如星的茶葉暮らし別館

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2009-05-21-木

簡易版・同人誌の作り方実録編 第4回「原稿着手、その前に!」

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「簡易版・同人誌の作り方実録編」もようやく四回目。今月頭に発行したとらドラ小説本を題材に「軽く」書こうと思っていたのに、思いのほかガッツリとした記事量になってしまった。

実際のところ、前にも書いた「製作から頒布に必要な全てのステップを自分で管理する」ってのは、普段何気なくやってはいてもリストにしてみれば長くなるのは当然かもしれない。ま、これを以って半正式版にしてしまうぐらいのノリで、続けて参りましょう:)

ちなみに今回から&過去記事にも遡り、若干の説明図をつけてます。過去分も宜しければご参考までに。

では、以下目次!

4.設計:原稿着手、その前に!

前回、印刷所と締切に目星をつけるところまでは進んだ。もういい加減原稿の作り方に入れよ、とお考えの諸兄もいらっしゃるだろうが、まぁ今しばらくお待ちくだされ。実際、何を作るの?って点がまだ決まっていないのだから。

「何作るって原稿だろう迸る魂だろう大河かわいいです」、いや大河が可愛いのは自明として、さておきその原稿の最終形態は印刷所が受け取り可能なモノでなければならない

何を当たり前のことをと思うかもしれないけど、印刷所の人に話を聞くと、一瞬信じがたいような形態の原稿が入稿されることも多いという。今まで一度も印刷に出したことがないなら、一度常識を捨てて、素直に印刷所のページの原稿ガイドを端から端まで読んでみよう。

例えば、数多く本を出している結構な大手さんでもやってしまうミスとして、「二色刷り印刷の原稿を出すときに、そのまんま『二色で塗ったフルカラー統合ファイルを入稿してしまう」とケースが多々あると言う。

……このページを見ている人の中でも、二色刷りって何やねん、という人の方が多数派だろう。ご安心を、上でも書いたように、同人を始めた時からフルカラー表紙だけを扱ってきた人であれば、大手さんですら同じなのである。初めて印刷に出す、あるいは初めて利用する仕様の印刷に出す前には、固定概念を捨てて素直に印刷所にすがりましょう:)

ちなみに二色刷りってのは図に示したような手法。色上質最厚口フルカラークリアPP本文書籍70kg(呪文)な男性同人作家陣にはあまり縁が無いかもしれないけど、紙の地色も含めると一見多色とは思えない見事な表紙を安価に生み出すことも可能。ティアなどで神業を見ることができる。

実際、一度経験してみないことには「聞いたことも無い」概念がいくつも出てくると思う。この辺りの解説は、それこそ「原稿の作り方」として個人サイトや2chまとめサイト等で詳しく解説されているし、印刷所の原稿ページなどもかなり充実している。この「作り方」シリーズは元々「そういう原稿の作り方の外側」を解説するのが主題なので、ここでは初心者が引っ掛かりがちなキーワードだけを以下に列記し、詳しい説明は割愛させていただく。

  • 原稿のサイズ(原寸が基本)、必要な解像度dpiぐらいはぐぐろう)

  • 断ち切り・塗り足しの概念(意外なほど知られてないが超重要)

  • フォントは印刷所側にも同じフォントファイルが無いと再現できませんよー(あるいはアウトライン化の概念)

  • だからCMYKですってば。

  • 当然ながら本は偶数ページじゃないと作れませんよ。料金体系は8p単位、入稿は4p単位でOKな場合が多い。

  • 印刷仕様は仕様書にちゃんと書こうな! 同じ原稿でも仕上がり変わります!

……同人経験者なら「こんな基本を」と思うかもしれないが、実際印刷所ではこれらの項目からしておかしい原稿が日々送られてくるという(汗)。もちろん初めてなら仕方ないのだが、初めてなら初めてなりに先に聞いてくれというのが彼らの本音だろう。以下、とある印刷所の方の台詞を引用しておく。

「ぶっちゃけて相談に来てください。予算の上限から逆算して仕様を決めることも、作りかけの原稿からアドバイスする事も、全然やっちゃいます。入稿日になって(イベントに間に合わないと)パニックになられるより1000倍マシです」

