『ニュースの真相』


映画「Truth:ニュースの真相」を観る。
米国ニュースメディア界の最大の不祥事とも言われるのが2004年の"ラザーゲート"事件の真相につき、当時の番組プロデユーサー、メアリー・メイプスの自伝を映画化。
2004年ブッシュ現職大統領の再選キャンペーンのさなか、CBSのニュース番組「60ミニッツ」でのブッシュ大統領の1973年時の軍歴詐称疑惑に関するスクープ報道の証拠文書が偽造ではないかという批判が出て、CBSは文書が本物であることを証明できず(偽物と確定されたことはない)、報道の正当性を欠いたとして最終的に降板から辞職に追い込まれたダン・ラザーと解雇となった敏腕花形番組プロデユーサー、メアリー・メイプスのストーリー。
前半はスクープの裏をとり放映可能な番組に仕上げるまで、後半はインターネットの掲示板やBlogで証拠文書の真偽を指摘したポスティングが続発し、メアリー・メープスとそのスタッフが闘う話、そしてCBSの内部調査委員会とのやりとり。
結局は保守派の意向にそぐわない報道をしたことから、その報道をもみ消すための証拠崩しが行われ、メープス側は証拠文書の正しさを“証明”することができなかった。文書はオリジナルではなくコピーなのだから100%正しいかどうかを証明することは不可能なのだった。
メアリー・メープスの視点による「真実」なので、スクープは、出来事の真実を伝えるためのものであり、軍歴偽証自体はあったが、文書のauthenticitiesは証明できなかった、政治的意図をもってブッシュ再選を阻むための嘘の報道ではない、とされている。

2004年当時、そういえばブッシュ大統領の軍歴について大騒ぎがあったが、いつのまにか世間がしずかになったっけ。

上映館は「TOHOシネマ日比谷シャンテ」。平日というのに満席。
東京で唯一の上映館だからということもあるだろうが、人々のメディアや政治への興味の高さに少し驚いたのだった。