『魔法少女シヌナ』雑感

 ツイッター上で、フォロワーの饗庭淵さん(@aebafuti)が自作web小説の感想を募集してたので、書いてみます。
 読んだ作品はこちら。

魔法少女シヌナ』(http://aeb.iinaa.net/snntop.htm)

 >好評でも酷評でも率直な意見・感想を募集しています! 
 ということなので、本当に思ったことを書きます。正直、指摘の大部分はブーメランなんですがね……へへ……。

 あ、当然ネタばれするので、気になる人は上のリンクから行って読んでみてね。

読中一言メモ

 読みながら、気になった部分だけメモしていった一言感想です。全話分書いたわけではないです。

 こういうテンションの一人称は背中かゆい……まあ拒絶反応でるほどじゃないし、たぶん読んだら気にならなくなるだろう。と思ってたら一人称は最初だけだった。でも文章のノリはあまり変わらず。じゃあ最初から三人称でいいんじゃ……。
 魔法少女って単語、この状況で果たして真っ先に出てくるかなー。幻想的なイラストに対して、「魔法少女」ってのはなんだか類型的な単語に聞こえる。のっけから「人物」じゃなくて「キャラ」として分類されちゃう感じ。

 シーン切り替えで、朝目覚めるとこからってのも定番よね……(自作から目をそむけつつ)。
 せっかく迎えに来た遥香は描写されへんのん……。
 見た目描写、一行くらいは欲しい。妹と悪友も。
 そういえばこういう形式の場合、主人公の見た目に言及するのは難しい。どの辺で入れるべきか。妹をちょっと立てて、「それに比べてー」と自虐的に入れるか?
 ああ、イラストあるから描写ないのかな。でも一行くらい欲しいな……。

「父の死」って言い方するかな?「親父が死んだときは」くらいじゃね?

 つーか遥香は主人公の幼馴染なの? 岸島は親友なの? いや、登場人物表には書いてあるけどさ。書いてあるけどさあ。

 九条遙っておもっきり日本人名なんだけど、異世界人なの? 偽名ってこと?

 アンセムの説明をするところ、亮平の合いの手が微妙にウザい。わかってるのかわかってないのか曖昧な返事。
会話になったら地の文がなくなりカギかっこの応酬になるってのは、どうなんだろう。読みやすさはまあまあだけど、感情移入しにくいような。どんな顔でそのセリフ言ってるのかわかんないんだもん。

>一説によれば殺人300件、放火24件、強姦900件
 どこの一説だよ……適当な数字に見えて、あんまり凄味を感じない。

 戦闘あんまり面白くない。
 敵の描写はそこそこあるのに、魔法少女の描写が少ないのが不満。
「魔獣の怨念を凝縮して撃ち出す、忌獣の魔砲――!」とか、そういう意味は分かんないけどかっこいい本気のインチキ描写が読みたいんだよ俺は!

 一人称が復活した……。
 善人こそが悪人。この理論も正直食傷気味……。
 読解力がなくてごめんなさい、その『善人がまき散らす害悪』って、つまり何? それがわからないから、胸に響かない。
>人々は単純で極端な解答を求めたがる。
 なるほど。説得力がある。
 二元論への苛立ちみたいなのは確かにわかる、共感できるから、だからこそもっとビシッと目の覚めるような演説をキメてほしいんだけどなー。

 朋子と遙のスキンシップおいしいです。

 あ、これまだ一日経ってなかったんだ……。

「この世界のことはまだ、よくわからなくてな。だが、敵意は感じるぞ。早くなにかしてみろ」
 アンセムかっこいい。余裕綽々の悪役はよいものだ。

 戦闘シーンの描写が良い。4話との違いはなんなのか。動きが多めだからかな?

