幾何学的モーメントの不変式とshape analysis

3DCGでよくやるように、何か(向き付けられた)閉曲面があって、その曲面は、三角形に分割(単体分割)されているとする。この時、曲面内部の領域の体積を計算するには、適当な一点Oを取って(特に理由がなければ原点でいい)、Oと各三角形がなす四面体の符号付き体積の和を計算すればいい(三角形の頂点の順序が、面の向きと合っていなければならない)。3DCGで使われるモデルでは、境界が連結でなく、複数の閉曲面からなることもあるけど、その場合でも、この体積計算は有効。

同様の計算は、三次元空間上で定義された関数を曲面内部の領域で積分するのに使える。関数として、最も単純な単項式を選ぶと、これは、曲面内部の領域の幾何学的モーメントで、体積は特に0次のモーメント。この積分の計算自体は、大学一年生の算数で、ちょろいけど、計算結果が書いてあるものを見つけられなかったので、以下に書いた

単体の幾何学的モーメントの計算
https://vertexoperator.github.io/2018/04/30/simplex_moment.html

実際に計算する時、世の中で出回ってる3Dメッシュデータは、non-manifold edge(本来、全てのedgeは丁度2つの異なる面にのみ含まれるべき)を持つことがよくあるので、気をつける必要がある



幾何学的モーメントは、曲面を合同変換した時に、どのような変換を受けるか分かるので、幾何学的モーメントを組み合わせて、形状不変量を作ることができる。これは、Huモーメントの場合と同じ考え方。

Image moment
https://en.wikipedia.org/wiki/Image_moment

Huモーメント不変量は、通常、二次元で定義されていたけど、三次元でも同様に定義できる。世の中には、形状データベースみたいなものを作りたいという需要もあるらしいから、そういうので、使えそうな気もする。何に使うのか、よく分からないけど。物体認識とかで使えそうな気もするけど、一枚の2D画像から3Dデータを再構成するのはしんどいし、自然界には、同一形状の物体というのはあまり存在しない(岩とか木とか)

低次の場合を考える。0次のモーメントは体積でこれは自明に合同変換で不変な量。一次のモーメントは、重心座標(と体積の積)を表すので、これから合同変換で不変な量は作れない。二次のモーメントは、重心が原点と一致するように動かしておくと、残りの自由度は回転のみで、モーメントを適当に並べると、2階の対称テンソルをなす。これを回転で動かすと、対角化できる。固有関数は互いに直交する三軸で、固有値は、各軸方向の"広がり"を表す。つまり、二次のモーメントは、物体を楕円体で近似した時の形状を表すと思える。回転不変な量は、対称テンソル固有値の対称関数で、トレースや行列式などを含む。

注)ここの対称テンソルは、正確には、群SO(3)の自然表現の対称テンソル積表現空間の元であることを意味する。SO(3)の表現空間には、SO(3)作用で不変な内積が定数倍を除いて一意に存在(コンパクト群の有限次元表現がユニタリ表現になるのと同様の論法)して、特に、双対空間との同一視ができるので、対称テンソルと対称行列が同一視できる。モーメントが対称テンソルになるというのは、物理では、多重極モーメントとかで使う考え方

従って、2次までの幾何学的モーメントは、0次のモーメントで、大体の大きさ、一次のモーメントで、おおよその位置、二次のモーメントで大雑把な形状(平べったいとか丸っこいとか、細長いという程度の)を表現しており、人間の直感的な捉え方に近い感じがする。より詳細な構造の情報は、もっと高次のモーメントに含まれる。高次のモーメントからも、合同変換の不変量が作れて、これらは"実質的に任意の形状"を分類するのに十分な不変量を与える。尤も、これらの不変量を計算する不変式を一般的に求めるのは、多分難しい


どれくらい難しいか。高次のモーメントから幾何学的Huモーメント不変量を作る問題は、並進自由度は簡単に除けるので、残る回転自由度に関する問題となり、数学的には、

3次元のHuモーメント不変量の計算:「SO(3)の自然表現の高階対称テンソル積表現から、表現空間上の多項式関数で、SO(3)作用で不変なものを見つける」

という形に定式化される。一方、数学では、19世紀に不変式論が研究され、そこでの主要な問題は、現代の言葉では、

19世紀不変式論の基本問題:「SL(2,C)の自然表現の対称テンソル積表現(既約表現になる)の表現空間上の多項式関数でSL(2,C)作用で不変なものを見つける」

というものだった(当時は、既約表現という概念もテンソル積という概念も定式化されてないので、2元n形式へのSL(2,C)作用という形で理解されていた)。SO(3,C)とSL(2,C)はLie環を取れば同型であり、こういう風に定式化すると、3次元のHuモーメント不変量を決定する問題と、19世紀の不変式論で扱われてた問題が非常に似た種類の問題だと分かる。Huモーメント不変量の決定のほうが、次元が大きい分、難易度が高そうに思える。ところで、後者の問題は、多分、殆どの数学者が特に重要な問題じゃないと考えるようになって久しく、現在でも、一般的な答えが分かっているわけではない(確か12次くらいまでは、不変式の生成元が決定されていた気がする)


