル 著 笠井 勝子 訳/開文社出版/2,100円)【→amazon

『不思議の国のアリス』を出版して一年半程のちの一八六七年のロシア旅行記。


20世紀

20世紀

★『20世紀』(A.ロビタ 著 朝比奈 弘治 訳/朝日出版社/3,360円)【→amazon

知られざる未来予測のチャンピオン、120年ぶりに日本に登場。奇想天外な空中船が飛び交う近未来のパリ。人々は家にいながら世界の情報にリンクし、株を買いあさっては一喜一憂。国家のボーダーはなくなって、10年に1度の革命に歓喜する!『地底旅行』『八十日間世界一周』のジュール・ヴェルヌと当時の人気を二分したフランスの奇才、アルベール・ロビダが21世紀に甦る。ロビダ自身による300点を超える挿画をふくめ、原典初版本(1883年刊)を完全復刻。


★『「いろんな仕事なりたい職業」のことがわかる本』(ジェイアクト 著/メイツ出版/1,260円)【→amazon

どうしたら憧れの職業につけるの?115種類をわかりやすく紹介。


★『あなたの知らない ミミズのはなし』(中村 方子 監修 山村 紳一郎 文/大月書店/1,680円)【→amazon

自然のリサイクルにはなくてはならない、ミミズの知られざる素顔。


2007-11-17

[]『ビルマ商人の日本訪問記』『ブルバキとグロタンディーク』『アメリカの鉄道史 SLがつくった国』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

★『ビルマ商人の日本訪問記』(ウ・フラ/著 土橋泰子/訳/連合出版/2,625円)【→amazon

1936年、ビルマから青年実業家が日本にやってきた。英植民地下の故国の読者に熱い思いで伝えた昭和初期日本の実像。日本の何を学ぼうとし、何を嫌ったのか…。

ブルバキとグロタンディーク

ブルバキとグロタンディーク

★『ブルバキとグロタンディーク』(アミール・D.アクゼル/著 水谷淳/訳/日経BP社/2,310円)【→amazon

一世を風靡した数学者集団ブルバキ、伝説の数学者グロタンディーク。科学ノンフィクションの名手アクゼルがその功績と盛衰を追う。

アメリカの鉄道史―SLがつくった国

アメリカの鉄道史―SLがつくった国

★『アメリカの鉄道史 SLがつくった国』(近藤喜代太郎/著/成山堂書店/3,990円)【→amazon

鉄道会社の隆盛や路線の延伸を振り返り、鉄道がアメリカの発展に果たした役割を明らかにする。蒸気機関車(SL)の技術発展にも着目し、その変遷を貴重な資料で解説。

 

[]2007年04月に出た読みたい本

 2007年04月に出た読みたい本のリスト。

 今までのリストはこちら。

2007年01月に出た読みたい本

2007年02月に出た読みたい本

2007年03月に出た読みたい本

 05〜10月の分も近いうちに整理します。

 リストはNDC分類順です。


★『図書館の誕生-古代オリエントからローマへ』(L.カッソン 著 新海 邦治 訳/刀水書房/2,415円)【→amazon

粘土板はどう扱われたか?パピルスはどう作られ、どう書かれたのか。粘土板から冊子本への進化は図書館をどう変え、本をどれほど増やしたか。それが人間の社会にどんな結果をもたらしたか?


趣味は読書。 (ちくま文庫)

趣味は読書。 (ちくま文庫)

★『趣味は読書。』(斎藤 美奈子 著/筑摩書房/819円)【→amazon

ふだん本を読まない人が読むからベストセラーになる。だからいわゆる「本読み」は、ベストセラーを読まずに批判する。が、それでいいのか?そう思った文芸評論家・斎藤美奈子が果敢に挑みました。49冊を読み倒し、見つけたベストセラーの法則が6つ。読めば、抱腹絶倒、悲憤慷慨、そして世間の事情がわかってきます。文庫化に際し書き下ろしたのは『国家の品格』『東京タワー』など6篇。大増補版。


どれだけ読めば、気がすむの?

どれだけ読めば、気がすむの?

★『どれだけ読めば、気がすむの?』(豊崎由美/著/アスペクト/1,680円)【→amazon

読みも読んだり341冊!闘うブックレビュアー・トヨザキ社長の書評集第2弾。


★『ロンドンで本を読む 最高の書評による読書案内』(丸谷才一/編著/光文社/920円)【→amazon

藝談や随筆にならず、しっかりした批評性を備え、勘どころはきちんと押さえている…。ジャーナリスト、学者、小説家。どのジャンルの評者のものでもイギリスの書評はこれだけ粋で程度が高い。「オブザーバー」「サンデイ・タイムズ」「スペクテイター」などに収録された中から厳選した珠玉の21編。


こんな本があった!江戸珍奇本の世界

こんな本があった!江戸珍奇本の世界

★『こんな本があった!江戸珍奇本の世界 古典籍の宝庫岩瀬文庫より』(塩村耕/著/家の光協会/1,890円)【→amazon

江戸の子ども遊び百科、武士の生き方マニュアル、吉原の内幕を暴露した色里読本など、失われた日本の姿を知るとっておきの56冊。


日本人が勇気と自信を持つ本―朝日新聞の報道を正せば明るくなる

日本人が勇気と自信を持つ本―朝日新聞の報道を正せば明るくなる

★『日本人が勇気と自信を持つ本 朝日新聞の報道を正せば明るくなる』(高山正之/著/テーミス/1,050円)【→amazon

朝日新聞の独善と驕れる報道を衝けば、日本が元気になる。


歴史学の名著30 (ちくま新書)

歴史学の名著30 (ちくま新書)

★『歴史学の名著30』(山内 昌之 著/筑摩書房/819円)【→amazon

日本や世界で日々起きている事件の背景を知るために不可欠なのは、日本史や世界史の知識である。ところが世界史の未履修問題で明らかになったように、歴史を学ばずに大学生や社会人になってしまう人も少なくない。他方、教科書の歴史知識だけでは満足できない人でも、古典や大著となると縁遠くなる。本書は多忙な現代人のために、紀元前の時代から二〇世紀にいたるまで、日本から中国やアジア、イスラームからヨーロッパなどで生まれた名著を厳選し、懇切丁寧に歴史理解への道を案内する。歴史の面白さと読書の喜びを伝えるブックガイドの決定版。


偽史と奇書の日本史

偽史と奇書の日本史

★『偽史と奇書の日本史』(佐伯 修 著/現代書館/2,415円)【→amazon

綿密な検証から人類の壮大なロマンが見えてくる。偽史と奇書百篇を解読。


解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

★『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(W.ムーア 著 矢野 真千子 訳/河出書房新社/2,310円)【→amazon

膨大な標本、世界初の自然史博物館、有名人の手術、ダーウィンよりも70年も前に見抜いた進化論…。「このジョン・ハンターはまぎれもなく、イギリスの誇る奇人の伝統を脈々とうけつぐ人物であり、その影響は医学の世界をはるかに凌駕している。かれの奇人ぶりは群をぬいており、それが証拠にかれは当時、そしてその後の小説などに多くのモデルを提供している。本書を抜群におもしろくしているのは、そうしたかれの奇人的なエピソード群のためであり、そしてそれが現代のぼくたちにつきつける問いかけのためだ。」近代外科医学の父にして驚くべき奇人中の奇人伝。奇人まみれの英国でも群を抜いた奇人!『ドリトル先生』や『ジキル博士とハイド氏』のモデルとも言われる18世紀に生きた「近代外科医学の父」を初めて描く驚嘆の伝記。


★『夏目漱石とジャパノロジー伝説-「日本学の父」は門下のロシア人・エリセーエフ 』(倉田 保雄 著/近代文藝社/2,415円)【→amazon

日本学の生地はサンクト・ペテルブルク。


青春の東京地図 (ちくま文庫)

青春の東京地図 (ちくま文庫)

★『青春の東京地図』(泉 麻人 著/筑摩書房/735円)【→amazon

古い地図を見つめていると、懐かしい東京の街並が蘇る。昭和30年代、少年の日に虫採りした新宿区の原っぱ。1970年代、高校時代に遊んだ青山のディスコ。初めてデートした原宿の店。ナンパと古レコード探しをした新宿西口。悶々と映画館に通った中野や池袋。当時のTV番組、映画、音楽も流れる泉麻人流東京案内。


★『イラク博物館の秘宝を追え 海兵隊大佐の特殊任務』(M.ボグダノス 著 W.パトリック 著/早川書房/2,100円)【→amazon

2003年4月のバクダッド陥落後、怒れる民衆がイラク国立博物館に大挙して略奪のかぎりをつくした。失われた数万点の品々は全人類共通の遺産、文明の揺籃というべき5000年前の秘宝であり、値段がつけられないほど貴重なものだ。普段はニューヨークの地方検事補を務めるマシュー・ボグダノス海兵隊大佐は、テロリストへの武器と資金の流れをつきとめて断ち切るための新部隊―FBI、ICE、陸海空軍、海兵隊などさまざまな組織からなる統合超機関調整グループ(JIACG)―の指揮を任され、イラク南部に展開していた。博物館略奪の話を漏れ聞いた彼は、みずからの判断でチームを引き連れて急遽バグダッドをめざす。博物館は激しい戦闘の傷痕をたたえて荒れ果てていたが、ボグダノスは検察官としての長年の経験から、単なる暴徒以外のタイプの犯罪者の痕跡を見出していく。海兵隊員として携えたライフルのほかに、古代への情熱、明晰な思考、そしてまわりの人々に向ける愛情を武器として八面六臂の活躍を見せた著者が、メソポタミアの至宝の数々を取り戻すまでを綴った、知的な冒険に溢れるノンフィクション。


陰謀論の罠   The Trap of Conspiracy Theories (光文社ペーパーバックス)

陰謀論の罠 The Trap of Conspiracy Theories (光文社ペーパーバックス)

★『陰謀論の罠』(奥菜 秀次 著/光文社/1,000円)【→amazon

「人は小さな嘘にはすぐ気付くのに、大きな嘘は逆に信用してしまう」と、陰謀論者たちは囁き、『911ボーイングを捜せ』などというDVDや『9.11テロ捏造』などという本が売られている。そして、そこでは、ブッシュ政権がイラクに侵攻するため、“新しい真珠湾”を意図し、「9.11テロ」を自作自演したと主張されている。「WTCに突入したのは軍用機」「WTCは倒壊でなく“爆破”された」「ペンタゴンに突っ込んだのはミサイル」「ユナイテッド93便の残骸はない」など、その証拠も山ほど紹介されている。しかし、これはバカバカしいほどの「小さな嘘」だ。本書は、それを徹底的に検証し、併せて、日本人が信じ込んでいる「真珠湾陰謀説」「コベントリー陰謀説」などにも触れ、陰謀論がどうつくられるかまで言及する。本書を読めば、「9.11陰謀論」が、過去の陰謀論と同じく、そこで展開される論理トリックがあまりに情けないものだとわかるだろう。いまさら“ボーイング捜し”などする必要はない。陰謀論の蔓延は知の衰退を招く。私たちは、この世界を「イディオクラシー」(アホバカ民主主義)に向かわせてはならない。


メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)

★『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(松永 和紀 著/光文社/777円)【→amazon

世界に氾濫するトンデモ科学報道。納豆ダイエット捏造騒動を機に健康情報番組の問題点は知られるようになってきたが、テレビを批判する新聞や週刊誌にも、あやしい健康情報が山ほどある。そこには、センセーショナルな話題に引っ張られるメディアの構造、記者・取材者の不勉強や勘違い、思い込み、そして、それを利用する企業や市民団体など、さまざまな要素が絡んでいる。本書では、さまざまな具体例をもとにメディア・バイアスの構造を解き明かし、科学情報の真贋の見極め方、リスク評価の視点を解説する。


ロック文化が西洋を滅ぼす―脳科学から見た文明論

ロック文化が西洋を滅ぼす―脳科学から見た文明論

★『ロック文化が西洋を滅ぼす-脳科学から見た文明論』(北原 惇 著/花伝社/1,680円)【→amazon

いじめ、落書き、暴力犯罪、騒音公害、麻薬、性の乱脈、礼儀知らずなどがなぜ日本でもあたりまえになってしまったのか…。西洋はなぜ滅びるのか?ユニークな「脳科学の知見にもとづく文明論」。


オタク論!

オタク論!

★『オタク論!』(唐沢俊一/著 岡田斗司夫/著/創出版/1,575円)【→amazon

オタク第一世代が語る「オタクって何だ!」限りなく拡散しつつある「オタク」なる存在を第一世代が今一度語り尽くした。


科学論の実在―パンドラの希望

科学論の実在―パンドラの希望

★『科学論の実在-パンドラの希望-』(B.ラトゥール 著 川崎 勝 他訳/産業図書/4,725円)【→amazon

科学者から「あなたは実在を信じますか?」と真顔で問われたラトゥールは科学論こそが科学を真に自由にしようとしていることを明らかにする。


雪崩の掟

雪崩の掟

★『雪崩の掟』(若林隆三/著/信濃毎日新聞社/1,680円)【→amazon

富士山にあった極地並みの大雪崩「雪代」。岳沢ヒュッテを跡形も無く吹き飛ばした雪崩旋風。死を呼ぶ手足のマッサージ。トップ・クライマーをも葬った雪庇。雪崩を通して垣間見た自然界の巧妙なしくみ。第一人者が語る知的興奮に満ちた世界。


★『シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源』(S.B.キャロル 著 渡辺 政隆 他訳/光文社/2,415円)【→amazon

なぜ、かたちと模様がこれほど多様なのか。その謎を説くカギ、「マスター遺伝子」とは―。進化理論の驚くべき展開。


やっぱりペンギンは飛んでいる!! (知りたい!サイエンス)

やっぱりペンギンは飛んでいる!! (知りたい!サイエンス)

★『やっぱりペンギンは飛んでいる!! 拝啓、ホントに「鳥」ですか?』(いとう良一/著 佐藤克文/監修/技術評論社/1,659円)【→amazon

ペンギンは可愛いだけではない。はっきり言って、ものすごい。ペンギンの誕生は、実は大昔。白亜紀の時代に、恐竜と共に生きていた。冬の南極に耐えるやつがいれば、一年中赤道で暮らすやつもいる。普通のサラリーマンぐらいなら、軽く叩きのめす腕力もある。もう、可愛いだけとは言わせない。…というか、言えない。


病気の社会史―文明に探る病因 (岩波現代文庫)

病気の社会史―文明に探る病因 (岩波現代文庫)

★『病気の社会史-文明に探る病因』(立川 昭二 著/岩波書店/1,155円)【→amazon

病気の歴史をたどることで世界史の転換点が明らかになる。古代ギリシアの疾病、ハンセン病、ペスト、梅毒、結核、ガン…。これらの病いはなぜ人類にとっての甚大なる災厄となったのか。そして文明と歴史にいかなる影響を与えたのか。豊富な挿話を通じて猖獗をきわめる疫病の恐ろしさ、新たな難病の出現を描き出し、人類にとっての病気の意味を考察する誉れ高い名著。


戦国時代のハラノムシ―『針聞書』のゆかいな病魔たち

戦国時代のハラノムシ―『針聞書』のゆかいな病魔たち

★『戦国時代のハラノムシ ―「針聞書」のゆかいな病魔たち』(長野 仁 編 東 昇 編/国書刊行会/1,050円)【→amazon

戦国時代の医学書『針聞書』に描かれた、人の体内にひそんで病気をひき起こすと考えられていた、キミョーキテレツでキモカワイイ、63匹の虫たちをオールカラーで収録。


廃墟本〈2〉

廃墟本〈2〉

★『廃墟本 2』(中田薫/著 中筋純/撮影/ミリオン出版/1,890円)【→amazon

沈黙で綴る荒廃の詩集、静寂が語る無常の世界。甘美で危険な廃墟には一つ一つに理由がある…『漫画実話ナックルズ』誌上で好評連載中の『廃墟探訪2』再び!前著を凌ぐ面白さ。


ケンチク模型。宮本流

ケンチク模型。宮本流

★『ケンチク模型。宮本流』(宮本 佳明 編著/彰国社/2,200円)【→amazon

事務所で計画した31のプロジェクトを題材に、3つの模型の使い分けと見せ方を解説する。模型づくりの考え方がわかる本。


★『昭和初期の博物館建築 東京博物館と東京帝室博物館』(博物館建築研究会 編/東海大学出版会/2,940円)【→amazon

なぜ飛行機型をしているのか、なぜかくも美しいのか、豊富な写真資料などで国立科学博物館と東京国立博物館本館の建物誕生のいきさつを紹介する。


日本飛行船物語―航空界の特異な航跡を辿る (光人社NF文庫)

日本飛行船物語―航空界の特異な航跡を辿る (光人社NF文庫)

★『日本飛行船物語 航空界の特異な航跡を辿る』(秋本実/著/光人社/960円)【→amazon

人類が大空へ昇った“熱気球”の発明から、“飛行船”へと発展をとげた先覚者たちの模索の時代。明治十年、反政府軍により包囲された熊本鎮台を救うため陸海軍が気球を製作した日本の航空界の黎明期。飛行機の時代を迎えるまでのユニークな軍用気球と軍用飛行船の歩みを、豊富な写真と図版で綴った話題の航空史探索。


あこがれの家電時代 (らんぷの本)

あこがれの家電時代 (らんぷの本)

★『あこがれの家電時代』(清水 慶一 著/河出書房新社/1,575円)【→amazon

家電が輝やいていたあの頃。テレビ、ラジオ、冷蔵庫、洗濯機、電気釜、ミキサー、電子レンジ、オーディオ、ビデオ、電卓、ワープロ、ゲーム機…明治・大正から三種の神器・3C時代を経て、昭和の終わりまで、多数の図版でたどる家電の歴史。


東京物欲道場―デジモノステーションPRESENTS

東京物欲道場―デジモノステーションPRESENTS

★『東京物欲道場』(松尾 スズキ 著/ソニーマガジンズ/1,260円)【→amazon

「インストール」と聞いただけで肌荒れする男、デジタル恐怖症の松尾スズキが高級なモノからとんでもモノまであらゆるデジタルを使い倒す。物欲に火を付けるのはどのデジモノなのか?松尾スズキとデジモノの格闘を綴ったデジモノステーション人気連載、遂に単行本化。


自販機の時代―“7兆円の売り子”を育てた男たちの話

自販機の時代―“7兆円の売り子”を育てた男たちの話

★『自販機の時代 "7兆円の売り子"を育てた男たちの話』(鈴木隆/著/日本経済新聞出版社/1,890円)【→amazon

昭和45年、熱狂の万博会場から始まる“家電の敗者”の大反攻。日本全国いたる所に立ち並ぶ550万台もの自販機の陰で繰り広げられた、開発、製造、販売を巡る熱き戦いの物語。


東西食卓異聞

東西食卓異聞

★『東西食卓異聞』(高橋哲雄/著/ミネルヴァ書房/1,890円)【→amazon

イギリス社会文化史家にして名うての「食いしんぼ」が、溢れる好奇心と情感を全開にして、鋭い切り口と上質な文章で綴る食と味と人生の諸相。


終着駅は始発駅

終着駅は始発駅

★『終着駅は始発駅』(宮脇俊三/著/グラフ社/1,300円)【→amazon

宮脇俊三の名著、ついに復刊!心はずむ旅の種々相と、その醍醐味を語り尽したエッセイ集。鉄道ファンはもとより、旅の悦びを知る人々に必携の一冊。巻末に、在りし日の作家と作品について、娘のエピローグを添えた。


新幹線不思議読本 (朝日文庫 う 14-1)

新幹線不思議読本 (朝日文庫 う 14-1)

★『新幹線不思議読本』(梅原 淳 著/朝日新聞社/840円)【→amazon

新幹線はどこまで速く走れるの?線路に積もる雪はどうしているの?新幹線のトイレってどういう仕組み?―そんな多種多様な謎と不思議を一挙に解明!さらに、メンテナンスや総合指令所、技術開発部の仕組みも収録。新幹線には乗るだけという人から、鉄道ファンの人まで楽しめる一冊。


★『パトロンたちのルネサンス フィレンツェ美術の舞台裏』(松本 典昭 著/日本放送出版協会/966円)【→amazon

わたしたちはウフィツィやルーブルで名画を前に歓喜に包まれ、至上の美を創作した芸術家の心情に思いを寄せ、ロマンチックな想像の翼を広げる。しかし、それはあまりに近代的な鑑賞法に馴れ親しんだ結果ではないのか?たしかに、近代の作品は芸術家の詩情の発露として創作されるが、ルネサンス時代の芸術はパトロンが発注するものだった。最初に設置された場所、描かれた人々、報酬等をつぶさに見ることで、作品をパトロンの見識と審美眼、経済力の象徴として捉え直し、さらに当時の画家・彫刻家の社会的位置などを考慮することで、おなじみの作品が全く違って見えてくる。裏面からみる、新しい美術史の試み。


