luecke

夢見る文系スケートボーディング愛好家

Luka Pinto interview from Grey Skateboarding Magazine

久々のインタビュー翻訳です。ロンドンのフリー・スケート・ジン Grey Skateboarding Magazineのウェブより、遂に発売になった『Eleventh Hour』に登場するライダーたちと監督のインタビュー・シリーズをお届けします。

元々は『The Grey Video』として関係者の間で呼ばれていたこのビデオはDan Mageeの元でBlueprint関係の撮影も手がけていたJacob Harrisが撮影し、ロンドンを中心としつつも、登場するライダーも撮影場所も少しばかり(?)そこからはみ出しながらもUKならではのフィーリングに溢れた作品になっているものと期待が高まりっぱなしです。

本日から毎日ひとりづつインタビューをアップしていきます。インタビュー原文がDVDの発売直前に発表されたもので、現時点では表現に食い違いも生じていますが、そこはあえて原文のままでいかせてもらいました。どうかご了承ください。

Luka Pinto interview
from Grey Skateboard Magazine web
taken with permission
original interview by Henry Kingsford
translated by Katsushige Ichihashi(Luecke)
http://www.greyskatemag.com/2013/09/luka-pinto-interview/

Portrait Finn Andrés

もうすぐ発売となるJacob Harris制作、LakaiFourstarSlam City SkatesIsleの協賛によるビデオ『Eleventh Hour』のオープニング・パートを飾るDVSPilloのライダー、Luka Pintoにこのプロジェクトやスケート・ビデオへの想いを聞かせてもらった。

このプロジェクトに参加することになったいきさつは?

Jacobにストックウェルのスケートパークで出会って、学位が無事に取れたら夏(2012年)には僕と撮影してもいいよと言ってくれたんだ。そのときはまだそれがこういうプロジェクトになるとは知らなかったんだけど、ちょうど僕も大学の映画製作の授業が面白くなくて辞めちゃったところだったから時間もあった。で、とにかくJacobに連絡をとっては二人でスポット探しに出掛けた。初めて素材が撮れたのはJeremy(Jones)、Tom KnoxとKevin Lowryと一緒にいたセッションで、ピカデリー・サーカスのゴミ箱を180で飛び越えたラインだった。ラインの最後で浮浪者みたいなおじさんが大喜びしてくれたっけ。

Jacob Harrisと撮影するのはどんな感じなの? 

撮影ではVX1をものすごく近づけて撮影するんだけど「とにかくレンズのことは心配するな、それはこっちの問題だから」と言われた。実際に彼の反射神経はすごくてスケート中にレンズが当たることも、彼が撮影に失敗することもなかった気がする。そしてものごとがうまくいっていないときも、何かに夢中になっているときでも同じようにはっきりと思っていることを口に出して言うタイプだね。たいていはポジティヴな後者の場合が多い。いつもすごく情熱を持って、楽しそうに仕事してくれるから何をするにもモチベーションをあげる助けになってくれる。

昨年はほとんどの期間、ジャージーに住みながらこのフル・パートを完成させたわけだけど、ロンドンに来るときやツアー先でビデオに対する大きなプレッシャーは感じた?

いや、それほどでもないよ。夏にリヨンに行くまでは自分がフル・パートの撮影をしている自覚すらなかったし、二人とも時間が合うときにロンドンで落ち合う、という感じで撮影はのんびりやらせてもらえたよ。昨年の9月にジャージーに戻ってからは何度かJacobやJeremyと一緒に長めの週末をロンドンで過ごした。すぐになくなってしまいそうなスポットにばったりと出くわすのが好きでね。道路工事の現場や路上の動かせるようなブロックを使ってラインが撮れそうなスポットを作るのが楽しい。長いラインが大好きなんだ。

パートにはジャージーで撮影されたトリックが入っていないけど?

ジャージーで撮ったトリックは全部『Conexiones』というPillo Wheelsのビデオに使うんだ。その作品にはスペインのムルシアで撮った映像もたくさん収録されるはず。僕も最近、VX1000を手に入れてロンドンやブリストルでJeremyを撮影したり、ボルドーやリヨン、ダブリンでも撮影したりした。こっちもなかなか大がかりなプロジェクトになってきたけれど、早く形にしてこの数年にスケートを通して出会ったみんなとの思い出でドカンと盛り上がりたいね。

Eleventh Hour Luka Pinto Trailer from Jacob Harris on Vimeo.

スケート・ビデオについてどう思うか聞かせてもらえる? スケーターとしてはやっぱり欠かせない存在なのかな?