(離散)曲面上のラプラシアンは、1993年のPinkallとPolthierの論文以来、色々な問題で、よく使われるようになった。cotangent formulaで検索すれば、沢山解説が出てくる
Computing discrete minimal surfaces and their conjugates
https://projecteuclid.org/euclid.em/1062620735

曲面の形状の不変量を得るのに、ラプラシアン固有値と固有関数を見るのは、自然に思える。このような方法は、spectral shape analysisという名前が付いている程度には、ポピュラーらしい。けど、例えば、以下の論文のFig4とか見ると、幾何学的Huモーメント不変量ほど、直感的な情報を与えてくれそうな感じはしない。

Spectral Mesh Processing
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.229.4191


うまいことやれば、2つの曲面の剛体位置合わせも多分できる。2つの曲面が完全に合同であれば、適当な合同変換で、幾何学的モーメントが一致するようにできる。簡単のため、二次元で考えると、座標のアフィン変換
x' = ax + by + p
y' = cx + dy + q
は6つの量a,b,c,d,p,qで定まるので、最低でも、二次までのモーメントを見る必要がある。アフィン変換に対して、二次までの幾何学的モーメントは
M_{00}' = (ad - bc)M_{00}
M_{10}' = (ad - bc)(aM_{10} + b M_{01} + p M_{00})
M_{01}' = (ad - bc)(cM_{10} + d M_{01} + q M_{00})
M_{20}' = (ad - bc)(a^2 M_{20} + 2ab M_{11} + b^2 M_{02} + 2ap M_{10} + 2bp M_{01} + p^2 M_{00})
M_{11}' = (ad - bc)(ac M_{20} + (ad+bc) M_{11} + bd M_{02} + (cp + aq)M_{10} + (dp + bq)M_{01} + pq M_{00})
M_{02}' = (ad - bc)(c^2 M_{20} + 2cd M_{11} + d^2 M_{02} + 2cq M_{10} + 2dq M_{01} + q^2 M_{00})
のように変換する。2つの曲面が合同であれば、0次のモーメントは等しいはずだけど、多分殆どの場合は、浮動小数点誤差のために、完全には一致しない。拘束条件として、ad-bc=1を課すか、ad-bcのスケールも不定とするかは問題に依存する選択だと思う。


合同変換であれば、ad-bc=1かつa=dかつb=-cである。この条件を課した上で、互いの幾何学的モーメントがなるべく一致するように、パラメータa,b,c,d,p,qを決定すれば、剛体位置合わせができる。一般に、解は一つとは限らない(例えば、球とかの場合)。何らかの評価関数を決めて最小化するというのが一番オーソドックスに思いつく。


というようなことを考えたけど、差し当たって、何かに使おうと思ってたわけではないので、本当に有用かどうかは知らない

IgnatowskiによるLorentz変換の導出のvariation

Lorentz変換の代数的導出
https://vertexoperator.github.io/2018/07/05/ignatowski.html

というのを書いた。

正しいLorentz変換の式を書いたのは、Larmorが最初っぽい(1897年)けど、電磁場と電荷・電流の変換まで考えたのはLorentzらしい。特殊相対論では、光速度不変の原理と特殊相対性原理から、Lorentz変換を説明する。1910年頃、Ignatowskiという人が、光速度不変の原理を仮定せずに、Lorentz変換の導出を与えた。と言っても、光速度が決まるわけないので、任意パラメータが一個残る(上のリンク先の定数γ)。このパラメータγは、大きく分けると、正か0か負になり、それぞれ、対応する変換群は、SO(3,1),SE(3),SO(4)となる。場の理論としては、それぞれ、相対論的場の理論ガリレイ不変な場の理論(※)、Euclidean field theoryが対応する

(※)日本語的には、非相対論的場の理論だと、対称性がISO(n,1)じゃないやつは全部当てはまりそうな気がする

Ignatowskiの論文は、不完全だったとかいう話もあるけど、問題はすぐにfixされて、それ以後、この方法の色んなvariationが出ている。この方法に対するPauliの評価は"from the group theoretical assumption it is only possible to derive the general form of the transformation formulae, but not their physical content"という感じで、特に高くはない。個人的には、光速度不変の原理は、原理と呼ぶには、dirtyすぎる気もするけど、Einsteinの特殊相対論への貢献が、なくなってしまう


