まだ真っ暗のアムステルダムから
快晴の、パリへ


パリは、大学時代、本当によく来ていた
ユーロスターは、3ヶ月前の発売時に予約すると安く、
日帰りや1泊で訪れるロンドン在住者は多い

わたしにとって
何度訪れたかもう数えていない、覚えていないという
数少ない町の、ひとつ



きょうの目的は、仕事だったけれど
ポンピドゥーで、キュビスムの展示が始まっているのを知って
無理やり予定にねじ込んだ

おかげで、せっかくのパリなのに
午後はお茶を一杯飲んだだけで、
お昼もおやつも、夕食すらほとんど食べられずに
町を走り回ることになってしまったけれど
でも、それだけの価値があった、と思う


セザンヌの数枚の絵から、展示は始まっていた
そして、ゴーギャンピカソ
プリミティブなものへの憧憬

ブラックが体系づけ、ピカソが発展させ
レジェ、ロベール&ソニア・ドローネーといった作家がつぎつぎ出てきて
色での表現に変化させていく
部屋を進むごとに、それを肌で感じることができる

月並みな感想だけれど
丁寧に、“キュビスムとは何か”を描こうとしている
授業のような、よい展示だった

ソニアは昨年、テート・モダンでの回顧展へ行って
その広い視野に、驚いたものだけれど
こうして流れのなかに置かれているのを見るのも、よかったな



フランスは、好きな店がとにかく多いので
ほんとうは自分の洋服も買いたかったけれど
なかなか、そんな時間はなく

それでも、偶然すてきな首巻きに出会い、
身の回りの贅沢品を、いくらか手に入れて
デパートの食料品売り場で、美味しそうなものを物色した

これだけできれば
まあ、300点よね


仕事のことを書くのは
あまり、よくないかもしれないけれど
そちらの成果は、正直なところいまひとつ

けれど、パリに溢れるものものは、
わたしが普段扱うものとは、異質で
それだけに、眼が洗われたという気がする

大きな意味を持つ
実りのある、半日




見上げた、雲ひとつない空に
音楽が、融ける

Vanessa Paradisの歌が好きで
とくに、"Divinidylle"は、ずっと聴きつづけている
パリを歩きながらつい選ぶ、一枚

乾いた空気と弱い日差しに似合う、憂いのある声
これからの季節
また、ヘビーローテーションになりそう