妄想族好みの文学

もしもし (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

もしもし (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

こういう電話のサービスをなんと呼ぶのかね。世情に疎いのでよく分からんのだが簡単に説明するとある電話番号に男性がかけると有料、女性がかけると無料でエロい会話を楽しむサービス。この本の登場人物は男女2人だけで全編こういう電話サービス内での会話*1のみ、延々と実体験と妄想を混ぜ合わせた会話が進んでいく。これがとても面白い。
以前、ラジオやらアンテナに相当詳しい知人に聞いたのだけれど、いわゆるエロビデオよりもラジオで放送されたエロドラマの方が興奮する男性が多いという話で、それをどうやって統計とったんだか忘れたけれどこの情報が事実であると仮定して視覚情報+聴覚情報よりも聴覚情報のみのほうが好まれた理由を考えてみると、音だけしか情報がなければいくらでも自分の思い通りの映像を脳裏で画けるから、という事が上げられるのではないかと思う。
多少話が逸れるが、好きな小説なり何なりが映像化された際に幻滅することが多いのは、最初にその話を紙媒体で読んでいるときに既に無意識に作品の中で画かれてない細部を勝手に補足し、何らかのイメージを持ちながら読んでいるからじゃないだろうか。で、映像化されると自分の中のイメージと一致することは殆どないので大体幻滅。そう考えると本を喜んで読んでいるような連中は大概妄想族と言えるのかもしれない(極論です)。

*1:本当のことをいうと最後の20ページをまだ読んでいないので、9割方読み終えた時点では電話での会話だけ、ということ。