で、たまたま導出を見たところ、見通しが悪いと感じたので、自分で考えなおしたのが、上の話。見通しはよくなったと思うけど、あんまり初等的でもなくなった。上の説明だと、一次元formal group law(FGL)の可換性は、本質的に効いていて、回避する術はなさそうに思える(適当な係数環の下での、一次元formal group lawの可換性の証明は、難しいわけではないけど、何も知らずに自分で思いつくのは割と難易度高めな気がする)。Ignatowskiの時代には、formal group lawはなかったし、他の証明見ても、formal group lawは出てこないので、通常は、何か無意識に仮定している物理的条件が存在してるんじゃないかと思ったけど、よく分からなかった。まぁ、どうでもいいけど


Fizeauが1851年に実験によって確認した速度合成則は、今から見ると
f(u,v) = u + v - \frac{u^2 v}{c^2}
だったわけで、可換でないだけでなく、結合的でもない。可換にする最も安直な方法は
f(u,v) = u + v - \frac{u^2 v + v^2 u}{c^2}
とすることで、実験結果とは矛盾しないけど、結合則は満たさない。とか考えていくと、発見的に、正しい速度合成則にたどり着けても、よさそうなもんだけど、そうはならなかった。1851年には、FGLの概念とかなかったので仕方ない

フィゾーの実験
https://en.wikipedia.org/wiki/Fizeau_experiment#Fresnel_drag_coefficient


ところで、Lorentz変換というと、SO(3,1)と思うけど、フェルミオン場との相互作用の記述にスピン接続を使うことを考えると、Spin(3,1)が"本体"じゃないかという気もする。普段、Lie環でばっか考えるので、気にしたことなかったけど。

鉄剣は必ずブロンズソードより強いのか

RPGだったら、ブロンズソードより、鉄剣の攻撃力が高くて高性能となるとこだけど、現実の人間は、HPと防御力が低すぎるので、石斧だろうが、ブロンズソードだろうが、当たりどころ(切られ所)が悪いと、簡単に死ぬ。

もう少し真面目な話としては、春秋戦国時代の中国では、岩鉄鉱石か沼鉄鉱石か知らないけど、鉄鉱石を一度溶融して(一酸化炭素で)還元し、出来た銑鉄を、そのまま鋳造していたらしい。こうして作られた鉄製品は、炭素含有量が高く、硬いけど脆くなると一般に書かれている(※)。それで、こうして作った鉄製の武器は脆いので、「悪金」と呼ばれて、農具などに利用されていたらしい。中国の製鉄技術の起源は、外来のものっぽく、初期の頃から、他の地域と同じように、半溶鉄を低温還元した後、鍛造して作った(鉄を溶かせない場合は、鋳造はできない)ものもなかったわけではないらしい。何故、鋳造に拘ったのかは謎。鋳造する方が生産効率は圧倒的に高いんだろうけど、それが理由かは分からない

(※)鋳鉄という用語も、銑鉄とほぼ同じ意味で使う。多分、鋳鉄の元来の意味は、鋳造用の鉄だったのだと思うけど、現代の工業製品としての鋳鉄は、大抵、1%以上のSiを含んでいるのに対して、紀元前の中国の鉄は、Siを1%未満しか含んでいない。Siの有無が物性にどう影響するのかは知らない。また、普通の鋳鉄も、組織構造によって、ねずみ鋳鉄/ねずみ銑鉄と白鋳鉄/白銑鉄などに分類されている。両者は、組織的には結構違うので、区別すべきなのだと思う。鉄関係の用語は、色々紛らわしい

春秋戦国時代の武器の鉄製と青銅製の割合がどれくらいだったかは分からない。中国では、紀元前500年頃作られたらしい青銅剣である越王勾践剣というのが発掘されていたりする(勾践は紀元前473年に上海のあたりにあった呉を滅ぼした越の王。越は呉の南にあって、この二国は呉越同舟の故事の起源)し、秦の兵馬俑からも、青銅製の剣が発掘されているらしいから、青銅製の武器も広く使われていたと思われている。始皇帝は、鉄官という、何をするのか知らないけど、鉄の生産に関連する役職を作ったとされる。キングダムなどの漫画で出てくる干将・莫耶は伝説では鉄剣ということになっている

歴史的なことは古い話なので、よく分からないけど、鉄剣は、ブロンズソードより優れていると無条件には言えない。といって、硬いとか脆いとか感覚的なことを言っても水掛け論なので、剣の性能を測る材料的なパラメータが知りたい、と思った。当然、剣の性能を決めるのは材料以外の要素もあって、大きく分厚く重く作れば頑丈になるだろうけど、そのへんは無視する。古代ローマの鉄剣とか日本刀は、複数の異なる性質の鉄を鍛接して作っていたらしいから、単一の材料パラメータだけ見ればいいというものでもないかもしれないけど、そのへんも面倒なので無視する