澁澤龍彦 幻想美術館

澁澤龍彦 幻想美術館

★『澁澤龍彦 幻想美術館』(巖谷 國士 監修・文/平凡社/2,700円)【→amazon

7つの展示室―マニエリスム、シュルレアリスム、江戸〜昭和の日本美術、人形、童画、写真、ポスター、オブジェ…澁澤龍彦が熱愛し称賛した古今東西の美術家の傑作・異色作310点を一挙掲載。


仏像の秘密を読む

仏像の秘密を読む

★『仏像の秘密を読む』(山崎隆之/著/東方出版/1,890円)【→amazon

各仏師は技術を磨き、改良を重ね、依頼者である願主のさまざまな要望に応えようとした。一方、願主にはそれぞれ悩み、不安また恐怖などがある。そこから救われたいとの切実な願いがある。仏師は、ただ単に決められた図像通りに仏像を造るのではなく、そこに願主の期待に応じるべく、秘かに願主の意を汲み、ともに恐怖に立ち向かいながら、願主を力づけ、なぐさめ、救うためのさまざまな仕掛けを隠し置いたのだ。本書では、その秘技、秘策を、各仏像の中から探り出し、仏師の意図を読み解いてみたい。


広重と浮世絵風景画

広重と浮世絵風景画

★『広重と浮世絵風景画』(大久保 純一 著/東京大学出版会/5,670円)【→amazon

吉原、両国、日本橋…名所絵に隠された技。透視図法や遠近法を駆使し、江戸人たちの名所イメージを巧みに描いた広重。その卓抜な空間造形の手法を解き明かす。


実力画家たちの忘れられていた日本洋画〈2〉

実力画家たちの忘れられていた日本洋画〈2〉

★『実力画家たちの忘れられていた日本洋画 2』(住友慎一/著/里文出版/2,940円)【→amazon

日本の洋画史上に貴重と思われる、忘れられていた絵画を、『忘れられていた日本洋画』に続き約130点掲載。実力ある画家たちの描いた作品コレクターとして地道な収集と研究を続けてきた著者の成果をここに公表。


マンガ編集者が語るおもしろさの創り方

マンガ編集者が語るおもしろさの創り方

★『マンガ編集者が語るおもしろさの創り方』(八窪頼明/著/同友館/1,890円)【→amazon

どうしたらマンガ家としてデビューできるのか?!マンガの描き方の本は多数出版されているが、マンガ編集者によるストーリーの創り方やキャラクターの創り方などを書いた指南書はなかった。マンガのおもしろさについて徹底分析。マンガ編集50年の著者が語る、マンガ家としてデビューする方法。


父の時代・私の時代 わがエディトリアルデザイン史

父の時代・私の時代 わがエディトリアルデザイン史

★『父の時代・私の時代 わがエディトリアルデザイン史』(堀内 誠一 著/マガジンハウス/1,785円)【→amazon

戦前から1980年代まで、an・an BRUTUSから絵本づくりまで天才デザイナーが雑誌と絵本の世界を生き生きと語る必読の名著。


昭和の風景 (とんぼの本)

昭和の風景 (とんぼの本)

★『昭和の風景』(東京都写真美術館 編/新潮社/2,100円)【→amazon

貧しかったけれど、希望と活力にあふれていた昭和30年代を中心に、敗戦から高度成長、そしてバブルまで―めまぐるしく変化する価値観の中で、写真家たちはファインダーに何を見、印画紙に何を焼き付けようとしたのか?激動の時代を生きた写真家たちの作品で綴る、写真昭和史。


カストリの時代

カストリの時代

★『カストリの時代』(林 忠彦 著/ピエ/1,890円)【→amazon

引き揚げ、進駐軍、焼け跡・闇市、戦災孤児、復興する東京…激動の時代を、写真が永久に記録する…終戦後のドラマチックな世相を、リアルに再現した写真文集。


★『音楽革命論 クラシックの壁をぶち壊せ!!』(玉木 宏樹 著/出版芸術社/1,890円)【→amazon

平均律の和音は美しくない。いまだにベートーヴェン?デタラメこの上ない楽典の歴史ドイツ流の偏った日本の音楽教育演奏の途中で迫手して何が悪い!クラシック界の非常識を叩き斬る!新たな音楽の可能性を追求する愉快痛快音楽論。


ジャニヲタ 女のケモノ道

ジャニヲタ 女のケモノ道

★『ジャニヲタ 女のケモノ道』(松本 美香 著/双葉社/1,470円)【→amazon

「ジャニヲタ」とはジャニーズタレントを所属事務所ごと愛する濃ゆ〜いヲタク女子。「30代」「独身」「ジャニヲタ」の三重苦女芸人が綴る爆笑&落涙エッセイ。


アイドルにっぽん

アイドルにっぽん

★『アイドルにっぽん』(中森 明夫 著/新潮社/1,575円)【→amazon

著者25年分の論考集成、憂国のアイドル論。


★『フィルムスタディーズ入門 映画を学ぶ楽しみ』(ウォーレン・バックランド/著 前田茂/訳 要真理子/訳/晃洋書房/3,045円)【→amazon

映画制作上の専門的な技術用語や、映画研究の袋小路で待ち構える難解な理論と述語、あるいは映画史にまつわる瑣末な知識を交えることなく、映画作品が分かるとはどういうことかを丁寧に解説。


★『「殺陣」という文化 チャンバラ時代劇映画を探る』(小川順子/著/世界思想社/4,410円)【→amazon

人を斬る、その残酷な所作の美しさとは。映画の草創期から現代に至るまで、無数の観客が銀幕の上で繰り広げられるチャンバラ(殺陣)に酔いしれた。時代劇映画における殺陣の歴史から身体運用、そして日本文化研究の新たな展開へと広がる壮大な試み。


アニメ作家としての手塚治虫―その軌跡と本質

アニメ作家としての手塚治虫―その軌跡と本質

★『アニメ作家としての手塚治虫-その軌跡と本』(津堅 信之 著/エヌ・ティ・ティ出版/2,520円)【→amazon

「アニメが作りたいからマンガを書いている」とまで言った手塚治虫。彼が日本のアニメーションに与えた影響を豊富なインタビューを交え、総合的な視点からとらえなおす。


吉本興業の正体

吉本興業の正体

★『吉本興業の正体』(増田 晶文 著/草思社/1,995円)【→amazon

創業1912年、間もなく100年の歴史を数える日本最古にして最強の芸能プロダクション・吉本興業。1000人近い所属芸人・タレントでテレビ界を埋め尽くし、その供給のみならず番組の企画・制作、配信まですべてを押さえて、いまや年商500億円に迫る勢いの順風満帆。トップが替わろうが人気タレントが翳ろうがその増殖は留まるところを知らず、いまや「大阪」という服も脱ぎ捨てて全国区を制覇、さらに異業種や海外市場をも侵食しはじめている。かつて大阪ローカルだったはずのこの「会社」はいったい何を目論んでいるのか?世界的にみても「ケッタイな会社」である吉本興業の創業から現在に至るまでを詳細に描いて、その「ケッタイな正体」に迫る。秘密は金庫の中に保管されている。


寄席の人たち 現代寄席人物列伝

寄席の人たち 現代寄席人物列伝

★『寄席の人たち 現代寄席人物列伝』(秋山 真志 著/創美社/1,890円)【→amazon

噺家、紙切り、三味線漫談、漫才師、講釈師等々…。芸人だけではなく、席亭、お囃子さん、寄席文字の師匠など寄席を支える「寄席の人たち」10名を徹底ルポ。意外な人の意外な素顔と、悩みとおかしみと波乱に満ちた人間ドラマ…。読んでおもしろく、知ってためになる、そして何より寄席に行きたくなる、極め付けの本。


★『ボクシングはなぜ合法化されたのか』(松井 良明 著/平凡社/2,520円)【→amazon

「近代スポーツの母国」イギリスで、かつてサッカーやボクシングは違法行為であった。さまざまなスポーツが「近代化」される過程を跡づけ、その〈正当性〉の根拠を明らかにする。


焚き火の焚きつけ

焚き火の焚きつけ

★『焚き火の焚きつけ』(黒田 薫 著/つり人社/1,890円)【→amazon

憎たらしいクマに食糧をぜんぶ食われても、道に迷って3日間ヤブを漕ぎ続けても、崇高なアルピニストから卑しいイワナ釣り師に落ちぶれても、山は楽しい。


コダワリ人のおもちゃ箱

コダワリ人のおもちゃ箱

★『コダワリ人のおもちゃ箱』(松浦 晋也 著/エクスナレッジ/1,680円)【→amazon

世界一のプラネタリウム!本物の蒸気機関車!自作サイドカー!好奇心と興味にまかせ、やりたいことを突きつめる。趣味人を超えたコダワリ人たちの熱中人生。


★『女流作家』(円地文子/著 瀬戸内寂聴/著 佐藤愛子/著 田辺聖子/著/日本経済新聞出版社/1,365円)【→amazon

結婚、生活、文学…女性が生きた昭和史。小説家への道と、女性の自立と。いずれ劣らぬ華麗な文学遍歴からは、昭和という時代、特に戦争を生き抜いた日本人女性のたくましさも垣間見えてくる。


淳之介流―やわらかい約束

淳之介流―やわらかい約束

★『淳之介流-やわらかい約束』(村松 友視 著/河出書房新社/1,575円)【→amazon

今、なぜ吉行淳之介なのか?性を通して人間の本質を追究し、文壇の第一線を歩み続けた作家・吉行淳之介。ダンディズムの奥底にあるしたたかな色気と知られざる魅力。その作品と人物像の行間を炙り出す渾身の書き下ろし。 吉行淳之介とは何者?やわらかい約束病いと健啖生い立ちと青春戦中と戦後作家への助走第三の新人半達人闇のなかの祝祭「暗室」前後「夕暮れまで」の完結幕引きの余韻 文壇の寵児として第一線を歩み続け、その華やかな生涯で知られた吉行淳之介。人々を魅了したダンディズムの奥底にあるものは? 吉行氏と深く交流してきた著者による渾身の書き下ろし!


新人だった! (角川文庫)

新人だった! (角川文庫)

★『新人だった!』(原田 宗典/角川書店/460円)【→amazon

大学五年の春、原田青年は困っていた。父親の借金で実家は崩壊寸前。生活費を稼ぐために働かなくてはならず、小説家になりたくとも修業する時間もない。「コピーライターは儲かる」という友人の言葉に触発され、第一線のコピーライター事務所でアルバイトを始めるが…。次から次へと訪れる困難と襲いかかるパニックに耐えられるか!?爆笑、赤面の一年間がセキララに描かれた傑作、待望の文庫化。


★『漱石、龍之介、賢治、乱歩、そして謎解き』(四季が岳 太郎 著/杉並けやき出版/1,260円)【→amazon

「清」は「坊ちゃん」の母?叔母?それとも…。小説には語られていない謎がある。漱石、龍之介、賢治、乱歩などの誰もが知っている作品から謎を解読。


新教養主義宣言 (河出文庫)

新教養主義宣言 (河出文庫)

★『新教養主義宣言』(山形浩生/著/河出書房新社/798円)【→amazon

「日本的四畳半ウサギ小屋的せまさ」に行き詰まっている現実も、ちょっと物の見方を変えれば可能性に満ちている。文化、経済、情報、社会、あらゆる分野をまたにかけて、でかい態度にリリシズムをひそませた明晰な日本語で、いま必要な新たなる“教養”を読者の脳裏にたたき込む。二十一世紀の日本人必読の書。


目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

目白雑録 (朝日文庫 か 30-2)

★『目白雑録』(金井 美恵子 著/朝日新聞社/609円)【→amazon

マッチョな作家のお馬鹿な発言、オヤジ的言説のあまりの的外れ…稀代の批評眼をもつ小説家が、文壇・論壇にはびこる「おかしな言説」、日常目にする「おかしな現象」を損得抜きで斬りまくる。比類なく辛辣、無類に滑稽、素敵に過激!共感に思わず膝打つ痛快エッセイ集。


日々是作文 (文春文庫)

日々是作文 (文春文庫)

★『日々是作文』(山本 文緒 著/文藝春秋/580円)【→amazon

31歳の私に、10年後の私をこっそり教えてあげたい―。離婚して仕事もお金もなかった31歳から、直木賞受賞&再婚してしまった41歳まで。絶品の恋愛小説で読者の心を搖さぶり、出口の見つからない切なさを描いてきた著者も、日々様々な思いに搖れながら「微妙なお年頃」を過ごしてきた。激動の10年間を綴ったエッセイ集。


「風船爆弾」秘話

「風船爆弾」秘話

★『風船爆弾秘話』(桜井誠子/著/光人社/1,995円)【→amazon

「コンニャク糊と紙の殺人兵器」一個一〇〇〇〇円(当時)、日本の命運を賭けた爆弾と焼夷弾搭載のこの風船は、どのようにして作られ、どのような被害をあたえたのか。…直径一〇メートル、放球された風船爆弾約九〇〇〇個、うちアメリカ大陸に到着したもの一〇〇〇個。アメリカ国民を恐怖のどん底に陥れた奇想天外な新兵器の顛末。わずか一〇センチ、新発見の風船爆弾の心臓部・高度保持装置等々、新資料や関係者の証言を駆使して、その全容に迫る執念のノンフィクション。


歌舞伎町案内人〈2〉バックストリートの掟 (角川文庫)

歌舞伎町案内人〈2〉バックストリートの掟 (角川文庫)

★『歌舞伎町案内人 2 バックストリート』(李 小牧/角川書店/580円)【→amazon

いまや歌舞伎町で最も有名な中国人となった元祖「案内人」、李小牧。だが、注目を浴びるようになった現在でも、案内人は危険と隣り合わせの人生を疾走し続ける。マスコミの裏切り、ヤクザの中国人狩り、警察による摘発の嵐、縄張りを狙う新たな影…。次々と押し寄せる絶体絶命の危機を、案内人はどう生き延びるのか―。あらゆる欲望の聖地と化した歌舞伎町の真実を描き出す、人気シリーズ最新刊。


アラビアンナイト―文明のはざまに生まれた物語 (岩波新書)

アラビアンナイト―文明のはざまに生まれた物語 (岩波新書)

★『アラビアンナイト-文明のはざまに生まれた物語』(西尾 哲夫 著/岩波書店/819円)【→amazon

誰によって、いつ頃つくられたのか、本当に千一夜分の物語があったのか―いまや世界文学となった「アラビアンナイト」の成立事情は、謎に包まれている。まぼろしの「原典」探し、「偽写本」の捏造、翻訳による違いなど、成立から翻訳・受容の過程をたどり、異文化のはざまで変貌していく物語集の文明史的意味を考える。 第


★『ブルターニュ紀行 野を越え、浜を越え』(ギュスターヴ・フローベール/[著] 渡辺仁/訳/新評論/3,360円)【→amazon

若き日のフローベールが、友人とふたりでフランスの辺境の地を歩き回った旅の記録。当時の地方の景観や風俗が、生き生きとした筆致で描かれていると同時に、稀有な作家の誕生を予感させるような、さまざまな散文の実験も試みられている。


紙芝居は楽しいぞ! (岩波ジュニア新書)

紙芝居は楽しいぞ! (岩波ジュニア新書)

★『紙芝居は楽しいぞ!』(鈴木 常勝 著/岩波書店/882円)【→amazon

ドキドキワクワクの冒険活劇にお涙頂戴の少女悲劇、身の毛がよだつ怪奇もの…、「さて、次はどうなるでしょうか。それは明日のお楽しみィ」。紙芝居屋と子どもたちの言葉のキャッチボールが冴えわたり、今日も街角に大きな歓声がひびき渡る。善悪虚実が渦巻く路地裏劇場の魅力をたっぷりと紹介します。


2007-11-16

[]『虚栄の帝国 ロシア-闇に消える「黒い」外』『オセアニア 海の人類大移動 VAKA MOANA THE UNTOLD STORY OF THE WORLD'S GREATEST EXPLORATION』『リチャード三世は悪人か』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

虚栄の帝国ロシア―闇に消える「黒い」外国人たち

虚栄の帝国ロシア―闇に消える「黒い」外国人たち

★『虚栄の帝国 ロシア-闇に消える「黒い」外』(中村 逸郎 著/岩波書店/2,730円)【→amazon

潤沢な石油マネーで華やかな表玄関を構えるロシア。だがその裏で働く一五〇〇万人もの旧ソ連出身外国人不法就労者の存在を知る人は少ない。僅かの賃金、劣悪な条件のもとで建設や清掃などの重労働に従事する彼らからは、つねに警察官や雇い主がなけなしの金をしぼりとっていく。そればかりでなく、労働災害による傷病や事故死の危険も常時隣り合わせで、働きに出たまま行方知れずとなる外国人の数は月に数百人ともいわれる。そうしたかれらにさらに追い討ちをかける、スキンヘッド・グループによる襲撃も、あとを絶たない。一方でロシア社会は彼らの労働なしにはもはや成り立たなくなっており、ロシア市民たちもまた、彼らの上前をはねる生活に慣れてしまった。「虚栄の帝国」の知られざる舞台裏を、地域に密着した調査がえぐり出す。

オセアニア―海の人類大移動

オセアニア―海の人類大移動

★『オセアニア 海の人類大移動 VAKA MOANA THE UNTOLD STORY OF THE WORLD'S GREATEST EXPLORATION』(国立民族学博物館/編/昭和堂/1,995円)【→amazon

広大なオセアニア地域が世界に知られる遙か昔、何千年もの時をかけて何千キロにもおよぶ地球規模の大移動を成し遂げた人びとがいた。彼らの航海術とはどのようなものだったのか。彼らはどのような足跡を各地に残しているのか。その知られざる歴史と偉業をたどるとともに、現在も移動・交易・交流を重ねる末裔たちの多様な暮らしぶりを紹介。

リチャード三世は悪人か (NTT出版ライブラリーレゾナント)

リチャード三世は悪人か (NTT出版ライブラリーレゾナント)

★『リチャード三世は悪人か』(小谷野敦/著/NTT出版/1,680円)【→amazon

シェイクスピアさん、盗作です!文学は史実をどう描いてきたのか?小谷野敦が伝説の王「リチャード三世」の知られざる真実に迫る!ほかに『マクベス』『リア王』『オセロウ』も。

 

2007-11-15

[]『猫の大虐殺』『そして世界に不確定性がもたらされた ハイゼンベルクの物理学革命』『「新宿コマ」座長たちの舞台裏 伝説の音響技師が語る大物歌手・芸人の真実』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

猫の大虐殺 (岩波現代文庫)

猫の大虐殺 (岩波現代文庫)

★『猫の大虐殺』(ロバート・ダーントン/[著] 海保真夫/訳 鷲見洋一/訳/岩波書店/1,260円)【→amazon

一八世紀初頭のある日、パリの労働者街の猫がのこらず殺された、と記す印刷職人の手記は、何を物語るのか。史料の奥底に隠された大革命以前の人びとの心性に、わずかな手がかりをもとに犯人をつきとめる名探偵のような鮮やかな推理で迫る。社会史研究の先駆的達成と評価される原書から、中核的論文四本を抜粋して収録。著者自身による解説も兼ねた「第三版への序文」を付す。

★『そして世界に不確定性がもたらされた ハイゼンベルクの物理学革命』(デイヴィッド・リンドリー/著 阪本芳久/訳/早川書房/1,890円)【→amazon

1927年、若きドイツ人物理学者のハイゼンベルクは、量子力学の根幹をなす「不確定性原理」の考え方を初めて世に送り出した。すなわち、因果律に従い完璧に予測されるものだと考えられていた世界が、偶然と確率と可能性に支配された不正確なものに代わってしまったのである。これはあまりにも革新的な概念だった。当時すでに著名な科学者であったアインシュタインはこの原理を認めようとせず、また、ハイゼンベルクとその師ボーアとの間にも確執が生まれた。科学界だけではなく、文学や哲学にも大きな波紋をよんだ。だが、量子論と不確定性の考え方は、ある日突然現れたものではない。浮遊した微粒子がランダムに動くブラウン運動など、19世紀には不規則で統計的な現象の存在が明らかになっていた。また、第一次大戦後、敗戦国の屈辱を味わっていたドイツには、科学者の間にも決定論的な運命を認めたくないという向きが強まっていた。あとはただ一人の若き秀才の登場を待つのみだったのである。世界を揺さぶった不確定性の概念と、それをめぐる著名な科学者たちの人間ドラマとをみごとに描き出した、渾身の科学ノンフィクション。

「新宿コマ」座長たちの舞台裏 伝説の音響技師が語る大物歌手・芸人の真実

「新宿コマ」座長たちの舞台裏 伝説の音響技師が語る大物歌手・芸人の真実

★『「新宿コマ」座長たちの舞台裏 伝説の音響技師が語る大物歌手・芸人の真実』(渡部清/著 小菅宏/聞き手/講談社/1,470円)【→amazon

美空ひばり、島倉千代子、北島三郎、越路吹雪、藤田まこと、都はるみ、山口百恵らの知られざるエピソード…。新宿コマ劇場の座長として多くの観客を集める歌手・芸人と仕事を共にした音響技師が初めて語りおろす。昭和の芸能界を支えてきた新宿コマ劇場関連年表付き。

2007-11-14

[]「沖縄集団自決訴訟」は、『沖縄ノート』の誤読に基づく、という説(罪の巨塊)

 今日のテキストは無駄に長いです。

 

 以下のところから。

「沖縄集団自決訴訟」の大江健三郎氏関係の記録 - 愛・蔵太の少し調べて書く日記(コメント欄)

ni0615 『このサンケイ「詳報」は、かなり重要なキーワードが省略されていることが、沖縄タイムズの記事との照合だけでもわかります。その一部を下記エントリーの中で指摘しました。大江証言が抽象的観念的なものにされてしまってる惧れがあります。のちに、公判速記禄との照合がかかせません。今の段階で、バイアスがかかったこの「詳報」を詳報だと信じて細かな分析を進めることは大変危険です。』

 以下のところへ。

沖縄戦裁判:訴訟の根拠を原告自ら否定する:イザ!