12

 アンセムとミアが出てくるとテンションあがる。
 アンセムVS逢。読み応えあり。でも魔法少女のスペックはやっぱりよくわからず……。

13

 えー亮平因縁あるのー?*1 えーなんだかなー。

15

 ユンディが予想外に活躍。代わりにアンセムの印象がやや間抜けに……まあこれは仕方ないのかな?
来たばかりの頃はともかく、こっちの世界に来て時間たってるんだからもうちょっと把握しとけよ。
「ガソリンはわかってるけど、傀儡でもないのに自爆するとは思わなかった」でもいいと思うんだけど。

19

 アンセムに引き続き人間勝利。なるほど、この展開はちょっと意外、面白い。寄生獣の後半を思い出す。

20

 ヴァルグのキャラがよくわかんない。身内には甘いの?

21

 魔法少女がのきなみ暴力装置扱いなのは面白い。
 もっとこう、「もう彼女を人間扱いする者は居なくなってしまったのだ…」という悲壮な感じを強調してみるのもいいかもしれない。

22

 む、この外道カップル、なんか可愛いな……。
 ヴァルグって存外普通のオッサンなんじゃ……。

24

 カギかっこの応酬シーンうざいなぁ……無駄なセリフが多すぎる。キャラ立ちにも一役買ってない。

 あ、こうオチるのか。
 初めから魔法界の計画通りってのはなるほど納得。あっさりしたラストもいいな。
 主人公の伏線が消化されずに終わったああ!ww
 亮平が死んだとこ、あっさりめに描写したのはわざとだと思うけど、「結局死んだの? 死んでないの?」て気分になったので、ラストに逢が生死を確認して終わり、でもよかったかもね。
「リアルがファンタジーを駆逐する」理解。音楽で世界は変わらないし、魔法でも世界は変わらない。
 で、逢は洗脳されて人殺しまくったことについてどう思ってるの? わりと人情を解するキャラとして描かれてただけに、そこに触れないで終わっていくのは不自然に感じる。


まとめ

 正直、前半は半笑いで読んでたけど、後半にかけては話が進むにつれてだんだんと読み応えが出てきた。ラストはかなりあっさりしてるけど、それも含めていい感じ。
 ただ全体的にでっかい問題点が二つ。

 一つ目。会話ばかりのシーンが面白くない。会話ばかりだから、じゃなくて、会話の内容が面白くない。そのセリフいるか? ってのが多い。
 学校での学生同士の会話とか、外道カップルのラブラブ会話とかはまあ内容なくてもいいかもしれないけど、緊迫した対立のシーンでぐだぐだ会話するのはどうかと思う。声優さんの緊迫した声音付きなら、まあ迫力でるかもしれないですけどねー、会話文のみでその空気を出すのって本来とても難しいんですよねー。
 その割に、主人公、幼馴染、親友といった日常組のキャラ立ちが弱い。一番好感持てたのが、ヴァルグとユキエのほのぼの外道カップルだった……。つうか悪役以外のキャラが薄い。魔法少女すら微妙にうす味。


 二つ目。前半がタルい。
 善人ばかりの前半のしらけっぷりが凄い。テンプレ展開、というか「はいはいテンプレテンプレ」みたいな投げやりさを感じる。後半の裏切りあるが故のテンプレはわかるんだけど、もうちょっと、せめてキャラの登場するシーンくらいは掘り下げてやってほしい。迎えにきた幼馴染の見た目の描写が、一行もなかった時は戦慄した。「主人公にとってその程度の存在」ってギャグならわかるけど、そういう訳でもなさそうだし。
 人間描写が薄いと、そいつが死んだ時も「ふうん」と流してしまう。幸福が薄いとその後の惨劇に対しても興味が薄れる。


 オチの裏切りは確かに意外で、面白かった。でも今の作りだと、大抵の人はそこにたどり着くまでに切っちゃうんじゃないか。
 ただ、最後まで読んだ読者としては、「続きがあるなら読んでみたい」と思わせる面白さがあった。もしこの物語を続けるとしたら、一体どう展開していくのかは興味がある。
 なので、前半がもっと読みやすく、興味が持てるような内容になれば、今よりもぐっと面白い小説になると思う。

*1:まさかこの時は、あんなラストになるとは夢にも思わず……。このスカし方は上手い。