日本刀は、高硬度で高靭性とか書いてあったりする。Wikipediaを見ると、"靱性とは、物質の脆性破壊に対する抵抗の程度、あるいはき裂による強度低下に対する抵抗の程度のことで、端的には破壊に対する感受性や抵抗を意味する。材料の粘り強さとも言い換えられる"と書いてある。何を言ってるんだって感じだけど、脆さ(脆性)の反対の性質らしいことが分かる。英語だと、靭性はtoughnessらしいので、分かりやすい。

金属の応力歪み曲線は、変形量が小さい時は、弾性的に振るまう領域があり、ある程度まではHookeの法則が成立する。その後、変形量を大きくしていくと、弾性的に振る舞いつつもHookeの法則の当てはまりは悪くなり、やがて塑性変形する領域に移行する。更に変形していくと、やがて破断を迎える。この応力歪み曲線を、歪み0から破断点まで積分した量は、圧力=単位面積にかかる力=単位体積あたりのエネルギーと同じ次元を持ち、材質を破壊するのに、どれくらいのエネルギーが必要かという指標になる。これが大きければ折れたり刃こぼれしにくいということになるので、武器に使う材質としては、このエネルギーが大きい方がいい。

弾性変形する領域がなくて、塑性変形する領域が大きいと、ちょっと強い力を加えただけで、変形したまま戻らないということになって、それはそれで困るけど、このへんの問題は、あとで考える。また、材質によっては、塑性変形する領域が殆どなくて、弾性変形できる限界を迎えると、いきなり壊れたりする。これは脆性破壊と呼ぶ。金属ではないけど、ガラスとかは脆性破壊を起こす材料。これは、一般的な「脆い」というイメージに対応する。十円玉(銅・亜鉛・錫の合金)とかは(曲げたことないけど)多少曲げても、いきなり折れたりはしない。何回も曲げたり戻したりしてると、金属疲労を起こして折れやすくはなるけど、それは今は考慮の対象としない

この応力歪み曲線を積分して得られるエネルギーは破壊エネルギーとか破断エネルギーとか呼ぶらしい。破断エネルギーを大きくするには、破断する歪み量は大きく、かつ応力歪み曲線の最大応力値が大きいことが望ましい。前者は、伸び率、後者は引張り強度で定量化されることが多い。ゴムなんかだと、伸び率は、数百%に達しうるけど、鉄系合金だと、数十%がいいとこのよう。現実に剣を引っ張ったりすることは殆どないと思われるので、曲げ強度という量を使うほうが、より適切かもしれない


硬さ。材料界隈では、「硬い」と「固い」は、違う用語なのかもしれない。一般的な硬いというイメージは、変形しにくいということで、変形のしにくさを測る指標としては、Young率(縦弾性係数)がある。ゴムのYoung率は、1?10MPa程度とされ、銅が125GPa、純鉄では205GPa、ダイヤモンドでは1000GPaとなるので、常識的な「硬い」という認識に対応しているように見える。応力歪み曲線では、Young率は、歪みが0付近での曲線の傾きの大きさとなる。まぁ、ゴムのように簡単に変形するようでは剣の素材として使えない(武器としては、鞭とかあるけど)けども、実際のところ、殆どの金属では、Young率が50〜200GPaくらいの範囲なので、金属間での差異が問題になる要素とは言い難い(銅と鉄で2倍も違うと言えなくもないけど)。この意味での「かたさ」は、英語では、stiffnessと呼ばれているけど、紛らわしいことに、いわゆる、工学で使われる硬度とは別の概念となっている。

通常、ダイヤモンドが世界一硬いという時には、モース硬度のことを指している。モース硬度は、「ひっかいたときの傷のつきにくさ」と定義されているけど、定量的な尺度とは言い難い。この硬さは、英語では、hardnessと呼ばれて、stiffnessとは区別されている。硬度には、モース硬度以外に、色んな指標があり、材料界隈では、ビッカース硬度やブリネル硬度などがよく使われるっぽい。これらの硬度は定量的でもある。ビッカース硬度は、「ダイヤモンドでできた剛体(圧子)を被試験物に対して押込み、そのときにできるくぼみ(圧痕)の面積の大小で硬いか柔らかいかを判断する」らしい。ブリネル硬度も、なんか似たようなもので「直径D の球形の金属球を圧子として、圧子を試験面にP の力で一定時間押し当てた後、荷重を除いたあとに残った永久くぼみの面積を測定する」らしい。どちらも、押し込み硬さというものに分類されるよう。

それらしい説明とか見ると、硬さは、工業量(複数の物理的性質が関与する量で、測定方法に依存する)とか書いてあったりする。ビッカース硬度やブリネル硬度の測定の仕方を見ると、材質に塑性変形するまで圧力をかけて、塑性変形が開始する応力を決定しているように見える。塑性変形の開始点は、弾性限界として知られるけど、これを特定するのは難しい。そもそも、この名前は、弾性変形する領域と塑性変形する領域が明確に分かれる印象を与えるけど、多分、そういう理解は正しくない。