明瞭になったには4点。

イ)原告本人は第3者から訴訟をそそのかされた。

ロ)原告は読んだこともない『沖縄ノート』を告発した。

ハ)原告は曽野本にかかれている『沖縄ノート』言及を、『沖縄ノート』における表現だと未だに誤認している。

ニ)名指しをした『鉄の暴風』を告訴せず、匿名の『沖縄ノート」を訴えた政治戦術

 ぼく的に興味のあったのは「ハ」のことですが、そのほかにもいろいろ興味深いことが書かれていますので、「沖縄戦裁判:訴訟の根拠を原告自ら否定する:イザ!」のテキストはご覧ください。

 どうも一度、産経の報道による「沖縄集団自決訴訟の詳報」を、大江健三郎氏に関する部分以外も含めて言及しないといけないので、ちょっとやっておきます。太字は引用者=ぼくによるものです。

毅然とした態度で無実訴え 梅沢元守備隊長 - MSN産経ニュース

毅然とした態度で無実訴え 梅沢元守備隊長

2007.11.9 12:18

 

 「自決命令は出していない」。9日、大阪地裁で本人尋問が始まった沖縄の集団自決訴訟。住民に集団自決を命じたと記述された座間味島の元守備隊長、梅沢裕さん(90)は、毅然(きぜん)とした態度で“無実”を訴えた。確証がないのに汚名を着せられ続けた戦後60余年。高齢を押して証言台に立ったのは、自分のためだけではない。無念のまま亡くなったもう1人の元守備隊長と旧日本軍、そして国の名誉を守りたい一心だった。

 地裁で最も広い202号法廷。梅沢さんはグレーのスーツに白いシャツ姿で入廷した。終始しっかりとした口調で尋問に答え、焦点となった集団自決前の状況について問われると、「(村民に対し)弾はやれない、死んではいけないと言いました」と語気を強めた。

 梅沢さんにとって決して忘れることのできない出来事をめぐる証言だった。米軍が座間味島に上陸する前日の昭和20年3月25日。「あの日、村民5人が来た場面は強烈な印象として残っている」という。

 大艦隊の艦砲射撃と爆撃にさらされ、本格的な米軍との戦闘に向けて山中の陣地で将校会議を開いていた夜、村の助役ら5人が訪ねてきた。

 《いよいよ最後の時が来ました。敵が上陸したら逃げ場はありません。軍の足手まといにならないように老幼婦女子は自決します》

 助役らは切羽詰まった様子でそう言い、自決用の爆薬や手榴(しゆりゆう)弾などの提供を求めた。驚いた梅沢さんは即座に断り、こう言葉を返したという。

 《自決することはない。われわれは戦うが、村民はとにかく生き延びてくれ

 戦後、大阪府内で会社勤めをしていた昭和33年、週刊誌に「梅沢少佐が島民に自決命令を出した」と報じられた。そして、戦後まもなく発行された沖縄戦記『鉄の暴風』(沖縄タイムス社)で隊長命令説が記述され、沖縄の文献などに引用されていることを知った。

 「お国のために戦ってきたのに、なぜ事実がねじ曲げられるのかとがく然となった。屈辱、人間不信、孤独…。人の顔を見ることが辛く、家族にも肩身の狭い思いをさせた」

 転機が訪れたのは57年。戦没者慰霊のため座間味島を訪れた際、米軍上陸直前に会った5人のうち、唯一生き残った女性と再会。戦後、集団自決は隊長命令だったと述べていた女性は苦しみ続けた胸の内を吐露し、「隊長は自決してはならんと明言した」と真相を証言してくれた。

 さらに62年、助役の弟で戦後、村の援護係を務めた男性が「集団自決は兄の命令。(戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく)遺族補償を得るため隊長命令にして申請した」と述べ、梅沢さんの目の前で謝ったという。

 「彼から『島が裕福になったのは梅沢さんのおかげ』と感謝もされた。ようやく無実が証明され、これで世間も治まるだろうと思った」

 だが、隊長命令説は消えなかった。大江健三郎氏の著書『沖縄ノート』など多くの書物や教科書、さらに映画などでも隊長命令説が描かれた。梅沢さんはいう。

 「戦争を知らない人たちが真実をゆがめ続けている。この裁判に勝たなければ私自身の終戦はない」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(1)】梅沢さん「とんでもないこと言うな」と拒絶

【沖縄集団自決訴訟の詳報(1)】梅沢さん「とんでもないこと言うな」と拒絶 (1/4ページ)

2007.11.9 15:12

 

 沖縄の集団自決訴訟で、9日、大阪地裁で行われた本人尋問の主なやりとりは次の通り。

 

 《午前10時半過ぎに開廷。冒頭、座間味島の守備隊長だった梅沢裕さん(90)と、渡嘉敷島の守備隊長だった故赤松嘉次さんの弟の秀一さん(74)の原告2人が並んで宣誓。午前中は梅沢さんに対する本人尋問が行われた》

 原告側代理人(以下「原」)「経歴を確認します。陸軍士官学校卒業後、従軍したのか」

 梅沢さん「はい」

 原「所属していた海上挺身(ていしん)隊第1戦隊の任務は、敵船を撃沈することか」

 梅沢さん「はい」

 原「当時はどんな装備だったか」

 梅沢さん「短機関銃と拳銃(けんじゅう)、軍刀。それから手榴(しゅりゅう)弾もあった」

 原「この装備で陸上戦は戦えるのか」

 梅沢さん「戦えない」

 原「陸上戦は予定していたのか」

 梅沢さん「いいえ」

 原「なぜ予定していなかったのか」

 梅沢さん「こんな小さな島には飛行場もできない。敵が上がってくることはないと思っていた」

 原「どこに上陸してくると思っていたのか」

 梅沢さん「沖縄本島だと思っていた」

 原「昭和20年の3月23日から空爆が始まり、手榴弾を住民に配ることを許可したのか」

 梅沢さん「していない

 原「(米軍上陸前日の)3月25日夜、第1戦隊の本部に来た村の幹部は誰だったか」

 梅沢さん「村の助役と収入役、小学校の校長、議員、それに女子青年団長の5人だった」

 原「5人はどんな話をしにきたのか」

 梅沢さん「『米軍が上陸してきたら、米兵の残虐性をたいへん心配している。老幼婦女子は死んでくれ、戦える者は軍に協力してくれ、といわれている』と言っていた」

 原「誰から言われているという話だったのか」

 梅沢さん「行政から。それで、一気に殺してくれ、そうでなければ手榴弾をくれ、という話だった」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(1)】梅沢さん「とんでもないこと言うな」と拒絶 (2/4ページ)

2007.11.9 15:12

 原「どう答えたか」

 梅沢さん「『とんでもないことを言うんじゃない。死ぬことはない。われわれが陸戦をするから、後方に下がっていればいい』と話した」

 原「弾薬は渡したのか」

 梅沢さん「拒絶した」

 原「5人は素直に帰ったか」

 梅沢さん「執拗(しつよう)に粘った

 原「5人はどれくらいの時間、いたのか」

 梅沢さん「30分ぐらい。あまりしつこいから、『もう帰れ、弾はやれない』と追い返した」

 原「その後の集団自決は予想していたか」

 梅沢さん「あんなに厳しく『死んではいけない』と言ったので、予想していなかった」

 原「集団自決のことを知ったのはいつか」

 梅沢さん「昭和33年の春ごろ。サンデー毎日が大々的に報道した」

 原「なぜ集団自決が起きたのだと思うか」

 梅沢さん「米軍が上陸してきて、サイパンのこともあるし、大変なことになると思ったのだろう」

 原「家永三郎氏の『太平洋戦争』には『梅沢隊長の命令に背いた島民は絶食か銃殺ということになり、このため30名が生命を失った』と記述があるが」

 梅沢さん「とんでもない

 原「島民に餓死者はいたか」

 梅沢さん「いない」

 原「隊員は」

 梅沢さん「数名いる」

 原「集団自決を命令したと報道されて、家族はどんな様子だったか」

 梅沢さん「大変だった。妻は頭を抱え、中学生の子供が学校に行くのも心配だった」

 原「村の幹部5人のうち生き残った女子青年団長と再会したのは、どんな機会だったのか」

 梅沢さん「昭和57年に部下を連れて座間味島に慰霊に行ったとき、飛行場に彼女が迎えにきていた」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(1)】梅沢さん「とんでもないこと言うな」と拒絶 (3/4ページ)

2007.11.9 15:12

 原「団長の娘の手記には、梅沢さんは昭和20年3月25日夜に5人が訪ねてきたことを忘れていた、と書かれているが」

 梅沢さん「そんなことはない。脳裏にしっかり入っている。大事なことを忘れるわけがない」

 原「団長以外の4人の運命は」

 梅沢さん「自決したと聞いた」

 原「昭和57年に団長と再会したとき、昭和20年3月25日に訪ねてきた人と気づかなかったのか」

 梅沢さん「はい。私が覚えていたのは娘さんだったが、それから40年もたったらおばあさんになっているから」

 原「その後の団長からの手紙には『いつも梅沢さんに済まない気持ちです。お許しくださいませ』とあるが、これはどういう意味か」

 梅沢さん「厚生省の役人が役場に来て『軍に死ね、と命令されたといえ』『村を助けるためにそう言えないのなら、村から出ていけ』といわれたそうだ。それで申し訳ないと」

 《団長は戦後、集団自決は梅沢さんの命令だったと述べていたが、その後、真相を証言した。質問は続いて、「集団自決は兄の命令だった」と述べたという助役の弟に会った経緯に移った》

 原「(昭和62年に)助役の弟に会いに行った理由は」

 梅沢さん「うその証言をしているのは村長。何度も会ったが、いつも逃げる。今日こそ話をつけようと行ったときに『東京にいる助役の弟が詳しいから、そこに行け』といわれたから」

 原「助役の弟に会ったのは誰かと一緒だったか」

 梅沢さん「1人で行った」

 原「会って、あなたは何と言ったか」

 梅沢さん「村長が『あなたに聞いたら、みな分かる』と言った、と伝えた」

 原「そうしたら、何と返答したか」

 梅沢さん「『村長が許可したのなら話しましょう』という答えだった」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(1)】梅沢さん「とんでもないこと言うな」と拒絶 (4/4ページ)

2007.11.9 15:12

 原「どんな話をしたのか」

 梅沢さん「『厚生労働省に(援護の)申請をしたら、法律がない、と2回断られた。3回目のときに、軍の命令ということで申請したら許可されるかもしれないといわれ、村に帰って申請した』と話していた」

 原「軍の命令だということに対し、島民の反対はなかったのか」

 梅沢さん「当時の部隊は非常に島民と親密だったので、(村の)長老は『気の毒だ』と反対した

 原「その反対を押し切ったのは誰か」

 梅沢さん「復員兵が『そんなこと言ったって大変なことになっているんだ』といって、押し切った」

 原「訴訟を起こすまでにずいぶん時間がかかったが、その理由は」

 梅沢さん「資力がなかったから」

 原「裁判で訴えたいことは」

 梅沢さん「自決命令なんか絶対に出していないということだ」

 原「大勢の島民が亡くなったことについて、どう思うか」

 梅沢さん「気の毒だとは思うが、『死んだらいけない』と私は厳しく止めていた。責任はない」

 原「長年、自決命令を出したといわれてきたことについて、どう思うか」

 梅沢さん「非常に悔しい思いで、長年きた

 《原告側代理人による質問は、約40分でひとまず終了。被告側代理人の質問に移る前に、5分ほど休憩がとられた》

【沖縄集団自決訴訟の詳報(2)】「(軍令)出していない。兵も配置してない」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(2)】「(軍令)出していない。兵も配置してない」 (1/4ページ)

2007.11.9 17:12

 《休憩後、審理を再開。被告側代理人による質問が始まる》

 

 被告側代理人(以下「被」)「戦陣訓として『生きて虜囚の辱めを受けず』という言葉があるが、こういう教えが座間味の島民に浸透していたのは知っていたか」

 梅沢さん「島の長が島民に教育していたと思う」

 被「島民に浸透していただろうということは、分かっていたか」

 梅沢さん「それくらいは浸透していたと思う」

 被「鬼畜である米英に捕まると女は強姦、男は八つ裂きにされるので玉砕すべきだ、ということも浸透していたと知っていたか」

 梅沢さん「そういうことは、新聞や雑誌が言っていたことだ

 被「物資の運搬などに対する島民への指示は誰がしたのか」

 梅沢さん「基地隊長がやっていた。炊事の手伝いとか、食料の世話とか」

 被「元々の指示は梅沢さんから出されたのか」

 梅沢さん「私から基地隊長にお願いした」

 被「軍の装備について。軍にとって手榴(しゅりゅう)弾は重要な武器か」

 梅沢さん「はい」

 被「女子青年団長が軍曹から『万一のときは日本女性として立派な死に方を』と言われて手榴弾を渡されたことは知っているか」

 梅沢さん「はい。団長から聞いた」

 被「(座間味村史を示し)『民間人だし足手まといになる』『万一の時は自決を』と言われて手榴弾を渡された、と書いている女性のことは知っているか

 梅沢さん「知らない人だ

 被「こんなことがあった、というのは知っているか」

 梅沢さん「こんなことはありえない

【沖縄集団自決訴訟の詳報(2)】「(軍令)出していない。兵も配置してない」 (2/4ページ)

2007.11.9 17:12

 

 被「『明日は米軍の上陸だから民間人を生かしておくわけにはいかない。万が一のときはこれを使って死になさい』と軍人から手榴弾を渡されたという女性の手記は知っているか」

 梅沢さん「言うはずがないと思う

 被「別の女性は『昭和20年3月25日の夜、忠魂碑の前で日本兵に、米軍に捕まる前にこれで死になさい、と言われて手榴弾を渡された』と証言しているが」

 梅沢さん「そういうことは知らないし、ありえないと思う

 被「手榴弾は重要な武器だから、梅沢さんの許可なく島民に渡ることはありえないのでは」

 梅沢さん「ありえない」

 被「日本兵が『米軍に捕まるよりも、舌をかんででも前に潔く死になさい』などと島民に言っていたのを知っているか」

 梅沢さん「知らない」

 被「部下がそういうことを言っていたのを知らないか」

 梅沢さん「知らない」

 被「原告側準備書面の中で『多くの住民は忠魂碑の前に集合する命令を、軍からの命令と受け取ったと考えられる』と書いてあるが、これは認めるか」

 梅沢さん「ニュアンスが違う。イエスかノーかで答えられるものではない」

 被「準備書面の記述と同じ考えかと聞いている」

 梅沢さん「同じだ」

 被「昭和63年12月22日に沖縄タイムス社の常務と話をした際に『もうタイムスとの間でわだかまりはない』と言ったか」

 梅沢さん「言った」

 被「覚書を交わそうとしたとき、『そんなもん心配せんでもいい。私は侍だから判をつかんでもいい』と言ったか」

 梅沢さん「言った」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(2)】「(軍令)出していない。兵も配置してない」 (3/4ページ)

2007.11.9 17:12

 《沖縄タイムス社から昭和25年に刊行された沖縄戦記『鉄の暴風』には、集団自決を軍が命令したとの記載がある》

 被「助役の弟の証言に関することだが、この証言はあなたが『家族に見せるため』と書いてもらったのではないか」

 梅沢さん「違う」

 被「別の機会の会話の録音テープがあるのだが、助役の弟が『公表しないでほしい』と言ったのに対し、あなたは『家族や知人には見せる。公表は考える』と答えているが、間違いないか」

 梅沢さん「はい」

 被「じゃあ、家族に見せるためと、証言を頼んだんでしょう」

 梅沢さん「それだけのためじゃないですよ」

 被「大江健三郎氏の『沖縄ノート』を読んだのはいつか

 梅沢さん「去年

 被「どういう経緯で読んだのか

 梅沢さん「念のため読んでおこうと

 被「あなたが自決命令を出したという記述はあるか」

 梅沢さん「ない」

 被「訴訟を起こす前に、岩波書店や大江氏に抗議したことはあるか」

 梅沢さん「ない」

 被「昭和55年に出した島民への手紙で『集団自決は状況のいかんにかかわらず、軍の影響下にあり、まったく遺憾である』と書いているが、集団自決は軍の責任なのか」

 梅沢さん「私は『軍は関係ない』とは言っていない」

 被「手紙を出した当時、軍の責任を認めているということか」

 梅沢さん「全然認めていないわけではない

【沖縄集団自決訴訟の詳報(2)】「(軍令)出していない。兵も配置してない」 (4/4ページ)

2007.11.9 17:12

 《50分近くに及んだ被告側代理人の質問に続き、再び原告側代理人が質問》

 原告側代理人(以下「原」)「忠魂碑の前に集まれという軍令を島民に出したか」

 梅沢さん「出していない。兵も配置していない」

 原「軍は何かしたのか」

 梅沢さん「人を集めておいて、私のところに弾をくれと言いに来たのは事実らしい」

 原「忠魂碑の前に島民がいて、軍もいるというのはあり得るか」

 梅沢さん「ありえない

 原「軍は全島に展開していたからか」

 梅沢さん「はい」

 原「先ほど『沖縄ノート』を読んだのは去年だと話していたが、その前から、(曽野綾子さんの著書で軍命令説に疑問を示した)『ある神話の背景』は読んでいたのか

 梅沢さん「はい

 原「その中に『沖縄ノート』のことが書かれていて、『沖縄ノート』に何が書いてあるかは知っていたのか

 梅沢さん「知っていた

 原「先ほどの『沖縄ノートに私が自決命令を出したという記述はなかった』という証言は、梅沢さんの名前は書かれていなかったという意味か

 梅沢さん「そういう意味だ」

 《被告側代理人も再び質問》

 被「『沖縄ノート』には、あなたが自決命令を出したと書いてあったか」

 梅沢さん「そうにおわせるように書いてある。『隊長が命令した』と書いてあるが、この島の隊長は私しかいないのだから」

 《梅沢さんの本人尋問は午後0時10分過ぎに終了。午後1時半まで休廷となった》

【沖縄集団自決訴訟の詳報(3)】赤松さん「タブーのような状態」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(3)】赤松さん「タブーのような状態」 (1/3ページ)

2007.11.9 19:00

 《午後1時半に審理を再開。当事者席に大江健三郎氏が座ると、傍聴席の画家らがいっせいに法廷スケッチの似顔絵を書き始めた。まず、渡嘉敷島の守備隊長だった故赤松嘉次さんの弟の秀一さん(74)への本人尋問が行われた》

 

 原告側代理人(以下「原」)「あなたは赤松隊長の弟さんですね」

 赤松さん「そうです。兄とは年が13歳も離れているので、常時、顔を合わせるようになったのは戦後になってから。尊敬の対象だった。父が年をとっていたので、家業に精を出してくれた」