──都内某所にて

シャイボーイ&ガールな貴方、2chの同人ノウハウ板等で質問するのもアリっちゃアリだ。だが、古来ノウハウスレに伝わる伝説の質問「昨日××に入稿したんですが間に合いますか」のように、どう足掻いても実際の印刷を行う印刷所でなければ分からないことも多々ある(ちなみに伝説の質問へのテンプレ回答は「うん大丈夫だよ」)。ひつこいぐらい繰り返しになるが、印刷屋の受付の方々の多くは同人を愛する同志であるガンガンいこうぜ

参考:今回の如星的仕様

最後に、今回のとらドラ小説本の「仕様」を列記しておく。この辺の単語からぐぐってみるのもいいだろう。

基本:フルカラーカバーつき新書サイズ小説本

フルカラーのブック「カバー」(not表紙)、色上質紙にモノクロの「表紙」、文字が主体の「モノクロ本文」からなる、「新書サイズ(印刷所によってサイズがまちまちのため注意)」の本。

「文字主体」とわざわざ銘打ったのは、印刷所によっては「漫画でないこと」「墨ベタ率が一定以下であること」を条件に「小説本専用料金プラン」を用意してくれている場合があるため。

フルカラーカバー
  • 横114mm×縦182mm新書用カバー、折り返しは70mm。コート紙135kクリアPP。

  • 横サイズは3(断切)+70(左折返し)+114(表1)+2(背表紙)+114(表4)+70(右折返し)+3(断切)mm=376mm(断切り後370mm)

  • 縦サイズは3(断切)+182mm(全て)+3(断切)mm=188mm(断切り後182mm)

  • 解像度350dpi、カラーモードCMYKにて、psd形式Photoshopにて作成。全レイヤ統合済。画像内にトンボ描画済。

モノクロ表紙
  • 表1(表表紙)+背表紙+表4(裏表紙)の1繋ぎファイルで作成。色上質最厚口コスモス、墨1C。

  • サイズはカバーから折り返し70mm×2を省いたもの。

  • 解像度350dpi、グレースケールにて、Illustratorで作成の後、eps形式(Illustrator EPS)にて入稿。全フォントアウトライン化済。

新書サイズ本文
  • 横114mm×縦182mmで作成、本文墨1C、本文用紙はクリーム書籍用紙72.5kg。

  • PDF形式で入稿。フォント埋め込みで対応。リンク画像も全て埋め込み。

  • 断ち切り3mm(印刷所指定)にて作成。全ページノンブル入り。一部影ノンブル。

部数の話

……一応触れておこう。初心者なら迷うことは無い。大抵の印刷所ロットの最低数である100部にしとけ。んでもって最初のイベントで1桁しか出なくても泣くな。

もちろん「手に取らせる努力」をキチンと重ねていれば、ポッと出のサークルでもちゃんと数は出る。斯く言う如星も、生まれて初めて出たイベントでコピー本数十部が速攻完売したことで「調子に乗って」しまった結果がご覧の有様である(笑)

その後は、経験と勘によって部数を上下させていけばいい。幾つものイベントに出て気長に売るも良し、以前説明したオンリー+オールのコンボで出し切るのを目指すも良し。ただ一般則として、特に二次創作同人誌は基本的に初動が中心である。在庫を抱えて引越しのたびに涙するよりは、少々足りなかったかな、ぐらいがちょうど良いと「如星は思う」。この辺は活動のスタンスに強く依存するところなので(常時在庫を持ち、リクエストに応じていつでも出せることを是とする活動スタイルもありだ)、経験を積んでいくしかないところだ。

……ガバガバ売って儲けたい? エロで漫画で東方描いて虎に卸しとけ。部数が1桁変わるぞ。間違っても小説本など作るなかれ。

さて、これから

これにてお待ちかね、ようやく原稿作成に着手である。

……上でも書いたが、実際に原稿を作っていく部分は世の中に無数に解説があるので、ここでは大きく省こうと思っていた。が、最近どうもあちこちから指摘されたのだが、「小説本の作り」に興味を持たれている方が結構いるらしい。

そこで次回は番外編として、小説本の体裁について書いてみたいと思う。漫画派な貴方には無用の回であるが、茨の道を歩む同人小説作家の一助となるべく、ここは笑って見過ごしていただきたい:)

また余談ついでに、こんなネタが知りたい、こんな情報が欲しいというご希望がありましたら、何処かの回の日記コメントなり同人サイト側のメールフォームなり是非お寄せくださいませ。

そいじゃー、次回「小説本の作り方」に続く

http://luxin.blackcats.jp/diary/200905c.html#d05210

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