三連休の中日
ひさしぶりに砂丘へ行きたい、という願いを
東京からやってきた彼は、あっさり叶えてくれた


なんでもない話ばかりをしながら
車で、どこかへ向かうのが好きだ
途中で野菜や果物や花を買うのも
サービスエリアでソフトクリームを食べたりするのも
ときには渋滞で、ぜんっぜん進まないねえと笑うのも
月並みだけれど、ふたりだと全部が楽しい

瞬発的な体力がまったくないわたしは
砂丘の急斜面を上りながら、ぜいぜい息を吐いていた
元気に靴のなかまで砂まみれになっている恋人に、
砂すごいね!?と言うと、
もう諦めてる、諦めが肝心、と爽やかに笑っていた



わたし達は、11年半付き合っているけれど
きのうは、はじめて一緒に、縁結びの神社へも行った
手を合わせながら、
彼がわたしに飽きませんようにと口に出したわたしと
わたしが浮気しませんようにとやり返す彼
神さまも、勝手にやってくれと思ったにちがいない

つやつやした石を投げ、鳥居のうえに乗せることができれば
よいことがあるという、“結び石”
二度目のチャレンジであっさり乗せてしまう恋人を見て、
この人はいつもこうだなあ、と、感心する

願いをかける石だけの話でもなくて
彼は、彼が持っているもの、
たとえば身体能力の高さだったり、頭の回転の速さだったり、
身につけた技術だったり、波のない精神力だったりで
色んなことを、ちょっとうまくやって、
こちらに何かを分けてくれたり
幸せな気持ちにさせてくれたりする
いつも、本当にいつも、そう



次に会えるのは、11月か12月で
まあ正直、きっとあっという間なんだろうけれど
この2日のことを思い返すと、寂しいな

いつか、こういう時間を
儚かったな、なんて、思ったりしませんようにと
強く、強く願っている