 原「沖縄タイムス社の『鉄の暴風』は読んだか」

 赤松さん「読んだ。大学の近くの書店で手に入れた」

 原「戦争の話には興味があったのか」

 赤松さん「戦争は中学1年のときに終わったが、陸軍に進むものと思っていたくらいだから、よく読んだ」

 原「『鉄の暴風』にはお兄さんが自決命令を出したと書かれているが」

 赤松さん「信じられないことだった。兄がするはずもないし、したとは思いたくもない。しかし、329人が集団自決したと細かく数字も書いてある。なにか誤解されるようなことをしたのではないかと悩み続けた。家族で話題にしたことはなかった。タブーのような状態だった」

 原「お兄さんに確認したことは」

 赤松さん「親代わりのような存在なので、するはずもない。私が新居を買った祝いに来てくれたとき、本棚で見つけて持って帰った」

 原「ほかにも戦争に関する本はあったのか」

 赤松さん「2、3冊はあったと思う」

 原「『鉄の暴風』を読んでどうだったか」

 赤松さん「そりゃショックだ。329人を殺した大悪人と書かれていた。もう忘れていたが、最近になって、ショックで下宿に転がり込んできたと大学の友人に聞かされた」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(3)】赤松さん「タブーのような状態」 (2/3ページ)

2007.11.9 19:00

 原「最近まで忘れていたのはどうしてか」

 赤松さん「曽野綾子さんの『ある神話の背景』が無実を十分に証明してくれたので、安心できたのだと思う」

 原「『ある神話の風景』は、どういう経緯で読んだのか」

 赤松さん「友達が教えてくれた。無実がはっきり証明され、信頼を取り戻せた」

 原「集団自決を命じたと書いた本はどうなると思ったか」

 赤松さん「間違った書物は削除、もしくは訂正になると思っていた」

 原「大江氏の『沖縄ノート』の引用を見て、どう思ったか」

 赤松さん「大江さんは直接取材したこともなく、渡嘉敷島に行ったこともない。それなのに兄の心の中に入り込んだ記述をしていた。人の心に立ち入って、まるではらわたを火の棒でかき回すかのようだと憤りを感じた

 

 《大江氏が身を乗り出すようにして赤松さんの話を聞く》

 

 原「誹謗(ひぼう)中傷の度合いが強いか

 赤松さん「はい

 原「訴訟を起こしたきっかけは」

 赤松さん「3年前にある人から話があり、とっくの昔に解決したと思っていたのに『鉄の暴風』も『沖縄ノート』も店頭に並んでいると聞かされたから」

 原「実際に『沖縄ノート』を読んでどう思ったか」

 赤松さん「難しい本なので飛ばし読みしたが、兄が誹謗中傷されているのはよく分かった

 原「悔しい思いをしたか」

 赤松さん「はい。沖縄で極悪人と面罵(めんば)されたのですから。兄は自決命令を出していないと無実を訴える手記を出していたが、ペンも凶器になるということだ。兄は手記の中で、『沖縄ノート』の資料の質を問い、証人を示すのがジャーナリストの最低限の良心と問うていた」

 

 《原告側代理人の質問が終了》

【沖縄集団自決訴訟の詳報(3)】赤松さん「タブーのような状態」 (3/3ページ)

2007.11.9 19:00

 被告側代理人(以下「被」)「集団自決命令について、お兄さんから直接聞いたことはありますか」

 赤松さん「ない」

 被「お兄さんは裁判をしたいと話していたか。また岩波書店と大江さんに、裁判前に修正を求めたことがあったか」

 赤松さん「なかったでしょうね」

 被「『沖縄ノート』が店頭に並んでいると教えてくれた人が、裁判を勧めたのか

 赤松さん「そうなりますか」

 被「お兄さんの手記は読んだか」

 赤松さん「読んだ」

 被「『島の方に心から哀悼の意を捧(ささ)げる。意識したにせよ、しなかったにせよ、軍の存在が大きかったことを認めるにやぶさかではない』と書いているが」

 赤松さん「知っている」

 原「裁判は人に起こせと言われたのか」

 赤松さん「確かにそうやけど、歴史として定着するのはいかんと思った。そういう気持ちで裁判を起こした」

 《赤松さんへの質問は30分足らずで終了した》

 

 この次に「【沖縄集団自決訴訟の詳報(4)】大江氏「隊長が命令と書いていない。日本軍の命令だ」」「【沖縄集団自決訴訟の詳報(5)完】大江氏「責任をとるとはどういうことなのか」」が入るのですが、それは「「沖縄集団自決訴訟」の大江健三郎氏関係の記録 - 愛・蔵太の少し調べて書く日記」で紹介したので省略して。

 情報的には、以下のテキストは、

沖縄戦裁判:訴訟の根拠を原告自ら否定する:イザ!

明瞭になったには4点。

イ)原告本人は第3者から訴訟をそそのかされた。

ロ)原告は読んだこともない『沖縄ノート』を告発した。

ハ)原告は曽野本にかかれている『沖縄ノート』言及を、『沖縄ノート』における表現だと未だに誤認している。

ニ)名指しをした『鉄の暴風』を告訴せず、匿名の『沖縄ノート」を訴えた政治戦術

 原告は「二人」なので、「原告の一人は」というのが正確なところ。「そそのかされた」「政治戦術」という語法も、ちょっと表現が立ちすぎている言い回しなので、ぼくは回避するところですが、まぁそれはそれとして。

「沖縄集団自決訴訟」の大江健三郎氏関係の記録 - 愛・蔵太の少し調べて書く日記(コメント欄)

ni0615 『このサンケイ「詳報」は、かなり重要なキーワードが省略されていることが、沖縄タイムズの記事との照合だけでもわかります。その一部を下記エントリーの中で指摘しました。大江証言が抽象的観念的なものにされてしまってる惧れがあります。のちに、公判速記禄との照合がかかせません。今の段階で、バイアスがかかったこの「詳報」を詳報だと信じて細かな分析を進めることは大変危険です。』

 沖縄タイムスの記事から。

沖縄タイムス:大江氏「軍命」主張/「集団自決」訴訟

大江氏「軍命」主張/「集団自決」訴訟

 

 【大阪】沖縄戦時に慶良間諸島で相次いだ住民の「集団自決(強制集団死)」をめぐり、大江健三郎氏の「沖縄ノート」などの書籍に住民に自決を命じたと記され、名誉を傷つけられているとして、島に駐屯していた部隊の元戦隊長らが大江氏と著作発行元の岩波書店に、出版の差し止めなどを求めている訴訟の本人尋問が九日、大阪地裁(深見敏正裁判長)であった。午後から大江氏が出廷。「集団自決」について「軍による命令と考えている」と語った。

 「沖縄ノート」の記述などをめぐって原告と被告双方の質問に約一時間ずつ答えた。

 

 大江氏は「集団自決」について「太平洋戦争下の日本軍、現地の第三二軍、島の守備隊をつらぬくタテの構造によって、島民に強制された」とし、「日本軍による責任は明確で、『沖縄ノート』の記述を訂正する必要は認めていない」と述べた。

 

 原告側が戦隊長らの名誉棄損を主張している「沖縄ノート」の各記述について、大江氏は「日本軍の命令系統の最先端にいる責任者として、責任を負っている」としたが、「注意深く、隊長個人の名を書くことはしなかった。個人の名を挙げるよりも、問題が明確になる」とし、隊長個人は非難していない、との認識を示した。

 

 原告側は、大江氏が語った「タテの構造」の話は、「沖縄ノート」では説明されておらず「一般読者の注意と読み方に照らし、そうは読めない」と反論。各記述についてそれぞれ「戦隊長個人を非難している」などとただしたが、「文章を読み違えている」とする大江氏と平行線をたどった。

 

 大江氏は「『集団自決』が美しく、清らかだという欺瞞に反対するのが私の仕事だと思う」とし、「愛国心のために自ら命を絶った、国に殉じて美しい心で死んだと、事実をゆがめること自体が人間をおとしめている」と語った。

 

 午後の尋問では、渡嘉敷島の戦隊長だった故赤松嘉次氏の弟秀一氏(74)も証言。「兄は尊敬の対象」だったとした上で、沖縄タイムス社の「鉄の暴風」で、嘉次氏が住民に「集団自決」を命じたと書かれ、「ショックだった。人殺しの大悪人と書かれているわけだから」と述べた。曽野綾子氏の著作「ある神話の背景」で、「兄の無罪がはっきりし、兄への親近感を取り戻せた。家族も戦隊の方々も心の支えになっていると思う」などと語った。

 

 被告側の反対尋問では、命令を出したことを生前、嘉次氏に確かめたことはないと述べた。

 

 

     ◇     ◇     ◇     

大江氏、身乗り出し反論

 

 

 書き上げたのは個人への断罪ではなく、琉球処分以後、大和世、戦世、アメリカ世と続き、施政権返還後も続きそうな沖縄への抑圧とそこに暮らす人々の苦しみ。それに対する日本本土の人々の無関心さ、無自覚さ。そうした自分を含む「日本人」への反省と問いかけだった。「沖縄ノート」(岩波新書)の著者、作家・大江健三郎さん(72)は、なぜこの本を書き、なぜ「集団自決(強制集団死)」を取り上げたのか、法廷で言葉を紡いだ。

 

 濃紺のスーツ姿で証言台に立った。

 

 「集団自決」を命じた日本―日本軍―三二軍と連なる「タテの構造」と、「その先端にいた渡嘉敷島の元戦隊長(海上挺進第三戦隊の戦隊長・故赤松嘉次さん)の沖縄再訪」に、沖縄と本土にある差異に無知、無自覚な日本人の意識が表れているとの考えを述べた。

 

 「いまでも慶良間諸島の『集団自決』に日本軍の軍命、強制があったと考えるか」との問いには「沖縄の新聞、本土の新聞にそれを示す新たな証言が掲載され、確信を強くした」と答えた。

 

 原告側は反対尋問で、「沖縄ノート」の記述の解釈や、根拠について詳細な説明を求めた。

 

 「罪の巨塊」という言葉で、個人を断罪しているのではないか。作家・曽野綾子さんが著作「ある神話の背景」などで「沖縄ノート」の記述を批判しているのと同様の主張を尋問でぶつけた。

 

 大江さんは「罪とは『集団自決』を命じた日本軍の命令を指す。『巨塊』とは、その結果生じた多くの人の遺体を別の言葉で表したいと考えて創作した言葉」「私は『罪の巨塊の前で、かれは…』と続けている。『罪の巨塊』というのは人を指した言葉ではない」と説明、「曽野さんには『誤読』があり、それがこの訴訟の根拠にもつながっている」と指摘した。

 

 原告側は、別の記述を引用し「赤松さんらの個人の責任を追及しているように読める」などと、何度も詰め寄った。

 

 大江さんの反論にも熱が入った。顔を紅潮させ、身を乗り出すように「それは誤読です」「そうは読めません」と強く否定した。繰り返される原告側の主張を諭すように「説明しましょうか」と申し出て、「個人に対してではなく、『集団自決』を慶良間諸島の人々に命じ、強いた構造への責任を問う」ことが記述の主眼であることなどを説いた。

 

 「赤松隊長はどの時点で『集団自決』を予見できたと考えるのか」との質問には、「手榴弾が住民に配られた時点」と答え、体験者の金城重明さんや吉川勇助さんの証言を根拠に挙げた。

 

 二時間にわたる尋問を終えた大江さんは、大きく肩を上下させてシャンと背を伸ばし、正面を見据えて証言台を後にした。

 

 

原告と被告、溝鮮明に/解説

 

 

 「集団自決」訴訟の本人尋問は、民事訴訟の被告になったノーベル賞作家が法廷に立つことで、注目を集めた。ただ、戦隊長命令の有無をめぐる訴訟で、むしろ意味合いが大きいのは、戦後手だてを尽くして自決命令を否定してきた元戦隊長が、自らの言葉で何を語るかだった。

 

 原告側は、米軍の上陸を控え、村の幹部らが梅澤裕氏を訪ねて来た一場面に絞り、梅澤氏による命令を全面否定。皇民化教育を背景に、日本軍が島に駐屯した経緯をたどり、軍や戦隊長による強制・命令の実態をとらえる被告側との擦れ違いは鮮明になった。

 

 梅澤氏の主張は従来通りだったが、部隊の最高指揮官としての責任を否定した証言は印象深い。主尋問で「責任はない」と明言し、反対尋問や会見でも「一番の責任は米軍にある」「命令を出したのは軍ではなく県」とするなど、多くの犠牲者が出た「集団自決」という事実からの“逃避”をうかがわせた。

 

 七月にあった宮城晴美氏の証人尋問で、原告代理人は「梅澤さんは責任がないとはひと言も言ってない」と明言していただけに、梅澤氏の発言は、弁護団とのずれをのぞかせる場面ともなった。

 

 同訴訟の提起は二〇〇五年八月だが、原告側が名誉棄損の主たる対象にしている「沖縄ノート」を「去年になって初めて読んだ」と話す梅澤氏。赤松嘉次・渡嘉敷島元戦隊長の弟も、訴訟を起こしたきっかけを、嘉次氏の陸軍士官学校同期生から誘われたと述べた。

 

 軍の命令と戦隊長による命令を明確に区別し、原告側が元戦隊長ら個人の名誉回復を強調する一方、岩波側の支援者は「狙いは日本軍そのものの名誉回復」とみる。本人尋問では、訴訟の提起が少なくとも原告本人の発意ではなかったことを事実上、裏付けた。

 

 同訴訟は、係争中でも高校の歴史教科書検定の主たる根拠となった。判決は将来の検定に影響を与えるのに十分な可能性をはらんでいる。(社会部・粟国雄一郎)

 ぼくの部屋のどこかにある『沖縄ノート』を見つけるより、書店でまた買ったほうがいいとは思うのですが、大江健三郎さんのテキストはわかりにくくて誤読を招きやすいものであると言われると、「そんなことはない」という反論が難しいと思う、というのは、納得できる感じです。

 で、大江健三郎さんの『沖縄ノート』の、問題の箇所はこんな感じです。引用の引用ではありますが、

15年戦争資料 @wiki - 「沖縄ノート」"IX-「本土」は実在しない"より

慶良間の集団自決の責任者も、そのような自己欺瞞と他者への瞞着の試みを、たえずくりかえしてきたことであろう。人間としてそれをつぐなうには、あまりにも巨きい罪の巨塊のまえで、かれはなんとか正気で生き伸びたいとねがう。かれは、しだいに稀薄化する記憶、歪められる記憶にたすけられて罪を相対化する。つづいてかれは自己弁護の余地をこじあけるために、過去の事実の改変にカをつくす。いや、それはそのようではなかったと、一九四五年の事実に立って反論する声は、実際誰もが沖縄でのそのような罪を忘れたがっている本土での、市民的日常生活においてかれに届かない。一九四五年の感情、倫理感に立とうとする声は、沈黙にむかってしだいに傾斜するのみである。誰もかれもが、一九四五年を自己の内部に明瞭に喚起するのを望まなくなった風潮のなかで、かれのペテンはしだいにひとり歩きをはじめただろう。

本土においてすでに、 おり はきたのだ。かれは沖縄において、いつ、その おり がくるかと虎視眈々、狙いをつけている。かれは沖縄に、それも渡嘉敷島に乗りこんで、一九四五年の事実を、かれの記憶の意図的改変そのままに逆転することを夢想する。その難関を突破してはじめて、かれの永年の企ては完結するのである。かれにむかって、いやあれはおまえの主張するような生やさしいものではなかった。それは具体的に追いつめられた親が生木を折りとって自分の幼児を殴り殺すことであったのだ。おまえたち本土からの武装した守傭隊は血を流すかわりに容易に投降し、そして戦争責任の追及の手が二十七度線からさかのぼって届いてはゆかぬ場所へと帰って行き、善良な市民となったのだ、という声は、すでに沖縄でもおこり得ないのではないかとかれが夢想する。しかもそこまで幻想が進むとき、かれは二十五年ぷりの屠殺者と生き残りの犠牲者の再会に、甘い涙につつまれた和解すらありうるのではないかと、渡嘉敷島で実際におこったことを具体的に記憶する者にとっては、およそ正視に耐えぬ歪んだ幻想をまでもいだきえたであろう。このようなエゴサントリクな希求につらぬかれた幻想にはとめどがない。 おりがきたら 、かれはそのような時を待ちうけ、そしていまこそ、その おり がきたとみなしたのだ。

 曽野綾子さんのテキストでは、こんな感じです。

【正論】集団自決と検定 作家・曽野綾子 それでも「命令」の実証なし - MSN産経ニュース

 1970年、終戦から25年経った時、赤松隊の生き残りや遺族が、島の人たちの招きで慰霊のために島を訪れようとして、赤松元隊長だけは抗議団によって追い返されたのだが、その時、私は初めてこの事件に無責任な興味を持った。赤松元隊長は、人には死を要求して、自分の身の安全を計った、という記述もあった。作家の大江健三郎氏は、その年の9月に出版した『沖縄ノート』の中で、赤松元隊長の行為を「罪の巨塊」と書いていることもますます私の関心を引きつけた。

 作家になるくらいだから、私は女々しい性格で、人を怨みもし憎みもした。しかし「罪の巨塊」だと思えた人物には会ったことがなかった。人を罪と断定できるのはすべて隠れたことを知っている神だけが可能な認識だからである。それでも私は、それほど悪い人がいるなら、この世で会っておきたいと思ったのである。たとえは悪いが戦前のサーカスには「さぁ、珍しい人魚だよ。生きている人魚だよ!」という呼び込み屋がいた。半分嘘(うそ)と知りつつも子供は好奇心にかられて見たかったのである。それと同じ気持ちだった。

第34回司法制度改革審議会議事録

 当時の資料を列挙しますと、1)沖縄タイムス社刊『沖縄戦記・鉄の暴風』2)渡嘉敷島遺族会編纂『慶良間列島・渡嘉敷島の戦闘概要』3)渡嘉敷村、座間味村共編『渡嘉敷島における戦争の様相』4)岩波書店『沖縄問題二十年』(中野好夫、新崎盛暉著)5)時事通信社刊『沖縄戦史』(上地一史著)6)沖縄グラフ社『秘録沖縄戦史』(山川泰邦)7)琉球政府『沖縄県史8(沖縄戦通史)各論篇7』(嘉陽安男著)8)岩波書店『沖縄ノート』(大江健三郎著)9)平凡社『悲劇の沖縄戦』「太陽」(浦崎純著)

 などがあります。これらの著書は、一斉に集団自決を命令した赤松大尉を「人非人」「人面獣心」などと書き、大江健三郎氏は「あまりにも巨きい罪の巨塊」と表現しています。

 正直なところ「あまりにも巨きい罪の巨塊」という語は、赤松大尉を指しているようにはぼくには、文脈的には見えませんでした。みなさんはいかがですか。

 ただ、その語が「集団自決を命令した行為」なのか「軍の組織(日本軍という組織)」なのかは不明で、本のテーマを「普通の人間が、大きな軍の中で非常に大きい罪を犯しうるというのを主題にしている」としている大江健三郎さんの意見を考えると、「赤松隊長=極悪人」と大江健三郎氏が言った、という曽野綾子さんの話も微妙にあやしくなります(誤読に思えます)。

 ぼく個人は、誤読に関してはかなり慎重にしているつもりなんですが(それでもテキストを誤読してしまう人がいるのは仕方ないと思いますが)、「作家は、誤読によって人を傷つけるかもしれないという配慮は必要ないのか」と聞かれたら、どの部分をどのように誤読しているかの説明は、かなり「顔を紅潮させ」てやりそうな気はします。

 さて、みなさんはいかがですか。

 ぼくなら「プロフィール」の「【私的用語集】」に、

・罪の巨塊

 旧日本軍という組織集団自決の死体

 というふうに記述しておくかもしれません。

 でもまぁ、よくわからないけど、赤松隊長も含めて旧日本軍が「集団自決の命令」を民間人に出すほどのすごい組織ではなかったかも、とかが、争点になったりしたことは、それなりに考える素材になった分、益はあったんじゃないでしょうか。

 

 これは以下の日記に続きます。

人が書いてもいないことを書いたと書く(言う)のはカンニンしてください、曽野綾子さん(罪の巨塊)

 

[]『ゲッチョ先生の卵探検記』『健康の天才たち』『科学的に説明する技術 その仮説は本当に正しいか』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

