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I thought the world was going to end this morning.

2017-10-21

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狭いレジ台に
ひとつひとつ増えていった、ものたち

すっきりさせたほうがいいのかもしれないけれど
この足し算方式が、わたしだな、と思うので
しばらくは、このまま


ブラインドを上げ、掃除機をかけて
レジとスピーカーの電源を入れ、音楽をかける
最初に流れてきたのが、エミリアナ・トリーニで
気持ちが、ふんわりとなごむ

きょうは午前中忙しく、お昼を逃してしまったので
開店のすこし前から、のんびり、鯖寿司を食べはじめる
気がついたら、営業時間になっていて
お客さんがドアを開ける音に、飛び上がった

いやいや、大失態
ゆるい店にしたいとは、常々思っているけれど
それはともかく、しっかりしなければいけません



いまのわたしは
お店にいるのが、とても好きだ
ひとりで仕事をしたり、お茶を飲んだりする時間もだけれど
なにより、お客さんたちと、お話できるのがいい

わたしは、もともと
人と話をするのが、得意じゃない
こうして書いていると、ふつうなのに
喋るとなると、外国語でも、母語ですら、
思っていることが、ぜんぜん正確に言葉になってくれない
だから、お客さんとお話ができるのだろうか、というのが
お店をやることを決めたとき、いちばん心配で、
正直、いちばん憂鬱なことだった

けれど、いまは
話をする時間を、ほんとうに大切に思っている
相変わらず、ぜんぜん上手じゃなくて、
とくに本の話になると、まったく表現ができず悲しくなるけれど
それでも、わたしはお店で
とても自然に、愉しくて、笑っている

人の顔を覚えるのがとても苦手だった、わたしが
印象深いお客さんのことは、自然にちゃんと覚えている
不思議なくらい、自然に

なんでもやってみないと、わからない
わるい想像なんて、大抵、なんの役にも立たないのだった



お客さんが、なにかを手にとって
れいいな飾りたい、と言ってくださると、うれしい
すてきな方が、たくさんのものの中から
その方にぴったり似合うものを買ってくださると、うれしい

きょうは、うれしいことが、本当に沢山あった
ボーナスタイムみたいな一日だった


好きなものを、並べて
好きなことを、する
そんなに簡単でないことは、わかっていて
でも、そんな風でありたいし
すくなくとも、来てくださる方には、そう見えてほしい

そんなことを、あらためて思いつつ
今週の営業は、おしまい

2017-10-19

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あちらこちらをひっくり返し
店内のディスプレイを変える、午後
イギリスから箱がひとつ、届く

開けてみると
種類ごとにわかりやすく束にされ、
整然と並べられた、グリーティング・カード
思わず、わあ、とひとり声をあげて
写真まで撮ってしまう

そういえば、このカードは注文品なのに
ここまで、ひと月もかかっていない
手のかかる取引先が多いからか、
きっちり並ぶカードを眺め、うーんと感心してしまった



このカードを作っている女性に会ったのは
展示会の会場、奥の奥にある小さなブースだった
ゆったりとして、でもどこか儚げな彼女のまわりに
繊細なカードがたくさんかかっていて、さらに儚く
近づいてもいいものか、躊躇うほどだった

ハロー、荷物重そうね、もうだいたいまわったの?と
彼女は笑って、やさしいまなざしをこちらに向けてくれた
ほとんどまわって、今あなたを探してた、
実はリバティであなたの美しいカードを見つけたの、と言うと
笑顔がぱっと大きくなって、
なんだかとても、得難いものを得たような気がした


それから、何度メールのやりとりをしても
彼女の印象は、変わらない
カードの印象そのまま、繊細で、ふわりとあたたかい

きょうの小包には、手書きのカードと
あなたに小さなギフト、と書き添えられた、
注文していないグリーティング・カードが入っていた
そういう心づかいすべてが、カードを作る人として完璧で、
何よりそのことが、とてもうれしかった


わたしは、必ずしも
ものに気持ちが乗る必要は、ないと思っている
それが、ものと誰かのあいだを仲介するわたしの気持ちなら、尚更
軽やかにものと付き合うことが、
個人的な理想だからかもしれないけれど

けれど、とくにこういうものなら
作っている誰かが、いるわけで
会話のなかで、ただ仲介をするだけのわたしの気持ちも、動く
そういうときは、どこまでも純粋に
この仕事をはじめてよかったと、思うのだ



