『手塚治虫ぼくのマンガ道』『絶対安全文芸批評』『シベリア鉄道 洋の東西を結んだ一世紀』

本日の読みたい本・おすすめ版(2008年2月あたり)。

手塚治虫 ぼくのマンガ道

手塚治虫 ぼくのマンガ道

★『手塚治虫ぼくのマンガ道』(手塚治虫/著/新日本出版社/1,470円)【→amazon
みずから語るマンガと人生。単行本初収録となるエッセイ・最晩期の講演記録をふくむマンガの巨人のプライベートエピソードと、主人公たちの秘密があかす素顔の手塚治虫
絶対安全文芸批評 (INFAS BOOKS)

絶対安全文芸批評 (INFAS BOOKS)

★『絶対安全文芸批評』(佐々木敦/著/INFASパブリケーションズ/1,890円)【→amazon
毎月刊行される文芸誌全て読む(!)驚異のスタジオ・ボイス連載「絶対安全文芸時評」。各紙誌に綴った数々の文芸時評や書評。阿部和重古川日出男宮沢章夫西島大介高橋源一郎吉田修一桐野夏生佐藤友哉青山真治を評した渾身の作家論。さらに、文芸誌のありかたと書評の可能性に迫る対談二本(市川真人氏&豊崎由美氏)を新録。
シベリア鉄道―洋の東西を結んだ一世紀 (ユーラシア・ブックレット)

シベリア鉄道―洋の東西を結んだ一世紀 (ユーラシア・ブックレット)

★『シベリア鉄道 洋の東西を結んだ一世紀』(藤原浩/[著]/東洋書店/630円)【→amazon
ユーラシア大陸を東西に横断する、世界一長い鉄道として名高いシベリア鉄道について、その歴史、現在の様子、使用機材の変遷などを紹介。
 

『一六世紀文化革命』----とても知的刺激を受けてしまった

 十六世紀の印刷技術と大航海が、ヨーロッパの文明をどのように変えていったのか、職人が「学者」とは別の、実利的・実践的なメソッドで世界を分析し、理解し、それを世界(ヨーロッパ世界)に伝えたすごい時代を、膨大な資料とわかりやすい紹介で語りつくしているとんでもない本。「2」の「あとがき」から引用するとこんな感じ。p726

 実際、このボルケナウの書(引用者注:『封建的世界像から市民的世界像へ』みすず書房)には、私が今回の書物で扱った、一六世紀の芸術家や技術者や数理技能者がまったく触れられていない。すなわち工房で教育されたレオナルド・ダ・ヴィンチはもとより、画家で数学者のピエロ・デッラ・フランチェスカ、「大工の幾何学」を書いたドイツの画家アルブレヒト・デューラー、商業数学に出自をもち複式簿記を広めたルカ・パチョリ、ガラス職人あがりの陶工で地質学や古生物学を研究したベルナール・パリシー、弾道学から静力学までを研究してガリレオを先導した独学の算数教師タルターリア、水利技術者でありながら仕事のかたわらで代数学を定礎しヴィエトやデカルトへの道を拓いたボンベッリ、地上の自然現象の定量的測定を始めてギルバートの登場を準備した船乗りあがりの職人ロバート・ノーマンや叩き上げの船乗りウィリアム・ボロウ、精密な分析化学の基礎を作った冶金と試金の技術者イタリアのビリングッチョボヘミアラザルス・エルカー、正確な天体観測をはじめて長期間継続した商人ベルナルド・ウォルター、そして天体観測から測量術や地図学にまで精通して、天上のものであった機器による定量的観測を地上にもちこんだ南ドイツやネーデルラントの数理技能者たち、さらには応用数理科学の重要性をいちはやく語ったイングランドジョン・ディーディッゲス父子、といった人たちはどこにも登場しない。

 さて、↑の中であなたが知っている名前は何人いるでしょうか。
 こんな人たちがどんな本(印刷物)を世に出して、世界に影響を与えたか、について書いてあるわけです。びっくりしますよ本当にもう。高校レベルの世界史なんかには出て来ませんからね。ラテン語とそれが支えていた疑似科学(哲学)が滅び、職人たちが自分たちの言葉(俗語)で本を出し、情報を交換しあって世界を広げた、という、メディア革命に等しいものが十六世紀にあった、ということが、がしがしわかります。聖書のギリシア語から母国(自国)語への翻訳で、教会関係者が嘘言ってた(そんなに昔は教会って権威あるものじゃなかった)ことがわかったり、人体の解剖で昔の医学書が単なる哲学書だとわかったり、植物の図鑑は模倣が繰り返されることによる劣化で、実物とは異なるものになっていたり(これにも「印刷術」が意味を持ってきます。つまり、正確な複製というものは、印刷が可能になってはじめて生じるようになったわけで)。
 いや、面白い。
 いや、驚いた。
 熟読すると多分、さらに得られるものは多いとは思うのですが、最初の1回はものすごい勢いで読み通せます。ていうか、読みはじめたら他の本が読めなくなってしまうぐらい引き付けられる。ものごとに興味を持たせる(知的興味を抱かせる)に過不足ない文章力もあって、一気読み。これはなかなか楽しい読書体験ではありました。

一六世紀文化革命 1

一六世紀文化革命 1

一六世紀文化革命 2

一六世紀文化革命 2

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また「愛・蔵太の気ままなWiki」を整理してみる

 以下のところをまた整理してみました
愛・蔵太の気ままなWiki
 具体的には、
1・リンク切れのものを外す
2・エントリーテキストは元ブログ・サイト名を入れる
 という感じ。
 300ぐらいあったのが250ぐらいになった。
はてなブックマーク」使用時にはいろいろ模索的に使っていたり、コメント入れてなかったりしたんですが、今は原則としてコメントを入れる(ただし主義としてタグは使わない)ようにしています。あと、新聞記事とかの時事ネタも、すぐにリンク切れになってしまうので、最近はブックマークしないことにしています。
 過去ログ(過去ブックマーク)は、暇なときにどんどん整理(削除)してwikiのほうに入れていく予定。「なんでこんなのをブクマしちゃったんだ」と後悔するブックマーク、wikiに残すほどのこともないブックマーク、リンク切れのブックマークは削ったりします。
 基本的に、
1・ネガティヴコメントをつけるしかないような記事はブックマークしない
2・新聞記事・時事ネタはブックマークしない
3・GIGAZINEとデイリーポータルZのネタはブックマークしない(すみません、どの記事も面白いので全記事をブックマークしたくなる、という理由からなのです)
 というのを最近の原則にしています。
 あと、なるべく個人ブログのエントリーから面白そうなものを拾うようにしている、みたいな。