ゲッチョ先生の卵探検記

ゲッチョ先生の卵探検記

★『ゲッチョ先生の卵探検記』(盛口満/著/山と渓谷社/1,680円)【→amazon

キャビアはなんの卵?黄身が二つある卵からは双児がうまれる?世界最大の鳥、エピオルニスの卵は直径何センチ?サメの卵ってどんなの?恐竜、始祖鳥、シーラカンスのうち、卵を生まないのは?ゲッチョ先生とスコーレの生徒たちが繰り広げる、約百種類の卵をめぐる探検記。

健康の天才たち (新潮新書)

健康の天才たち (新潮新書)

★『健康の天才たち』(山崎光夫/著/新潮社/735円)【→amazon

腐らないコンドームを作った岡本巳之助、蛇口をひねれば安全な水が飲める日本を築いた遠山椿吉、計量カップで一流料理を家庭に普及させた香川綾、脂っこい西洋料理の汚れを簡単に洗い落とせる亀の子束子を発明した西尾正左衛門など…。明治維新以来、日本の近代化を支え、長寿大国の礎を築いたのは、西洋の新しい文化と日本古来の文化の狭間で、日本人の健康のために心血を注いだ六人の天才たちだった。

★『科学的に説明する技術 その仮説は本当に正しいか』(福沢一吉/著/ソフトバンククリエイティブ/945円)【→amazon

私たちの日常会話は、「根拠」だから「結論」という論証で表現されています。これは科学的な説明のはじめの一歩です。科学的な考え方の面白さは、仮説を実証することで、未知なることを説明できることです。科学的はどんな推論をし、アプローチするのか?科学的思考法の発見の旅に出発しましょう。

 

2007-11-13

[]「沖縄集団自決訴訟」の大江健三郎氏関係の記録

 2007年11月9日におこなわれた、大阪地裁での「沖縄集団自決訴訟」の記録を、とりあえず報道から残しておきます。

 大江健三郎氏の発言があまり見当たらないのでちょっと困っているのでした。

 このあたりから(共同通信が地方に配信しているようで、同じものがあちこちにあります)。

大江さんの証言要旨大阪地裁 徳島新聞社

 大江健三郎さんが9日、大阪地裁に提出した陳述書の要旨と尋問のやりとり要旨は次の通り。

 

 ▽陳述書要旨

 

 1965年に沖縄で収集を始めた関係書が「沖縄ノート」を執筆する基本資料となり、ジャーナリストらから学んだことが基本態度をつくった。

 戦後早いうちに記録された体験者の証言を集めた本を中心に読み、中でも沖縄タイムス社刊の「鉄の暴風」を大切にした。著作への信頼があり、座間味、渡嘉敷両島での集団自決の詳細に疑いを挟まなかった。

 集団自決は太平洋戦争下の日本国、日本軍、現地の軍までを貫くタテの構造の力で強制されたとの結論に至った。構造の先端の指揮官として責任があった渡嘉敷島の守備隊長が戦後の沖縄に向けて取った行動について、戦中、戦後の日本人の沖縄への基本態度を表現していると批判した。

 関係者に直接インタビューはしていない。本土の若い小説家が質問する資格を持つか自信を持てなかった。守備隊長の個人名を挙げていないのは、集団自決が構造の強制力でもたらされたと考えたからだ。

 もし隊長がタテの構造の最先端で命令に反逆し、集団自決を押しとどめて悲劇を回避していたとしたら、個人名を前面に出すことが必要だった。

 集団自決について「命令された」と括弧つきで書いた。タテの構造で押しつけられたもので、軍によって多様な形で伝えられ、手りゅう弾の配布のような実際行動によって示されたという総体を指し、命令書があるかないかというレベルのものではないと強調するためだ。

 批判したのは、1945年の悲劇を忘れ、問題化しなくなっている本土の日本人の態度で、沖縄でも集団自決の悲惨を批判する者はいないと考えるようになっていた守備隊長の心理についてだ。

 隊長命令説を否定する文献は知っているし、読んでもいるが、「沖縄ノート」を改訂する必要はないと考えている。

 皇民教育を受けていた島民たちは日々、最終的な局面に至れば集団自決のほかに道はないという認識に追い詰められていた。集団自決は、既に装置された時限爆弾としての「命令」だった。無効にする新しい命令をせず、島民たちを「最後の時」に向かわせたのが渡嘉敷島の隊長の決断だ。

 座間味島の集団自決や隊長命令のあるなしは論評していない。渡嘉敷島と同様に命令があったと考える。島民たちの証言でも支えられた確信だ。

 

 ▽やりとり要旨

 

(大江さん側の弁護士)

 -日本軍の隊長が自決を命令したと書いたのか。

 「(隊長の命令が)あったとは書いていない。隊長個人の性格、資質で行われたものではなく軍隊が行ったものと考え、特に個人の名前を書かなかった。その方が問題が明らかになると考えた」

 -集団自決は軍の命令だったと考えるか。

 「文献を読み、執筆者らに話を聞いて軍の命令だという結論に至った」

 -今現在も命令があったと考えているか。

 「確信は強くなっている」

 -記述を「リンチ」とする批判もあるが。

 「普通の人間が軍の組織の中で罪を犯しうるというのが(本の)主題」

 -日本軍の命令について訂正する必要は。

 「必要性は認めない」

 

(元守備隊長側の弁護士)

 -自決命令について「軍のタテの構造で押しつけられた」と言われたが、「沖縄ノート」にはその説明がない。

 「その言葉は使っていない」

 -守備隊長が雑誌の取材に答えた「わたしは(集団自決を)全く知らなかった」の言葉をうそと決め付けているのか。

 「事実ではないと思っている」

 -本で引用した「沖縄戦史」の「住民は(中略)いさぎよく自決せよ」の記述は。

 「事実と考えている」

 -家永三郎氏の「太平洋戦争」でも自決命令の記述の一部は削除された。軍命説は歴史家の検証に堪えられないと考えたのでは。

 「取り除かれた部分は『沖縄ノート』に抵触することはない。わたしは本に責任があり、それを守りたい」

 -一般読者が理解できるように書くべきでは。

 「誤読に反論する文章を書こうとしている」

「陳述書」も「やりとり」も要旨なんで、より正確な情報が出たらそこにリンクしたいと思います。

 出るとすると以下のサイトのどちらかだと思う。

沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会

沖縄戦裁判

 

(追記)

産経新聞のサイトには別のものもありました。大江氏以外の証言もあるんだけれど、それは置いておいて。

【沖縄集団自決訴訟の詳報(4)】大江氏「隊長が命令と書いていない。日本軍の命令だ」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(4)】大江氏「隊長が命令と書いていない。日本軍の命令だ」 (1/3ページ)

2007.11.9 20:11

 

 《午後1時50分ごろ、大江健三郎氏が証言台に。被告側代理人の質問に答える形で、持論を展開した》

 

 被告側代理人(以下「被」)「著書の『沖縄ノート』には3つの柱、テーマがあると聞いたが」

 大江氏「はい。第1のテーマは本土の日本人と沖縄の人の関係について書いた。日本の近代化に伴う本土の日本人と沖縄の人の関係、本土でナショナリズムが強まるにつれて沖縄にも富国強兵の思想が強まったことなど。第2に、戦後の沖縄の苦境について。憲法が認められず、大きな基地を抱えている。そうした沖縄の人たちについて、本土の日本人が自分たちの生活の中で意識してこなかったので反省したいということです。第3は、戦後何年もたって沖縄の渡嘉敷島を守備隊長が訪れた際の現地と本土の人の反応に、第1と第2の柱で示したひずみがはっきり表れていると書き、これからの日本人が世界とアジアに対して普遍的な人間であるにはどうすればいいかを考えた」

 被「日本と沖縄の在り方、その在り方を変えることができないかがテーマか」

 大江氏「はい」

 被「『沖縄ノート』には『大きな裂け目』という表現が出てくるが、どういう意味か」

 大江氏「沖縄の人が沖縄を考えたときと、本土の人が沖縄を含む日本の歴史を考えたときにできる食い違いのことを、『大きな裂け目』と呼んだ。渡嘉敷島に行った守備隊長の態度と沖縄の反応との食い違いに、まさに象徴的に表れている」

 被「『沖縄ノート』では、隊長が集団自決を命じたと書いているか

 大江氏「書いていない。『日本人の軍隊が』と記して、命令の内容を書いているので『〜という命令』とした」

 被「日本軍の命令ということか

 大江氏「はい」

 被「執筆にあたり参照した資料では、赤松さんが命令を出したと書いていたか」

 大江氏「はい。沖縄タイムス社の沖縄戦記『鉄の暴風』にも書いていた」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(4)】大江氏「隊長が命令と書いていない。日本軍の命令だ」 (2/3ページ)

2007.11.9 20:11

 

 被「なぜ『隊長』と書かずに『軍』としたのか」

 大江氏「この大きな事件は、ひとりの隊長の選択で行われたものではなく、軍隊の行ったことと考えていた。なので、特に注意深く個人名を書かなかった」

 被「『責任者は(罪を)あがなっていない』と書いているが、責任者とは守備隊長のことか

 大江氏「そう」

 被「守備隊長に責任があると書いているのか

 大江氏「はい」

 被「実名を書かなかったことの趣旨は

 大江氏「繰り返しになるが、隊長の個人の資質、性格の問題ではなく、軍の行動の中のひとつであるということだから」

 被「渡嘉敷の守備隊長について名前を書かなかったのは」

 大江氏「こういう経験をした一般的な日本人という意味であり、むしろ名前を出すのは妥当ではないと考えた」

 被「渡嘉敷や座間味の集団自決は軍の命令と考えて書いたのか」

 大江氏「そう考えていた。『鉄の暴風』など参考資料を読んだり、執筆者に会って話を聞いた中で、軍隊の命令という結論に至った」

 被「陳述書では、軍隊から隊長まで縦の構造があり、命令が出されたとしているが」

 大江氏「はい。なぜ、700人を超える集団自決をあったかを考えた。まず軍の強制があった。当時、『官軍民共生共死』という考え方があり、そのもとで守備隊は行動していたからだ」

 被「戦陣訓の『生きて虜囚の辱めを受けず』という教えも、同じように浸透していたのか」

 大江氏「私くらいの年の人間は、子供でもそう教えられた。男は戦車にひき殺されて、女は乱暴されて殺されると」

 被「沖縄でも、そういうことを聞いたか」

 大江氏「参考資料の執筆者の仲間のほか、泊まったホテルの従業員らからも聞いた」

 被「現在のことだが、慶良間(けらま)の集団自決についても、やはり軍の命令と考えているか」

 大江氏「そう考える。『沖縄ノート』の出版後も沖縄戦に関する書物を読んだし、この裁判が始まるころから新証言も発表されている。それらを読んで、私の確信は強くなっている

【沖縄集団自決訴訟の詳報(4)】大江氏「隊長が命令と書いていない。日本軍の命令だ」 (3/3ページ)

2007.11.9 20:11

 

 被「赤松さんが陳述書の中で、『沖縄ノートは極悪人と決めつけている』と書いているが」

 大江氏「普通の人間が、大きな軍の中で非常に大きい罪を犯しうるというのを主題にしている。悪を行った人、罪を犯した人、とは書いているが、人間の属性として極悪人、などという言葉は使っていない

 被「『(ナチスドイツによるユダヤ人虐殺の中心人物で、死刑に処せられたアドルフ・)アイヒマンのように沖縄法廷で裁かれるべきだ』とあるのは、どういう意味か」

 大江氏「沖縄の島民に対して行われてきたことは戦争犯罪で、裁かれないといけないと考えてきた」

 被「アイヒマンと守備隊長を対比させているが、どういうつもりか」

 大江氏「アイヒマンには、ドイツの若者たちの罪障感を引き受けようという思いがあった。しかし、守備隊長には日本の青年のために罪をぬぐおうということはない。その違いを述べたいと思った」

 被「アイヒマンのように裁かれ、絞首刑になるべきだというのか」

 大江氏「そうではない。アイヒマンは被害者であるイスラエルの法廷で裁かれた。沖縄の人も、集団自決を行わせた日本軍を裁くべきではないかと考え、そのように書いた」

 被「赤松さんの命令はなかったと主張する文献があるのを知っているか」

 大江氏「知っている」

 被「軍の命令だったとか、隊長の命令としたのを訂正する考えは」

 大江氏「軍の命令で強制されたという事実については、訂正する必要はない

 《被告側代理人による質問は1時間ほどで終わった》

 このあとで、「原告側代理人」が質問をします。

【沖縄集団自決訴訟の詳報(5)完】大江氏「責任をとるとはどういうことなのか」

【沖縄集団自決訴訟の詳報(5)完】大江氏「責任をとるとはどういうことなのか」 (1/3ページ)

2007.11.9 20:49

 

 《5分の休憩をはさんで午後2時55分、審理再開。原告側代理人が質問を始めた》

 

 原告側代理人(以下「原」)「集団自決の中止を命令できる立場にあったとすれば、赤松さんはどの場面で中止命令を出せたと考えているのか」

 大江氏「『米軍が上陸してくる際に、軍隊のそばに島民を集めるように命令した』といくつもの書籍が示している。それは、もっとも危険な場所に島民を集めることだ。島民が自由に逃げて捕虜になる、という選択肢を与えられたはずだ」

 原「島民はどこに逃げられたというのか」

 大江氏「実際に助かった人がいるではないか」

 原「それは無目的に逃げた結果、助かっただけではないか」

 大江氏「逃げた場所は、そんなに珍しい場所ではない」

 原「集団自決を止めるべきだったのはいつの時点か」

 大江氏「『そばに来るな。どこかに逃げろ』と言えばよかった」

 原「集団自決は予見できるものなのか

 大江氏「手榴(しゅりゅう)弾を手渡したときに(予見)できたはずだ。当日も20発渡している」

 原「赤松さんは集団自決について『まったく知らなかった』と述べているが」

 大江氏「事実ではないと思う

 原「その根拠は」

 大江氏「現場にいた人の証言として、『軍のすぐ近くで手榴弾により自殺したり、棒で殴り殺したりしたが、死にきれなかったため軍隊のところに来た』というのがある。こんなことがあって、どうして集団自決が起こっていたと気づかなかったのか」

 原「(沖縄タイムス社社長だった上地一史の)『沖縄戦史』を引用しているが、軍の命令は事実だと考えているのか」

 大江氏「事実と考えている

【沖縄集団自決訴訟の詳報(5)完】大江氏「責任をとるとはどういうことなのか」 (2/3ページ)

2007.11.9 20:49

 

 原「手榴弾を島民に渡したことについては、いろいろな解釈ができる。例えば、米英に捕まれば八つ裂きにされるといった風聞があったため、『1発は敵に当てて、もうひとつで死になさい』と慈悲のように言った、とも考えられないか」

 大江氏「私には考えられない

 原「曽野綾子さんの『ある神話の風景』は昭和48年に発行されたが、いつ読んだか」

 大江氏「発刊されてすぐ。出版社の編集者から『大江さんを批判している部分が3カ所あるから読んでくれ』と発送された。それで、急いで通読した」

 原「本の中には『命令はなかった』という2人の証言があるが」

 大江氏「私は、その証言は守備隊長を熱烈に弁護しようと行われたものだと思った。ニュートラルな証言とは考えなかった。なので、自分の『沖縄ノート』を検討する材料とはしなかった」

 原「ニュートラルではないと判断した根拠は」

 大江氏「他の人の傍証があるということがない。突出しているという点からだ

 原「しかし、この本の後に発行された沖縄県史では、集団自決の命令について訂正している。家永三郎さんの『太平洋戦争』でも、赤松命令説を削除している。歴史家が検証に堪えないと判断した、とは思わないか」

 大江氏「私には(訂正や削除した)理由が分からない。今も疑問に思っている。私としては、取り除かれたものが『沖縄ノート』に書いたことに抵触するものではないと確認したので、執筆者らに疑問を呈することはしなかった

【沖縄集団自決訴訟の詳報(5)完】大江氏「責任をとるとはどういうことなのか」 (3/3ページ)

2007.11.9 20:49

 

 《尋問が始まって2時間近くが経過した午後3時45分ごろ。大江氏は慣れない法廷のせいか、「ちょっとお伺いしますが、証言の間に水を飲むことはできませんか」と発言。以後、ペットボトルを傍らに置いて証言を続けた》

 原「赤松さんが、大江さんの本を『兄や自分を傷つけるもの』と読んだのは誤読か」

 大江氏「内面は代弁できないが、赤松さんは『沖縄ノート』を読む前に曽野綾子さんの本を読むことで(『沖縄ノート』の)引用部分を読んだ。その後に『沖縄ノート』を読んだそうだが、難しいために読み飛ばしたという。それは、曽野綾子さんの書いた通りに読んだ、導きによって読んだ、といえる。極悪人とは私の本には書いていない

 原「作家は、誤読によって人を傷つけるかもしれないという配慮は必要ないのか」

 大江氏「(傷つけるかもしれないという)予想がつくと思いますか」

 原「責任はない、ということか」

 大江氏「予期すれば責任も取れるが、予期できないことにどうして責任が取れるのか。責任を取るとはどういうことなのか

 《被告側、原告側双方の質問が終わり、最後に裁判官が質問した》

 裁判官「1点だけお聞きします。渡嘉敷の守備隊長については具体的なエピソードが書かれているのに、座間味の隊長についてはないが」

 大江氏「ありません。裁判が始まるまでに2つの島で集団自決があったことは知っていたが、座間味の守備隊長の行動については知らなかったので、書いていない」

 《大江氏に対する本人尋問は午後4時前に終了。大江氏は裁判長に一礼して退き、この日の審理は終了した》

(太字は引用者=ぼく)

 なんかガチンコ勝負という風情です。

 やはり「証言」だけに頼って何かを判断したり、人に判断させようと思ったりするには、ものすごいエネルギーがいるんじゃないかと思いました。そのエネルギーが「思い込み」だけによって支えられてたりすると「オバケを見たコドモ」的滑稽さにもなりかねるので、そこらへんの危惧は大江氏のほうにはあまりないのか、ほどほどにあるのか知りたいところ。

 

 これは以下の日記に続きます。

「沖縄集団自決訴訟」は、『沖縄ノート』の誤読に基づく、という説(罪の巨塊)

  

[]『清らかな厭世 言葉を失くした日本人へ』『ギリシアの神々とコピーライト 「作者」の変遷、プラトンからIT革命まで』『巨乳はうらやましいか? Hカップ記者が見た現代おっぱい事情』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

清らかな厭世―言葉を失くした日本人へ

清らかな厭世―言葉を失くした日本人へ

★『清らかな厭世 言葉を失くした日本人へ』(阿久悠/著/新潮社/1,470円)【→amazon

「働くことは愚かなことか、創ることは無駄なことか、考えることは敗れることか」稀代の作詞家が「格言、箴言、警句」で綴った、警世の書。

★『ギリシアの神々とコピーライト 「作者」の変遷、プラトンからIT革命まで』(ソーントン不破直子/著/学芸書林/2,940円)【→amazon

ギリシア古典は誰のものか?作品の起源を表す「作者」という概念は、いつ生まれ、どのように変遷したのか。古典ギリシア時代からIT時代の現代まで、作家や思想家たちの主要文献を縦横に駆使してたどる、本邦初の画期的試み。

★『巨乳はうらやましいか? Hカップ記者が見た現代おっぱい事情』(スーザン・セリグソン/著 実川元子/訳/早川書房/1,470円)【→amazon

規格外の巨大な乳房に生まれついた著者スーザンは、巨乳に対する羨望と嘲笑を浴びて生きるうちに、大いなる疑問をもつに至った。はたして巨乳は女の武器なのか、それとも弱点なのか?大きすぎるおっぱいの女性たちは、自分の胸にどんな感情を抱いているのか?そこで、現代社会におけるおっぱいの価値観と理想のバストを調査するため、スーザンは体当たり調査を敢行した!近所のご婦人方からブラジャー販売員、デカパイ雑誌の編集長、美乳整形医、爆乳ストリッパー、乳房俗語研究者まで、バスト業界最前線に生きる人々が語る究極のおっぱいとは?『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』、『アトランティック・マンスリー』などの一流誌で筆を振るう著者が、これまでにない規模と勢いでおっぱいにまつわるすべてを語りつくす。

(↑毎月100冊ぐらい本の紹介しているけど、これほど気になった本は最近はなかった) 

2007-11-12

[]twitterはじめました

 登録名は「kuratan」です。

 でもあまり書くことはない。

http://twitter.com/home

 

[]「マスコミの誤報を正す会」ができたそうですが

 以下のところから、

「マスコミの誤報を正す会」の記者会見に行ってきました:イザ!