材質によって(軟鋼など)は、歪みが大きくなるのに引っ張り応力は下降する降伏現象が見られることがあり、その場合、降伏中の最大応力を、降伏応力や降伏強度(yield strength)と呼ぶ。明確な降伏点を持たない材料の場合は、耐力というものが代用として使われる。正確には、耐力は、永久に残る歪みの大きさを指定しないと定まらないので、0.2%耐力や0.5%耐力などという形で決められる。耐力も、降伏強度(yield strength)と呼ぶらしい。降伏強度は、弾性限界より特定しやすいので、よく使われる。硬度は測定の仕方は明白だとしても、何を測定しているのかよく分からないので、降伏強度の方が、何かを考える時には、便利な量だと思う(慣れている人にとっては、硬度が加工のしやすさの目安になったりするらしいけど)

ビッカース硬度やブリネル硬度の単位は、N/mm^2でMPaと同じ。ビッカース硬度とブリネル硬度の換算表というものがあって、それを見ると前者のほうが後者より値が多少大きくなるらしい。おそらく、圧子を押しこむ時、圧子の方も変形するだろうから、圧子には、なるべく変形しにくい物質を使う方が、望ましいはず。なので、圧子としてダイヤモンドを使うビッカース硬度の方が降伏強度に近いかもしれない。とはいえ、降伏強度は、引張強度より必ず小さいはずだけど、引張強度より硬度が大きくなっている例もある。hardnessは塑性変形の起きにくさの指標であり、上の方で「弾性変形する領域がなくて、塑性変形する領域が大きいと、ちょっと強い力を加えただけで、変形したまま戻らない」とか書いた話と関連する量でもある。

ビッカース硬度は、ダイヤモンドが10000前後(物や測定によって、ばらつきが大きいようだけど)なのに対して、純鉄(工業用純鉄は、炭素含有量が、フェライト相に固溶する最大量0.0218%以下の鉄・炭素二元合金という定義)では100程度らしいので、この基準でも、ダイヤモンドは硬い。純鉄の降伏点は98MPaらしいので、ビッカース硬度とオーダーは合っている。鉄炭素化合物Fe3Cはセメンタイトと呼ばれ、そのビッカース硬度は約1100らしいので、かなり硬い。セメンタイトの炭素量は、6.7重量%(鉄3原子に対して、炭素1原子の割合なので、鉄の原子量55.845と炭素の原子量12から12.0/(55.845*3+12.0)=0.0668)となる

まとめると、破断エネルギーや引張強度、伸び率は、壊れにくさ(折れにくさ、刃こぼれしにくさ)の指標となり、硬度や降伏強度は曲がりにくさ(塑性変形のしにくさ)を表す。ついでに、Young率は、弾性変形のしにくさの指標となる。



というわけで、調べれば良い量と物理的意味が何となく分かった。目安として、木材の引張強度は、数十〜150MPaくらいまで、ばらつきがあり、スギは90MPa、ケヤキは130MPaくらいらしい。伸び率は30%くらいにはなるよう。木材は、普通あまり塑性変形しないので、これも脆性破壊する物質。ガラスの引張強度も、30-90MPa程度らしく、木材と大差ない。ガラスは圧縮強度が900MPaくらいあるらしいけど。石材も傾向としては、ガラスと同じで引張強度は数十MPa、圧縮強度は1000MPa前後のことが多い。ヤング率に関しては、木材は、5-15GPa程度で、ガラスは70GPa程度、鉄系合金は大体200GPaとなる。引張強度は同じような値でも、ガラスや石の伸び率は、多分非常に小さい(1%以下だろう)と思うので、破断エネルギーで見れば、木材は、ガラスや石材より強靭である可能性が高い。

現在、工業的に使われるステンレス鋼も色々種類があるけど、包丁などに使われることのあるSUS440A(Amazonで適当に検索して出てきたステンレス包丁の素材だった)は、焼きなまし状態で、引張強度590MPa、0.2%耐力245MPa、伸び率15%、ビッカース硬度270らしい。


具体的に、青銅の物性を調べようとしたけど、あまり良いデータが見つからなかった。

Bronze#Transition_to_iron
https://en.wikipedia.org/wiki/Bronze#Transition_to_iron

