寄生虫ひとりがたり

2016-06-24 ひとりぼっちのフタゴムシ

[] 21:07

卒論でフタゴムシを調べているN君。魚を解剖してもなかなかムシが見つからずに苦労していたのだが,今日解剖した魚からやっと発見。どうもムシの密度がかなり低いらしい。ところで、フタゴムシは2匹が出会うと合体して大きく成長し、成虫となるのだが、相手がいないと体サイズが小さいままで宿主についている(ディポルパ幼生、通称"ボッチムシ")。従って、低密度の場合、別のムシとの遭遇率が下がるのでディポルパのままのムシが多いかもしれないと思い、N君に小さいムシを見逃さないよう注意するように言っておいた。そうしたら案の定、しばらくしてN君が「ディポルパがいました」とやってきた。サンプルとして固定するように指示すると、N君曰く「わかりました、こいつにはボッチのまま生涯を終えてもらいましょう。」

なんだか悲しくなった。

2016-06-23 要は科学

[] 21:07

第2回研究倫理教育セミナー終了。基本的にあまり明るい解決策のない話たっだし、参加してくれた学生には不満な点も多々あったと思うが、少しは役に立つ知識も得られたかなあと思う。折りに触れて「自分はアカハラに対してこんな知識がある」と披露するだけでも、加害者を気後れさせる効果があるから、ぜひ活用して欲しい。

参加した教員から同意の意見として出たのは「アカハラの客観的証拠集めは研究でデータを取るのと同じ」ということ。アカハラや人権侵害の加害者は大抵、一般的には「そんなことしそうに見えない人」だし、大学の相談員や調査委員会だってしょせん先入観からは逃れられない。そういう人々に対して何かのハラスメントを訴え出たとしても、起きた事件を曲解せずにちゃんと理解してもらうのは至難の技だ(自分の体験)。とにかく、あらゆる手段を使って証拠を残し、起きたことを時系列で細かく記録するに越したことはない。学内処分にしろ裁判になるにしろ、証拠の有無は決定的にものを言うし、そこまでしない場合でも、「証拠が残してある」というだけで相手の方から自分を避けるようになったりするものだ。

それにしても、せっかく大学の人権問題委員になったのに、4月からまだ一度も会議の招集がない…。

2016-06-21 伐採の理由?

[] 20:06

FW1の授業で,I上川の河口から、上流に向けて右岸側を歩いた。ところが、I上川橋から少し上流に行ったところの河畔林で、径7,80センチもある大木(多分ナラガシワ?)が伐採されているのを見つけた。先月は変化なかったので,この一ヶ月間に伐採されたことになる。横にはトラックか何か、作業車両の入ったあとがある。

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ところで、この場所は河辺林保全区域の中なのじゃないかしら。いったいどのような理由で大木を伐採したのだろう。とりあえず、河畔林保全に関わっている教員に現状を知らせる。

FWの授業が早めに終わったので,SEALDSのドキュメント映画を見に行く。教員で見に来ていたのは4人ぐらい。

後日談 20:36

このナラガシワの成育地は保全区域外で,幹が大きく裂けたので地元からの要望で伐採したものだということ。ただ、同地の保全に関与している教員には事後の連絡しかなかったそうで、その点はあまりよろしくないことである。

2016-06-20 風穴

[] 18:26

県の公共事業評価監視委員会の関連事項について、県職員の方が研究室に見えられた。今年度、委員会にかけられる予定の案件の説明と、改選の必要のある委員について,適任者の推薦がないかどうかという問い合わせである。それはそれとして、せっかくなので先週のY川の河川改修の写真を見せて、なぜこのようになったのかという話をしてみた。やはり、県庁の土木交通部に河川の専門家がいなくて、住民の方から環境保全に関する要望が上がってきても、なかなかそれに応えられるような形での設計ができないというのが本当のところらしい。業者の入札条件に、自然再生などに関する資格(自然再生士とかビオトープ管理士とか)を入れることはできないのですか?と聞いてみたところ,(現状では)それではだれも入札しないでしょう、という話だった。最初は「条件」にはできなくても、「有資格の業者を優先します」のような形で入札を行うことはできないのだろうか。そうやって、何年かのうちに資格を持っていた方が県公共事業の入札で有利ということが業者に広く認知されるようになれば、勉強してこれらの資格を取ったり、有資格者を新規採用する土建業者が増えてくるだろうに。なお、Y川の現状については、「…確かに、一昔前みたいな三面ガチガチですね…」と問題点を認めていただき、検討事項として持ち帰っていただけることになった。設計図の変更というのはなかなか難しいそうだが、小規模な変更による改修影響の軽減は可能かもしれない、と一抹の期待を抱く。