本日は衆院第二議員会館で、民間有志による「マスコミの誤報を正す会」の結成記者会見が行われました。事前に配布された案内文には「この度メディア・ウオッチを重要な関心事に据えて活動しているメンバーが集まり、『マスコミの誤報を正す会』なる連絡組織を設立し、活動を開始することにいたしました」とあります。そして、最初の活動テーマとして取り上げたのが「9月29日沖縄県民集会に11万人の参加者が集まったという誤報」だそうです。これは行かねばなるまい、ということで取材してきました。

 主なメンバーの立ち位置が微妙なんで、積極的に参加するとかしたいとかいう気分にはどうもなりにくいのだった。偽装右翼、というか、これ、「マスコミの左翼的誤報を正す会」とかにならないといいのですが(正確には、そうなればなったで面白いのですが)。みなさんはいかがですか。

「沖縄県の集会誤報」の次に、「小沢一郎誤報(?)」を題材として取り扱うような会だったら、考えてやってもいい。誤報とか捏造報道とか大好きなぼくは、ぼくの知らない誤報が拾えたら、と思いました。

 

[]『人を助けるへんな細菌すごい細菌 ココまで進んだ細菌利用』『走ることについて語るときに僕の語ること』『槙村さとるのあなたともっと話したい 槙村さとる対談集』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

★『人を助けるへんな細菌すごい細菌 ココまで進んだ細菌利用』(中西貴之/著/技術評論社/1,659円)【→amazon

天空高く飛びまわり、地中深くにひっそり潜伏。モノづくりがやたら上手で、薬を作り、磁石を作り、プラスチックまで作り出す。めちゃくちゃピンチに陥ったときは、遺伝子チェンジでパワーアップ。我等がヒーロー・細菌にかかれば、大抵のコトは即解決!!そんなスゴイ細菌の利用法を、敬意を持って学んでみよう。

走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること

★『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹/著/文芸春秋/1,500円)【→amazon

1982年秋、専業作家としての生活を開始したとき、彼は心を決めて路上を走り始めた。それ以来25年にわたって世界各地で、フル・マラソンや、100キロ・マラソンや、トライアスロン・レースを休むことなく走り続けてきた。旅行バッグの中にはいつもランニング・シューズがあった。走ることは彼自身の生き方をどのように変え、彼の書く小説をどのように変えてきたのだろう?日々路上に流された汗は、何をもたらしてくれたのか?村上春樹が書き下ろす、走る小説家としての、そして小説を書くランナーとしての、必読のメモワール。

槇村さとるのあなたともっと話したい―槇村さとる対談集

槇村さとるのあなたともっと話したい―槇村さとる対談集

★『槙村さとるのあなたともっと話したい 槙村さとる対談集』(槙村さとる/著/ポプラ社/1,260円)【→amazon

10人との幸福なおしゃべり。槇村さとる対談集。

2007-11-11

[]『アントニン・レーモンドの建築』『ドラッグストアへようこそ 田舎薬剤師の接客日誌』『文芸時評 現状と本当は恐いその歴史』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

★『アントニン・レーモンドの建築』(三沢浩/著/鹿島出版会/2,310円)【→amazon

現代日本建築の原点となった巨匠の全貌。F.L.ライトの出会い、木造モダニズムの創出、戦後復興と都市建築、伝統・風土との融合。世界にさきがけた基本原理と全作品を、図版400点で解き明かす評伝。

★『ドラッグストアへようこそ 田舎薬剤師の接客日誌』(矢沢久豊/著/ほおずき書籍/1,470円)【→amazon

製薬メーカーを定年退職後、ドラッグストア業界に飛びこんだ老薬剤師。難問・珍問なんのその…対面販売最前線からの体当たり報告。

文芸時評―現状と本当は恐いその歴史

文芸時評―現状と本当は恐いその歴史

★『文芸時評 現状と本当は恐いその歴史』(吉岡栄一/著/彩流社/3,675円)【→amazon

日本独自ともいわれる「文芸時評」の歴史を、明治から平成まで辿り、特定の作品をめぐって、なぜ批評家の間で大きな差異が生じるのかを考察する初の試み。

2007-11-10

[]『古本病のかかり方』『幕末の朝廷 若き孝明帝と鷹司関白』『オリエンタリズムとジェンダー 「蝶々夫人」の系譜』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

古本病のかかり方 (ちくま文庫)

古本病のかかり方 (ちくま文庫)

★『古本病のかかり方』(岡崎武志/著/筑摩書房/819円)【→amazon

大掃除や引越しの時に古新聞をつい読みふけってしまう。新刊本の洪水に飽き、ベストセラーはできれば買いたくない…そんな自覚症状のあるアナタはすでに「古本病」に感染している。危ない。著者はいかにして古本病にかかったのか。「河童本と蛙本、その正体」「夢に見る古本屋のある町」「わたしの京都青春古本地図」「作家のアルバイト本」…読了するとあなたも立派な古本病患者になれる。

幕末の朝廷―若き孝明帝と鷹司関白 (中公叢書)

幕末の朝廷―若き孝明帝と鷹司関白 (中公叢書)

★『幕末の朝廷 若き孝明帝と鷹司関白』(家近良樹/著/中央公論新社/1,890円)【→amazon

孝明天皇といえば、近年の研究では、朝廷の実権を握る摂関家や、開国を迫る幕府に、敢然と立ち向かった豪胆な性格の人物とされる。しかし史料から浮かび上がるのは、周囲への配慮と優しさをみせ、重大な決断を迫られて苦悩する姿である。孝明天皇の実像とは?なぜ岩倉具視ら中下層公家集団が発言力を持つようになったのか?本書では、考明天皇や関白鷹司政通らの動向を中心に、公家社会の実態に迫り、幕末史の新たな視点を示す。

★『オリエンタリズムとジェンダー 「蝶々夫人」の系譜』(小川さくえ/著/法政大学出版局/2,310円)【→amazon

西欧における日本女性のイメージはいかにして形成されたか―。ロティの『お菊さん』、ロング、ベラスコ、プッチーニの『蝶々夫人』を、サイードが指摘する「再構成と繰り返し」の過程として読み直し、レーヴェン『バタフライ』における自己相対化の手法、ウォン『M・バタフライ』における異性装のパフォーマンスにジェンダーの本質と模倣の構造を探る。

2007-11-09

[]『戦闘糧食(コンバット・レーション)の三ツ星をさがせ! ミリタリー・グルメ』『ウェブ炎上 ネット群集の暴走と可能性』『本棚探偵の回想』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

★『戦闘糧食(コンバット・レーション)の三ツ星をさがせ! ミリタリー・グルメ』(大久保義信/著/光人社/2,415円)【→amazon

戦術、戦法が各国で異なるように、世界の軍隊のコンバット・レーションを食べくらべてみれば、お国柄や食文化、思想のちがいが一目瞭然でおもしろい。熱気と湿気にうだり、極寒に耐えて戦う兵士たちの“心の糧”となる戦闘糧食のすべてを軽妙、快活に綴るフォト・エッセイ。

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

★『ウェブ炎上 ネット群集の暴走と可能性』(荻上チキ/著/筑摩書房/735円)【→amazon

ブログやミクシィで、ある人物への非難が燃え上がり、収拾不能になることがある。こうした現象を「炎上」と言う。時に何千もの批判が押し寄せ、個人のプライバシーすら容赦なく暴かれる。有名無名を問わず「炎上」の餌食となるケースが頻発する今、そのメカニズムを明らかにし、そうした集団行動(サイバーカスケード)にはポジティブな側面もあることを指摘する。ウェブという「怪物」の可能性を見据えた、現代の「教養」書。

本棚探偵の回想 (双葉文庫)

本棚探偵の回想 (双葉文庫)

★『本棚探偵の回想』(喜国雅彦/著/双葉社/860円)【→amazon

好評の古本エッセイ第2弾!神保町で端から順番に古本屋に入り、必ず本を買うというゲームをしたり、出版不況の日本を救うために、5万円握りしめて本屋へ向かう本棚探偵は、相変わらず本と妻と犬を愛しています。映画監督、石井輝男氏との対談「アブノーマルな乱歩世界を極める」も特別収録。函欠けだけど本にまつわるエッセイが盛りだくさんで、ためになって楽しくてとってもお買い得!のはず。

2007-11-08

[]小沢一郎とマス・メディアの話・つづき

 これは以下の日記の続きです。

小沢一郎「朝日新聞や日経新聞などを除き嘘ばかり報道している」

 

 毎日新聞はこんな報道をしているという情報をいただきました。

読む政治:幻の大連立構想/民主混乱(その1) 閣僚ポストまで話し合った - 毎日jp(毎日新聞)

読む政治:幻の大連立構想/民主混乱(その1) 閣僚ポストまで話し合った

 

 福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表との2回にわたる党首会談の全容が明らかになった。連立政権協議は両党間では決裂したが、両党首の間では基本的に一致していた。また自衛隊を海外に派遣する恒久法では国連決議を前提にすることで合意。連立政権ができた場合の閣僚ポストなどにも話題が及んでいた。

 

 ◇国連決議で恒久法…小沢氏「これで党内を説得しますから」

 

 連立政権構想を強く主張してきたのは渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆だ。渡辺氏の持論に賛同したのが森喜朗元首相、自民党の青木幹雄前参院議員会長、中川秀直元幹事長ら。10月30日の「福田・小沢」第1回会談は森氏らに背中を押されるように実現した。

 45分間の2人だけの協議では、90年以降の日本の安全保障政策について意見交換が行われた。

 「湾岸戦争の時は大変でしたね」。首相は小沢氏に語りかけ、湾岸戦争時の130億ドル支援、96年の日米安保再定義、03年のイラク開戦などが話題になった。

 福田氏は諄々(じゅんじゅん)と新テロ対策特別措置法案の意義、日米同盟の重要性を説いた。小沢氏は恒久法について、国連決議を前提にしなければ自衛隊派遣ができないという考え方をメモに書いて首相に渡した。首相は「国連決議だけの有無でいいのですか。相談させてほしい」と検討することを約束した。

 恒久法が連立政権論議の糸口になった。そして話題は閣僚人事まで発展していった。連立政権ができた場合、民主党に振り分けられる財務相など数々のポスト名までが飛び交った。当初は政策協議を念頭に置いていた首相も「連立政権協議をして、まとめられるのならそれでもいい」という考えに傾いていった。

 2日の2回目の会談。恒久法に関する国連決議原則について、首相は「これでいいですよ」と返答。小沢氏も「じゃあ、これで(民主)党内を説得しますから」と約束した。

 そして小沢氏は「連立協議をするなら、国会を閉じなくてはいけない」と提案。連立政権協議の中で新テロ特措法案を話し合う考えを示し、首相は小沢氏は同法案に賛成する腹だと受けとめた。

 首相からの連立政権提案を持ち帰る際、小沢氏は「決めてきます」と告げた。この言葉で首相は連立政権協議が始まると大いに期待した。

 小沢氏は役員会で、恒久法の国連原則に首相が応じたことを報告したが政権協議そのものへの反対論にかき消された。

 与党関係者によると、首相との会談で小沢氏は「総理、あなたから連立をもちかけたことにしてもらえませんか」と切り出し、首相は「その方が都合がいいのなら、それで結構ですよ」と即答した。このように政界には連立政権に関する「小沢首謀説」が流れている。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は3日、京都府内の講演で「小沢代表が大連立を持ちかけた事実はない。代表がうそをつくはずがない。自民党の情報操作だ」と反発した。

 

毎日新聞 2007年11月4日 東京朝刊

 あと、読売の社説。

小沢氏は真実を語れ : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

小沢氏は真実を語れ

 

 実に理解に苦しむ発言である。

 民主党の小沢代表は4日の記者会見で、辞任表明に続けて報道機関への批判を展開した。「私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけた」などの報道は「全くの事実無根だ」というのだ。

 党首会談は小沢氏の方から持ちかけたもので、「大連立」構想も小沢氏の提案だった、といった点は読売新聞も報道した。小沢氏の批判がこれを指すのであれば、「事実無根」などと批判されるいわれは全くない。

 いずれも首相周辺をはじめ多くの関係者が証言しており、確実な裏付けを取ったうえでの報道だ。

 小沢氏は「どの報道機関からも取材を受けたことはない」とも反論している。しかし、「大連立」について、小沢氏は「考えていない」と記者団に答えていた。党首会談後も、そのやり取りをほとんど明らかにしようとしなかった。

 報道内容を否定しなければ、小沢氏の党内での立場が苦しくなるという事情があるのだろうか。それにしても、「(報道機関は)政府・自民党の情報を垂れ流し、自ら世論操作の一翼を担っている」「明白な誹謗(ひぼう)中傷」などという認識は、全くの誤りである。

 「ねじれ国会」で行き詰まった政治状況を打開するための「大連立」について、小沢氏は記者会見で「あえて民主党が政権の一翼を担い、参院選を通じて国民に約束した政策を実行」することが「民主党政権を実現する近道」とも強調した。その意義をもっと早く説明し、党内の理解を得る努力をしていれば、違った展開になったかもしれない。

 報道機関が「逸脱」しているというのなら、どこがどう逸脱しているのか、具体的に指摘すべきである。

 代表辞任を今回の政治的混乱に対する「けじめ」と小沢氏は語ったが、連立政権の意義と合わせて真実を自ら語ることこそが、本当の意味での「けじめ」になるのではないか。(政治部長 赤座弘一)

(2007年11月5日1時35分 読売新聞)

 読売新聞・政治部長の赤座弘一さんはかなり強気のようです。

 一応、民主党の公式サイトに掲載された小沢一郎氏の「声明」にもリンク。これ、どれぐらいの人に読まれてるかなぁ。

中傷報道に厳重に抗議する(pdf)

中傷報道に厳重に抗議する

 

 福田総理との党首会談に関する新聞、テレビの報道は明らかに、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって厳重に抗議いたします。

 特に、11月3、4両日の報道は、全く事実に反するものが目立ちます。

 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、果ては今回の連立構想について「小沢首謀説」なるものまでが、社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されています。いずれも、全くの事実無根です。

 もちろん、党首会談及び会談に至るまでの経緯と内容について、私自身も、私の秘書等も、どの報道機関からも取材を受けたことはなく、取材の申し入れさえ全くありません。

 それにもかかわらず、事実無根の報道が氾濫していることは、朝日新聞、日経新聞等を除き、ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一翼を担っているとしか考えられません。

 それにより、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な誹謗中傷報道であり、強い憤りを感じます。

 このようなマスメディアの在り方は明らかに、報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思います。報道機関が政府・与党の宣伝機関と化した時の恐ろしさは、亡国の戦争へと突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかです。

 また、自己の権力維持等のために、報道機関に対し、私や民主党に対する誹謗中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥じるところがないか、自分自身によくよく問うてみるべきです。

 各種報道機関が一日も早く、冷静で公正な報道に戻られるよう切望いたします。

以上

 前に引用したテキストとほぼ同じですが、転載しておきます。

 この事件に関するぼくの感想は、前に述べた通り「閉された場所で対談とかしちゃいけないでしょう(情報操作される可能性があるから)」という感じですが、情報操作された(捏造された)のか、それとも本当に連立構想の「小沢首謀説」は存在するのか、ものすごく興味を持ちました。

 なんか、毎日新聞の「総理、あなたから連立をもちかけたことにしてもらえませんか」と小沢氏が言った、というのは、講談的説得力がありすぎます。いったい誰がそれを聞いたり見たりしたんだろうか。

 

[]『誰がバカをつくるのか? 「学力低下」の真相を探る』『大奥のおきて 「女人版図」しきたりの謎』『ヒトラー暗殺』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

誰がバカをつくるのか?―「学力低下」の真相を探る

誰がバカをつくるのか?―「学力低下」の真相を探る

★『誰がバカをつくるのか? 「学力低下」の真相を探る』(河本敏浩/著/ブックマン社/1,890円)【→amazon

1964年の東大入試問題はこんなに簡単だった!’51年、’64年、’68年、’70年、’77年、’90年、’01年の東京大学入試問題を解くことで、戦後における学力低下の原因が見えてきた!「全共闘」「暴走族」「校内暴力」「援助交際」を一つの線でつなぎ、“追いつめられた子供”の心理に迫る、鋭く、熱い教育書。 序章 誰を批判すべきか?

大奥のおきて 「女人版図」しきたりの謎

大奥のおきて 「女人版図」しきたりの謎

★『大奥のおきて 「女人版図」しきたりの謎』(由良弥生/著/阪急コミュニケーションズ/1,365円)【→amazon

たとえば、大奥はなんのために設置されたのか。本当に男子禁制だったのか。大奥奉公に出るのはなぜか。どうして天璋院篤姫は大奥へ送り込まれたのか…。大奥の「謎」に答える。

ヒトラー暗殺

ヒトラー暗殺

★『ヒトラー暗殺』(ロジャー・ムーアハウス/[著] 高儀進/訳/白水社/3,360円)【→amazon

戦慄のナチ裏面史。未遂がおよそ四十二件、「独裁者」はあわやというところまで追いつめられた…。緊張感あふれる筆致、最新の研究と資料により、主要事件の真相に肉迫する。

2007-11-07

[]小沢一郎「朝日新聞や日経新聞などを除き嘘ばかり報道している」

 なんか「痛いニュース」の見出しみたいになっちゃいましたが、新聞の報道はこんな感じ。

asahi.com:小沢氏「混乱にけじめ」 「報道に憤り」とも 会見全文 - 政治

小沢氏「混乱にけじめ」 「報道に憤り」とも 会見全文

2007年11月04日18時48分

 民主党の小沢代表が4日、開いた辞意表明会見での全発言は以下の通り。(別に質疑応答での全文発言)

 民主党代表としてけじめをつけるに当たって私の考えを述べたい。福田総理の求めによる2度にわたる党首会談で、総理から要請のあった連立政権樹立を巡り、政治的混乱が生じた。民主党内外に対するけじめとして、民主党代表の職を辞することを決意し、本日、辞職願を提出し、私の進退を委ねた。

 代表の辞職願を出した第1の理由。11月2日の党首会談において、福田総理は、衆参ねじれ国会で、自民、民主両党がそれぞれの重要政策を実現するために連立政権をつくりたいと要請された。また、政策協議の最大の問題である我が国の安全保障政策について、きわめて重大な政策転換を決断された。

 首相が決断した1点目は、国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は国連安保理、もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動に参加することに限る、したがって特定の国の軍事作戦については、我が国は支援活動をしない。2点目は、新テロ特措法案はできれば通してほしいが、両党が連立し、新しい連立体制を設立することを最優先と考えているので、あえてこの法案の成立にこだわることはしない。

 福田総理は以上の2点を確約された。これまでの我が国の無原則な安保政策を根本から転換し、国際平和協力の原則を確立するものであるから、それだけでも政策協議を開始するに値すると判断した。

 代表の辞職願を出した第2の理由。民主党は、先の参議院選挙で与えていただいた参議院第一党の力を活用して、マニフェストで約束した年金改革、子育て支援、農業再生を始め、国民の生活が第一の政策を次々の法案化して、参議院に提出している。しかし、衆議院では自民党が依然、圧倒的多数占めている。

 このような状況では、これらの法案をすぐ成立させることはできない。ここで政策協議をすれば、その中で、国民との約束を実行することが可能になると判断した。

 代表辞任を決意した3番目の理由。もちろん民主党にとって、次の衆議院選挙に勝利し、政権交代を実現して国民の生活が第一の政策を実行することが最終目標だ。私も民主党代表として、全力を挙げてきた。しかしながら、民主党はいまだ様々な面で力量が不足しており、国民の皆様からも、自民党はだめだが、民主党も本当に政権担当能力があるのか、という疑問が提起され続けている。次期総選挙の勝利はたいへん厳しい。

 国民のみなさんの疑念を一掃させるためにも、政策協議をし、そこで我々の生活第一の政策が採り入れられるなら、あえて民主党が政権の一翼を担い、参議院選挙を通じて国民に約束した政策を実行し、同時に政権運営の実績も示すことが、国民の理解を得て、民主党政権を実現させる近道であると判断した。

 政権への参加は、私の悲願である二大政党制に矛盾するどころか、民主党政権実現を早めることによって、その定着を実現することができると考える。

 以上のような考えに基づき、2日夜の民主党役員会で福田総理の方針を説明し、政策協議を始めるべきではないかと提案したが、残念ながら認められなかった。

 それは、私が民主党代表として選任した役員から不信任を受けたに等しい。よって、多くの民主党議員、党員を指導する民主党代表として、党首会談で誠実に対応してもらった福田総理に対しても、けじめをつける必要があると判断した。

