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愛・蔵太の気になるメモ(homines id quod volunt credunt)

2012-05-25

[]映画『ヒトラー〜最期の12日間〜』の某人物の台詞について(「低気温のエクスタシーbyはなゆー」関連)

 こういうブログがあります。

低気温のエクスタシーbyはなゆー

 まあだいたい、24時間以内に「Togetter」でデマ認定されてしまうような情報をコピペ→拡散している、俺にとってはノイズを増やしているだけの迷惑極まりないブログです。

PKAnzug氏による検証 『福島県の子供の病死者数が増えている』? - Togetter

 

 で、2012年5月25日現在「低気温のエクスタシーbyはなゆー」の冒頭には、以下のテキストがあります。

映画「ヒトラー最期の12日間」より: 「ソ連軍に包囲される前にベルリン市民を脱出させるべき」という進言を退けたヒトラーは、平然と「国民の自業自得(自己責任)」だとうそぶく。「(ドイツ)国民が地獄を味わうのは当然の義務。われわれを(選挙で合法的に)選んだのは国民なのだから、最後まで付き合ってもらうさ」

 それに対して、以下のような指摘があります。

https://twitter.com/MyoyoShinnyo/status/205503245089648640

「福島県の子供の病死者数が増えている」と煽っている(?)「低気温のエクスタシーbyはなゆー」というHP、トップに「ヒトラー最期の12日間」の台詞が引用されてるんだけど、それは映画でも史実でもヒトラーでなくゲッベルスの台詞である事を考えると、ソースを確認しない人なんだってことは判る

MyoyoShinnyo(こなたま)

 本当だったらもうこれRTしておしまいにしてもいい(情報源としてこっち関係のこなたまさんは更にソースを探す必要はあまりない気がする)んですが、それだと俺もソースを確認しない人になってしまうので、とりあえず映画『ヒトラー〜最期の12日間〜』と、本『ヒトラー最期の12日間』(ヨアヒム・フェスト、鈴木直・訳、岩波書店、2005年)を確認しました

 映画は52分あたりから。ゲッベルスの台詞(字幕)

ゲッベルス「モーンケ、何だ」

モーンケ「市民軍は敵の餌食です。経験も装備も乏しくて」

ゲッベルス「その不足は彼らの熱烈な勝利への執念が埋める」

モーンケ「武器がなければ戦えません。犬死にです」

ゲッベルス「同情しないね。同情など感じない。彼らが選んだ運命だ。驚く者もいようが----我々は国民に強制はしてない。彼らが我々に委ねたのだ。自業自得さ

 1時間11分あたり。

ヒトラー「死ぬのは難しくない。ほんの一瞬だ。そして後は永遠の平安」

シュペーア「国民はご容赦を」

ヒトラー「わが国民が試練に負けても、私は涙など流さん。それに値しない。彼らが選んだ運命だ。自業自得だろう

「自業自得」って、同じ台詞二人が言ってますですかね?

 DVDなんで、映画公開時とは字幕違うかもしれない。あとドイツ語字幕ついてないんで本当は何て言ってるのかよく分からない。

 本のほうはこんな感じ。『ヒトラー最期の12日間』p63-65

 ゲッベルスは、窓に厚紙を打ち付けた執務室で、ロウソクの光をたよりに新聞報道のための最後の会見をおこない、偉大なる計画が挫折したすべての責任は将校団、および危機にあおられて身内の結束に走った彼らの「反応」にあったと非難した。ゲッベルスは長広舌をふるい、将校団が平時のころからすでに軍備を怠り、フランスとソ連に対する戦闘では決断を誤り、連合軍の侵攻中には役に立たず、ついには七月二〇日[国軍将校団によるヒトラー暗殺未遂事件]にまでいたったことをあげつらい、旧特権階級は再三再四、「裏切り」だけをおこなってきたと断言した。

 これに対してゲッベルス配下の官吏ハンス・フィリッチェ部長は「しかし、国民が示してきた忠誠、信念、献身的態度は無視してはなりません」と異議をとなえた。そのとき、普段はつねに計算高く慎重に言葉を選ぶこの宣伝相が、国民も腰抜けだったと、はき出すように言った。

