「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「リンゴの木と渡り鳥 本当の恋を忘れたあなたへ」

 

先日、紹介した「100シーンの恋 甘くせつない恋愛ショートストーリー集」 。胸キュンの恋愛話が満載。その中で最も心に響いた話を紹介しよう。


【リンゴの木と渡り鳥 本当の恋を忘れたあなたへ】


ある丘の上
冬の風の中で、一本のリンゴの木が立っていました。



その木に神様は尋ねました。
「淋しくはないのかね?」
リンゴの木は笑って答えました。
「ここに居る事しか出来ないもの。それに春になると、
渡り鳥がやってきてくれるから淋しくないの」


実はリンゴの木は、一羽の渡り鳥に恋をしていました。
毎年、彼においしい実を食べさせる事が
生きがいだったのです。
やがて春になり、鳥達が南の国から戻ってきました。
・・・けれど、リンゴの木の好きな鳥は、
一羽のメスの鳥と一緒でした。


仲良く枝にとまり二羽の愛のさえずりを聞き、
リンゴの木は、切なさに耐えてたっていました。


神様は尋ねました。
「辛くはないのかね?」
リンゴの木は笑って答えました。
「ここに居る事しか出来ないもの。
あきらめて、彼を祝福するわ・・・」


やがて、冬が来て渡り鳥が去りました。
リンゴの木は想いを忘れられないまま、冬を過ごしました。
次の春にやってきた渡り鳥は、旅の途中で病にかかり、
弱々しい姿になっていました。


恋人ともはぐれた鳥は、リンゴの木の枝の上で
みるみる痩せ衰えていきました。
おいしい実を食べさせ、日差しから鳥の体を守り
必死で看病するリンゴの木。


神様は尋ねました。
「直ったらまた飛んで行ってしまうのに、なぜそこまでするのかね?」
リンゴの木は笑って答えました。
「ここに居る事しか出来ないもの。
私に出来る事をしてあげたいの」


けれども、渡り鳥の病気は治りませんでした。
冬が来て、他の渡り鳥は南の国へ飛び去り、
一羽残された鳥は、死を待つばかりになってしまいました。



リンゴの木は始めて、木に生まれた宿命を悲しく思いました。
「ここに居る事しか出来ないなんて・・・。
せめて、鳥のようにさえずりで励ます事が出来たなら・・・」


神様はかわいそうに思い、鳥にリンゴの木の想いを
伝えてあげました。
やっとリンゴの木の気持ちを知った鳥は言いました。
「側に居てくれるだけで嬉しいよ。それに、
あなたは毎年おいしい実をくれたね。・・・ありがとう」


こうしてリンゴの木と渡り鳥は、
寄り添いながら冬を過ごしました。


そして・・・冬の終りに鳥は天に召されていきました。
「次に生まれ変わったら、きっとお礼をするからね」
と言い残して・・・。


 再び春


リンゴの木の隣に、
新しく芽を出したリンゴの木がありました。
その木はすくすくと伸び、やがて2本の木は
いつまでも寄り添い丘の上で立っていたのでした。


いいねえ…歌が出来そうだねえ…。オススメです。(・∀・)