明日、お店に
届いたカードを並べるのが、本当に楽しみ

特別な人に贈ったり、自分のために飾ったり
わたしもこのカードをそんな風に使えたら、いいな

2017-10-18

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灰色に曇った、夕方
灰色の室内から、気分を変えるべく、外へ

晴れた日の散歩は、もちろんよいものだけれど
暗いこういう日に、ほとんど人のいない道を行くのも
それはそれで、いい


落ち葉の香りのするベンチに座って
しばらく、本を読む
ノーベル文学賞を受賞したばかりの、カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロ
陶酔のない、控えめで、理知的な文章が好きだ
ときどきシニカル、ときどき温かなユーモアを織り込んで
エピソードが積み上げられていく

彼の本は、長編では『日の名残り
短編も合わせると『夜想曲集』が、いちばん好きで
この二冊は、繰り返し繰り返し読んでいる
わたしを離さないで』なども、忘れがたい本なので
なかなか、選ぶのは難しいのだけど


ここへ来たのはそういうわけ。ゾーニャ、見てごらん、とティーロは言う。あの丘を。なんて美しいんだ。ね? 休暇にこんな場所へ来られて、私たちはなんて運がいいんだ。ここの丘は、エルガーを聞きながら想像していたよりずっとすばらしいじゃないか。そう思わないかい? 聞かれて、わたしはまた怒りましたよ……たぶん。こんな丘のどこがすばらしいの? こんなのは、わたしがエルガーを聞いて想像する丘じゃない。エルガーの丘はもっと壮麗で神秘的。ここにあるのはただの公園よ……。(『夜想曲集』所収 『モールバンヒルズ』より)


どこまでも前向きで、ものごとの欠点を見ようともせず
幸運だ、という言葉を繰り返す夫に
苛立つ妻の言葉が、イガイガと喉を下りていく


自分は幸福だ、と
繰り返し思い直すことに、なんの意味があるだろう
愛も、誓いも、名声も、才能でさえも
一瞬で過去のことになってしまうのに

けれど、そういう霧のような虚無のなかに
ぼんやりと、未来の輪郭が見えたりする
遠くの、一隻の船のように


ぼうっと孤独な、ベンチで
ゆるやかに繋がった、『夜想曲集』の5つの物語に
そんなことを、思った

2017-10-17

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ものを並べる棚が足りないと嘆くこと、ひと月
注文していたベンチが、届いた

今年じゅうには、と聞いていたので
予想外の早さに驚いたけれど
休みの日にダーッと作りました、とのこと
家具職人さんの腕と心づかいには、いつも頭が下がる

これで、つぎの布類が届いても、大丈夫だし
すでにある大きめのトレイなんかも、並べられる
ひとまず、ほっとした



きょうは、仕事が、山のようにあって
しかも、どの方面もいまひとつうまくいっていなくて
夕方にはすっかり、疲れ果てていた

仕事場の椅子に、腰掛けて
持っていたツヴァイクのつづきを読みだす
こういう遣る瀬無い日に、無性に
ツヴァイクが読みたくなるのはなんでだろう

イギリスEUの離脱を決めた、次の日
プリムローズ・ヒルに座りこんで、読んでいたのも
近くの本屋で買ったツヴァイクだった


静かな中庭と
きょう初めて見えた青空を、眺める
ハイネックの長袖を着てきたけれど、
コンクリート打ちっぱなしの店は、ひんやりと寒い

お客さんがいない日、時間の、薄暗いデスクが
やっぱり、好きだ


うまくいかないことは、
数日、寝かせてみるのもいいかもね、と
すこしだけ、前向きに

2017-10-16

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雨のなか
仕事の用事を、あれやこれやと済ませ
いつものネイルサロン

おもむろに、爪を石にしたいと言いだし資料を見せるわたしと
躊躇なく、できるよ、と答えてくれるネイリストさん


爪全面にやると印象が強いから、先のほうだけがいいよね、
色はどれを、どういう風に使おうか、
一部の爪を単色にしてみるのはどう、やめといたほうがいいかな、
ストーンはどういうタイプのものにしようか、

そうして、話し合って
デザインと配色を、決めていく
もちろん、わたしは気楽にアイディアを出すだけで
具現化してくれるのは、ネイリストさんなんだけれど

作業をしてもらいながら、全体のバランスを見て
一緒に配色を変えたり、色味を足したりもする
わたしの好みをよく知っている、彼女は
納得がゆくように、絶妙な色をつくってくれる