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昨年、園芸店で購入したフウランが開花した。

2016-06-17 貝採り’16

S君の卒論で分析する貝を採りに湖北へ。

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いつもハベカワニナを採るO浦川の河口に行ってみたら,たいした雨は降っていないのに真っ茶色の川水が流れ込み,まったく水中が見えない。どうやら水田濁水が出ているらしい。しばらく周囲を歩いてみたがよい採集場所が見つからず、結局いつもの場所で、両手を濁り水に突っ込んで手探りで貝を採る羽目になった。幸い、必要な数は確保できた。

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その後、例のごとくS浦へ移動してタテヒダカワニナ等の採集。水温が高いせいか、今年も藻がひどい。

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帰りに道の駅で、N浜名物の焼き鯖寿司と小鮎の飴炊きで遅い昼食。鮒鮨定食もあり、なかなかローカル食豊かな食堂だった。

2016-06-16 入試案内

[]環境生態学科等で、全国から推薦入試が受験できるようになりました! 13:01

滋賀県立大学環境科学部の環境生態学科・環境政策計画学科・環境建築デザイン学科では、来年度入試より、全国の高校から出願できる推薦枠(推薦入学C)を設けます。やる気のある諸君の出願を待っています!詳しくは下記のお知らせをご覧下さい。

なお、滋賀県内の高校に通っている方、および県内に居住しておられる方には、従来どおりの推薦枠(推薦入学A)があります。

http://www.usp.ac.jp/user/filer_public/a9/52/a95290a9-f6f1-4421-863c-a07d8f3c077e/h29henkouyokoku.pdf

2016-06-15 発掘

−30℃の冷凍庫が満杯というので、昼休みに学生たちと整理。私のサンプルもだいぶ場所を塞いでいたので,解析済みのものは全部処分。冷凍庫の底に埋まって行方不明になっていた試薬とか、卒業生の置き土産でもう一度PCRにチャレンジしたかったサンプルが出てきた。ちょっと嬉しい。

2016-06-14 FW1・第三クールバス見学日

[][] 21:55

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Y川の改修工事はだいぶ進んでいたが,河床はご覧のとおり、生態的にも景観的にも、ため息しか出ないような状態になってしまった(このブロック敷きで完成形だそうである)。今日は偶々建設会社の方と少しお話できたので、なぜ途中で根固めブロックの種類が替わっているのかを尋ねてみたら、「他の建設現場から出たものを使っているから」、つまりリサイクル品だから、ということであった。

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左右の擁壁の土台を作るため一度河床を深く掘り込み,擁壁完成後にある程度埋め戻し、上にブロックを並べる。ここは湧水があるところらしく、川の土手の左右のところどころに後背湿地的な水溜まりがあるのだが、改修後は河川水と周囲の地下水や土壌水との交流はほとんどなくなりそうだ。ただでさえ改修後は浅くフラットな流れになり、従って夏場には水温が上がるのだが、周辺水域との連絡が遮断されればよけい水温上昇しそうである。

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今日の特別ゲストは元理科教諭のF先生。ご専門は地学であり、私たちにとっても普段あまり聞くことのない話が多く、とても勉強になった。Y川で、地質図を前にこの地域について解説する先生。

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I上川上流も緑が濃くなり、モリアオかカジカと思われるオタマジャクシが川に群れていた。学生がナガレヒキガエルとカジカガエルを捕獲したので、ウチの院生へのお土産として持って帰ることにする。それから、F先生のお話では、この辺の石灰岩からは高い確率でフズリナやウミユリが見つかるらしい。今度、探してみよう。

今日は現地について早々に、ヤマビルが靴の中に入ったという学生が1人現れたが、幸い献血者は出なかった。

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F先生による湖東流紋岩の解説@大蛇の淵。

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帰学したらナップザックにこんなのがくっついていた。殼径は2mm程度しかない。キミは誰?

