如星的茶葉暮らし別館

神慮の機械日記、お相手は維如星にて。
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2008-05-25-日

ひまわり短編執筆中・改(バレなし)

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サイオンジ・アエロス080便、滑走路09はいつでも離陸可能です。良き旅をSaion Aeros 080, it's an honor to clear you for immediate takeoff on Runway 09.

ミヤウラタワー、こちらサイオンジ・アエロス080、滑走路09よりの離陸許可了解Miyaura-Tower, Saion Aeros 080, Runway 09 cleared for takeoff, acknowledged.
……お気遣い感謝するThank you for your hospitality.

栄誉honorか、と管制塔のちょっとした稚気と客気に滲み出る宮浦魂に苦笑しつつ、機長は機体を静かに滑走路へと進入させた。満月の光に柔らかく照らされながら、SA-DAN080型高々度旅客機の白い機体がゆっくりと旋回し、闇の中へと真っ直ぐに伸びる二本の誘導灯の間に鎮座する。

「SN0080……いよいよ第一便ですね、機長」

計器の最終チェックを行いながら、昂ぶりを隠し切れない様子で副長が口を開く。

SN0080便──それは宮浦から「ひまわり」へ向かうスペースプレーンに初めて付けられた民間用フライトコードだ。成層圏を飛び出す程度の体験ツアーでも、高度数百kmの低位軌道ですらなく、35,786kmの彼方、静止軌道へと飛翔する正真正銘本物の宇宙飛行である。興奮するなという方が無理な相談だ。

とは言え、管制官とそっくりのその若さを今度は少々羨ましくも思いつつ、機長は年長者の責務として余裕を持った笑みを浮かべて言葉を返した。

「やるべきことは全てやった、後はお空に飛んでいくだけさ──西園寺コントロール、こちらSA-DAN080、宮浦航空管制よりの離陸許可確認。最終離陸許可願います」

西園寺宇宙開発部・試験飛行士の責務として、機長は宇宙管制課に通信を入れる。

(まあ、こんだけ民間人を乗せておいて試験飛行も何も無いだろうが)

間髪いれずに返ってきたオールグリーン、ゴー・フォア・テイクオフの回答をもってブレーキを解除、彼は低速大気圏内用スロットルレバーに手を伸ばした。

「こんなに人が来れるんなら、よーいちも来られれば良かったのになあ……」

地上を滑っていく飛行機の中で、わたしは思わず呟いた。
小さな、本当に小さなその呟きに、隣のパパが怖いぐらいの勢いで振り向いた。

─────今、なんと?」

──人類の歴史が変わる瞬間は、もうすぐそこまで来ていた。

──「ひまわり」二次創作短編
「真夜中の風景」より

http://luxin.blackcats.jp/diary/200805c.html#d05250

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