ジャイロスコープ

伊坂幸太郎著 2015年新潮文庫刊行
初出「エソラ」「小説トリッパー」など(2006年〜2014年)、書き下ろし

  • 浜田青年ホントスカ
  • ギア
  • 二月下旬から三月上旬
  • if
  • 一人では無理がある
  • 彗星さんたち
  • 後ろの声がうるさい

短編集、最後の「後ろの声がうるさい」が前6本のまとめ書き下ろし。
また、「十五年を振り返って」という伊坂幸太郎インタビューも付いている。
読んだことあるのは「浜田青年ホントスカ」だと思う。
一番好きなのは「if」。最後「そういう設定なのか!」と驚くし、挽回できて良かった。
「二月下旬から三月上旬」の設定も「if」と同様に驚く。
また、最後の

どの時代のどの日も、「戦前」で、「増税前」だ。

というのは強烈な皮肉だよなとニヤリとしてしまった。
「一人では無理がある」のサンタクロースの裏話も面白いけど、いろいろな伏線を収束させる最後もとても気持ち良い。
「彗星さんたち」のお仕事物語もステキなんだけど、車両毎に時代が変わっているように思える設定は斬新に思う。
また、

常にベストをつくせ。見る人は見ている


大事なのは、冷静でいることと親切でいることよ


たまたま七分間しかないから、その間でできる限りのことをやっているだけで

という言葉は覚えていたい。
最後の「後ろの声がうるさい」は無理やり過ぎてちょっといらなかったかも。
全体的にとても面白かったのだけれど、「ギア」だけはよく分からなかった。
付録の伊坂幸太郎インタビューは「なるほど!そういうことだったのか!」と思うことが多かった。

僕の小説って実は、「登場人物」とか「ストーリー」とかよりも、こういう仕組みから思いつくことが多いんです


短編は、長編に比べると確実に、読者のことを考えて、「面白い仕掛け」「驚きのある展開」を用意しようと思うんです。

こういう感じで設計がしっかりしてるから仕組みが気持ちよくてスッキリ読めるのかなと思う。
面白かった。

ジャイロスコープ (新潮文庫)

ジャイロスコープ (新潮文庫)

@2015年@図書館