第36回マンション維持管理講座・相談会の報告

 マンション維持管理支援・専門家ネットワーク(通称:M-net)では『管理組合・理事のためのマンション管理実務必携』〜管理組合の運営方法・税務、建物・ 設備の維持管理、トラブル対応〜を先日出版しました。
 本書では、マンションに関する法律等の基礎知識はもちろん、会計・税務やコミュニティ条項、民泊など管理組合運営で気になる点をわかりやすく解説しています。平成28年度標準規約改正で議論となったコニュニティ条項削除や外部専門家の活用、また、本年5月30日施行の改正個人情報保護法に関する対応方法を詳解し、話題の民泊に関するモデル規約・細則も明示しています。マンション管理組合の理事になった方、マンション管理士、管理会社が知っておきたい知識が満載の必携書になっております。是非一度書店で手にとっていただければと思います。
 3月4日に行った出版記念のマンション維持管理講座では、本のポイントを執筆者より報告しました。マンション管理について理解を深められる内容になったと思います。講座の後に毎回行っている公開相談会でも、参加者が困っている課題の質疑応答があり有意義な会になりました。

第35回マンション維持管理講座・相談会の報告

「管理組合が直面するオカネの悩み〜『滞納』と『収益事業の税金』〜」

 12月3日(土)に一般財団法人主婦会館への協力という形で、マンション維持管理講座・相談会を開催しました。「管理費等の滞納問題」についての弁護士から報告、「管理組合の収益事業に関する税務」についての税理士からの報告を行い、最後に公開相談会を行いました。参加者は49名と盛況でした。

 管理費等の滞納に対する管理組合の対応には、本人との話し合いや管理規約での滞納予防策などの「裁判所以外の措置」から、民事調停や訴訟などの「法的措置(裁判所を介在させる措置)」まで、幅があります。管理会社任せにしないで、管理組合が主体的に対応することが大切です。なお、今年改正された標準管理規約のコメントに、滞納に対する管理組合の対応として「専有部分等以外の資産調査(金融機関への問い合わせ)」がうたわれていますが、これは弁護士でもとるのが難しい情報で、管理組合がここまで行うことはできません。

 管理組合は、法人税法上は「人格のない社団等」(管理組合法人は「公益法人等」)に該当します。管理組合の収益事業の具体例には、携帯基地局設置収入や自動販売機設置収入などの「不動産貸付業」、太陽光発電設備による買電収入などの「製造業」、区分所有者以外から受領する駐車場収入などの「駐車場業」、区分所有者以外から受領する会議室使用料収入などの「レンタル会議室業」があり、これらを継続的に行っている場合は法人税の対象となります。収益事業の収入から必要経費を引いたものが法人の所得となり、これに税率を乗じることで法人税が算出されます。管理組合で継続的収益事業を開始した時は理事会及び総会において速やかに申告手続きを進めることをご検討ください。