朝8時
あたたかな、白いアラン・ニットに
すべり止めのついているスノーブーツで
雪の積もった散歩道へ、でかけていく

木々も、空も、道も
それを映す、池も
白のグラデーション


枝葉から、ときどき塊で、ときどき粉のように、
昨夜の雪が落ちてくる
髪の毛についたものを払うと、
指先で氷がすうっと溶けて、消える

次々落ちる雪と音もなく泳ぐ鳥のつくる、水紋を
休憩所のベンチで、飽きもせず眺めた
氷山のように、池にはまだ暗く重い冬が沈んでいて
ここは、その表面にすぎないのだという気がした


列をなした鳥たちは
水を引っ張って、すこしずつ遠ざかっていく

雪の朝は、静かだ
わかっていて、ここへ来た




池を離れる、名残惜しさに
ざくざく雪を踏みながら、きょうはじめての音楽
これまで何百回も聴いた曲を
あらためて、美しいと思った

茶店のサンルームで、また、雪と鳥を眺め
本を何冊か買って、帰路に


まっさらな朝を、愛おしむ
よい、散歩だった