「自分の妻が強姦されるというのに、男たちがもはや戦おうとすらしない国民相手に、いったい何ができるというのかね」と、ゲッベルスは怒りをぶつけた。

「その国民は今、東部戦線では逃亡し、西部戦線では白旗を振って敵を迎えている」と彼は「憤怒で顔を真っ赤にして」叫んだ。自分は、国民に同情はしない。国民がみずからこの運命を選択したのであれば、なおのことだ。一九三三年、ドイツの国際連盟脱退の是非を問う国民投票が行われた時、国民は自由投票によって隷属の政治を捨て、果敢な挑戦の政治を選ぶ決断をした[この投票では四五〇〇万人の有権者の九五%が脱退に賛成したとされる]。その挑戦が今や挫折したのだ。こう述べるとゲッベルスは席から立ち上がって、つけくわえた。

「確かにこのことは少なからぬ人々にとって驚きだろう。……しかし思い違いをしないでもらいたい。われわれはドイツ国民に無理強いしてきたわけではない。同じように私はいかなる人間に対しても、自分の部下になるよう無理強いした覚えはない。国民が自分の方からわれわれに委任したのだ。……つまりは自業自得ということだ」。

 ゲッベルスは立ち去りながら、ほとんどドアに近いところでもう一度振り返り、部屋の中に向かって叫んだ。

「しかしわれわれが退場するときには、世界が震撼するだろう」。

 …「ソ連軍に包囲される前にベルリン市民を脱出させるべき」との関連は見出せなかったですが?

 シュペーアの記録(証言)を確認したいんだけど、今回は、ドイツ語の資料・史料見て(読んで)ないのでいい加減ですが、「ソースが映画」だったらこの程度でいいかな。いずれにしても「国民が地獄を味わうのは当然の義務」という言葉は確認できなかった。

 

 一応公平に書くと、

1・映画『ヒトラー〜最期の12日間〜』で、モーンケの「市民軍を何とかして」というお願いに、ゲッベルスは日本語字幕上では「自業自得」と言っている。

2・同じく映画『ヒトラー〜最期の12日間〜』で、シュペーアの「ベルリン市民を脱出させるべき」的進言に、ヒトラーは日本語字幕上では「自業自得」と言っている。

3・「国民が地獄を味わうのは当然の義務」という言は確認できなかった(別の史料当たれば見られるかもしれない)。

4・本『ヒトラー最期の12日間』(ヨアヒム・フェスト、鈴木直・訳、岩波書店、2005年)では、ゲッベルスの言葉は確認できるが、多分「ベルリン市民」の話ではない

5・多分この件に関しては、「低気温のエクスタシーbyはなゆー」は、トップページを

映画「ヒトラー〜最期の12日間〜」より: 「ソ連軍に包囲される前にベルリン市民を脱出させるべき」的なシュペーアの進言を退けたヒトラーは、「国民の自業自得(自己責任)」だと言う。「わが国民が試練に負けても、私は涙など流さん。それに値しない。彼らが選んだ運命だ。自業自得だろう」

 ぐらいに直せば、「ヒトラーの台詞」として問題はない気がする(ただし「映画」の中の話なんで、史実は未確認)。

6・要するに、こなたま氏は記憶違い、はなゆー氏は盛りすぎな気がする。

7・引き続き誰も信用しない

 

 ということで…どんなもんですかね、@MyoyoShinnyo(こなたま)さん?

  

(2012年5月26日追記)

 @MyoyoShinnyo(こなたま)さんさんから連絡をいただきました。

https://twitter.com/MyoyoShinnyo/status/206183477329137664

おーっ、そうだ!そういえばシュペーアとの会話で言ってた気がする。

https://twitter.com/MyoyoShinnyo/status/206185563190071299

独語版DVDは引っ張り出すのめんどくさいので日本語版で確認した。というわけで、これ http://bit.ly/KJ3pYE は私が映画でのヒトラーとシュペーアとの会見のシーンを完全に失念、意識の端にすら上げていなかったがためのミスです。

https://twitter.com/MyoyoShinnyo/status/206185983480299520

ベルリン戦での「自分たちを選んだ自業自得」発言はゲッベルスのが有名なので、そのための思い込みでした。

 ということです。

+α+α 2012/05/30 20:06 +αです。シュペーアの回想録「第三帝国の神殿にて」をチェックしました。
『ヒトラー「死ぬのは難しくない。ほんの一瞬だ。そして後は永遠の平安」』
 この部分は在りましたが、
『シュペーア「国民はご容赦を」
ヒトラー「わが国民が試練に負けても、私は涙など流さん。それに値しない。彼らが選んだ運命だ。自業自得だろう」』
 は在りませんでした。
 回想録では、ヒトラーの「死ぬのは簡単だ」という独白を聞いたシュペーアが、ヒトラーの命令に逆らって、ドイツ国土の焦土化を行わなかったことを告白し、それを聞いたヒトラーが涙を流したとなっています。

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