には、"Though bronze is generally harder than wrought iron, with Vickers hardness of 60-258 vs. 30-80,[12] the Bronze Age gave way to the Iron Age after a serious disruption of the tin trade: the population migrations of around 1200-1100 BC reduced the shipping of tin around the Mediterranean and from Britain, limiting supplies and raising prices."と書いてある(適当訳:一般に、青銅は錬鉄より硬く、ビッカース硬度は60-258と30-80であるけども、錫の交易が著しく減退した後、青銅器時代鉄器時代に移行した。紀元前1200-1100年頃の人口移動が、地中海及びイギリスからの錫の運送を滞らせ、供給の減少と価格の高騰を引き起こした)。とりあえず、青銅のビッカース硬度は、60〜258らしい。錬鉄は、炭素含有量の低い鉄と一般的に書かれている。明確な定義はないけど、炭素含有量0.05%以下とか0.1%以下となっていることが多く、厳密には鋼の一種(鋼は炭素含有量が0.0218%から0.214%のFe-C二元合金と定義されている)であるか純鉄であるかということになる。鉄鉱石を直接還元して出来る海綿鉄の鍛打で不純物を除去して作る方法と、銑鉄を脱炭して作る方法がある。Googleが教えてくれた所によると、錬鉄の引張強度は234-372MPa、降伏強度は159-221MPaらしい


青銅であれば錫含有量、鉄/鋼であれば炭素含有量は、性能に影響する。剣に使用された青銅や鉄の組成については、考古学的なデータから得るしかない

EPMA法による殷墟青銅器の分析と古代中国青銅器鋳造法の解明
https://www.jeol.co.jp/applications/detail/1054.html

に、古代中国の青銅器の銅・錫比の調査結果があり、錫含有量は、10〜20%程度らしい(Fig8)。Fig9に、組成ごとの物性値がある。出典の一つとして、"Metallography and microstructure of ancient and historic metals"という本が引かれていたので、Google booksで眺めてみたところ、121ページのAppendix G,Fig197に同じような図が見つかった。本の方は、グラフデータの内、一部しか数値の大きさが分からないけど、上の報告にあるグラフとは、一部傾向が異なる。本の方では、錫含有率が10%の時のブリネル硬度は100を超えているが、上の報告の方では、6〜70くらいのようになっている。伸び率は、本の方では、錫含有率が7〜8%くらいの時がピークとなっているけど、上の報告では、3%の時がピークとなっている。試験片によって、これくらいの違いが出るものなのか、どちらかが正しくないのか私には分からない

国際的な金属材料の規格の一つにUNSというのがあるらしく、それのC90200というのは、錫青銅らしい。錫と銅以外は、微量の元素しか含まないので、定義上の青銅に近い。錫含有率は、6〜8%くらい。引張強度262MPa、0.5%耐力110MPa、伸び率は30%、ブリネル硬度は70と書いてある
https://alloys.copper.org/alloy/C90200

C90700は、錫含有率が10-12%で、引張強度250-350MPa、0.5%耐力120-200MPa、伸び率10-20%、ブリネル硬度60-100。
https://alloys.copper.org/alloy/C90700

他にも、Tin Bronzeと分類されているものはあるけど、亜鉛含有率が5%くらいあったりするので、回避。

上の報告にあるグラフだと、6〜8%の錫含有率では、目視で、引張強度280MPa、ブリネル硬度60、伸び率は10%程度。伸び率の値が3倍くらい異なっている。上の報告のグラフで、錫含有率が、古代中国で武器に使われた15%くらいの場合、目視で、引張強度340MPa、ブリネル硬度90、伸び率2.5%。古代中国以外の地域では、青銅の錫含有率は10%前後のことが多かったようなので、C90200やC90700に近い数値だったと推測される。古代中国で、青銅の錫含有率が高い理由は謎

錫青銅は、現在は、工業的には殆ど使われてないらしく、金属材料のJIS規格には存在しない。代わりに、微量のリンを含むリン青銅というものの物性を見てみる。今の所、古代の青銅器の分析でリンが含まれていたという話は見ないけど。C5210は、Snが7-9%、Pが0.03-0.035%含まれるらしい。C5210には、何を表しているのか分からないけど、質というのがある(熱処理の仕方が違うんだろうけど)。質がHだと、引張強度は590-705Mpa,伸び率は20%以上、ビッカース硬度185-235、弾性限界390MPaらしい。何だかよく分からないけど、性能が随分強化されている。UNS規格では、錫含有量5%程度のリン青銅C51000や10%程度のC52400という材料がある。

https://alloys.copper.org/alloy/C52400

1/2Hardだと、引張強度572MPa、0.5%耐力は記載なし、伸び率32%、ロックウェルB硬度92(ビッカース硬度だと200くらい)という数値が書かれている。錫含有量5%のC51000の1/2Hardで、引張強度450MPa、0.2%耐力372MPaなので、C52400の0.2%耐力も400MPa以上はあるだろうと思われる。性能的に、C5210と大体同じ数値。リンは、青銅内部の酸化物を除去し、機械的性質を向上させるとか書かれてるので、むしろ、青銅本来の性質は、こっちなのかもしれない。


