ペースト図 vs. ストリング図
ペースト図を有向セル複体=高次多箙だとすると、ペースト図はn-圏の一部分を直接的に表現している。ストリング図のほうが人工的な加工の産物だ。
ストリング図が視覚的に有利なのは、高次のセルほど幾何次元が下がるから、“見えやすい”。透視図法が不要なことだろう。次元をそのままで書くと、高次のセルが視界を邪魔して、隠れた部分を透視図法で描くか、または多方向からのマルチカメラ映像が必要だ。透視とマルチカメラ/ムービングカメラのレンダリングが発展すれば、ペースト図でもいいのかも知れない。
基本変形=基本遷移=基本ムーブの絵のとき、ストリング図では単一の特異点が象徴的に現れるので、それも利点。遷移を連続化した図(レイターの図)は、ストリング図のほうが見やすい。
ストリング図では、必ずキャンバス次元を決める必要がある。キャンバス次元≧圏次元 のときしかストリング図は使えない。 この制限が守れないなら、なんらかの近似図法が必要で:
- 打ち切り=トランケーション:ある次元より大きなセルをすべて取り去る。
- ホム断面=ホム・スライシング:単一のホムセットだけを取って、1次元低い圏(の一部)を図示する。
- ムービー化=離散ダイクストラ波動を使って、可視面を離散的に動かしていく。ムービー(フィルム)のスチルをスライスと呼ぶこともある。スチルの遷移をフリックと呼ぶことがある。
- 縮約:複雑な構造を持つkセルを0セルに潰してしまう。(k + 1)セルが1セルになる。
ストリング図の最高次元のセル=キャンバス次元のセルを、volume/body/room/chamberとか呼ぶことにする。標準的にはchamberかな。で、チャンバーの色付け(ラベル付け)が単色のとき、チャンバーをすべて削除した(n -1)次元エビラでも情報は失ってない。
上記の操作をペースト図で考えると難しくて、チャンバーが頂点に対応するので、頂点単色図の場合、頂点をすべて同一視(パラシュート構成)してもいいが、単一頂点は残る。
一般的に、ストリング図側の高次セルの除去が、ペースト図側の操作にどう対応するのかが難しい。ペースト図側では開いた境界を持つ穴(hole)があく。取り除いたチャンバーが、ペースト図側のパンクチャ(マークされたポイント)になるようだ。チャンバー除去=穴あけ(パンクチュエーション)。ストリング図側の低次元セルの除去は、切り裂き・分断になるようだ。
- ストリング図側で余次元kのセルを除去する←→ペースト図側で次元kの欠陥/分断を作る
図の構成法
ストリング図では、キャンバスを複数枚使ってよい。実効的には有限枚だが、理念的には無限枚の無関係(disjoint sum)なキャンバス群を使ってよい。ただし、すべてのキャンバスは同一次元を持つとする。キャンバスの枚数は、対応する複体の連結成分の個数に同じ。
異なる次元のキャンバスを一緒に考えたいときは、低い次元のキャンバスにI○を直積で掛けて次元のbump-upをする。ここで、I○は区間[0, 1]の内部。I○はbump-upに使うので、次元をコントロールする唯一の手段とも言える。一点とI○(開いた区間)こそが原初的な素材と言える。
キャンバスは開方体(I○の累乗)なので、球体モデルを使うときは、方体と球体の対応関係をきちんと決めておく必要がある。特に、球体には主方向があるので、主方向の取り方は大事。
ペースト図=有向セル複体は、次元が小さい方から、直和とfillingで構成していくが、ストリング図でも同じで、幾何次元が高いほうからsegmented/delimited/separated/partitioned fusion/amalgamation/union/join していく。直和で離散的に存在していたキャンバスは、融合(併合)されて枚数は減っていく。融合には余次元1のパーティション(仕切り)を使うが、同じ色(ラベル)のときは、仕切りが溶ける/消失する。
操作の双対性
モノの双対ではなくて、操作の双対性がある。
- filling/bridging/膜張り/穴埋めと、穴あけ/切り裂き/分断
- 同一視/ループ構成/パラシュート構成と、仕切りの消失
直和の双対は直和なのだが、これは謎だ。-1次元(-2次元?)のウルオブジェクト(ur-object)を考えると分かるのか?