「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「全思考」(北野武)

   


全思考 (幻冬舎文庫)


最近オフィス独立モンダイで世間を賑わせてる明治大学生田校舎の大先輩、北野武氏。文章を読むたびになんて鋭い、繊細なものの見方や考え方をするのだろうといつも思う。(・o・)!

さてこの本。「生死、教育、人間関係、作法、映画----。五つの角度から、稀代の天才が、現代社会の病巣にメスを入れる
北野武の"日々の思考"が、本書で全て明らかになる」そのエッセンスを紹介しよう。


芸人をやって、映画監督をして。ビートたけしをして、北野武でもいるという今の人生は、ほんとうに疲れる。物体は激しく動けば、それだけ摩擦が大きくなる。人間だって、激しく動くと熱を持つのだ。端から見れば、輝いている人間のことが、きっと羨ましく見えるのだろう。だけど、輝いている本人は熱くてたまらないのだ。これは真面目に、けっこう辛いことなのだ。


・カッコつけているわけじゃない。自分がそうなってみて、実感としてそう感じる。だから、弱音を吐く訳じゃないけれど、なにもこんなことをしなくても、人生の快感を得ることは、できたんじゃないかと思う。コツコツと真面目に働いて、家族を守り、子供を育てる。それだけでも、十分に人生を生きたという満足感は得られる。有名になろうが、いい映画を作ろうが、その満足感には、大差がないだろうことは、この歳になってみればよくわかる。


俺が子供の頃は、足りないものばっかりだった。欲しい物は、手に入らないのが当たり前。それだけに、何かが手に入ったときの嬉しさといったら、とても言葉で表現できるようなもんじゃない


・昔はコンビニなんてないから、オヤツといえばおにぎりだった。
「腹へった」って言うと、母親が冷ご飯でおにぎりを作ってくれる。
「さて、中身は名でしょう?」なんて言って。
貧乏だから、どうせロクなもんは入ってない。梅干しとか味噌とか、せいぜい昨日のクサヤの干物の切れっ端とか。おにぎり一個を、ワクワクしながら喰うわけだ。
でも、喰っても喰っても、何も出てこない。
「なんだよ、何も入ってないじゃないか」
母親を見たら、アハハなんて笑ってる。
そういう親子のゲームが、昔はそこら中にあった。
そういうことを通して、子供はちゃんと、おにぎり一個でも、親が苦労して握ってんだなって感じていたのだ。それがコンビニで買ってきたものばかり食べさせられていたら、母親はコンビニでいいってことになる。


携帯電話を買うというのは、本当は人とのコミュニケーションを買っていることになる。誰かが誰かと話すたびに、個人の懐から電話会社へと金が流れているのだ。これは確かに便利なようだけれども、別の面から見れば、いつでもどこでも誰とでも、話をするのに金がかかるようになったということだ。メールだのカメラだの、インターネットの機能がついて便利になったと喜んでいるが、それも見方を変えれば、個人から金を集める方法がより巧妙になったということ。悪代官が現代に蘇って携帯電話を知ったら、狂喜乱舞することだろう「さすがに未来は進んでる。すごい金集めの機械が発明されてるぞ」ほとんど意味のない会話やメールをしたり、情報のやりとりをするために、毎回、無駄な金を払わされていることに気づいていない。牧場に囲まれて、シーズンごとに毛を刈られる羊みたいなものだ。


浮気の相手は多ければ多いほどいい。愛人の一人だけ作るから、三角関係になってカドが立つ。2人なら四角関係、3人なら五角関係……増やせば増やすほど円に近づいて、カドがなくなる。波風も立たなくなる。俺は密かに真理だと思っている。
その頃の話だけど、ある女が俺にこんなことを言った。
「最近、誘ってくれないじゃない。愛人でもできたんじゃないの?」
なにを言ってるんだ。お前が愛人なんじゃねえか。愛人として、それは言っちゃいけない。
そう言ってやったら、泣いて怒られたけど。


「お前が困ったら、俺はいつでも助ける。だけど、俺が困ったときは、俺は絶対にお前の前には現れない」これが正しい。お互いにそう思っているところに、初めて友情は成立する。


ケータイのない世界に行きたいなあ。搾取から逃れたいなあ(笑)オススメです。(・∀・)


   


全思考 (幻冬舎文庫)