 もう一つ、福田総理との党首会談に関する報道について、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって厳重に抗議したい。

 朝日新聞や日経新聞などを除き、私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、今回の連立構想について、小沢首謀説なるものが新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根だ。

 JanJanの報道では、もう少し細かく書いてありましたが、最後の部分だけ引用。

政治・小沢一郎・民主党代表が辞意表明(会見全文)

(前略)

 もう一つ、中傷報道に厳重に抗議する意味において、私の考えを申し上げます。

 福田総理との党首会談に関する新聞・テレビの報道は、明らかに報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、私は強い憤りをもって厳重に抗議いたしたいと思います。特に11月3、4両日の報道はまったく事実に反するものが目立ちます。私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民・民主両党の連立を持ちかけたとか、はては今回の連立構想について、小沢首謀説なるものまでが社会の公器を自称する新聞・テレビで公然と報道されております。いずれも事実無根です。

 もちろん党首会談および会談に至るまでの経緯と内容について、私自身も、そして私の秘書等もどの報道機関からも取材を受けたことはありませんし、取材の申し入れもまったくありません。それにもかかわらず、事実無根の報道が氾濫していることは、朝日新聞、日経新聞等を除き、ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂れ流し、自ら世論操作の一翼を担っているとしか、考えられません。それにより、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した、明白な誹謗中傷報道であり、強い憤りを感ずるものであります。

 このようなマスメディアのあり方は明らかに、報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思います。報道機関が政府与党の宣伝機関と化したときのおそろしさは、亡国の戦争へと突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかであります。また、自己の権力維持等のために報道機関に対し、私や民主党に対する誹謗中傷の情報を流し続けている人たちは良心に恥ずるべきところがないか、自分自身によくよく問うてみていただきたいと思います。

 各種報道機関が1日も早く、冷静で公正な報道に戻られるよう希望をいたします。

 なんか小沢氏、福田首相と自民党にはめられた、みたいな印象の会見でした。

 とりあえず、どういう報道をしたか、を見てみます。

「民主党内、絶対まとめる」大連立は小沢氏が持ちかけ : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

「民主党内、絶対まとめる」大連立は小沢氏が持ちかけ

 2日の福田首相と小沢民主党代表の会談で、議題になった自民、民主両党による連立政権構想は、実は小沢氏の方が先に持ちかけていたことが3日、複数の関係者の話で明らかになった。

 「大連立」構築に向け、小沢氏がカギと位置づけたのは、自衛隊の海外派遣をめぐる「原理原則」だった。

 関係者によると、小沢氏は当初から、首相側に連立政権の考えを持っていることを内々伝えていたという。

 2日午後3時から行われた会談で、首相は新テロ対策特別措置法案への協力を要請。これに対し、小沢氏は「自衛隊派遣には原理原則が必要だ」と主張した。

 さらに、自衛隊の海外派遣のあり方を定める一般法(恒久法)について、「『派遣は国連決議に基づくものだけに限る』と決めて欲しい」と求めた。内容の検討は、「内閣法制局に頼らない方がいい」などとも注文した。

 首相は「与党が納得するかどうか確認したい」と答え、休憩を取ることにした。

 直前に、小沢氏は「それさえ決めてくれれば、連立したい」と述べ、連立政権への参加を持ち出したという。

 連立参加は、首相の方から要請した形とすることも小沢氏は求めた。民主党内の説得に有利と判断したと見られる。

 会談が6時半から再開したところで、首相は小沢氏の主張に沿った文書を手渡した。

 小沢氏は「これで決める。(連立参加で)私が党内をまとめます」と明言。首相が「大丈夫ですか」と問いかけると、小沢氏は「絶対にまとめます」と重ねて強調した。

 そもそも、10月30日の最初の党首会談を持ちかけたのも小沢氏の側だった。

 打診は10月半ば。30日の会談では、2日の再会談を確認するにあたり、31日の国会の党首討論をどうするかが話題になり、首相は予定通り行うことを主張したが、小沢氏は難色を示し、延期が決まった。

(2007年11月4日3時0分 読売新聞)

 明らかに小沢氏の敵とする報道は「読売新聞」ですか。

 ていうか、この記事以外に「大連立は小沢氏が持ちかけ」という記事はうまく見当たらなかったんですが、「ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂れ流し」という小沢氏の発言を裏付けるような記事はどこかにあるのかな。

 気になるのは、こういう情報操作が可能な、閉された場所で対談とかしちゃいけないでしょう、というのがどの程度一般常識として存在するか、なのでありました。

 

 これは以下の日記に続きます。

小沢一郎とマス・メディアの話・つづき

  

[]『建築家になろう 家が町や都市をつくる』『ゴシップ的日本語論』『ナツコ 沖縄密貿易の女王』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

建築家になろう―家が町や都市をつくる

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★『建築家になろう 家が町や都市をつくる』(樫野紀元/著/国土社/1,260円)【→amazon

建築家になるにはどうしたらいいのだろうか。設計をするときの心がまえとは?地震に強く、自然と共生する家、ストレスをあたえない家づくりなど、建築を通して社会とのかかわりや、夢を持つことの大切さを熱く語る。

ゴシップ的日本語論 (文春文庫)

ゴシップ的日本語論 (文春文庫)

★『ゴシップ的日本語論』(丸谷才一/著/文芸春秋/620円)【→amazon

テレビと携帯電話が日本語に与えた深刻な影響とは?昭和天皇の「ア、ソウ」と近代日本が背負った重荷。「猫被りの香具師のモモンガーの…」漱石の悪態づくしから学ぼう―。他にも、鏡花、折口から源氏、歌舞伎、現代思想まで、刺戟に満ちた講演、対談が満載。日本語を考えるために必読の書。

ナツコ 沖縄密貿易の女王 (文春文庫)

ナツコ 沖縄密貿易の女王 (文春文庫)

★『ナツコ 沖縄密貿易の女王』(奥野修司/著/文芸春秋/790円)【→amazon

1946年から51年まで、沖縄はケーキ(景気)時代と呼ばれていた。誰もがこぞって密貿易にかかわる異様な時代。誰にも頼れないかわりに、才覚、度胸ひとつで大金をつかむことができた時代であった。彼らから「女親分」と呼ばれた夏子は、彼らの上に君臨したわけではない。貧しかったが夢のあった時代の象徴だった。十二年におよぶ丹念な取材で掘りおこされた、すべてが崩壊した沖縄の失意と傷跡のなかのどこか晴れ晴れとした空気。大宅壮一ノンフィクション賞に輝いた占領下の沖縄秘史。

2007-11-06

[]教科書検定に関する読売新聞の社説

沖縄集団自決 禍根を残しかねない政治的訂正 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

沖縄集団自決 禍根を残しかねない政治的訂正(11月3日付・読売社説)

 

 政治的思惑を背景とした一連の動きは、将来に大きな禍根を残すことにもなりかねない。

 来年度から使用される高校日本史教科書の沖縄戦・集団自決の記述について、教科書会社4社が文部科学省に対して、日本軍の「強制」に関する記述を復活させる訂正申請をした。

 今春の教科書検定では、5社の7種類の教科書から、「強制」の記述が削除されていた。残りの1社も近く同様の訂正申請をすると見られる。文科省は教科用図書検定調査審議会に諮る。

 政府が訂正申請に「真摯(しんし)に対応する」と方針転換する契機となったのは、9月29日に沖縄県宜野湾市で開かれた検定意見の撤回を求める県民大会だった。「参加者11万人」と主催者発表の数字が伝えられた。渡海文科相は「沖縄県民の気持ちにどう応えるか」と語った。

 しかし、県民大会の俯瞰(ふかん)写真に写っている参加者を1人ずつ丹念に数えた東京の大手警備会社は、1万8000〜2万人と指摘している。主催者発表の5分の1以下だった。

 検定で「日本軍に集団自決を強制された」などの記述が削除されたのは、近年の様々な証言などを通じて、集団自決の際に軍の「強制」や「命令」があったか否かが、必ずしも明らかではなくなったためだ。

 「沖縄戦の実態について誤解する恐れがある」との検定意見が付けられた。

 日本軍が、集団自決に一定の「関与」をしたことについて、否定しているわけではない。

 政府は検定意見は撤回せず、教科書会社による自主的な訂正申請の形で手続きを進めようとしている。

 検定済みの教科書の訂正申請は、誤植や脱字、誤った事実の記載が発見された場合など、省令に定めるいくつかの理由に該当する場合に限り行われる。今回は事実についての誤りではなく、「学習を進める上で支障がある」ことが理由として挙げられた。

 例えば「『集団自決』においこまれ」という記述の前に「日本軍によって」が加えられた。

 訂正しないと、なぜ学習上の支障が生じるのか。検定意見と辻褄(つじつま)が合わない訂正申請が認められるなら、教科書検定結果は政治介入で覆せる、という前例を残すことになる。

 今後、検定を終えた教科書の記述に中国政府などが抗議した場合、政府はどう対応するのか。記述に誤りがなくとも、抗議する人々の「気持ち」に応えて訂正するのだろうか。

(2007年11月3日1時51分 読売新聞)

 琉球新報・沖縄タイムス、あるいは産経新聞の「教科書検定」に関する記事・社説は見飽きてるんですが、読売新聞というところがちょっと新鮮なのでメモとして残しておきます。「左右関係なく、政治的訂正が問題」という姿勢(意見)なんだろうか。

 

[]『洗脳の楽園 ヤマギシ会という悲劇』『昆虫がヒトを救う』『鯛という名のマンボウ アナゴという名のウミヘビ 食品偽装の最前線-魚・肉・野菜・米』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

新装版 洗脳の楽園

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★『洗脳の楽園 ヤマギシ会という悲劇』(米本和広/著/情報センター出版局/1,470円)【→amazon

対立や争いごとのない、金の要らない幸福な農村―ユートピア社会の実現をめざしたはずの共同体は、いかにして崩壊に至ったか。人間の脆さとノンフィクションの底力を証明した、色褪せぬ大宅賞候補作。

昆虫がヒトを救う (宝島社新書 249)

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★『昆虫がヒトを救う』(赤池学/著/宝島社/735円)【→amazon

日本が誇る昆虫医療業界の最先端に迫る。昆虫×医療。抗ガン剤、心筋梗塞治療、メタボリック対策、PTSD療法…昆虫のチカラで病気が治る。

★『鯛という名のマンボウ アナゴという名のウミヘビ 食品偽装の最前線-魚・肉・野菜・米』(吾妻博勝/著/晋遊舎/756円)【→amazon

ハンバーグにカンガルーの肉が混入!?アナゴの正体はウミヘビ!?タイの代わりにマンボウ!?高級白身魚の刺身はナマズが原料!?回転寿司のエンガワは北の海に棲む巨大カレイからとっている!?放射線で殺菌された国産ジャガイモが流通している!?「国産米100%」と書かれていても外国産ブレンド米!?食品業界の「黒い秘密」に迫る、渾身のルポルタージュ。

2007-11-05

[]「アルファブロガー・アワード2007」にノミネートされたよ

 以下のところから。

Alpha Bloggers

愛・蔵太さん|愛・蔵太の少し調べて書く日記|ABA2007ノミネートブロガー|Alpha Bloggers

推薦者

佐々木 俊尚さん

ジャーナリストの視点

ウェブ上に存在する情報アーカイブを徹底的に収集・解析し、既存メディアなどで報じられている内容を検証していく手法は、まさにインターネットの新しいジャーナリズムの世界。素晴らしすぎます

 ということで、どうもありがとうございます、佐々木俊尚さん。しかし増田も選んでおられるとは。

 個人的には「遅い!(ノミネートが)」とか「自薦してる人はいかがなものか*1」とか思ったりしますが、割と人気のあるブロガーが面白いブログを知っているとは限らない(面白い小説書いている人が面白い小説を知ってたり推薦できたりできるとは限らないのと同じかな)なので、そんなに気にしない。

 このリストもちょっと面白かった。

アルファにノミネートされたblogを推薦者で整理した

 この人たちはこういうブログをお勧めしていたのか。

 ぼく個人としては選ばれる側よりも選ぶ側になりたいので、ここ数週間でちょっと目に止まったブログ(はてなダイアリー)を挙げてみます。長いつきあいのブログ/サイトは「愛・蔵太の気ままなRSSリーダー」「はてなアンテナ - 愛・蔵太の気ままなアンテナ」にだいたい載っています。

after game over(世界とか)

ラノ漫 −ラノベのマンガを本気で作る編集者の雑記−(漫画編集者)

桀紂屋(ketchu)(アニメ)

 そろそろ「定期巡回サイト」の登録もしないといけないのだけれど、それはまぁこの週末にでも。

 

(追記)

 参考リンク。

finalventさんに褒められた - 愛・蔵太の少し調べて書く日記

  

[]2007年10月に売れた本

 そんなに何十冊も売れた本なんていうのは、ぼくの日記からはないのですが、アマゾンで売れ具合が目立ったものを右サイドに掲載してみました。翌月になるとまた変える予定なので、本文テキストにもリンク。

本を作る現場でなにが起こっているのか!?

沖縄戦・渡嘉敷島「集団自決」の真実―日本軍の住民自決命令はなかった!

アニメ作家としての手塚治虫―その軌跡と本質

図説武器だもの

すごい!アニメの音づくりの現場

 出版・アニメ・沖縄戦とか、日記の本文で言及した関連のものがリアクションありました。しかし売れた本の全リストを見ると、我ながらそのとりとめなさ具合に感動します。ぼくの日記あるいは脳内そのものというか。

 ちなみに額はショボいです。やっぱフィギュアとかDVDとか売らないといけないのだろうか(←売れません、と自己ツッコミ)。

 

[]『翻訳者はウソをつく!』『古本蘊蓄』『日本ロック紀GS編コンプリート』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年10月あたり)。

翻訳者はウソをつく! (青春新書INTELLIGENCE 184)

翻訳者はウソをつく! (青春新書INTELLIGENCE 184)

★『翻訳者はウソをつく!』(福光潤/著/青春出版社/767円)【→amazon

迷訳、珍訳、誤訳のウラに深〜いワケあり。古典的名作からスラング、最新IT用語まで、驚きの翻訳ウラ事情。

古本蘊蓄

古本蘊蓄

★『古本蘊蓄』(八木福次郎/著/平凡社/2,625円)【→amazon

ミスター神保町が語る書物文化の豊かさと面白さ。日本には書物文化の華がある。日々多くの古本が行きかう神保町暮らし70年の蘊蓄を惜しげなく開陳した古本エッセイ集。

日本ロック紀GS編 コンプリート

日本ロック紀GS編 コンプリート

★『日本ロック紀GS編コンプリート』(黒沢進/著 小野良造/編集 高木竜太/編集/シンコーミュージック・エンタテイメント/2,940円)【→amazon

GS研究の第一人者による究極のグループ・サウンズ・ブック。全118グループのレコード・ジャケット(シングル/LP)をすべてカラーで掲載。

*1:どうも自薦はノミネートからは外されているみたいです。ちょっと勘違いしてたか。というか、伝聞情報が間違ってたみたいです、すみません。コメント欄参照

2007-11-04

[]『鉄の暴風』に関する面白い意見

 こんなところから。

「検定撤回は将来禍根…米軍施政下「沖縄戦の真実」封印」話題!‐教育ニュース:イザ!

 ■米軍施政の呪縛

 集団自決の「軍命令」説を最初に報じたのが、地元紙、沖縄タイムス編の「鉄の暴風」(朝日新聞社、昭和25年初版発行)。作家、大江健三郎氏の「沖縄ノート」など、軍命令を事実と断定する著作の多くは、この「鉄の暴風」の記述・内容を引用したものだ。

 ただ、明星大戦後教育史研究センターの勝岡寛次氏は「この本は全然実証的ではない」と強調する。

 確かに、同書は集団自決の現場での取材は行っていない上、生存者について「不明死を遂げた」としたり、事実関係が違っていたりするなどの不備が少なくない。

 勝岡氏は、同書が米軍施政下の沖縄でラジオ朗読されて広まった経緯や、当初は米軍の「高いヒューマニズム」をたたえていたことなどを例示。連合国軍総司令部(GHQ)が日本人に戦争に対する罪悪感を植えつけた宣伝工作「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」との共通点を指摘し、こう語る。

 「この本の歴史的意味は、沖縄県民の敵を、米国から日本軍へと置き換えさせたことだろう

 沖縄在住のジャーナリスト、恵隆之介氏は「沖縄では、軍命令を疑う意見は地元紙に一切掲載されず、今も言論統制が行われているのに等しい。戦後、米陸軍第8心理作戦部隊が『沖縄県民は日本国民に差別された。その帰結が沖縄戦の悲劇だ』と反日宣伝を徹底したが、それが定着してしまった」と話す。

 まぁ例によって産経視点の記事ではありますが、『鉄の暴風』に関しては、以前ざっと眼を通してみた印象では「講談的読み物としては抜群に面白い*1んだけれども、資料・史料としてこれを元に何かを語ることはできないなぁ」という感じでした。少なくとも、『鉄の暴風』にはこう書いてある、という形で沖縄戦を語ろうとすると、どうしても民話・神話的フィクションになってしまいそうな感じがするのですね。

 みんなの感想を聞いてみたい。

沖縄戦記 鉄の暴風

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↑一応アマゾンにリンクを貼っておきますが、在庫はないようです。「この商品を買った(チェックした)人は、こんな商品も買って(チェックして)います」というのは少し参考になるかも。

 

[]『ぼくらは今もエレキにしびれている』『シベリア大自然 知られざる山河とタイガの植林』『実証超科学講座』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年9月あたり)。

ぼくらは今もエレキにしびれている

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★『ぼくらは今もエレキにしびれている』(徳武弘文/著/かんき出版/1,680円)【→amazon

56歳のギターキッズが語るナチュラルトーンな生き方。吉田拓郎、南こうせつ、泉谷しげる…数多くのアーティストの音楽づくりに参加。そしてベンチャーズと共演。独自のエレキサウンドをあみ出したギタリスト・Dr.Kの音楽と人生観。

★『シベリア大自然 知られざる山河とタイガの植林』(むさしの・多摩・ハバロフスク協会/編/東京新聞出版局/1,680円)【→amazon

木を切らずに売って下さい!1990年代半ば、ロシアの寒帯林が次々と伐採されてゆく惨状に東京の市民が立ち上がった。森を切らずに青少年の自然体験教育の場として活用し、タイガを守る運動だ。市民植林団はハバロフスク近郊に「友好の森」を作り、10年間で3万本近く植えた。青少年たちはアムール河の大湿原を探り、未踏の峰々を登り、伝説の森の人デルスウ・ウザーラの山河をいかだで下った。ロシア極東の大自然の「今」に光をあて、自然保護とは何かを問う好書。むさしの・多摩・ハバロフスク協会創立10周年記念出版。

実証 超科学講座

実証 超科学講座

★『実証超科学講座』(ニュー・サイエンティスト編集部/編 黒輪篤嗣/訳/二見書房/1,365円)【→amazon

黒ビールには色がついているのに、その泡が白いのはなぜ?どれくらい太れば、おなかの脂肪が防弾効果を持つようになるのか?水に浮かんでいる大きな船、たとえばクィーン・エリザベス2世号をひとりで動かすことはできるか?102の「なぜ?」に答える科学トリヴィア。奇想天外な質問に生真面目な回答。科学こそ最高のエンターテインメント。

*1:「面白い」という言いかたにはいささか疑問もあるんですが、他に適当な言葉も思い浮かばない。

2007-11-03

[]『銀座並木座ウィークリー』『薀蓄好きのための格闘噺』『日本映画、崩壊 邦画バブルはこうして終わる』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年9月あたり)。

銀座並木座ウィークリー

銀座並木座ウィークリー

★『銀座並木座ウィークリー』(〈復刻版〉銀座並木座ウィークリー編集委員会/編/三交社/3,990円)【→amazon

半世紀の時を経て、伝説の名画座による、日本映画の黄金期を彩る、幻のプログラムがいま甦る。並木座開館前夜のパーティーで配布されたリーフレットおよび「NAMIKI‐ZA Weekly」の第1号から100号までを、スキャンする形で復刻。

薀蓄好きのための格闘噺

薀蓄好きのための格闘噺

★『薀蓄好きのための格闘噺』(夢枕獏/著/毎日新聞社/1,365円)【→amazon

古代オリンピックの格闘技種目から、相撲の起源、柔術対柔道、グレイシー柔術、力道山対木村戦の徹底検証、ジャイアント馬場と猪木の魅力、K‐1、PRIDE、さらにはパン対シャーロック・ホームズの柔道対決まで、必見の一戦満載。

