Basement Jaxxの『Scars』、Simian Mobile Discoの『Temporary Pleasure』、Felix Da Housecatの『He Was King』をまとめる(前編)

書きそびれていたダンス系の音源についてレビューを書いていたのですが、何となくまとめた方が良さそうなのでまとめて書こうと思います。レビューする盤はBasement Jaxx『Scars』Simian Mobile Disco『Temporary Pleasure』Felix Da Housecat『He Was King』の3枚。この3枚の大体のイメージはこんな感じ。異論は認めますが苦情は受け付けません。

Basement Jaxx『Scars』のゲストボーカルはかなり豪華で幅広い人選。Eli "Paperboy" Reed、Santigold、Jose James、Kelis、Lisa Kekaula(The Bellrays)、Lightspeed Champion、Paloma Faith、Sam Sparro、Yo! Majesty、Amp Fiddlerなどに加えて、何とOno Yoko!まで引っ張り出しています。一方Simian Mobile Disco『Temporary Pleasure』はというと、元々がバンドだっただけに、ゲストもやはりダンスよりのロック系が多く、Gruff Rhys(Super Furry Animals)、Chris Keating(Yeasayer)、Beth Ditto(Gossip)、Jamie Lidell、Alexis Taylor(Hot Chip)、Young Fathers、Telepatheといったところ。Felix Da Housecat『He Was King』は基本的にNese Djoumaと自分自身が歌っていますね。多数のゲストボーカルが入ることでやはりコンピレーション的には色合いも出ますので、統一感という意味ではFelix Da Housecatの作品に軍配が挙がるといったところでしょうか。
という事で個々の作品にもちょっと触れていきたいと思います。
Basement Jaxxといえば2000年代を代表するダンスユニットで、ハウスミュージックとロックリスナーを繋ぐ存在としての功績があって、キャリアも長いものになってきました。正直なところ、ベストアルバムBasement Jaxx: The Singles』の発売後は印象が薄くなってしまっていたのですが、先行シングルになった「Raindrops」で完全に前線に戻ってきたと思います。
『Scars』は5枚目のアルバムという事で、その内容も今までのハウス一辺倒だけでなくメロウというか、聞かせるタイプの曲も収録されています。もちろん「Raindrops」「Feelings Gone」、「Twerk(歌詞はMichael Sembelloのヒット曲「Maniac」からのようで)の様なフロア対応の楽曲も収録していますので、様々なタイプの楽曲がバランス良く一枚のアルバムに収録されていると思います。『Scars』は陽性な下世話さをあからさまに打ち出すのではなく、抑え気味に展開していきながらも個性的なゲストボーカルに負けない新たなサウンドを作りあげており、全体を通して貫禄の出来栄えのカムバック作といっても過言ではないと思います。

Scars

Scars

ちょっと長くなりそうなので後編に続く。
Basement Jaxxの『Scars』、Simian Mobile Discoの『Temporary Pleasure』、Felix Da Housecatの『He Was King』をまとめる(後半)