わたしは、そういうネイリストさんを尊敬しているから
こうして彼女の仕事を間近に見られて、うれしいし
楽しく話し合って、自分の爪を決められることを
本当に、貴重なことだと思っているのだった



近ごろネイリストさんは、仕事に対する思いや、
あるいは、心のようなものを
ときどき、口に出してくれるようになった
それを聞いていると、彼女は意思を表明することに重点を置かず
こつこつとやってきた人なのだな、と、思う


希望を言ったり、誰かや何かを評価することで
前に進んだ気持ちになるのは、容易い
そして、言葉にしたことを行動に移さない、というのは
すぐ癖になるうえ、そう簡単には直らない

そうして、自分に対してだけ甘い評価をしつづていると
真っ当なことを口にしても、整合性がなくなってしまう
彼女は、その恐ろしさをよくわかっていて
日々の自分の行動で、意志をもって、避けているという気がする


身につけたものを、最大限に使うこと
言い訳をせず、一日一日を積み上げること
わたしは、本当にまだまだで
だから、そういうことを、ちゃんと休みながら自然にやっている、
彼女みたいな人に触れると、襟を正す思い

ごちゃごちゃ書いたけども、つまり
ネイルの時間は、わたしにとって、とても大事だということ
彼女本人は、こう言われるのは苦手そうだから
ここに書いて、あとは、心のうちに仕舞っておくけれど


もらった元気で
明日は、やらなくちゃいけないことが沢山ある

美しい爪を、眺めると
本当になんでもできそうな、気がする

2017-10-15

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どこまでも怠惰な昼下がり
注文していた、新しいパジャマ
ロンドンから、はるばる、届いた


このメーカーさんを知ったのは
仕事で行った、ロンドンの展示会
どの柄も素敵だし、形もきれいで、一瞬で恋に落ちた

わたしの店では、サイズのあるものは難しいので
なかなか、扱えないけれど
帰ってきてから、自分のためにひとつ注文した
Rainy Daysという名前の、冬用のパジャマ


箱も、美しくて
届いた瞬間から、幸福感でいっぱい
こういうときには、ものの力というのを信じたくなる

Phone off, kettle on, pyjama time.
いいフレーズだ



先週ひさしぶりに読んだ、フォースターが
まだ、心のなかにまるく場所をつくっている
眺めのいい部屋』、こんなによかったっけ

とりわけ、胸をうたれたのは
ルーシーが、自分を縛るものと対峙しようとするとき
彼女は、ひとりだということだ
孤独でいること、勇気をもつこと
自分自身で光を灯すことができる、ということが、
希望だと、わたしは思うから


そして、驚くのは
これが、一世紀以上も前に発表された小説で
さらに、書いたフォースターが男性だということ
ブルームズベリー・グループの一員でもあった人だけれど
そこで何を語ったのか、どんな考えを持っていて、
生涯にわたって、どんな文章を書いたのか
もっとちゃんと、知りたい

こんなときには、自分の勉強不足を痛感するけれど
こうして、どんどん興味が広がっていくのが
読書の愉しいところでも、ある



さてさて
明日は月一回の特別、ネイルの日

身体を、ちゃんとととのえて
また、新しい一週間へ

2017-10-14

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仕事の10分前
近所のコーヒー屋さんで
焙煎機を眺めるのが好きだ

馴染みのお兄さんがお店に立っているときは
丁寧にドリップしてくれるコーヒーを待ちながら
これをじっと見て、雑談を楽しむ

暑いとか寒いとか、
わたしの店のこととか、コーヒーのこととか、
近所の八百屋さんやラーメン屋さんがどうとか
他愛ない話

仕事をしながら、温かいカフェラテを飲みたいので
コーヒー屋さんへ行くのは、きまってぎりぎりの時間
一時からですよねお店、と時計を見てくれながらも
この人の手は、けして慌てたりしないのを
わたしは、知っているのだった



お店を開けながら
もう、来年のことを、考える
二通りの出張コースのどちらにするか、迷っていたのを
ようやく決めて、航空券を予約した

留学していた頃も、そうだったけれど
今も、基本的には、つねに三ヶ月後のことを考えている
それは、心が急くことでもあるけれど、
張り合いのあることでもある

ともあれ、冬の出張は
いつものイギリスと、一年ぶりの、ドイツ


また、体調を崩してしまって
本当にいやになっちゃうけれど
明日は、お休み

雨を眺めて、ソファで本を読むだけの
静かな日曜日に、なればいい