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うなぎ伝説を喰う旅伝説V〜天空の伝説の花嫁たちを導かれし伝説の伝説へ〜

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2009-05-21

阿刀田高『アラビアンナイトを楽しむために』

アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

姉妹書『ギリシア神話を楽しむために』を受けていくつかのギリシア神話本を読むようになった。もともとは『ポピュラスII』に触発されて「ギリシア神話面白いなあ」と思うようになったのだけれど、これがどうして何百頁も読み進める気力がおきない。普段親しんでいる「アルクメネ」だとか「ダフネ」だとかという名前は、時と書物により「アルクメーネー」やら「ダプネー」やらと表記されていて、日本人にとってみればどうも汚らしい。こころに住まう欧米人は「アルクメネ」やら「ダフネ」であるべきで、無駄に音韻を伸ばしたりしないものなのだ。

と、勝手な思いこみから、なるべく口当たりのよいギリシア神話解説本が欲しかった。結果、阿刀田本に出会ったというわけ。実に読みやすいし、一度読んでから本編たるギリシア神話本を読み、また通読してみると別の味わいがあったりする。単純な神話解説本でなしに、エッセイ風になっているため、「ギリシア神話に興味があって、そもそも阿刀田氏が好きな人にはたまらない」本だったりするのだった。

さて表題の本だけれど、これはアラビアンナイトについて解説し、さらに氏のエッセイがふんだんに盛り込まれているという、阿刀田ファンにはたまらない逸品‥‥。になるとよかったのだけれど、どうもアラビアンナイトそのものが面白くないらしい。氏も全編書き上げてみて、「しまったなあ」――どうにも完成度の低さにがっかりしたかもしれない。

ギリシア神話の次にはアラビアンナイト。子供受けはしそうだ。話のおもしろみからいくと、北欧神話のほうに分があると思うのだけれど、こちらはあまり一般受けはしない。少なくとも子供の頃にトールやロキの話をきいた覚えがない。むしろシンドバッドやアリババのほうに愛着がある。「それなら、アラビアンナイトを読んでみよう」なんて読者もいるかもしれない。でも、面白くない。

そんな中にも、いくつか再読したい小咄があったので備忘録がわりに。

太刀持ちの妻の話。これは他の話のなかの小咄。瞬発力よりも、後々からくるじんわりした面白みがある。137ページから。

掌編。アブ・アル・ハサンと教主の話。252ページから。浪費家とカネにまつわる話。


ギリシア神話はどこをとりあげても面白い。どこで切っても面白い。成立年代が古いし、今まで語り継がれるなかで、つまらない話は削られ、面白いように編纂されてきたからだろう。古い話は力強い。なおかつ、ギリシアという文化そのものが半ば欧米文化の基礎になっていて、欧米のエッセンスを色濃くうけた日本文化とよく馴染むせいもある。新旧聖書は馴染みにくいし、コーランには心底分からない部分も多い。それと同じように、砂漠の文化圏であるアラビアンナイトもまた、大勢でいえば日本人に馴染まないのだろうなと思う。

その中でも選りすぐりに面白い(はずの)十二編が収められていて、それなりに通読できるものの、物語以外の阿刀田節の加速度にひっぱられて読み進んだだけかもしれない。どうしても、どうしてもアラビアンナイトが苦行に感じる人向けの一冊。

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