紀元前6世紀頃の中国では、白銑鉄が作られてたらしいけど、ねずみ鋳鉄があったのかどうかは分からない(多分、なかったことはないと思うけど)。炭素含有量の高い高温の固体鉄を、冷却する際に、除冷すると、セメンタイトがFeとCに分解して、組織中に遊離グラファイト(鉄の方は、低温ではフェライト相/組織になる)を生じるのに対して、急冷すると、セメンタイトFe3Cが、そのまま残る。前者が、ねずみ鋳鉄で、後者が白銑鉄らしい。定義は結構曖昧で、両者が混じったまだら鋳鉄というのもあるらしい。

ねずみ鋳鉄の方がデータが多いので、ねずみ鋳鉄を調べると、以下の1967年の古い論文によれば、歪み1%以下で脆性破壊するっぽい。引張強度は200MPa前後になるようなので、これは青銅より低いと思われる。また、青銅の伸び率は、文献値のばらつきが大きいとはいえ、錫含有量を相当増やさない限り、歪み1%で破断とはならなそうなので、多分、破断エネルギーも、ねずみ鋳鉄剣よりは、ブロンズソードの方が、ずっと大きいだろうと推測される

ネズミ鋳鉄における応力-ひずみ曲線と組織との関連について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/imono/39/6/39_480/_article/-char/ja/

JIS規格では、ねずみ鋳鉄が、FC100〜FC350まである。3桁の数字は引張強度を表すようで、ブリネル硬度は201〜277とかのよう。以下のWikipedia情報によれば、ネズミ鋳鉄の引張強度は350MPa、伸び率0.5%、ブリネル硬度260。これは前述の情報に近い。やはり青銅と比べると、伸び率の小ささが目立つ

白銑鉄は引張強度170MPa、伸び率は0.1%以下(?)、ブリネル硬度450とあるので、武器として使える感じではなさそう。春秋時代の中国では、銑鉄の生産が開始してすぐに、可鍛鋳鉄(Malleable iron)もあったと言われていて、これは、Wikipedia情報によれば、引張強度360MPa、伸び率12%、降伏強度230MPa、ブリネル硬度130とある

Table of comparative qualities of cast irons
https://en.wikipedia.org/wiki/Cast_iron#Table_of_comparative_qualities_of_cast_irons

古代中国で可鍛鋳鉄があったと言っているのは、黒心可鍛鋳鉄じゃないかと思うけど、JIS規格では、FCMBで始まる一連の金属材料が相当する。何種類かあるけど、FCMB35では、引張強度350MPa、0.2%耐力200MPa、伸び率10%、ブリネル硬度100程度であるらしい。概ね、Wikipediaの数値と合っていて、錫含有率10~12%の青銅C90700(引張強度250-350MPa、0.5%耐力120-200MPa、伸び率10-20%、ブリネル硬度60-100)と性能的に大差なさそうな値となっている。春秋戦国時代に、可鍛鋳鉄で作った剣は出土してないらしいけど


紀元前に銑鉄を使っているとこは、中国以外の地域では、今の所、知られていないと思う。金属材料のJIS規格では、炭素含有量が0.3%前後の炭素鋼S30Cというのがある。物性値は熱処理によって変わるらしいけど、焼ならしを行った場合、引張強度470MPa、降伏強度285MPa、伸び率25%、ブリネル硬度150前後らしい。低炭素鋼として、SS400という材料もあり、引張強度は400MPa(以上)、降伏強度200-250MPa、伸び率35%前後で、炭素含有量の規定はないけど、0.15-0.2%くらいと言われる。これらの数値は、青銅よりは、優れていると言っていい程度のものと思う

最古の鋼片の検出とその意味
http://www2.pref.iwate.jp/~hp0910/tayori/106p2.pdf

というのを見ると、ヒッタイトの遺跡から出土した鉄片の一つは、推定炭素含有量が0.1〜0.3%だったろうとか書いてあるので、低炭素鋼の部類で、錬鉄を、そのまま使ってたわけではなさそう(?)。S30CやSS400に近い物性値を持っていたかもしれない。この鉄片が武器用を想定されたものかどうかも分からないけど。

Metallurgical Investigations on Two Sword Blades of 7th and 3rd Century B.C. Found in Central Italy
https://www.jstage.jst.go.jp/article/isijinternational/45/9/45_9_1358/_article/-char/ja/

には、紀元前7世紀の古代ローマ(王政ローマがあったとかいう伝説的な時期)の鉄剣に関する記述があり、5つの炭素含有量の異なる鉄から出来ているとある(ローマのpattern-welded swordは、こういうものらしい)。一番炭素含有量が高いところで、平均0.15-0.25%、低い方では、0.05-0.07%とある。多分、現在の炭素含有量を測っているようなのだけど、数千年経って炭素含有量が変わらないものなのか不明。炭素含有量が減ったりしてないのであれば、古代ローマの鉄も、炭素含有量は、0.3%を大きく超えない程度だったのかもしれない