小さかった頃は熱狂的にスケート・ビデオに入れ込んでいたね。11歳か12歳のときに『11:55』というジャージーの地元シーンのビデオに関わって以来、スケート・ビデオが人生の中心になった。スポット、撮影、編集、音楽、そしてストリートで過ごす膨大な時間の中で出会う変わった人たち。素材を全部まとめあげる過程も大好きだし、人生のある時期の思い出のコレクションとして形に残せるのも最高だ。

一番、影響を受けたビデオは何? 

『Welcome to Hell』かな。10歳のときに義父がクリスマスに買ってくれたのを擦り減るまで観た記憶がある。あれはまさにクルー・ビデオだったよね。一番好きなパートはMike MaldonadoSatva Leungだった。荒れたスポットでガンガンに滑って、ウォールライドしたり、坂をボムしたり、バックサイド180もバカデカ。Maldonadoのレールでのボードスライドからノー・コンプライのアウトとか信じられないくらいにヤバかった。それにストリート上での喧噪も大好きだった。ガラスの義眼をはずしてみせるシーンや足のない人がスケートしていたりみんな無茶していたり... 音楽もヤバかった。あのビデオはただただ最高だった。

音楽はアーティストが決めた曲順通りにアルバム単位で聴かれるべきだという意見があるけど、スケートボーディングも同じようにフル・ビデオというフォーマットで表現されるべきだと思う? 

うん、もちろんそう思うよ。スケート・ビデオを観るとき、人はそのすべてが観たいものだろ。でもインターネットはみんなの楽しみ方や見方をすっかり変えてしまった。そしてスケートボードを金儲けの道具として使えるようにもしてくれたけど、そんなのはクソ喰らえだ。明らかにやる気も感じられないようなどうでもいいクリップに出くわしたときはすぐに消して時間の無駄をしないようにしてる。誰かの新しいフッテージを観るまでに数ヶ月とか年単位で待たなきゃいけなかった頃の方が絶対に良かったと思うよ。
でもその反面、インターネット抜きでは到底出会うこともなかったすごいスケーティングを目にする機会が与えられているのも確かだ。『In Crust We Trust』のDermのパートや地球の反対側のシーン・ビデオとかさ。あとは自分がスケートをはじめる前に出ていたような古いものも今だと簡単に観て、楽しむことができるよね。


Frontside nollie heelflip, Lyon. Photo Henry Kingsford

今作がリリース直前に音楽の著作権の問題でGreyのビデオからインディペンデントな作品に切り替わったことに関してはどう思う?

なんの不満もないよ。Jacobは作品のために自分の思い通りに編集する自由が欲しかっただけだからね。

自分のパートで変えたいところはある? 

どうかな... いや、無いよ。撮影も楽しかったし。

作品の中で一番好きなパートとその理由を教えて。

みんな最高だよ。撮影だとKevinとのセッションが本当に楽しかったね。彼は常に誰も滑っていないようなスポットを探そうとしていたし、酒もドラッグもやらないからいつも集中していてやる気がハンパ無い。そしてArthur(Derrien)のスタイルは唯一無二だ。彼は身長が小さくて一見、13歳にしか見えないけど髭が生えていてレッジでの動きは超ソリッドでとにかく動きがいい。Dan(Clarke)はほとんどその真逆で足も体もデカくてちょっとぎこちない、どんくさい滑りだけど好きなんだよね。Chris Jonesはいつだってのんびり(チル)してる。Dom Henryは何個かヤバいラインをみせてくれるし、トリックのレパートリーも幅広いし、いつだって猛烈に滑っている。そしてJason Cainesの映像はどれも忘れられないくらいにすばらしい。彼の魅力はトリック以外の部分に宿ることが多いんだ。狂ったような腕の格好とか、笑い方や動きの中に感じられるあのエネルギー。そしてSylvain(Tognelli)。どんなに奇妙なスポットでも変わった物体でも攻められる男。ウォーリーから車の上に着地してさらにバックサイド180で降りていくシーンが好きだね。Jacobに聞いたけど、あれは消防隊の訓練用の敷地でその中に古い車がたくさんあって、それに火をつけて消火訓練をするものらしいよ。
http://www.greyskatemag.com/2013/09/luka-pinto-interview/


DVDはヨーロッパ向けとなっているはずですのでおそらくPAL方式で日本の通常のプレイヤーでは再生できない可能性もありますがパソコンなどで視聴可能ですので興味を持たれた方は是非、Slam City SkatesやPalominoで通販してみて下さい!
http://www.slamcity.com/eleventh-hour-dvd.html
http://www.thepalomino.com/products-page/films/eleventh-hour/