日本映画、崩壊―邦画バブルはこうして終わる

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★『日本映画、崩壊 邦画バブルはこうして終わる』(斉藤守彦/著/ダイヤモンド社/1,500円)【→amazon

シネコンの台頭、テレビ局の市場介入、映画ファンドの闇、製作委員会の功罪、原作に奢る出版社、提灯持ちライター…映画誌&映画業界紙が書けない、映画評論家&ライターも知らない、これが、現在の日本の映画業界のすべてだ。

2007-11-02

[]歴史教科書の執筆者の一人、都立駒場高校の教諭・坂本昇さんに興味を持ちました

 以下の記事から。

教科書検定:沖縄集団自決強制、「記述復活」に歓迎の声 - 毎日jp(毎日新聞)

 「書き換えの道が開けて喜ばしい」。歴史教科書の検定でいったん削除が決まっていた「日本軍による沖縄住民の集団自決の強制」記述が、復活する見込みが強くなった。教科書の執筆者や教科書会社は文部科学省の方針転換を歓迎するが、「検定がなぜ一晩でくつがえるのか……」と、戸惑いの声も聞かれた。

 検定で、日本軍の強制記述が削除された東京書籍。歴史教科書の執筆者の一人、東京都立駒場高校の坂本昇教諭は「検定は不当なものだった。文科省の見直しは一歩前進だ」と喜ぶ。

 坂本教諭は「検定といえども無びゅうではない。間違いがあって、世論が動けば、国が方針を変えるのは当然。私たちにはよりよい教科書を子どもに届ける義務がある」とも語った。東京書籍の執筆者の間ではすでに、具体的な記述表現の検討が始まっているという。

 「総理が福田さんに代わり、沖縄で抗議が盛り上がって、流れが変わると思っていた」と明かす執筆者も。

 実教出版の高校日本史を執筆した一人で、歴史教育者協議会委員長の石山久男さんは「合理的な根拠のない検定意見だったので、見直しは当然だと思う。今後、教科書会社も訂正申請を出すと思う」と話した。一方で、「今回は、検定制度の問題点も明らかになった。削除を決めた審議会がどんな役割を果たしているのか。非公開なので議論の内容も分からない。人選も不透明で、これらも改善してほしい」と注文をつけた。

 教科書会社からは、急に状況が変わることへの疑問の声もあった。実教出版の担当者は「政治情勢で振りまわされるのは好ましくない。第三者機関で検定しているのなら、もう少し中立公正であってほしい」と述べた。また「急に変わった印象がある」(東京書籍)▽「国が容認したことが一晩で変わるのは疑問」(別の教科書会社)−−との意見もあった。

毎日新聞 2007年10月2日 12時28分

 とりあえず検索してみました。

坂本昇 教科書 - Google 検索

ニューストップ > 政治・社会 > 社会 > <教科書検定>沖縄集団自決巡り1社が「強制性」をより強調 - Infoseek ニュース

 日本史教科書の「集団自決」についての記述修正案について会見する執筆者の坂本昇高校教諭=東京都豊島区南大塚で2007年10月27日午後5時45分、武市公孝撮影

 さらにいろいろ検索してみました。

東京都豊島区南大塚 教科書 記者会見 - Google 検索

声明01-02

福地惇元教科書調査官の視学官就任にあたり、日本国憲法・教育基本法の理念にもとづく教育行政を求める声明

(中略)

「教科書に真実と自由を」連絡会 

子どもと教科書全国ネット21   

日本出版労働組合連合会     

歴史教育者協議会         

◇連絡先 170-0005東京都豊島区南大塚2-13-8 千成ビル

歴史教育者協議会 気付 「教科書に真実と自由を」連絡会

歴史教育者協議会 坂本昇 - Google 検索

歴教協ホームページ

「歴史教科書の執筆者の一人」とか「東京都立駒場高校の教諭」という情報と併せて、「歴史教育者協議会のメンバー」ということも新聞の報道としては入れておいて欲しかったところ。

歴史教育者協議会委員長の石山久男さん」という記事の記述もあるのに。

照雄日記(動かぬ山を動かす力ー民衆の力が 2007,10,2)

 教科書問題動き出した。9・29県民大会も「年の功」と若者たちの歴史事実の共有であった。世代を超えた学びの共有は、世論を形成し「動かぬ山を動かす」。政府は動きを始めた。ある意味では政治的狙いもある。これが基地問題に飛び火をするとも限らないからであろう。

 教科書執筆者の石山久男、坂本昇氏らも動き出した。温厚沈着な石山、汗を満杯にながしながら沖縄を歩いた坂本、沖縄を正しく教えるために執筆者たちは努力してきた。教科書の内容を豊かにするために「資料集」も企画してきた。

「照雄日記」の「大西照雄」さんのサイトのトップページはこんなところ。

宝の海

ヘリ基地反対協代表委員

名護平和委員会会長    大西 照雄

 

 こんなのも一応。

「集団自決」に関する記述の、文部科学省「村瀬信一」氏の行為に興味を持ちました

 

 なんか、あることに関して特出した行動をしている人が、どの陣営に属しているのか、という情報について、マスコミ経由ではうまく入手できないのが難儀です。

 

[]『探偵小説の論理学 ラッセル論理学とクイーン、笠井潔、西尾維新の探偵小説』『霧のロンドン 日本人画家滞英記』『ものみな映画で終わる 花田清輝映画論集』

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2007-11-01

[]25年前の文部省の人・時野谷滋氏の「沖縄戦検定」の言い分・5

 これは以下の日記の続きです。

25年前の文部省の人・時野谷滋氏の「沖縄戦検定」の言い分・4

 

 引き続き『家永教科書裁判と南京事件 文部省担当者は証言する』(時野谷滋、日本教文社)からの引用を続けます。

 今日は、少し長いのですが、「10・沖縄戦の記述と教科書問題」のうち、「(7)国会の論議と沖縄戦」「(8)国会における沖縄戦論議の繰返し」「(9)家永氏の主張は事実誤認」を引用してみます。太字の部分は引用者=ぼくによるものです。

 以下のところも参考にお読みください。

25年前の争点に戻すべきではないか - bat99の日記

 

(7)国会の論議と沖縄戦

 

 ともかくこういうことになると、マスコミばかりでなく国会でも質問されることになり、初等中等教育局長は政府委員として、検定課長は説明員としてこれに当ることになるから、これまで述べてきた江口氏の執筆にかかる実教本の脚注修正の経過や、検定意見と今後の対応などについて、特に課長には説明を重ねるとともに連絡もし、協議もした。

 まず7月30日の衆議院外務委員会で、公明党の玉城栄一議員の質問に対して、当時の藤村検定課長は次のように答えている。(以下の国会における質問と答弁は衆議院外務委員会議録によって掲げる)*1

○藤村説明員 沖縄に関するいま御指摘のありました日本軍による住民殺害の件でございますが、先生おっしゃいましたような記述の部分がございましたので、私どもが著者に対してつけました意見は、一つは、「戦闘のじゃまになるとの理由で、約八百人」こうなっているわけでございますので、この中にある数字がまず一つはっきりしたものと言えるかどうか、この数字をどこからとったというようなやりとりがございまして、これは「太平洋戦争史」という本の中からとってきているということがわかったわけですが、これのもとをさかのぼっていきますと、沖縄県史の中に記載されているいろんな事例などからいろいろ推定をしてつくった数字ではないかと思われる話があったわけですけれども、沖縄県史の中には八百人という数字が出てこないわけでございます。それで、この数字の根拠として何かもっとはっきりするデータがあれば示してほしいというやりとりがございまして、そうしましたら、はっきりした根拠資料が出てこないということもありまして、著者の側でその数字の部分を削ったといういきさつがございます。

 それからもう一つは、「戦闘のじゃまになるとの理由で、」と書いてありまして、そういったものが一部において行われたことも事実だろうと思いますが、しかし、そういった大ぜいの方の数字をその言葉だけで包括して表現するのはいかがなものか。集団自決があったとかというようなことも沖縄県史の中に出てくるわけでございますけれども、もしそれが集団自決のことであればそういった記述をきちんとするべきではないか。「戦闘のじゃまになるとの理由で、」と申しますと、邪魔になるからということでそういった人たちを一斉に殺したという印象を与えるわけでございまして、そういういきさつがはっきりするようにもう少し事実関係をはっきり押さえた上で書くようにというやりとりがございまして、その結果、でき上がりましたような教科書の表現になったということでございます。

 口頭による説明であるし、表現の仕方もあるけれども、大筋の趣旨について見れば前述の通りであると思う。が、ともかく玉城議員の質問は次のように具体的内容に入る。

○玉城委員 ですから、おっしゃったようなことで、その八百人という数字の正確さ云々ということから、二回目のときには、「また混乱を極めた戦場では、友軍による犠牲者も少なくなかった。」という表現で出した。どうしてまたこれもだめだと言ったのですか。

 その次、もう一回、時間もありませんから申し上げておきますよ。「沖縄県史には友軍によって殺害された県民の体験がある。」表現が非常にやわらかくなってきている。それも全部削除されていますね。皆さん、文部省の方としては、ああいう沖縄戦においてそういう事実はなかったというふうに思いますか。どうですか、その辺。

 藤村課長は重ねて説明する。

○藤村説明員 検定に当たりまして、当初、調査官の方から申し上げました意見につきましては正確な記録等がございますが、その後、内閲後の段階になりますと、いろいろ口頭でのやりとりになりますので、実は記録が残っていないわけでございます。恐らくそういうやりとりがあったのではなかろうかというふうに推定されますけれども、結果としてあのような表現になったということでございますし、それから私ども沖縄県史を否定しているわけでもございません。そういった事実があったということは、一部においてあったということは事実だと思いますけれども、それが全体としてどういうような形で、しかも何人ぐらいの人がどういう状況でということについて、特に八百人という数字などにつきましては、どうもはっきりした根拠と言えるに足るだけのものが著者側から出てこなかったということでそういう結果になったわけでございまして、これは今後の学問の研究の進展にまつべきものであるというふうに考えております。

 また更に玉城議員が、「文部省は、事実そういうことがあったと、いま教科書について、私は載せるべきである」と考えるとして、「長官のお考えを伺いたい」とする玉城議員の質問に対して、宮沢長官はこう答えている。

○宮澤国務大臣 ただいま文部省の担当者の御説明を聞いておりますと、事実がなかったと言っておるわけではないし、それから、そういういわば思い出は事実であるけれども、載せるなと言ったわけでもありませんで、記載する以上正確に根拠のあることを記載すべきである、こう申し上げておるのだと思いますので、それはそれで私はよろしいと思います。

 

(8)国会における沖縄戦論議の繰返し

 

 その後、8月20日の同委員会でも、玉城議員の質問があり、藤村課長が答えている。まず玉城議員から重ねて次のような質問があった。*2

○玉城委員 大臣のお考えはそのとおりだと思います。

 後でまた大臣の御所見を承りたいのですが、文部省の藤村さん、この間もこの委員会で伺ったのですけれども、やはり今回の検定の段階で住民殺害という部分が全面削除された、その理由として、数字の裏づけになる根拠が不明確であるあるいは表現の仕方にいろいろ問題があるというような理由をちょっとおっしゃっておられたわけです。そこで、数字の裏づけがはっきりしない、表現の仕方に問題がある、いわゆる書き方に問題があるということですが、それをもう少し説明していただきたいのです。ではどういう表現であればいいのか、どういう表現にすれば検定はパスするのか、その辺ですね。

 これに対して藤村課長も前回に重ねてこう答えている。

○藤村説明員 御指摘の教科書の検定の個所は日本軍による住民の殺害ということを書いた部分でございます。

 これに付しました意見は、八百人という住民が戦闘の邪魔になるなどの理由で殺害されたというふうに書いてあったかと思うのですけれども、これに対しまして、八百人という数字が果たして確かなものであるかどうか、それに、戦闘の邪魔になるなどの理由でと書いてございましたので、戦闘の邪魔になるということで一斉に八百人もの多くの人間を殺したという印象を与えるおそれもある、そこで、根拠となる資料があればそれを提示してくださいということを著者側に求めたわけですけれども、最終的には、著者の方でその数字の裏づけになるような資料を出してまいりませんで、見本本にございますような記述に変更をしてきたということでございます。

 このあたりも、表現の方法ということを考えれば、当然のことではあるが、私が著者側に伝えてきた意見の趣旨に添うものとしてよいと思う。

 資料を引用して書くという方法もいろいろな手法がございますが、沖繩戦に関しましてはこれまで中学校の教科書などで幾つか記述されている例がございます。その記述の仕方を見てみますと、たとえば、沖繩県史の中に登場してくるだれだれさんの回顧談によれば次のようなことが述べられているという形で一ページあるいはもっと小さく半ページ程度を割いて書いているとか、これが、こういうものからとって、その中にこういうことが書いてある、すなわちその資料批判ができるような形で提示されているものであれば、そういった記述というものはこれまでも認めてきているということでございます。

 繰り返しになりますが、この個所につきましてはいろいろな記述の方法があるわけでございまして、特にこれは重大な問題でございますので、確実な資料に基づきまして記述をするよう、特に資料につきましては確実なものに基づいて書くということが原則でございますから、そういう観点から意見を付しましたところ、あのような表現になったわけでございます。

 もちろん、私ども、沖繩県史のような資料を否定するものではございませんし、あの中に盛られているいろいろな記録というのは非常に貴重な記録であろうと思います。

 それから、事実として日本の国内の沖繩におきまして決戦という形で激しい戦闘が行われたということも事実でございますし、こういった痛ましい事実が今日なお沖繩の人々の心の中に生き続けているということも事実であるというふうに考えております。

 このあたりは前に詳しく述べた検定意見の趣旨をよくまとめているようである。

 玉城議員の質問も続く。

○玉城委員 そうしますと、沖繩戦の全貌が、おっしゃるように客観的に公正に表現されておれば当然皆さんの検定の趣旨から言って通るわけですね。たとえば住民殺害というのにはいろいろ要因があると思うのです。今回は戦闘の邪魔になるという一つのことだけ。しかし、住民が殺害されたというのは、それだけでなくてほかにもいろいろ理由があったであろうということは当然考えられますね。そういう表現の仕方は皆さんの考え方としてどうなんですか。

 これに対して藤村課長は検定の基本的姿勢を次のように答えている。

○藤村説明員 戦争に関する記述につきましては、その事実関係を確実な資料に基づきましてできるだけ客観的に書くということがまず第一に求められているわけでございます。そして、その一部分だけを取り上げて書くということもまた誤解を招くおそれもありますので、やはりその全体がわかるように、それから短い文章であれば、それだけを読んで子供が理解できるような表現になっているということが必要でございまして、私ども、常にそういった観点から意見を付しているところでございます。

 玉城議員の質問は念を押すように続く。

○玉城委員 いまの点ですが、この前も委員会で申しましたが、小さな島で日米両軍入り乱れて住民を巻き添えにしての地上戦ですから、いろいろなケースがあったと思うのです。ですから、住民がそういう犠牲を受けた、殺害されたということ、これはたとえば米軍の火炎放射機とかあるいは住民みずから集団自決をするとか、そういういろいろなケースもあるわけですね。そういう全貌として客観的な事実というものが書かれれば、おっしゃるような住民殺害ということだけ突出してというようなことでなくて、それも含めてということであれば検定は別に問題はないわけでしょう。

 藤村課長もそれに次のように応じている。

○藤村説明員 おっしゃるように、その戦争全体がわかりまして、その中に、おっしゃいましたような事実が書かれているということであればそれらをうちの方で否定するつもりはございません。

 ちなみに前章で扱った沖縄戦に関する検定意見の中で使っている、戦闘の「全貌」とか全容という用語は、この問答の中のそれを借りたものである。

 

(9)家永氏の主張は事実誤認

 

 なお、家永氏の最終準備書面は、この問題について、次のようにまとめている。

 右の江口教授の教科書に対する検定の実態が明らかにされると、沖縄全土より非難が捲き起った。新聞などのマスコミだけでなく、県内の各団体、市町村議会、県議会は、文部省に対して、県民虐殺の記述を削除させた検定に抗議するとともに、記述の復活を要求する決議文や意見書を採択した。こうした動きの中で、文部大臣も「県民感情に配慮し、次回の検定で記述の復活を認める」等の発言をするまでに至った(この経過については、甲304号証言山川意見書47頁以下参照)。

 ここで家永氏が出典として挙げておられる山川意見書というのは、家永氏側の承認として昭和63年(1988)2月10日、那覇地裁における出張法廷に証人として立った山川宗秀氏が、同日提出された「教科書の中の沖縄戦と平和教育」という意見書である。確かにその53-4頁を見ると次のような記載がある。

 政府・文部省は、「侵略」問題に関しては、8月26日、「政府見解」を発表し、「外交上」の決着をつけようとした。同日、「日本軍による沖縄県民殺害」問題については、文部大臣が、「県民感情に配慮し、次回の検定で検討することになろう」と記者会見で述べたにとどまった。「住民殺害」の記述の復活は明言していないのである。

 しかしながら、今も述べたように、すでに7月30日の衆議院外務委員会で、宮沢官房長官が、文部省は「事実がなかったと言っておるわけではないし。……載せるなといったわけでもありません」と明確に総括しているし、8月20日の同委員会で玉城議員の、「住民殺害ということだけ突出してというようなことではなくて、それも含めてということであれば検定は別に問題はないわけでしょう」とハッキリ答えているのである。従ってこれに続く次のような「山川意見書」の記述は、専ら沖縄県内の状況を取り上げているだけで、すでに国会の場で明らかにされていた文部省の態度を無視するものである、といわざるを得ない。

 燃え上がる県民世論の前に、県議会は、9月4日、与野党の全会一致で、「住民殺害」の記述の復活を求める「教科書検定に関する意見書」(『歴史と実践11号』所収)を採択した。同月8日、県議会代表団は文部省を訪れ、「意見書」を手交し、すみやかな記述の復活を申し入れた。前日の7日には、県教委、PTAなどの「県教育振興会」の代表が抗議と復活要請をしている。

 沖縄県の諸団体や県議会議員団の状況によって、「日本軍による住民殺害」問題は、ようやくマスコミも積極的に取り上げるようになり、国民的関心は深まっていった。

「沖縄県民殺害」の記述の復活について、9月16日に至って、小川文部大臣は、「民主教育をすすめる県民会議」の代表による3500人分の「削除抗議の書名」の手交と抗議を受けた後の参議院決算委員会で「次の改訂検定の機会」に記述の復活を認める発言をした。

 当時、文部省にいた私は、藤村課長等とともに、すでに国会答弁で文部省の方針を明確にしているのに、マスコミの扱いはこれを無視するに等しく、一方、沖縄県の諸団体が続々と上京するといった自体を見て、暗然としたことを今も忘れない。ともかく家永氏が最終準備書面で「昭和58年の本件検定は、右の経過を経たうえでのものであったので、文部省も日本軍による住民虐殺の事実自体を書くことを否定できなくなったものの、これを書かせたくないとの根本的考えに変化はないため、日本軍による住民虐殺の事実を書くことを認めるが、この印象をできるだけ薄めるために『集団自決』をも書くように修正意見を付したのであった」と主張しておられるのは、事実誤認に基づくもので、無意味なものであるといわざるを得まい。

 なんか、今回の教科書検定騒動とよく似ている部分が多いのには驚いたのでした。

 とりあえず世間に流布している「文部省は住民虐殺の印象を薄めるために『集団自決』を書かせた」という、家永氏のテキスト以外に、時野谷滋氏その他の「全貌として客観的な事実というものが書か」れることを希望するために、集団自決を扱わせた、という主張があるのは興味深いことだったのでした。

 いろいろな事件には、いろいろな人間による複数の解釈・証言を拾ってみたいものです。

 

 まとめて読みたい人のために。

25年前の文部省の人・時野谷滋氏の「沖縄戦検定」の言い分・1

25年前の文部省の人・時野谷滋氏の「沖縄戦検定」の言い分・2

25年前の文部省の人・時野谷滋氏の「沖縄戦検定」の言い分・3

25年前の文部省の人・時野谷滋氏の「沖縄戦検定」の言い分・4

25年前の文部省の人・時野谷滋氏の「沖縄戦検定」の言い分・5

 

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*1:このやりとりは以下のところに会議録があります→第096回国会 外務委員会 第23号

*2第096回国会 外務委員会 第25号