来てほしい連絡が一向に来ず
手続き関係は、あちらもこちらも頓挫
うまくいかないことばかり、数え上げればキリがない
すっかり心が折れて
エアコンが届くのを待つ、午後
きょうに限って、最高気温は33度
エアコン待ちということは、当然空調はまだないわけで
窓を開けて風が抜けても、うだるような暑さ
それでも、荷物がちゃんと届いただけで、うれしい
つい写真など撮っている自分が、可笑しかった
山を動かすような力。めったにない危機に、心を鬼のようにしてまでそれに備えるのは無限のエネルギーの浪費だ。それに、決して起こらないことをおののいて待っているということ、それこそまさに浪費そのものだった。こうして不吉な静寂を受け入れて待っているうちに、やがて獣が見えてくるのだろう。グレディは、その時ドアのベルが鳴るのを耳にした。その音は、二階で手を洗っているクライドを除いて、みんなの平静さに、皮下注射の針のように激しく突き刺さった。
グレディはベルの音を聞いた瞬間、そこを出て行く理由がいろいろあったはずだった。しかし、彼女は自分にとって惨めに見えることはしてはいけないと決心した。
「あら、彼女が来たわ」
アイーダが言った時、グレディは棚の上の道化のような天使たちに目をやって、こっそり彼らに向って舌を出した。
(トルーマン・カポーティ『真夏の航海』 139頁)
エネルギーの無駄遣いばかりして
それでも、一矢報いたい
カポーティの描く、1940年代の夏、ニューヨークの令嬢を
木とニスの匂いの部屋で、ぼんやり思いだしていた
あしたは、天気予報を見るかぎり
夕方以降は現場にいないほうがよさそうかな
台風が、もやもやを攫っていってくれないかしら、と
都合のいいことを、思う