如星的茶葉暮らし別館

神慮の機械日記、お相手は維如星にて。
本家と同一内容+αです。詳しくはこちら



 
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2007-04-25-水

ダブルスタンダード攻撃という錦の御旗

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http://luxin.blackcats.jp/diary/200704c.html#d04240

いやさぁ「ダブスタ指摘すた! 俺勝利!」ってマジ不毛だからやめようよ。冷静な論者はふっつーにスルーしてたりするからいいんだけどさ。

着陸地点

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三回飛んだダイバーはベテランで、チキンだという。

待機モードの戦術機コクピットには最低限のハムノイズだけが満ちている。グラブの中に冷たい汗を感じ、触る必要も無い操縦桿を何度も小指から握り直す。

──再突入殻に押し込められ、青い地球を頭上に眺めながら、俺は三度目の軌道降下突入(オービットダイブ)を変わらぬ恐怖心で待ち続けていた。ベテランなんて言われても所詮はこのザマ、いや大体たった三度の出撃でベテラン呼ばわりされるコト自体が果てしなく間違っている。選ばれし四人。何のことはない、軌道降下兵団の作戦生還率は20%を切っているというだけのことだ。百人集めて三度目にチャレンジできるのはたったの四人。そして三度目に絶滅。なんとも目出度いベテランである。

白い息を吐く。体温調節は強化服に任せ、コクピット内には防霜用の最低限のヒーターしかついていない。寒さは感じないが、呼気の散る様がモルグみたいで辛気臭い。ただでさえ「空飛ぶ棺桶(フライング・コフィン)」などとありがたくない渾名を持つ再突入殻である。駆逐艦は元々「空飛ぶ煉瓦(フライング・ブリック)」と呼ばれてたらしいが、再離脱もフライバイもできない棺桶に較べりゃ白鳥の如しだ。回廊のどん詰まり、金属雲の下に待ち構えるハイヴ。突入に失敗して火葬場送り、着陸に失敗して完全土葬、BETAに食われて鳥葬三昧。どれを選んでもジョン・ドゥ直行だ。クソ。

かぶりを振る。辛気臭い発想を頭から振り払う。集中しろ。

グラブの甲でゆっくりと額の冷や汗を拭う。頭上のモニターではユーラシア大陸がゆっくりと背後へと過ぎ去ってゆく。今やこの大陸を眺められるのは駆逐艦乗りとダイバーだけの特権ではある。月面みたいなアバタまみれのクサレ大陸、眺める特権なんて正直大した価値はないんだが──それでも、この重ねても消えない恐怖を飲み込んででも、三度目のダイヴに志願させる力は確かにこの大陸から湧いてくるのだ。


そう。バンコクに飛んだ。光州に飛んだ。九割六分の仲間が死んだ。そして、全て益無く敗北した。

生き残ったのは俺たちベテラン・チキン。ハイヴに背を向け、逃げおおせた敗残者の群れ。


操縦桿を握り締めた。もう指は揺らぎもしていない。

クロックチェック。再突入地点まで500、そろそろ艦隊司令が一発ぶち上げるタイミング──

電子音。ハムノイズが割り裂かれる。隊内着信確認、音声通信接続。さあ、もう一周回るのか飛び込むのかゴー・オア・ノーゴー。唇を湿らす。薄暗いスクリーンに臆病者の俺の面が舌なめずりして映っている。贖罪か、復讐か、英雄を望むのか。俺は薄く笑みを浮かべたまま司令の台詞を束の間待つ。

『諸君、オペレーション・サドガシマは計画通りに推移している。全機再突入に備えよ。第二から第四までの戦隊は──

頭上では、俺らを死地へと送り込む張本人たちのアメリカ大陸が蒼穹の向こうへと消えていく。ノイズは今や完全に消え去り、回廊の入り口たる欧州上空はもうすぐそこだった。




……とかなんとか。軌道降下兵団の小話とか書いてみるのも面白いかな、と。再突入殻と駆逐艦の接続設定とか、降下中の描写とか、結構書き殴ってみると楽しいかもしれん。


→2008.07.04 完全版ができました。http://d.hatena.ne.jp/luxin/20080704#p1

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