檜山正幸のキマイラ飼育記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2013-02-01 (金)

普遍的なグロタンディーク構成?

| 16:02 | 普遍的なグロタンディーク構成?を含むブックマーク

ここ数日の僕のブームはスピヴァックの関手的データモデルです。

スピヴァックのホームページ http://math.mit.edu/~dspivak/ からたどれる彼の論文を、チラホラ斜め読み/拾い読みしているのですが、圏論のネタとしてもちょっと面白そうな記述があります。そのひとつが、関手 D:CSet からファイブレーションを作る話。

ベキ集合ファイブレーション」にも書きましたが、集合を離散圏とみなせば、関手 D:CSet は、D:CCat だと考えていいので、インデックス付き圏に対するグロタンディーク構成が適用できて、その結果が要素の圏(category of elements)です。関手Dの要素の圏を el(D) と書いて、それに伴うファイブレーションを el(D)→C とします。

スピヴァックは、el(D)→C が「ある“普遍的な”ファイブレーションのDによる引き戻し」で得られることを注意しています。これは、上記のnLab記事にも書いてある事実の引用にすぎないですけどね。ここで出てきた“普遍的な”ファイブレーションとは、SetSet という形のものです。以下にこのファイブレーションを説明します。

Xが集合で x∈X のとき、組 (X, x) を付点集合(pointed set; 点付き集合)と呼びます。(X, x) と (Y, y) を付点集合とするとき、写像 f:X→Y で f(x) = y であるものを付点集合の準同型だとします。すると、付点集合を対象、付点集合の準同型写像を射とする圏ができます。これをSetとします。Setは、Maybeモナドのクライスリ圏であると同時にアイレンベルク/ムーア圏だったりもします。

付点集合 (X, x) を、台集合(underlying set)X上の構造だと考えて、基点xを忘れる忘却関手をUとします。

  • U((X, x) in Set) = (X in Set)
  • U(f:(X x)→(Y, y) in Set) = (f:X→Y in Set)

U:SetSet は、矢印の向き(反変/共変)の調整をするとファイブレーションとみなせます。任意の関手 D:CSet に対して、次の図式が引き戻し図式になる、という事実があります。


 el(D) ---> Set
  |          |
  |          |
  v    D     v
  C  -----> Set

さて、そうすると、一般的なインデックス付き圏 F:CCat に関しても同じような事実が成立しているといいな、と思います。なんらかのファイブレーション XCat があって、次の図式が引き戻しになるのです。Gr(F) は、インデックス付き圏Fのグロタンディーク平坦化だとします。


 Gr(F) --->  X
  |          |
  |          |
  v    F     v
  C  -----> Cat

なんか成立しそう、ひょっとしてよく知られた事実か? と思うのですが、面倒なのでこれ以上追求はしてません。

謎の圏Xを作るヒントになりそうなことは、Setアンダー圏 1/Set となっていることです。

Cとその対象Aに対して、F(A) := A/C と定義すると、Fは CCat という反変関手となるので、インデックス圏を定義します。0, 1 をそれぞれCの始対象、終対象(それがある)として、自明な射 01 に対するFの像 F(1)→F(0) は、1/C0/C となります。ここで(大きさの議論は気にしないことにして)、C := Set と置くと、SetSet のファイブレーションと同値(より強く同型)となります。

以上で使った 0, 1 などを、もっと次元が高い図形に置き換えれば、謎の圏Xが構成できるんじゃないのかなー。確信はないけどさ (^^; 。

ああああああああ 2017/10/22 03:36 グロダンディーク構成の普遍性による定義、自分も気になっていました。かつて檜山さんはフビニの定理とも関連させてましたが、単純なcolimにはならないんだけど和の性質をもつし、なんだが簡単な表現ないかなと思ってたのでこの記事は参考になりました。
ここで出てくる謎の圏なんですが、単純な付点圏のようなものも考えられたと思うのですが、その場合どのような不都合が起こるのでしょうか?つまり付点圏CAT・のオブジェクトは、圏X in CATとx in Xのペア(x, X)で、射(x, X)→(y, Y)は関手F:X→Yと射f:y→F(x)のペア(F,f)となるようなものです。

m-hiyamam-hiyama 2017/10/23 15:33 ああああさん、
> その場合どのような不都合が起こるのでしょうか?
記事冒頭に書いてあるように、当時の数日間のブームだったのでしょう。
「面倒なのでこれ以上追求はしてません。」が、「歯が立たないので諦めた」のか、「やれば出来そうだからいいや」なのか? あんまり憶えてない(苦笑)です。で、不都合があるかどうかも憶えてない。
ブビニの定理については、今でも気にはなってます。
積分∫、総和Σ、存在限量子∃などは似てます。いずれも関数に作用して“値”を算出します。関数を関手にしたときも、∫、Σ、∃のようなナニモノカは(適当な条件下で)定義できて、フビニの定理は成立しているのではないか?
ナニモノカの一番手近な例がindexed category(関手)のグロタンディーク平坦化(積分もどき)なんだろう、たぶん; と、そういう感じはするのですが、「面倒なのでこれ以上追求はしてません。」

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