ダマスカス鋼になると、降伏強度が1GPaを超えるものがあったよう(要出典。逸話を信用すれば、ダマスカスブレードは、しなやかで曲げても折れないと言われる)なので、ダマスカスブレードはブロンズソードよりも圧倒的に高性能だったかもしれない。ダマスカス鋼も、アレキサンダー大王に献上されたとかいう話や、19世紀にファラデーが研究したという話もあることから、多分、生産の歴史は2000年以上に及ぶので、ずっと同じ方法で作られてたかどうかは分からないけど。

隕鉄の場合。情報は、あまり多くないけど、以下の論文のintroductionで、ギベオン隕石から鍛造したロッドが、引張強度402MPa、伸び率5.6%と報告されているとある。当然、使用する隕石や鍛造の仕方によって値は変わるだろうけど、青銅と性能的に大差ないかもしれない。青銅の伸び率の文献値が幅があるので、何とも言えないけど、破断エネルギーで見れば、隕鉄は青銅より脆い可能性もある

The Yield Strength of Meteoritic Iron
http://adsabs.harvard.edu/full/1970Metic...5...63K


青銅より前は、銅の時代があったと言われている。銅斧は出土しているらしいけど、「どうのつるぎ」が実際にどれくらい作られたか分からない。純銅は、C1020(JIS規格)というのが、銅99.96%以上の無酸素銅というものらしい。質Oだと、引張強度250MPa、降伏強度200MPa、伸び率50%、ビッカース硬度50。質Hだと、引張強度350MPa、0.2%耐力350MPa、伸び率4〜5%、ビッカース硬度115らしいので、機械的性質にも相当に差がある。最初に使われた銅は、自然銅だと一般に考えられていて、純度は98%以上はあり、次いで多い成分が酸素というのが一般的なようなので、純銅というよりは、粗銅という感じではある。自然銅は、焼きなましをしてない素の状態では、展延性には乏しいらしいけど、物性値などは分からない。


あと、リン青銅剣を作れば、並の鉄剣と同等以上の性能になる可能性がある。Wikipediaの「りん青銅」の項目には、19世紀頃に、鉄で大規模な鋳造が難しかったので、大砲の鋳造に用いられていたとある。検索すると、1874年に、Phospher-Bronzeというタイトルの論文が出ていた。

Phosphor-bronze
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0016003274903421

論文の著者のC.J.A.Dickの兄弟であるGeorge Alexander Dickという人物は、1874年に、イギリスで、Phosphor bronze companyという会社を立ち上げたらしい。Dick兄弟がリン青銅の発見者というわけではないようで、論文冒頭には、"The invention is due to the owners of the Belgian Nickel Works of Val-Benoit," とあり、個人名などはない。青銅砲の開発のために、色々な配合の青銅を試していた的なことが書いてある。

論文のTABLE IやIIには、pulling stress,elastic stress,ultimate stressという用語が出ているけど、それぞれ、どの概念に対応するか分からん(直訳では、引っ張り応力、弾性応力、破壊応力だけど)。単位は、lbf/in^2かと思う(多分)。TABLE Iは、"Results of ezperiments to ascertain the Tensile Strength and resitance to Torsion of various Wires."あるけど、lbf/in^2としてMPaに換算すると、焼き鈍した状態で、pulling stressが、

銅: 255MPa
真鍮/黄銅: 355MPa
charcoal iron(木炭で精錬した鉄っぽいけど詳細不明): 318MPa
coke iron(コークスで精錬した鉄っぽいけどetc): 422MPa
鋼: 514MPa
リン青銅No.1: 405MPa
リン青銅No.2: 445MPa
...

となる。リン青銅の錫含有量の記載は見当たらない。多分、文章的にも数値的にも引張強度を測定したんじゃないかと思うけど嘘かもしれない。

同様に、TABLE Iによると、焼き鈍した状態でのultimate extension in per ct.(破断する限界の歪み?)は、charcoal iron,coke iron,steelが28,17,10.9%なのに対して、リン青銅は、42.4%〜46.6%となっている。これは、銅の34.1%より高い。リン青銅も、錫青銅と同じように、錫含有率を上げると、伸び率を犠牲にして、引張強度と降伏強度を高めることができるはずなので、リン青銅で、上記の鋼と同等以上の性能を実現できた可能性は高い

ついでに、19世紀のヨーロッパで作られていた鉄の性能が、こんな程度のものだったと分かる。多分、coke ironとcharcoal ironは共に錬鉄だろうと思う。この時代には、橋やレールの鋼材として、錬鉄が一般的に使われていたらしい。coke ironは、パドル法で作った錬鉄だろうけど、charcoal ironは、コークス高炉による銑鉄製造+木炭精錬炉による脱炭なのか、木炭高炉による銑鉄製造+木炭精錬炉による脱炭なのか分からない。

人類がブロンズソードの真の力を引き出すことなく、鉄器時代に移行してしまったのは、残念