追加情報 21:15

この河川改修に当たって,県の河川砂防課・彦根市道路河川課と住民の間でもたれた懇話会の記録。住民からは洪水防止のためのすみやかな改修を期待する声が大きかったようだが、資料を見ると環境に対する配慮や親水空間としての役割も期待されていたことがわかる。

http://www.pref.shiga.lg.jp/h/h-doboku/files/071221yagura_report.pdf

http://www.pref.shiga.lg.jp/h/h-doboku/files/071127yagura_material2.pdf

2つ目の資料に「昔は湧水池や 深みにアマゴ、ビワマス、鮎が多くいた」とある。やっぱり、かなり湧水の豊かな川だったらしい。

xnissyxnissy 2016/06/17 17:46 ナップザックについていたカタツムリは、周縁が丸いのでマルシタラだと思います。

m-urabem-urabe 2016/06/17 20:29 ありがとうございます。B博のK君からも同様のコメントをいただきました。おそらく社寺林を歩いた際に連れてきてしまったものと思います。

2016-06-13 ばたばた

一週間ぶりに大学に来てみれば、朝から実験室が賑やか。M2のUdon君からは同定中の吸虫について質問を受け、卒論生のIさんからはよくわからない水生昆虫についての相談を受ける(これは私にも分からなかったので,水生昆虫の専門家に写真を送って助言をもらった)。この春に院を卒業したN君も久しぶりにやってきたので投稿論文の解析方法についての話し合い。そして寄生虫のサンプリングをしている卒論生のN君は、宿主採集の外道で巨大なカムルチーを手に入れ、嬉しそうに解剖。多分この後は調理なんだろう。なぜか別の研究室の学生もやってきて、カメの骨格標本を作りたいとUdon君が検査したアカミミガメの骨のクリーニングをしている。

2016-06-11 関門通過

無事帰国できました。NAIAのカウンターでチケットの控えを見せて「ごめんなさい名前と名字が逆です」と自己申告したら,問題なしにスルーしてくれました。今日ばかりはフィリピンのユルさに大感謝です。これがUSなどだったら多分アウトだったのではないでしょうか。

2016-06-10 @Lake Taal

3回目のタアル湖エクスカーション。

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湖の漁師さんたち。自然相手にしている人たちはやはり態になります。恰好良いです。

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私はVolcano Islandでは熱中症の前科があるので、今回は登山は遠慮することにしました。雨季に入ってはいますが、火山灰の島はまだ乾燥し、すごい土ぼこりです。徒歩や乗馬で山登りに出発する一行。

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私は麓の村の中で鳥を探したりしていましたが、それでも30分ほどで暑さに負け、観光ガイドのおじさんたちの溜まり場で涼んでいました。昼間から一杯引っかけながらお喋りや昼寝を楽しむおじさんたち。観光客があまり来ない時は日がな一日、こんなふうに過ごしているのでしょう。

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今回、季節のせいか鳥見の収穫は少なかったです。ハチクイが何度も水面を掠めて水を飲んだり、トンボを追ったりしていました。熱帯らしいカラフルな鳥ですが、飛んでいる時はだいたい逆光になってしまうので、なかなか体色を捉えることができません。

2016-06-09 3日目

午前中のプレリミナリートークはZさん、Oさん、隣の大学のN先生による“琵琶湖三題”。ウチの大学関係者も巻き込まれている(失礼)Oプロジェクトの内容を初めて理解。こういうことだったのねー。それなら何で今までタアル湖ではなくLaguna de Bayで調査してられたのか(多分、こっちの方がモニタリングデータが揃っていたからかな?)とは思うけれど。

午後の学生賞セッション。シンガポールで「コモチカワツボ」とされていた貝は、実はフロリダ原産の別の貝Pygophorusだと言う話。熱帯性の貝だという点を除けば、見た目も生態もコモチカワツボと驚くほどそっくりである。移入ルートは観賞用の水草らしいという。今後、日本でもへんに水温の高いところから「カワツボ」が出てきたら,こいつを疑うことも念頭に置かなければならない。なお形態的には♂のペニスで判別が可能である。

夜はフィリピン料理のレストランでRey研究室の面々、シンガポール大学の面々、Z夫妻、基調講演のD教授ほかとディナー。Pygophorusの発表をした院生Hさんがいたので話をする(ウチの研究室のカワツボ論文も読んだそうで、すぐに私のことを認識してくれた)。シンガポールは古くから周辺との交流が盛んな国なので,貝類のうち何が在来種で何が外来種なのかの判定が非常に難しく、その貝の生息域全体での遺伝的な比較が必須なので大変だという話。しかも、現在ではジャンボタニシが席捲し、在来種かどうか要判定だった種類がジャンボタニシに押されて消滅したというケースもあるそうで、なかなか前途多難ではある。