檜山正幸のキマイラ飼育記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2006-06-13 (火)

VOODOOな理論達:南堂久史さん、その強さの秘密

| 10:13 | VOODOOな理論達:南堂久史さん、その強さの秘密を含むブックマーク

平成のアリストテレス/博学の王・南堂久史さん(と勝手にキャッチコピー付けてみました)の解説「シュレーディンガーの猫の核心」に対して、nucさんが「シュレディンガーの猫」なるエントリーを書かれました。

昨日のエントリーより引用:

しかしながら、これを読んでみて、nucさんも僕も、南堂さんには“かなわない”なー、という気分もしました。それはどういうことかと言うと … ウーン、時間がない、明日とか。

で、続きです。

●理解した気分になったほうが嬉しい

id:mindさんの、「いいセンいってる南堂久史さん」へのブックマーク・コメントが大変に示唆的:

我々は理解するよりも、理解した気分になったほうが嬉しいですから。 さらに面白ければ2倍トク。

この「理解した気分」の取り扱いが非常に厄介でして、僕もホントに悩まされていることなんですよ。

●比喩の功罪

誰か(ファインマンだったかな?)が、量子力学的現象に対しては、いかなる比喩も通用しないし、比喩(アナロジー)で考えるべきではない、ってなことを言っていたと思います。nucさんの説明にも:

量子力学的な確率が古典的な確率と「全く違う」ことを言わなきゃいけなくて、そのためには純粋状態と混合状態の説明をするしかない。


量子力学の予言する現象を直感的に理解するのは非常に難しい。これは実にしかたがないことだ。

と。こういう正しい説明を読むと、「うーん、なんだかよくわからねーな」となり、“わかった気分”はしないでしょう。

でも、ここで是非に注意して欲しい点は、“わかった気分”がしなくても、実は理解・認識がちゃんと前進していること。「量子力学的な確率が古典的な確率と全く違う」という言明は、“わかった気分”に直結しないけれど、「量子力学的な確率」の知識を確実に増加させていますよね。

つまり、“わかった気分”がしない状態を、ある期間だけ我慢することも必要なのかな、と思うのです。本質をはずした(真実から遠く隔たった)比喩で“わかった気分”を手に入れるよりは、そのほうが近道のときもあるようです。

●理解への心理的障壁を取り除く方便

シュレディンガーの猫」に限らない一般的なことですが; 「奇妙な比喩で説明するのは止めろ!」で話が済めばいいのだけど、実際にはそうもいかんのですよ。というのも、“わかった気分”の意義を否定できないからです。事前に“わかった気分”を手に入れることは、次のステップに進むための大きな力になります。

別の言い方をすると、“わからなそう”、“むずかしそう”という気分が心理的な障壁となって理解(むしろ、理解しようとする行為)を阻害しているケースも見受けられます。そんなときは、方便を使ってでも障壁を取り除く工夫が有効かもしれません。

南堂さんは(とりあえず内容を度外視して)、比喩をふんだんに使い、物語と自己主張を織り交ぜたオハナシの語り手であり、方便の(過剰な)使い手なわけです。方便使いの技量において、南堂さんは、nucさんや僕が太刀打ちできない地点にいます。

●正しさだけでは対抗できないツラサ

僕自身は、「わかった気分にさせるためには手段を選ばん」という芸人的無節操さも相当に持ち合わせているのですけど、一方で、方便が本質をはずしてしまっては元も子もない、という恐れもいだきます。ジレンマじゃ。

南堂さんがあれだけウケるのは、わかった気分にさせるワザの使い手だからです(もちろん、内容は間違ってますが)。それに対抗するには、単に正しいことを述べるだけではなくて、同程度にわかった気分にさせる解説が必要になります -- それって、もはやミッション・インポッシブルだよなー。

kosakikosaki 2006/06/13 14:03 最後の一文は、最後はハリウッド的大爆発とともに見事ミッション成功と言っていますか(^^)

m-hiyamam-hiyama 2006/06/13 14:33 kosakiさん、
> 最後はハリウッド的大爆発とともに見事ミッション成功と言っていますか(^^)
その結末は、次のエントリー、最後の一文を読んでください。

kosakikosaki 2006/06/13 20:27 ふぁ、ファインマン爆発するんですか((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
↑ ちげー

TamaTama 2007/04/24 01:10 「正しさだけでは対抗できないツラサ」に「内容は間違ってますが」とありますが、具体的にはどこがどう間違っているのですか?

m-hiyamam-hiyama 2007/04/24 09:00 Tamaさん、
> 具体的にはどこがどう間違っているのですか?
それに答えているのが、ここで話題にしているnucさんのエントリー http://d.hatena.ne.jp/nuc/20060608/p4 です。そして、nucさんのエントリーより南堂さんの論説のほうが「わかった気分にさせる」効果はありそうだ、ってハナシです。
「わかった気分」効果においても、南堂さんに匹敵するのは、fromdusktildawnさんの http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20060618/1150590590 でしょう。
わかんないままでもいいから、なごみたいなら http://d.hatena.ne.jp/ululun/20060610/neta060610。
http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/20060620/1150761971のコメント欄も参照ください。